2019年に上演された『夜会VOL.20 リトル・トーキョー』
20回目という節目にあたるこの「夜会」は、発表済みの曲をシチュエーションに合わせて歌うという初期の「夜会」のスタイルが取り込まれている。
これまでの「夜会」に貢献してきた出演者も大勢揃い、贅沢な顔ぶれとなっている。
特徴から、見どころ、また、歌われた曲が収録されたアルバムについて、色々みていこう。
この記事は、
- 『夜会VOL.20 リトル・トーキョー』の特徴
- 『夜会VOL.20 リトル・トーキョー』の見どころ&みんなの感想
について書いてます!
中島みゆき『夜会VOL.20 リトル・トーキョー』
2019年上演。歌手の渡辺真知子との共演。
北海道の山奥にあるホテル&パブを舞台に様々な人間模様が織りなされていく。
久々に、既存曲も歌われ、原点回帰したような作品になっている。
『夜会VOL.20 リトル・トーキョー』の特徴
2つの節目
2019年1月30日から2月27日まで、東京のTBS赤坂ACTシアターで20回に渡って上演された「夜会VOL.20 リトル・トーキョー」。
1989年に「夜会」をスタートして、30周年目、そして20回目という節目にあたる作品だ。
そのためなのか、本作は、作品の随所に集大成的な要素が織り交ぜられている。
東京には存在しないトーキョー
パンフレットの中で、中島みゆきは、以下のように語っている。
「街の一区画だったりスーパーや食堂の名前だったり色んなところでこの「リトル・トーキョー」を目にしてきたが、その中で見るものは確かに日本直輸入のものだったり、日本式なのだが、その場にいると不思議な国へ来たような錯覚に陥る」
「夜会VOL.20 リトル・トーキョー」では、北海道の山奥にあるホテルの中のパブステージという設定だが、これもまた、東京にはないトーキョーが存在しているのだ。
久々に発表済みの曲を歌う
1989年の「夜会」から1994年「夜会VOL.6 シャングリラ」までは、すでに発表済みの曲が歌われていた。
すでに聴いたことのあるCDの曲が、舞台の物語のシチュエーションに合わせ歌われることで、また別の解釈を生み出していくという面白さがあった。
だが、1995年「夜会VOL.7 2/2」以降は、全曲「夜会」のために書き下ろされた新曲のみが歌われるようになる。
本作では、新曲に加え、以下の既存曲も取り入れられて、原点回帰を思わせる構成となっている。
- 『野ウサギのように』(1988年)
- 『BA-NA-NA』(2011年)
- 『思い出だけではつらすぎる』(2003年)
- 『テキーラを飲みほして』(1983年)
- 『LOVERS ONLY』(2001年)
- 『紅灯の海』(1998年)
豪華出演陣
「夜会VOL.20 リトル・トーキョー」では、これまでの「夜会」に出演した役者が勢ぞろいし、同窓会さながらの顔ぶれとなっている。
香坂千晶
- 「夜会VOL.6 シャングリラ」
- 「夜会VOL.9 2/2」
- 「夜会VOL.10 海嘯」
- 「夜会VOL.12 ウィンター・ガーデン」
- 「夜会VOL.13 24時着 0時発」
- 「夜会VOL.14 24時着 00時発」
- 「夜会VOL.15 〜夜物語〜元祖・今晩屋」
- 「夜会VOL.16 〜夜物語〜本家・今晩屋」
- 「夜会VOL.17 2/2」
植野葉子
- 「夜会VOL.7 2/2」
- 「夜会VOL.9 2/2」
- 「夜会VOL.17 2/2」
- 「夜会VOL.10 海嘯」
石田匠
- 「夜会VOL.18 橋の下のアルカディア」
- 「夜会VOL.19 橋の下のアルカディア」
「夜会VOL.20 リトル・トーキョー」では、渡辺真知子や、普段はボーカル担当の宮下文一も出演している。
渡辺真知子と共演
「夜会VOL.20 リトル・トーキョー」には、渡辺真知子も出演している。
2020年「ダ・ヴィンチ」3月号のインタビューで、オファが来た時のことを振り返っている。
「「夜会」なのに、こんなに明るい、太陽みたいな私を入れてどうするんだろうって思いました」
この疑問に対して、中島みゆきは「開演時間が1時間早くなったからよ」とジョークを交えて返答している。
中島みゆきが申し訳なさそうに渡してきたファイルには、配役が書かれていた。
渡辺の役は、中島みゆき扮する杏奴の姉・李珠。
実年齢では中島みゆきより5才も下の渡辺は、その役に一瞬戸惑うが、まんざらでもなかったようだ。
「昔から「お母さん」とか「貫禄がある」とか言われることが多かったので、そうした意味で、私のありのままを投影してくださったんでしょうね」
渡辺真知子は、1975年「第9回ポピュラーソングコンテスト」に出場し、中島みゆきと同じステージを踏んでいる。
中島みゆきは『傷ついた翼』で入賞、渡辺は『オルゴールの恋唄』で特別賞を受賞している。
振り付けはラッキィ池田
劇中のダンスは、ラッキィ池田による振り付け。
ラッキィは、若い頃に中島みゆきの曲に勇気をもらっていたという。
彼は、「夜会VOL.18 橋の下のアルカディア」「夜会VOL.19 橋の下のアルカディア」でも振り付けを担当している。
泉谷しげるが声だけ出演
芸妓の梅乃(植野葉子)が、料亭の障子戸の前で座敷から聴こえてくる密談に聞き耳を立ててるシーン。
殺人を企てようとする悪人声を演じているのは、泉谷しげるだ。
泉谷が演じた大熊権作は、声のみ登場している。
中島みゆきと『捨て石』をデュエットしているが、これもまた歌声のみ。
「ネバー・クライ・ウルフ」をイメージ
「夜会VOL.20 リトル・トーキョー」には、山犬を引き取って人間の手で育てていくというくだりがある。
中島みゆきは、この山犬の生態を調べるために、動物園の飼育係のところへ自ら取材に出掛けている。
また、2020年「ダ・ヴィンチ」3月号の糸井重里との対談では、本作を分かりやすく観てもらうために、1983年公開のアメリカ映画「ネバー・クライ・ウルフ」を勧めている。
狼の習性を調査する生物学者が主人公のこの映画は、家畜を襲わなければ生きていけない狼の実情が描かれている。
「これを観てもらうと、私がどんな思いで「リトル・トーキョー」をつくったのかがわかっていただける」
中村中も絶賛
「夜会VOL.18 橋の下のアルカディア」で中島みゆきと共演した中村中は、本作を客席から鑑賞していた。
平成が終わり、令和へと突入する時代の節目で、何を残していき何を次の時代へ引き継いでいくかを直球で描いた作品だと、本作を評している。
劇場版
20207年7月23日より『夜会VOL.20 リトル・トーキョー』が劇場版となり、全国の映画館で上映された。
これまでも、『夜会VOL.17 2/2』『夜会VOL.18 橋の下のアルカディア』『夜会工場VOL.2』が劇場版として映画館で上映されている。
『夜会VOL.20 リトル・トーキョー』の見どころ
『リトル・トーキョー』
全編に渡って繰り返し歌われる本作のテーマ曲。
歌い方をアレンジすることで、色んな表情を見せてくれる。
また、ラッキー池田の振り付けがよくマッチしていて、見ても楽しめる1曲だ。
嘘のトーキョー リトル・トーキョー 東京には無いトーキョー
帰らないすべてが ここだけに有る
(『リトル・トーキョー』より)
『思い出だけではつらすぎる』
劇中では何十年ぶりに再会した姉・李珠(渡辺真知子)と妹・杏奴(中島みゆき)がデュエットする形でこの曲が歌われている。
2020年「ダ・グィンチ」3月号のインタビューで渡辺真知子は、この曲に感慨深いものを感じたと語っている。
2人が同じステージを踏んだポプコンから40年。
この曲は、それぞれ違う道を歩んできた自分たちとシンクロするところもあり、「そういう思いをさりげなくシーンに盛り込んでくださったのかな」と解釈している。
思い出だけではつらすぎる
ありえない窓は開かない
本当の鍵はただひとつ
永遠にあなたが持ってる
(『思い出だけではつらすぎる』より)
『二隻の舟』
これまでの「夜会」と違い、各々の登場人物のドラマが色濃く描かれていて、群像劇の印象が強い。
『二隻の舟』にもその特徴が表れており、各々の思いをリレー形式で歌い継ぎ、最後は合唱というスタイルを取っている。
おまえの悲鳴が胸にきこえてくるよ
越えてゆけと叫ぶ声が ゆくてを照らすよ
きこえてくるよ どんな時も
(『二隻の舟』より)
『夜会VOL.20 リトル・トーキョー』のみんなの感想
年末に中島みゆきの夜会リトル・トーキョーを見ました。全員歌唱力レベルがカンストしてました耳が幸せだった😭
— 師岡🎀💙 (@morookasan) January 7, 2022
『中島みゆき 夜会 Vol.20 リトル・トーキョー 劇場版』を見てきました
めちゃくちゃ可愛い中島みゆきと、圧倒的に上手い歌と、すごく面白いストーリーを体に浴びました
歌、演技、構成、何をとっても一級品で、見た後に色んなことを語り倒したくなる作品でした
最高です— ID (@mmiki_q3mys) August 9, 2020
リトル・トーキョー劇場版、終わった後、興奮で額に汗が滲み出ていました。一曲一曲の歌にどれだけの強い希いがこめられているのかをこれでもかって感じて心が動かされる度、僕にとって中島みゆきだけは心から本当に好きだって思う
— BAKAQ (@redwing2014) July 25, 2020
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