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ドラマ「親愛なる者へ」の見どころ|中島みゆき出演の経緯とその舞台裏

親愛なる者へ

1992年7月~9月に放送されたドラマ「親愛なる者へ」(フジテレビ系)

これほど中島みゆきを詰め込んだドラマはなく、ファンならば是非とも押さえておきたい。
主題歌『浅い眠り』の他に、劇中には多くの中島みゆきの楽曲が用いられ、ドラマの一部の設定やセリフが曲からの引用だったりする。

そして、極めつけは中島みゆき本人がドラマの重要な役で出演していることだ。
ドラマ出演に至るまでのいきさつや、中島みゆきが挑んだ撮影の舞台裏までみていこう。

この記事は、

  • ドラマ「親愛なる者へ」の中の中島みゆき要素
  • 中島みゆきがドラマ「親愛なる者へ」に出演した経緯
  • ドラマ「親愛なる者へ」撮影中の舞台裏

について書いてます!

夢おじ子
夢おじ子
中島みゆきの曲を全て聴いてきたファン歴30年以上の夢おじ子が解説!

ドラマ「親愛なる者へ」について

高視聴率を叩き出したドラマ

「親愛なる者へ」は1992年7月~9月にフジテレビ系列「木曜劇場」の枠で放送されたテレビドラマ。
主演は、浅野ゆう子柳葉敏郎
そして、佐藤浩市横山めぐみの豪華俳優陣が脇を固めた。

平均視聴率16.6%、最高視聴率24.4%と高視聴率をマーク。

ドラマのタイトル「親愛なる者へ」は、1979年の中島みゆきのアルバム『親愛なる者へ』から取っている。

脚本は野沢尚

ドラマの脚本を手掛けたのは野沢尚
1983年の「V・マドンナ大戦争」第9回城戸賞準入賞を受賞した野沢は、その後、プロデビュー。
「素晴らしきかな人生」「氷の世界」など数多くのヒット作を世に送り、1999年には「結婚前夜」「眠れる森」向田邦子賞を受賞した。

1992年「月刊カドカワ」11月号の中で、中島みゆきは、主題歌を書くにあたって、ドラマの台本を読んでいたことを明かしている。
W不倫という話の設定が、昼メロのような印象を抱かせ、少々とっつきにくかったようだ。
が、終盤へ向かって野沢の言いたいことが見えた時、「これはいいんじゃないか」と前のめりになっていたという。

あらすじ

凪子(浅野ゆう子)と望(柳葉敏郎)は結婚3年目の夫婦。
幸せで平凡な暮らしを送っていたある日、凪子の前に昔の男が現れる。
また、望も、かつて思いを寄せていた女と再会し、結婚生活に波乱が生じていく。

ドラマの中の中島みゆき要素

主題歌が中島みゆき

このドラマのために中島みゆきが書き下ろした曲が、『浅い眠り』だ。

「ドラマのどの回を見てもらっても通用する歌にした」

この言葉通り、1話ごと、あるいは全話を通したテーマが歌われている。
また、ドラマプロデューサの大多亮の注文により、イントロ部分のサウンドにもこだわった。
ドラマのシーンを印象づけるために、鮮烈なピアノで入るアレンジを手掛けたのは瀬尾一三だ。

ドラマでの、凪子(浅野ゆう子)の寝具販売員という仕事や、不眠に悩まされるという設定は、『浅い眠り』の影響を受けていると思われる。

⇒『浅い眠り』の記事はコチラ

劇中歌が中島みゆき

主題歌だけではない。
ドラマの中では、たくさんの中島みゆきの楽曲が劇中歌として流れているのだ。

『肩に降る雨』『夜曲』『歌姫』『鳥になって』『時代』etc.

毎話、2~3曲がシーンに合わせて流されるため、まるでもう1つの「夜会」を観ているような気分に浸れるのである。

夜会

中島みゆきがライフワークとして開催している、言葉の実験劇場。
演劇のようでミュージカルのようでいずれでもない。
言葉の置き場を変えることで、言葉が生み出す可能性を追求する。

ドラマの設定やセリフに中島みゆきの曲を使用

ドラマの設定やセリフにもまた、中島みゆきの曲が使われている。

例えば、第1話では、凪子(浅野ゆう子)が、かつての恋敵とバッタリ出くわすシーンがある。
これは、中島みゆきの曲『南三条』がモチーフになっている。
また、この恋敵と交わされる会話や、凪子のモノローグにも、この曲の一部が引用されている。

恋敵が言うこのセリフ、

「私、老けたでしょ? 凪子さんより年上みたいでしょ?」

は、『南三条』の以下の歌詞を引用している。

どこまでゆくのと
背中で眠る赤子を揺りあげながら
私ふけたでしょうあなたより年上みたいねと
(『南三条』より)

第6話では、この恋敵が、デート前の緊張をほぐすルーティンを語るシーン。

「喫茶店に先に着いてパウダールームで自己暗示」

このセリフは、中島みゆきの曲『Maybe』から引用されている。

思い出なんか何ひとつ私を助けちゃくれないわ
私をいつも守ってくれるのはパウダールームの自己暗示
(『Maybe』より)

同じく、第6話。
昔の男と別れた凪子が、帰り道土砂降りに遭い、ずぶ濡れのままタクシーに乗るシーン。
タクシー運転手が、泣いている凪子に気を遣って天気予報や野球の話を延々するくだりは、中島みゆきの曲『タクシードライバー』からの引用だ。

タクシー・ドライバー 苦労人とみえて
あたしの泣き顔 見て見ぬふり
天気予報が 今夜もはずれた話と
野球の話ばかり 何度も何度も 繰り返す
(『タクシードライバー』より)

⇒『南三条』の記事はコチラ

⇒『Maybe』の記事はコチラ

⇒『タクシードライバー』の記事はコチラ

中島みゆきが産婦人科医役で出演

テレビではめったにお目にかかれない中島みゆきが、このドラマで産婦人科医役として出演している。
南雲律子という役名で、芝居もセリフもちゃんとあり、ドラマの中では重要な人物なのだ。
シングルマザーという設定で、息子と戯れる微笑ましいシーンもある。

中島みゆきがドラマ出演した経緯

中島みゆきの著書「愛が好きですⅡ」の巻末に、ドラマプロデューサーの大多亮の寄稿文が掲載されている。
この中で、大多は、中島みゆきにドラマ出演してもらうまでの経緯を語っている。

大多と脚本家の野沢尚は、脚本を練る段階で、産婦人科医の南雲律子役に、中島みゆきのような俳優のキャスティングを想定していたという。

なら、本人に出演してもらえば?

スタッフの1人の提案に、ダメ元でレコード会社を通じ中島みゆきへオファしてみた。
すると、2週間後、「脚本の内容に相談に乗ってくれれば」という条件で出演OKの答えが返ってきたのだ。

この時のスタッフの盛り上がりを、「全盛期のキャンディーズにでも会うような興奮につつまれた」と大多は表現している。

出演オファが来た時、中島みゆきは勘違いをしていた。
ドラマ出演といっても、ヒッチコックが画面の隅っこにひょいと一瞬だけ映るような、いわばカメオ出演をイメージしていたのだという。

だが、いざ台本をもらい、表紙をめくると、自分の名前の下に「南雲律子」という役名が書かれており、嫌な予感が走った。
さらに読み進めて、予感は確信へと変わる。
セリフが何行もあるガチの役だったのだ。

自分で書いた歌詞ですら覚えられないのに、そのキャパを超えた長文のセリフに血の気が引いたと、後に語っている。

中島みゆきも台本づくりに加わった?

「愛が好きですⅡ」に掲載された大多亮の寄稿文には、中島みゆきがドラマ台本に意見したことが書かれている。

「実際に患者を前にしたお医者さんって、このようなきつい言い方はしないと思うんですよね」

こう中島みゆきが発言したのは、最初の打ち合わせの場。
産婦人科医の南雲(中島みゆき)が、中絶をしに来た凪子(浅野ゆう子)に言うセリフに違和感があったからだ。

実は、中島みゆきの父親もまた産婦人科医だった。
近くで父親の背中を見ていただけに、そのセリフの不自然さがよく分かる。

「セリフ1つ1つに、かなり疑問があるんです」

そう言って、中島みゆきがバッグから取り出したのは1枚の紙。
そこには、自分ならこうすると中島みゆきが考えたセリフが直筆で書き込まれていたのだ
その核心をついたセリフに大多は驚く。

事前に渡していた台本は、ボロボロになるまで読み込まれていた。
きっと中島みゆきは、台本を何度も反復した上でこのセリフを思いついたのだろうと、大多は推測する。
この後、大多は、脚本家の野沢尚に中島みゆきの意図を汲んだ形で、台本を書き直してもらった。

中島みゆきが演じた産婦人科医が、中島みゆきの父親の職業と同じであったことは、制作サイドが意図したものではない。
大多自身、その偶然の一致を、オファした後に知ったのだ。

撮影中にNGを出す中島みゆき

中島みゆきの出演シーンは、海際に建つ産院が舞台。
撮影は、新潟県の佐渡島で行われた。
朝が苦手な中島みゆきに、撮影のためにずいぶん早起きしてもらったと、プロデューサーの大多亮は心苦しく当時を振り返る。

さて、果たして中島みゆきは、セリフをちゃんと言えたのだろうか?

著書「愛が好きですⅡ」には、ロケ地に到着してもまだセリフが覚えられずいたことが書かれている。

だが、中島みゆきには淡い期待があった。
台本には、長いセリフの1行ごとが線で区切られていて、その箇所に、カメラアングルなどのメモが書かれてある。
スタッフ側の段取りのための小休止なのだと、解釈し、その小休止ごとにセリフを覚えていけばいいんだと気が楽になった。

だが、現実は甘くない。
撮影本番、「いけるとこまで続けてくださ~い」というスタッフの声に愕然とする中島みゆきだった。

最終回、浅野ゆう子とのシーンを撮影中、突然セリフが途切れてしまうハプニングが発生。
「次の芝居をお忘れになったのかしら?」と案じていた中島みゆきだったが、次にセリフを言う番は、中島みゆきの方だった。
この気恥ずかしいオチに、「やっぱドラマは、こりた」と改めて思うのだった。

中島みゆきのシーンを撮り終えた後、現場では『浅い眠り』のイントロが流れ、拍手の中、花束を抱えた浅野ゆう子が現れ、中島みゆきに渡した。
現場の全員が大合唱する中、1人中島みゆきだけ、歌詞を忘れて歌えなかった。

ドラマ「親愛なる者へ」のみんなの感想

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