1993年10月21日に発売された21作目のオリジナルアルバムに収録された
『孤独の肖像1st.』
をみていこう。
この「1st.」は、中島みゆきが進化した痕跡だった。
中島みゆき『孤独の肖像1st.』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三・David Campbell
『孤独の肖像1st.』が収められているアルバム
『時代~Time goes around~』
1993年10月21日に発売された21作目のオリジナルアルバム『時代~Time goes around~』に収録されている。
このアルバムは、『時代』や工藤静香に提供した『慟哭』など、提供曲やかつて発表した自身の楽曲のセルフカバーアルバムとなっている。

『孤独の肖像1st.』の「1st.」って何?
このタイトルに違和感を持った人も多いかと思う。
「1st.」というこの文字。
「first(ファースト)」つまり「1番目」という意味である。
1番目と言うからには2番目があるということだ。
その2番目というのが、1985年に発売されたシングル『孤独の肖像』である。
ン?
発表した順番でいうと、『孤独の肖像1st.』の方が2番目のはずだ。
なぜ、この曲は「1番目」を名乗っているのだろうか?
2番目なのになぜ「1st.」?
発表の順番こそ2番目である『孤独の肖像1st.』であるが、作った順番でいうと『孤独の肖像1st.』が1番目なのである。
実はこの曲、いったんお蔵入りになった曲なのである。
1985年、後藤次利の編曲によってシングルリリースする話がまず先にあった。
その時点で、すでにこの『孤独の肖像1st.』(当時は「1st.」はついていなかったろうが)が曲として存在していた。
中島みゆきは、この曲のメロディを書き直し、『孤独の肖像』として世に発表している。
なぜ、書き直した?
『時代~Time goes around~』のブックレットにはこのように書かれている。
中島みゆきが、メロディを書き直した理由は、
- 後藤次利のサウンドと『孤独の肖像1st.』のメロディが合ってなかったから。
- 当時の中島みゆきの音域では歌える楽曲ではなかったから。
そんな理由で、『孤独の肖像1st.』は1993年までずっとお蔵の中で眠っていたのである。
音域を広げ歌えるようになった『孤独の肖像1st.』
つまり、こうして我々が『孤独の肖像1st.』を聴けているのは、その後、中島みゆきの音域が広がったということを示している。
この1985年の『孤独の肖像』から1993年『孤独の肖像1st.』までの間、いったい中島みゆきは、どのように進化を遂げていったのだろうか。
音域を広げられたのはボイトレのおかげ
糸井重里との対談で、中島みゆきはボーカルトレーニングを行っていたことについて語っている。
最初はデビュー前に、2度目は1986年頃。
1986年というのは、中島みゆきが、ライフワークともいえる『夜会』を始めようとしていた頃だ。
これまでの音域を広げていかないと、役になりきれない。
そんな思いでボイトレを受けることにしたのだった。
そして、レッスンの先生に言われたのだ。
「今の歌い方は癖があり、いずれ喉をつぶしてしまう」
と。
中島みゆきの持ち味を保ちつつ、無理のあるところだけ直していくやり方で、喉を鍛えていったのである。
その結果、『孤独の肖像1st.』が歌える音域を、中島みゆきは手に入れたのだった。
『孤独の肖像』と『孤独の肖像1st.』の比較
『孤独の肖像』の歌詞も『孤独の肖像1st.』の歌詞もベースは同じといってよい。
ただ、構成はだいぶ変えられている。
例えば、1993年『孤独の肖像1st.』の歌い出し「悲しみは~」の部分は、1985年『孤独の肖像』では、歌い出しからもうちょっと先の方に登場し、しかも頭に「Lonely face」という歌詞を伴う形で登場している。
一方、メロディの方はというと、全く別の曲といっていいほど違う。
『孤独の肖像』が奈落の底からひがみっぽく歌っている印象であるのに対し、『孤独の肖像1st.』は一途に相手を思う悲しみと弱さをまとってる印象(※個人的な意見です)。
とにかく、歌詞はほとんど変わらないのに、サウンドや歌い方が違うとここまで解釈が違ってくるのかと思い知らされる2曲である。
『孤独の肖像1st.』を歌う動く中島みゆき
『孤独の肖像1st.』も『孤独の肖像』も『夜会』で歌われている。
夜会1990
傾いた舞台の上で、黒スーツに身を包んだОL役の格好で『孤独の肖像』を歌っている。
わざと自分を忙しさの中に追い込んで忘れていきたい女。
この状況にピッタリ合う曲だ。
夜会VOL.5~花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に
妊婦役の中島みゆき。
お腹の子の父親は戦火の中にいる。
彼からの手紙に思いを馳せながら、銃声や爆撃を背に歌う『孤独の肖像1st.』は劇中で最も印象に残るシーン。
『孤独の肖像1st.』をカバーしたアーティスト
平原綾香
『中島みゆきリスペクトライブ2018歌縁』の中で平原綾香が『孤独の肖像1st.』を歌っている。
平原綾香はこのライブに出演する際、予めスタッフから渡されていた中島みゆきのCDを聴いて、この『孤独の肖像1st.』を歌う曲に選んだ。
「初めに聴いたときは涙が止まらず、辛い日々を乗り越えられた曲」
とライブの中で語っている。
平原綾香の歌う『孤独の肖像1st.』は優しさと力強さを兼ねた感じとなっている。
『孤独の肖像1st.』のみんなの感想
突然ですが、布教してみる。
中島みゆき先生の
「孤独の肖像」
「孤独の肖像 1st」この二曲はぜひ聴いてみてほしい。
歌詞がほぼ同じなのに、曲が違うだけでこんなにも別のメッセージ性を帯びるのかって驚くこと請け合い。オタク界には馴染みないかも知れませんが、偶には良いモノですよ。
— ザ・ペーパー (@paper7802) February 26, 2020
工藤さんの慟哭。
今思えば、私がみゆきさんを好きになったきっかけの歌な気がする。
この曲の入ったみゆきさんのアルバムをなぜか買って、孤独の肖像1stという曲を聞いて、本格的に好きになりました。
なぜこのアルバムを買ったのかが不明じゃけどwww
そういう巡り合わせがあったんじゃね😊
— J子 (@jko33) December 22, 2019
「孤独の肖像1st」をいまの季節に聞くと、沁みるを通り越して痛い。カタルシス恐るべし。
— よかん (@ge2DKUIYtiHwlqm) October 18, 2019
中島みゆきは孤独の肖像1st.が最高傑作だと思う。
俺の代わりに泣いてくれる曲。— キイロスキィ (@kiiroski) June 26, 2019
孤独の肖像1st聴きすぎてなんかむなしくなってきた
自分には待ち続けてる人もいないし、今後もそういう人に出会うこともないって思ったら自分なんて空っぽなんて思うわけだし— 浦安徳 (@yasuyragawa) June 8, 2019
『孤独の肖像1st.』はこんな時に聴こう
『孤独の肖像1st.』は大好きだったあの人を失った時に聴こう。
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