1975年に2ndシングルとしてリリースされた『時代』
中島みゆきはこの曲で「第10回ポピュラーソング・コンテスト」「第6回世界歌謡祭」共にグランプリを受賞し、デビュー後の活動に大きく弾みをつけた。
この曲が、いつ、どのようにして生まれ、どういう過程を経てきたのか見ていこう。
この記事は、
- 『時代』がいつどのようにして生まれたか
- 中島みゆきがライブであまり『時代』を歌わない理由
- 『時代』に勇気づけられた有名人
- 『時代』を今すぐ聴く方法!
について書いてます!
中島みゆき『時代』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
『時代』は18歳のときに作られた
1975年、『時代』は、中島みゆきが23歳の時にリリースされた。
だが、この曲が産声を上げたのは18歳の頃と言われている。
「これを書いたのは大学生の時でしたかねぇ」
1987年7月4日放送の「ウィークエンドファンタジー」(FM東京)にゲスト出演した際に、上のように述べている。
この曲を書くきっかけというものは特になく、ちょっとずつフレーズを変えていって繋いでいったら、『時代』が完成してしまったのだ。
当時を知る人によると、この頃の中島みゆきは大学から帰ると寮の自室にこもって曲作りに精を出していたという。
デビュー前の1974年時点で、持ち歌がすでに130曲あったというので、『時代』はこの寮の一室でひっそり産声をあげたのかもしれない。
『時代』が中島みゆきのデビュー曲だと誤解している人も多いが、中島みゆきのデビュー曲は『アザミ嬢のララバイ』。
続く2ndシングルが『時代』である。
ポプコンでグランプリを受賞
1975年10月、「第10回ポピュラーソング・コンテスト(通称、ポプコン)」で中島みゆきは『時代』を歌い、グランプリを受賞した。
『時代』を歌ったのは明るい曲だから
1987年7月4日放送の「ウィークエンドファンタジー」(FM東京)の中で、応募曲に『時代』を選んだ経緯を語っている。
「その頃のブームとして思ったのは、あまり根の暗い歌は、賞はもらえないんだと」
コンテストで賞を勝ち取るために、多少の計算が働いたようだ。
受賞した時の反応は冷ややかだった
2013年10月22日放送の「上柳昌彦・山瀬まみごごばんフライデースペシャル」に、ポプコンの司会を務めていた大石吾朗が出演した。
そこで、『時代』がグランプリを獲った時のエピソードを語っている。
大石によると、『時代』は圧倒的な支持を得た曲ではなかったという。
実は、審査の段階で多くの票が投じられていたのは、因幡晃の『わかって下さい』だった。
だが、主催者ヤマハ社長の川上源一の「中島みゆきには将来性を感じる」という一言がきっかけで、いっきに流れが変わる。
結果、グランプリに輝いたのは『時代』だった。
グランプリが発表されると受賞曲が再演されるのだが、中島みゆきの場合、再演を聞かず帰っていく客の姿が見られたという。
当時としては曲が新しすぎて理解できなったのではないかと、大石はみている。
中島みゆきの第二の父親・川上源一
アルバムCDに必ず表記された人
中島みゆきのアルバムCDには、ブックレットのクレジットの最後に、必ず「DAD川上源一」と表記されている。
川上源一とは、中島みゆきをグランプリへと後押ししてくれた人物だ。
「DAD」とは「父親」という意味。
いかに中島みゆきにとって川上が大きな存在であるかが分かる。
川上源一が中島みゆきに言ったこと
川上源一は、ポプコンで受賞した中島みゆきにこのように言った。
「あなたはすごい詞を書く。将来は詞で勝負できるアーティストになって欲しい」
また、そこにこのようなアドバイスも加えた。
「大音量の伴奏なしでギター1本で歌った方が、より人に詞の内容が伝わるだろう」
中島みゆきは、その思いに応えた。
「世界歌謡祭」のグランプリ受賞直後の再演ステージで、オーケストラを制し、ギターのみで『時代』を弾き語りしたのだ。
川上源一の告別式で歌われた
2002年、川上源一は老衰のためにこの世を去った。
この告別式の中で、喪服姿の中島みゆきが『時代』を歌っている。
川上源一の遺影に向かって語りかけるように歌う姿が、参列客の涙を誘った。
「自分の葬儀で流したい曲は?」
「みんなの終活応援サイト エンなび」が40歳以上の男女1104名に対して行ったアンケートでは、1位『時代』、9位『糸』という結果が出た。
世界歌謡祭でもグランプリ受賞
1975年11月の「第6回世界歌謡祭」へ出場した中島みゆき。
10月の「第10回ポピュラーソング・コンテスト」に続き、こちらでもグランプリを受賞している。
この模様はフジテレビや日本テレビなどでも放映され、今でも映像が残っている。
また、1993年のアルバム『時代~Time goes around~』の中にもその時の音声が一部収められている。
中島みゆきの初々しい歌声、司会を務めた坂本九とジュディ・オングの肉声が聴ける貴重な音源だ。
バーゲン会場でも歌った
1975年11月の「第6回世界歌謡祭」でグランプリを獲得した中島みゆきは、その翌月の12月21日に『時代』をシングルリリースした。
1991年&1992年「月刊カドカワ」11月号のインタビューによると、キャンペーン活動で、中島みゆきは様々なところで『時代』を歌っていた。
ポプコン関係のイベント、
歌謡祭関係、
朝のテレビ番組etc.
東映うずまさ撮影所やデパートのバーゲン会場など、今では考えられないところでも歌っていたんだとか。
ライブで『時代』を歌わない理由
キャンペーン中ではあらゆる場所で『時代』を歌った中島みゆきだが、1989年のライブで歌ったのを最後に久しく歌っていなかった。
それから長い期間を経て、2010年のライブでようやく思い出したように歌っている。
「今のうち歌っとかなきゃかな」となんとなく急かされた気持ちになったから。
そう、心境を語る。
それまで中島みゆきは、この曲は引退記念に歌うくらいしかないのかもしれないと思っていた。
感謝されるから歌わない
ライブで『時代』を歌ってこなかったのはなぜだろうか?
1976年10月31日、中島みゆきは、近畿大学工学部大学祭へ出演した。
MCの中で、この曲にまつわるエピソードを披露している。
それは、中島みゆきへ送られた女の子からの手紙だった。
「死のうと思っていたけど、『時代』を聴いて思いとどまった」
そんな内容が綴られていたのである。
「歌ってのも恐ろしいもんだとふと思ったりしてね」
その手紙から、歌の重みというものを思い知ったのである。
中島みゆきは自身のラジオ番組でも、ほとんど『時代』をかけない。
YouTubeチャンネル「よしログ」の中で、芸人のオズワルド畠中悠がその理由について語っている。
それは、中島みゆきがDJを務めた「オールナイトニッポン」でのこと。
『時代』をオンエアしたところ、「私のために流してくれてありがとう!」といった内容のファックスが殺到した。
その数は、他のコーナーのハガキが埋もれるくらいだったという。
「『時代』をかけると、ものすごくありがたく思われ、ものすごく感謝される」
人の心を強く揺り動かす力のある曲だけに、不用意にオンエアすることを躊躇してしまうらしい。
大ヒットした曲ではない
今や、中島みゆきの代表曲ともいえる『時代』だが、セールス的にはそこまで目立つ曲ではなかった。
他のヒット曲と比較すると、その差は歴然だ。
タイトル | 最高位 | 累計売上(枚) |
『時代』(1975) | 14 | 163,650 |
『わかれうた』 | 1 | 769,100 |
『悪女』 | 1 | 833,400 |
『浅い眠り』 | 2 | 1,057,470 |
『時代』(1993) | 22 | 100,640 |
『空と君のあいだに』 | 1 | 1,466,130 |
『旅人のうた』 | 1 | 1,035,730 |
『地上の星』 | 1 | 1,115,989 |
『時代』は1993年にアレンジを変えて再びシングルリリースされているが、いずれも、他のヒット曲と比べると大人しい売上だ。
そこまでヒットしたワケではないのに、広く愛される不思議な曲。
そのことは、中島みゆき本人も実感していることなのだ。
世界で一番最初に『時代』を聴いた父親
レコードデビュー、「ポピュラーソング・コンテスト」「世界歌謡祭」でのグランプリ受賞。
中島みゆきにとって、この1975年は、実りある1年だったはずだ。
だが、手放しで喜べる状況でもなかったと思う。
レコードデビューするわずか1週間ほど前、産婦人科の父親が脳溢血で倒れ、昏睡状態に陥っていたからだ。
「世界歌謡祭」を終えた後も意識は戻らず、年が明けた1976年1月、あの世へ旅立っていった。
決して裕福な家庭ではなく、このとき家には10万円しかなかったと、後に中島みゆきは語っている。
「世界歌謡祭」で得た賞金5,000ドル(150万円)は葬式費用に充てられた。
「刀で切った傷は薬をつければ治せるけれど、言葉で切った傷は薬では治せないんだよ」
そう教えてくれた父親だった。
そしてその父親は、中島みゆきが世界で真っ先に『時代』を聴かせた人でもあった。
セルフリメイク
1975年に『時代』のシングル、1976年のアルバム『私の声が聞こえますか』ではアコースティックバージョンの『時代』を発表。
それから20年近く経った1993年、瀬尾一三のアレンジにより『時代』がリニューアルする。
アルバム『時代-Time goes around-』の1曲目を飾り、後に、シングルカットされた。
卒業式などで色んな人に歌い継がれる中、サウンドが古く感じられたため、今回のセルフリメイクを思い立ったという。
教科書に掲載された
『時代』は音楽の教科書にも掲載され、卒業式で歌われる機会も多い。
日本の文化庁と日本PTA全国協議会が推薦する「日本の歌百選」にも選ばれている。
ヤマハが令和改元の節目に行ったアンケート「昭和さんから平成さんへぜひ教えたい1曲」でも1位。
いかに後世に残したい1曲として期待されているかが分かる。
タイアップドラマ&映画&CM
ドラマ
「わが家の歴史」
2010年4月9~11日に3夜連続で放送されたスペシャルドラマ。
フジテレビ開局50周年を記念したドラマで、八女家という一般家庭の視点で、昭和2年から昭和39年までの日本の時代を描いている。
エンディングで1993年版『時代』が使用されている。
「親愛なる者へ」
1992年、7~9月期にフジテレビ系で放送された連続ドラマ。
最終回で、柳葉敏郎と浅野ゆう子が海を見つめながら語り合うシーンでアコースティックバージョンの『時代』が流れている。
「北の国から ’98時代」
1998年7月10~11日に2夜連続で放送されたフジテレビ系ドラマ。
蛍(中嶋朋子)がよそへ嫁いでいく寂しさから五郎(田中邦衛)は酔いつぶれてしまう。
純(吉岡秀隆)がその五郎を家まで送り届けるまでのシーンで、1975年版『時代』が流される。
映画
「記憶屋 あなたを忘れない」
Hey! Say! JUMPの山田涼介主演の映画。
監督を務めた平川雄一朗は、学生時代からよく『時代』を聴いていたという。
この映画のテーマにも沿っているということでプロデューサーを通じ、主題歌の起用を打診した。
中島みゆきはこれを快諾。
この映画に出演している佐々木蔵之介は、かつて、「間宮兄弟」という映画で中島みゆきと親子役を共演している。
これにちなんで、中島みゆきは、「息子が出ているのね、素敵な映画ね」と話していたようだ。
CM
日本郵便「年賀はがき」
1993~2000年、中島みゆきは年の暮れに郵便局の「お年玉付年賀はがき」のCMに出演していた。
BGMで流れていたのが1993年版の『時代』。
サントリー 「BOSS」
2006年4月から放送されている缶コーヒーCM。
宇宙人ジョーンズ(トミー・リー・ジョーンズ)が、地球人に化け、様々な現場に潜入レポするというシリーズ。
2015年に放送された「時代扁」では、芸人のあばれる君が回転寿司屋の店員として奮闘する様子が描かれている。
また、2019年4月30日には、平成最後のCM枠で「宇宙人ジョーンズ・平成特別篇」が放送された。
いずれも、BGMに1993年版『時代』が流れている。
「ソフトバンク」
平成最後の年の暮れに放送されたCM「白戸家 歌のリレー「時代」篇」で、1993年版『時代』が流れた。
『時代』に勇気づけられた有名人
小柳ルミ子
2020年「週刊現代」2月15日号の記事によると、小柳ルミ子が『時代』を初めて聴いたのは23歳のとき。
デビューした10代の頃の苦労が鮮明に蘇り、胸が震えたという。
2012年、東日本大震災の被災地・福島県郡山市でのコンサートの中で、小柳は川中美幸とこの曲をデュエットした。
そんな時代もあったねと
いつか話せる日がくるわ
(『時代』より)
歌っている途中、この歌詞に被災した人の人生が思い出され、感極まって号泣してしまったという。
プライベートでは、離婚など波乱の多かった小柳ルミ子。
苦難のたび、彼女が力をもらっていた曲もやはり『時代』だった。
小島慶子
『時代』の聴き方が年齢を重ねていくうちに変化していった。
そう語るのは、フリーアナウンサーの小島慶子。
2021年「女性セブン」4月15日号の中で、20代と現在のこの曲の印象の違いを述べている。
今日は別れた恋人たちも
生まれ変わってめぐり逢うよ
(『時代』より)
20代の頃は、この歌詞に感情を揺さぶられていた。
だが、40代の現在、もう少し達観したところでこの曲を捉えるようになった。
「悲しかったことや果たせなかった思いがあるけれど、それが集積して時代は変わっていくのだと」
小藪千豊
吉本新喜劇の座長である小藪千豊。
2014年5月25日放送のラジオ番組で、思い出の1曲に『時代』を挙げている。
1993年、漫才コンビ「ビリジアン」を結成し活動しえていた小藪だったが、相方の構成作家に見捨てられ解散。
一時はお笑いの道を諦め、9年間交際していた女性との結婚を機に転職を考えるようになる
が、仲間に引き止められる。
だが、周りの漫才師がどんどん売れていく中、自分だけはセリフもない役ばかりの不遇の日々が続いた。
小遣いも1週間1,000円で過ごすような苦しい状況だったという。
そんなある日、夜中3時にバイトを終え、なんばグランド花月へ向かっている時だった。
通りかかった風俗店の前の駐車場から『時代』が流れてきた。
そんな時代もあったねと
いつか話せる日がくるわ
あんな時代もあったねと
きっと笑って話せるわ
(『時代』より)
この歌詞に小藪の胸は締めつけられ、「中島みゆき、ホンマか?」と涙したという。
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『時代』のみんなの感想
辛くて苦しくてどうしようもなくなった時に聞いてほしい曲が中島みゆきの『時代』
何も言わない。とにかく聞いてみて。#復縁 #復縁垢— リリーちゃん🌷復縁 (@lilychan_fukuen) January 10, 2023
昨日、突然悲しくなって夜布団の中で中島みゆきの時代聞きながらワンワン泣いた・・・なにやってんじゃろか・・・
— へこみん💣 (@Azusaa_0598) November 1, 2021
中島みゆきさんの「時代」のサビ前
身体がゾワッてするんだ— The.rin (@rikimusaikyou) October 24, 2021
カバーしたアーティスト
研ナオコ
1975~1993年の楽曲からセレクトしたベストアルバム『研ナオコ ベスト・コレクション』に収録。
桜田淳子
1978年の中島みゆきのカバーアルバム『20才になれば』に収録。
薬師丸ひろ子
『時代』は、薬師丸ひろ子にとって、女優業で悩みを抱えていた時期に大きな支えとなってくれた存在。
1988年7月29日にカバーしてシングルリリースし、週間オリコンチャート9位を記録した。
岩崎宏美
2003年のカバーアルバム『Dear Friends』に収録。
徳永英明
2005年のカバーアルバム『VOCALIST』に収録。
カバーアルバムでは異例の大ヒットを飛ばし、週間オリコンアルバムチャートでは5位を記録。
また、200週連続ランクインというカバーアルバムの金字塔を打ち立てた。
大橋純子
2007年のカバーアルバム『Terra』に収録。
一青窈
2012年のカバーアルバム『歌窈曲』に収録。
夏川りみ
2013年のカバーアルバム『歌さがし ~リクエストカバーアルバム~』に収録。
クリス・ハート
2015年のカバーアルバム『Heart Song III』に収録。
槇原敬之
2017年のカバーアルバム『Listen To The Music 3』に収録。
島津亜矢
2019年のカバーアルバム『SINGER6』に収録。
2018年、「第69回NHK紅白歌合戦」に出場した演歌界の大御所・島津亜矢。
そこで歌った『時代』が、放送後、大きな反響を呼んだ。
広瀬香美
コロナ感染拡大のホームステイ期間中の2020年8月7日、広瀬香美が、YouTubeで『時代』を熱唱。
歌い終えた広瀬は、「一緒に口ずさむ程度のことだとしても歌は心を癒す」と涙ながらにコメントした。
このホームステイ期間中、渡辺美里や小林幸子などもYouTubeを通じて『時代』を歌い、人々を励ました。
工藤静香
2021年の中島みゆきのカバーアルバム『青い炎』に収録。
八神純子
八神純子は『時代』が嫌いだった
八神純子と中島みゆきは、1975年の「世界歌謡祭」へ共に挑んでいる。
2016年「週刊現代スペシャル」第1号の対談の中で、八神は当時を振り返っている。
「仰々しいタイトルがとっつきにくかった」
「グランプリを獲るために狙って書いた曲」
これが、当時の八神が抱いていた『時代』への印象だった。
皮肉にも、戦略を練りに練って大会に挑んだ八神は予選落ちし、一方の中島みゆきの『時代』はグランプリを受賞。
それ以来、八神にとって『時代』は、悪夢のような曲となってしまったのである。
東日本大震災がきっかけで『時代』を歌う
八神純子は、ずっと遠ざけてきた『時代』を、2011年の東日本大震災を機に歌い始めるようになった。
当時、被災地を巡ってコンサートを行っていた八神。
とある町長から、「『時代』が聴きたい」とリクエストを受け、それに応えたのである。
『時代』を歌った八神は、この曲の持つ力に気づき始めていく。
2016年「週刊現代スペシャル」第1号の対談の中で、このように述べている。
「コンサートというのは毎回雰囲気が違うもので、みんなとうまくつながることができないなと感じる瞬間もある。でも、そういうときに『時代』を歌うと、すぐ聴く人たちと一緒になれるんです」
岩手県一関市の千厩でのコンサートでは、とある医師の夫婦がこの曲に救われていた。
その夫婦は、震災で自宅と病院を失い、死を考えるまで追い詰められていた。
だが、八神の歌う『時代』に励まされ、「また病院を建てよう」と前向きに考えられるようになったのだ。
本人映像
『中島みゆき「縁会」2012〜3』
2012~2013年に行われたコンサートツアー「縁会2012~3」のライブDVD/Blu-ray。
コンサートではめったに歌わない『時代』を収録したライブ映像。
収録アルバム
『Singles II』
1987年から1993年までのシングルを収録したコレクションアルバム第2弾。
最も広く聴かれている1993年版『時代』が収録。
【収録曲】
『時代』『最後の女神』『ジェラシー・ジェラシー』『兆しのシーズン』『浅い眠り』『親愛なる者へ』『誕生』『Maybe』『トーキョー迷子』『見返り美人 (2nd Version)』『with』『笑ってよエンジェル』『あした』『グッバイガール』『涙 -Made in tears-』『空港日誌』『仮面』『熱病 (2nd Version)』『御機嫌如何』『シュガー』
『時代-Time goes around-』
1993年リリースのオリジナルアルバム。
最も広く聴かれている1993年版『時代』(編曲:瀬尾一三)が収録。
こちらは「世界歌謡祭」の時の音源が一部含まれている。
初々しい中島みゆきの歌声、司会の坂本九やジュディ・オングの肉声を聴くことができる。
- 1993年版『時代』
- 幻のデビュー曲と言われている『あたし時々おもうの』
- 工藤静香に提供した『慟哭』
を含む全11曲。
【収録曲】
『時代』『風の姿』『ローリング』『あどけない話』『夢見る勇気(ちから)』『あたし時々おもうの』『流浪の詩』『雨月の使者』『慟哭』『孤独の肖像1st.』『かもめの歌』
⇒『時代-Time goes around-』の解説&みんなの感想
『大吟醸』
1996年リリースのベストアルバム。
デビュー期から1995年までのヒット作を詰め込んだ珠玉の14曲。
最も広く聴かれている1993年版『時代』(編曲:瀬尾一三)が収録されている。
【収録曲】
『空と君のあいだに』『悪女』『あした』『最後の女神』『浅い眠り』『ルージュ』『誕生』『時代』『わかれうた』『ひとり上手』『慟哭』『狼になりたい』『旅人のうた』『ファイト!』
『ここにいるよ』
2020年にリリースされたコンセプトベストアルバム。
「エール」をテーマに集められた珠玉の26曲。
最も広く聴かれている1993年版『時代』(編曲:瀬尾一三)が収録されている。
【収録曲】
《エール盤》
『空と君のあいだに』『旅人のうた』『宙船 (そらふね)』『糸』『ファイト!』『ひまわり“SUNWARD”』『瞬きもせず』『泣いてもいいんだよ』『負けんもんね』『時代』『ホームにて』『空がある限り』『地上の星』
《寄り添い盤》
『アザミ嬢のララバイ』『泣きたい夜に』『愛だけを残せ』『悪女』『あした』『タクシードライバー』『with』『最後の女神』『慕情』『帰省』『たかが愛』『風の笛』『誕生』
『Singles』
デビューした1975年から1986年までのシングルを収録したコレクションアルバム第1弾。
1975年、世に出た初めての『時代』(編曲:船山基紀)が収録されている。
【収録曲】
『やまねこ』『シーサイド・コーポラス』『見返り美人』『どこにいても』『あたいの夏休み』『噂』『つめたい別れ』『ショウ・タイム』『孤独の肖像』『100人目の恋人』『ひとり』『海と宝石』『あの娘』『波の上』『横恋慕』『忘れな草をもう一度』『誘惑』『やさしい女』『悪女』『笑わせるじゃないか』『あした天気になれ』『杏村から』『ひとり上手』『悲しみに』『かなしみ笑い』『霧に走る』『りばいばる』『ピエロ』『おもいで河』『ほうせんか』『わかれうた』『ホームにて』『夜風の中から』『忘れられるものならば』『こんばんわ』『強い風はいつも』『時代』『傷ついた翼』『アザミ嬢のララバイ』『さよなら さよなら』
『私の声が聞こえますか』
1976年リリースの1st.オリジナルアルバム。
こちらに収録されている『時代』はアコースティックギターによるバージョン。
西崎進が編曲を手掛けている。
- デビュー曲『アザミ嬢のララバイ』のアルバムバージョン
- 『時代』のアコースティックバージョン
を含む全12曲。
【収録曲】
『あぶな坂』『あたしのやさしい人』『信じられない頃に』『ボギーボビーの赤いバラ』『海よ』『アザミ嬢のララバイ』『踊り明かそう』『ひとり遊び』『悲しいことはいつもある』『歌をあなたに』『渚便り』『時代』
『十二単〜Singles 4〜』
2003年から2012年までのシングルを収録したコレクションアルバム第4弾。
『恩知らず』のB面曲の『時代 -ライヴ 2010〜11-』は、2010~2011年のコンサートでの音源が収録された。
【収録曲】
『恩知らず』『時代 -ライヴ 2010〜11-』『荒野より (remix)』『バクです』『愛だけを残せ (remix)』『闘りゃんせ』『一期一会』『昔から雨が降ってくる』『帰れない者たちへ』『命のリレー <’04 夜会ヴァージョン>』『銀の龍の背に乗って』『恋文』
『中島みゆき ライブ リクエスト -歌旅・縁会・一会-』
2007年、2012~2013年、2015~2016年に行われた3つのコンサートから収録されたライブアルバム。
- 吉田拓郎の曲『唇をかみしめて』もカバーしている
【収録曲】
『もう桟橋に灯りは点らない』『ピアニシモ』『糸』『時代』『愛だけを残せ』『ララバイSINGER〜アザミ嬢のララバイ』『あした』『唇をかみしめて』『世情』『風の笛』『夜行』『ジョークにしないか』