1992年3月4日に発売された27作目のシングル
『Maybe』
についてみていこう。
中島みゆき『Maybe』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
『誕生』と両A面で発売
『Maybe』は1992年3月4日に『誕生』と両A面でリリースされている。
ちなみに『誕生』は後にベストアルバム『大吟醸』に収録され、一方の『Maybe』も今は廃盤になっているが1992年に発売されたベストアルバム『中島みゆき BEST SELECTION II』に収録された。
CMソング
この曲は、「ブレンビー」のCMソングとしてテレビで流れ多くの人に認知されていった。
「ブレンビー」とは、パナソニックから発売された家庭用ハンディカメラである。
CMは、雪の中、女優の鈴木保奈美が「ブレンビー」をゲレンデに向け、スキージャンプの選手を撮影しているという内容。
着地を失敗して悔しがる選手に、「ガンバレ」とぽつりエールを送る鈴木保奈美の奥ゆかしさと、『Maybe』のアカペラ部分とがあいまって情感あふれるシーンになっている。
夜会から生まれた曲
CMの曲として有名な『Maybe』だが、もともとは『夜会』のために作られた曲である。
歌われたのは『夜会1990』の中。
レコーディングは、この夜会で演奏したメンバーやコーラスそのまんまで臨んでいる。
『夜会1990』
1990年に渋谷・Bunkamuraシアターコクーンで上演された『夜会VOL.2』のDVD映像。
この中で、中島みゆきはスーツ姿のОLに扮して歌っている。
ОLとは無縁の中島みゆきのはずだが、
「企業に勤めたことはないけど、仕事してたことはありますからね。
仕事して給料もらってたっていうことはあるから」
と、自身の経験をとっかかりに曲の世界観を広げている。
ちなみに、お給料もらって仕事していた過去というのは、コンサート会場のチケットのもぎりやお茶くみのことか。
中村中によって歌われた『Maybe』
夜会の名シーンを集めて1つのパッケージにした『夜会工場』。
その第2弾、『夜会工場VOL.2』では、『夜会1990』と同じОLの設定で『Maybe』が歌われた。
が、歌ったのは中島みゆきではなく、シンガーソングライターの中村中。
中村中といえば、2014年に上演された『夜会VOL.18 橋の下のアルカディア』で中島みゆきと共演している。
中村中の歌う『Maybe』は、ОLが社会の荒波に揉まれていく様子がよく表現されていて、特に、「大きなバッグを持ち直す」という歌詞は忠実に再現されている。
歌詞だけ読むな
1991年11月号の「月刊カドカワ」のインタビュー記事で、中島みゆきは、『Maybe』は歌詞だけ読んでもらうと困ると話している。
例えば、
「なんでもないわ 私は大丈夫 どこにも隙がない」
という部分は、字面だけだと大きな誤解を生んでしまう。
大丈夫だと言いながらも全く大丈夫ではないということを汲みとるには、歌や音に乗せた形であることが必須な1曲だ。
歌詞の解釈
サビに出てくる「Maybe」とは「もしかしたら」という意味。
夢見れば、人生はつらい思いが多くなる。
その一方で、夢を見ずにはいられない。
2つの狭間で揺れる女性を描いた曲だ。
「パウダールームの自己暗示」
「胸をそらして歩いていく」
したたかに生きていく姿がそこから読み取れるが、サビ手前から、
「なんでもないわ 私は大丈夫
なんでもないわ 私は傷つかない」
弱々しい声で強気を言う。
強さと脆さが混在する1人の女性を描いた歌詞だ。
収録アルバム
『歌でしか言えない』
1991年に発売されたオリジナルアルバム。
国語の教科書に掲載された『永久欠番』や「ニュースステーション」のコーナーソングになった『おだやかな時代』、ドラマ「親愛なる者へ」のモチーフになった『南三条』など、話題作豊富なアルバムである。

『Singles II』
1994年に発売されたシングルコレクション第2弾アルバム。
1987年『御機嫌如何』から1993年『時代』までの全20曲のシングル・カップリング曲を収めたアルバム。
ミリオンセラーを記録した『浅い眠り』や前川清に提供した『涙 -Made in tears-』のセルフカバー、「筑紫哲也 NEWS23」のテーマソングになった『最後の女神』など代表曲たくさんのアルバムだ。
『10 WINGS』
夜会から生まれた10曲をセルフリメイクして収録した1枚。
『二隻の舟』や『ふたりは』など、既にCD化された曲も再アレンジが施されている。
そして、『Maybe』もオリジナルとはガラッとアレンジが変えられ、アップテンポな曲調となっている。
『Maybe』のみんなの感想
仕事中だけど、中島みゆきさんの「Maybe」を聞きたい心境。
心が弱りかけてる、でもあとひと踏ん張りほしいときに聞きたい曲。残念ながら公式の動画は見つからず。— しろやぎ🐐 (@shiroyaggy) September 16, 2020
maybeの女性像が分かるくらいに大人になりました
ずっと「なんで『大きなバッグ』持ってるんだろうなー」って思ってた#中島みゆき— しいたけ199 (@s_ann3) December 17, 2019
例えば、『Maybe』の中では「私をいつも守ってくれるのはパウダールームの自己暗示」と歌っている。
パウダールームを経験したことのない僕ですが、「もしやこれは、僕のことを歌っているのか?」と思う瞬間が来る。
そういう、時限爆弾的な共感をもたらす歌を歌うのが中島みゆきなのよ…
— オカザキケント (@orangejuice_ver) September 6, 2019
どうでもいいけど、小学生の頃中島みゆきのMaybeが大好きで「多分ね」っていうのを「メイビー!」っていう痛い子だったんだけど、キムタクがドラマで「メイビィ?」とか言い始めてなんかキムタクの真似してるみたいになるからやめた。
— 玉兎 (@ek35967mttb) July 26, 2019
中島みゆきの「Maybe」の中に「思い出なんか何ひとつ私を助けちゃくれないわ」って歌詞があるんだけどここすごく共感というか納得するというか。今現在が満足できるものではないので昔の事思い出しても「あの時はよかったなぁ」としか思えないもん。
— すなっこ (@suna_cat) January 11, 2019
中島みゆきの歌にMAYBEってあるじゃないですか
夢見れば人生は辛い思いが多くなるけど夢見ずにいられない、もしかしたら
って歌詞がすごいほんと中島みゆき天才だなって思えて好きだしそういう気持ちが捨てきれない人の気持ちがよくわかるし好きです— せんか (@sstori) October 29, 2018
中島みゆき「Maybe」の「思い出なんか何一つ わたしを助けちゃくれないわ わたしをいつも守ってくれるのは パウダールームの自己暗示」って箇所がねぇ。弱りながらも負けるもんかと高揚している時に響くんですよ。
— 南ツカサ (@kaztok3) October 23, 2018
中島みゆきの歌[maybe]は、心の弱さを隠し、あえて強がりを見せなければならない女の心を歌ったものであるが、こんな一節がある。自立した女にとって、夢見れば人生は辛い思いが多くなるけれど、「思い出なんか何ひとつ私を助けてくれないわ https://t.co/MhEoc71rq6
— okumuraosaka (@okumuraosaka) October 6, 2018
今Singles IIを聴いている。明日試験だからメンタルを立て直したいから…
その中から…
「Maybe」聴くと、辛いことあっても乗り越えなきゃと思えてくる…「時代」も#中島みゆき— I’m a fan of MT(2) (@tabehatensida) June 2, 2018
鬱っぽかったときに涙をわざといっぱい流したらマシになるかと思って中島みゆきの「Maybe」を歌って涙を流してたんだけど
これを聞くと気分とか調子に関係なく涙がでるようになって完全にパブロフの犬
— 五郎助 (@shoebill0318) May 9, 2018
『Maybe』はこんな時に聴こう
強く生きてきたつもりだけど弱音を吐きたくなった時は『Maybe』を聴こう。
『Maybe』はサブスク(定額制)でも聴ける
2020年1月8日よりついにサブスクリプション(定額制)で中島みゆきの曲を聴けるようになった。
『Amazon Music Unlimited』に登録すれば、月額980円(プライム会員は月額780円)で中島みゆきのシングル曲(カップリング含む)が聴き放題。
(※1975年版『時代』、映画主題歌バージョン『瞬きもせず』は含まない)
もちろん中島みゆき以外のアーティスト曲も聴くことができる。
その数、6500万曲以上。
30日間の無料お試し期間があるので、ぜひ一度試していただきたい。
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