1981年10月21日に発売された11作目のシングル
『悪女』
をみていこう。
1980年代の中島みゆきの代表曲。
この曲に唸ってしまったというさだまさしは、アンサーソングを発表した。
中島みゆき『悪女』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 船山基紀
オリコン1位を記録した悪女
1981年に発売された『悪女』はオリコン1位を獲得している。
中島みゆきにとって2度目のオリコン1位で、1977年の『わかれうた』以来4年ぶり。
80万枚を売り上げる大ヒットとなった。
収録アルバム
『Singles』
中島みゆきの第1弾シングルコレクションアルバム。
1975年のデビュー曲『アザミ嬢のララバイ』から1986年『やまねこ』までの20枚のシングル(カップリング曲を含む)を収めた3枚組アルバム。
『寒水魚』
こちらにはアレンジを変えた別バージョンの『悪女』が収録されている。
編曲は後藤次利が手掛けている。
爽やかなサウンドのオリジナル版とは異なり、こちらはロック調。
ダークな雰囲気をまとっている。
『歌暦』
こちらはライブバージョンの『悪女』。
1986年12月に両国国技館で行われたコンサート『歌暦Page86 ~恋歌~』の音源アルバム。
伴奏にサックスフォンが加わり、軽快なリズムの一味違った『悪女』が聴ける。
ちょうど御乱心の時代に歌われたとあって、新しい息吹を感じられるサウンドになっている。
「御乱心の時代」とは、中島みゆきが自身の新たな音楽スタイルを模索していた時期。
1980年代半ばに模索は始まり、瀬尾一三と組むようになった1988年その時期を終える。
歌詞の解釈
『悪女』は浮気している男との別れにもがく女の姿を描いている。
女は、自ら別れを切り出すのではなく、男の方から自分に愛想を尽かすように仕向けようとしている。
そのために、女友達に電話する姿を男に見せつけ、「私、他の男と電話してますよ」と見せかけたり。
「映画」や「ホテルのロビー」で時間を潰して、家に帰らず、「私、他の男と夜遊び楽しんでますよ」と見せかけたり。
尻軽な「悪女」を自作自演して、男に嫌われようとしているのだ。
「深夜のサ店の鏡」の前で男物の香水までをつけるという徹底ぶりだ。
女は、夜が明けないと男のいる家へ帰れない。
「月夜」だと、「行かないで」と、つい本音が出てしまうことを自分でよく分かってるからだ。
だから、涙を出し切って、「情も捨てて」悪女に徹さなければならない。
コンサートを盛り上げてくれる『悪女』
1991年11月号の『月刊カドカワ』で中島みゆきが『悪女』をリリースした頃のことについてインタビューに答えている。
当時、コンサートの終盤あたりにみんな立って手拍子するというのが流行りだったが、『悪女』が世に出るまで、中島みゆきの持ち歌の中に、手拍子で盛り上がれる曲がなかったという。
『怜子』という似つかわしくない曲で手拍子する人がいたが、『悪女』が出てからは、そんな人はいなくなったと語っている。
満島ひかりも聴いていた『悪女』
沖縄の奄美大島出身の満島ひかり。
故郷へ帰ると、飲んだくれたおじさんたちが、
「歌手が歌う歌より農民が歌う歌の方がすばらしいんだ」
と『悪女』をギターの弾き語りでよく歌ってくれたという。
満島ひかりにとって中島みゆきの曲は、本人が歌うCDよりも、周りの大人たちの歌によって聴く機会が多かったという。
さだまさしが唸った『悪女』
シンガーソングライターのさだまさしは『悪女』を聴き、中島みゆきの感性に敬服したという。
2016年5月14日に放送されたフジテレビ系『一流が嫉妬したスゴい人』の中で
「『悪女』のような歌詞は、男が生半可に想像して書けるものではない」
と語る。
「月夜はやめた方がいい、バレるから」
という感性は中島みゆきならでは。
彼女の純情がそこに表現されている。
帰る前に「夜明けの電車」で涙を出し切ろうとする描写は、思いを持て余して気持ちが捩れつつも、そのシャイさを強さに変えていこうとする女の努力が表れている。
中島みゆきの書く曲には、そのシャイさを強く感じる。
中島みゆきを嫉妬するアーティストと挙げたさだに対し、中島みゆきは、2016年6月12日の「中島みゆきオールナイトニッポン月イチ」の中で、
「さださんは誰に対しても嫉妬はしない。
なぜなら彼は鬼才だから」
と答えている。
『悪女』へのアンサーソング
1982年のさだまさしのアルバム『夢の轍』に収められている『まりこさん』という曲は、『悪女』へのアンサーソングである。
その歌詞は、『悪女』の中に出てくる男の視点で語られているような印象を受ける。
登場する「まりこさん」は夜中に寝ている男の家へ帰ってくるなり、冷蔵庫開けてグビグビとビールを飲む。
酒好きな「まりこさん」と思いきや、酒は大嫌いと言う。
だけど、「男にひっかかる」よりかは断然好きとも言う。
男とのやり取りから一見、「まりこさん」って気が強そうに思えるが、一方でこういう一面も見せる。
体のあちこちのバンドエイドを数えながら、「さびしい」と呟く。
気の強さは見せかけで内心は寂しい人なのだ。
本音を内に隠すという点では、『悪女』の女と性質が似ている。
さらに、「上手な嘘つきの男に逢いたい」という、まるで浮気する男への当てつけともとれる歌詞もまた、『悪女』を彷彿とさせる。
『悪女』と『まりこさん』をセットで聴くと、物語がより立体的に感じられるから面白い。
カバーしたアーティスト
中森明菜
2014年に発売された中森明菜のカバーアルバム『オールタイム・ベスト ~歌姫(カヴァー)~』に収録。
ボサノヴァ調のアレンジで南国の夜が似合いそうな曲に仕上がっている。
クレモンティーヌ
『トヨタ スパシオ』のCM曲となり話題になったクレモンティーヌの『悪女』。
鼻歌でも歌っているかのような歌声とフランス語によって、曲から中島みゆきの影がすっかり消えている。
車のCMだけに、フランスパンを買いに運転しながら口ずさめるようなタッチになっている。
こちらは2004年に発売されたアルバム『CLE』に収録されている。
シルヴィ・ヴァルタン
1983年に、シングルとして発売されたシルヴィ・ヴァルタン版『悪女』。
こちらもフランス語だが、クレモンティーヌと違ってオリジナルに寄せて歌われている。
なぜかアニメのBGМ
『WAHITE ALBAM2』
第2話のシーン。
1人カラオケが趣味という女子高生の小木曽雪菜が、気になる男の子をカラオケに誘って歌を披露するシーンで、選りによって『悪女』が歌われている。
だが、アイドル歌手のようなノリで歌われているので、いっさい湿っぽさは感じられない。
『悪女』を歌う雪菜の前で、男の子はタンバリンを叩く手が止まってしまっているが、これはどういう意味だろう。
『ジュエルペットサンシャイン』
人間と猫やウサギなどのカワイイキャラクターが勢ぞろいしている学園アニメの中に『寒水魚』版『悪女』がBGMとして使われている。
だがやはりそこは中島みゆき。
コタツで女性がヤケ酒しているという和のシチュエーションで『悪女』が流されている。
ちなみにここで映っている一升瓶には「悪女」と書かれたラベルが貼られている。
AKB篠田麻里子がオーディションで歌った『悪女』
2019年6月14日に放送されたテレビ朝日系『金曜日のどっち!?』の中で、篠田麻里子がAKB48のオーディションで、『悪女』を歌ったことを明かしている。
モーニング娘。などの定番な曲を歌う参加者と差別化するための、篠田麻里子なりの戦略であったが、秋元康からは「あざとい」と不評で、結果オーディションは不合格となったという。
『悪女』のみんなの感想
あとは中島みゆき姐さまの「悪女」。好きだから諦めようとしてるのに素直になっちゃうの、かわいすぎる。「わかれうた」は一番好きだけどちょい違う。けど、悪いobtの目を見られずにぐずぐずと関係を続けるのもいいよねー。あ、むしろ、いい。
— 紅葉572 (@momiji572) May 25, 2020
中島みゆきさんを知ったきっかけは高校の修学旅行のバスの中でカラオケ大会があって友達が悪女を歌ってすごく衝撃をうけた
そこから中島みゆきワールドにはまって聴きまくった
その後金爆ファンになって鬼龍院さんが中島みゆき好きってのを知ってやっぱり!って気持ちが大きかったな— くみごん@揚げパン捨て之助🥖 (@kumi1204taiiku) May 25, 2020
りりちゃん✨こんにちは〜!
さて、今日のリクエストは「悪女/中島みゆき」をお願いします。この曲を聴くと大都会や大人の世界を見せられている感じになります。りりちゃんはどんな大人になりたかったですか?
予備は
魂のルフラン/高橋洋子
風にふかれて/エレカシ#りりか宅— kyou🍎 (@TodayLisBlanc58) May 23, 2020
葬式に流す曲云々TwがTLを流れて行ったが、以前幼少よりお世話に為った御婦人がお亡くなりに為り御葬儀に参列した際、故人がお好きだったとゆう中島みゆきが延々と流れて「悪女」でどんな顔して良いのか分からなかったな…
— jabberwocky (@xjabjabx) May 21, 2020
中島みゆき(に限ったことでもないが)は何を好きかで世代がわかるんです。世情や悪女や春なのにを挙げるのは、80年代の人。俺もそうだからわかる。こういう人は、つい糸を忘れる。あんな有名な曲なのに。
— みゅーなっく (@miunac0212) May 18, 2020
『悪女』はこんな人に歌ってあげよう
恋人がよその男or女と浮気しているときに『悪女』を歌って自分の気持ちを遠回しに伝えよう。
『悪女』はサブスク(定額制)でも聴ける
2020年1月8日よりついにサブスクリプション(定額制)で中島みゆきの曲を聴けるようになった。
『Amazon Music Unlimited』に登録すれば、月額980円(プライム会員は月額780円)で中島みゆきのシングル曲(カップリング含む)が聴き放題。
(※1975年版『時代』、映画主題歌バージョン『瞬きもせず』は含まない)
もちろん中島みゆき以外のアーティスト曲も聴くことができる。
その数、6500万曲以上。
30日間の無料お試し期間があるので、ぜひ一度試していただきたい。
『Amazon Music Unlimited』の公式サイトはコチラ。
