松任谷由実がパーソナリティを務める「サウンドアドベンチャー」1994年10月23日放送回に中島みゆきがゲスト出演している。
これまでにも、お互いの番組にゲスト出演してきた2人。
この回は、中島みゆきもリスナーの恋の悩みに回答しているところが、なかなか目新しい。
恋愛観からプロポーズされた話まで、ラジオではなかなか見せない中島みゆきの顔を知ることができる、まさに神回。
(※部分的に編集しています)
この記事は、
- 中島みゆきが答える「恋は人生に必要か?」
- 中島みゆきの結婚観とプロポーズの話
- 中島みゆきと松任谷由実がお互いに尊敬する点
- 『空と君のあいだに』のエピソード
について書いてます!
お互いの近況報告
松任谷由実(ユーミン)がリスナーに中島みゆきを紹介する。
ユーミン「中島みゆきさんです」
みゆき「お招きいただきまして。中島でございます」
松任谷由実は、中島みゆきがゲスト出演することを2週間も前から告知していて、「お待ちかね」といった待遇だ。
2人が最後に会ったのは、2~3年ほど前。
レコーディングするところが同じであってもニアミス状態で、ようやく今日、再会が叶った。
この2~3年の間、お互いに動向は気にかけていたようだ。
ユーミン「年季入っててね、やっぱり尊敬するわ。すごい精神力が要ると思うもん」
みゆき「オタクもよくもってるなって(笑)まだかまだかと思って見てんだけど、もつわね」
ユーミン「そうなのよ。まだかまだかっていう感じになってる方がもつかもね」
みゆき「あ、かもね」
変わらず独身の中島みゆきについて、世間はいろんな憶測を飛び交わしているようだ。
いちども会ったこともないモデルとの結婚を噂されたこともあった。
独身であれば、こんな根も葉もない噂というのは日常茶飯事だが、友人の甲斐よしひろによると、結婚したらしたで今度はいつ別れるのかその方面の噂が立つらしい。
ユーミン「私、それに乗せられて別れちゃうと、ほんとのライバルになるから大変だよ?」
みゆき「キャハハハ!」
中島みゆきと松任谷由実はライバル関係?
世間は、中島みゆきと松任谷由実をどうしても対立させたがる。
このことについて2人はどう思っているのだろうか?
ユーミン「揉めさせたがるんだよね。人が仲良くても面白くともなんともないじゃない」
みゆき「うんうん」
ユーミン「喧嘩してるってほうが迫力あるもんね」
みゆき「べつに女同士、髪ひっぱって掴み合うような図を想像されてもね(笑)」
ユーミン「してみたい気もちょっとする(笑)」
みゆき「やってみるいっぺん?(笑)」
恋のお悩み相談
ここからは、リスナーからの恋のお悩み相談に、中島みゆきが愛人の立場で答えていく。
松任谷由実は、中島みゆきの恋愛をステディ(決まった1人の相手とだけしか交際しない)と分析。
だからこそ、中島みゆきが裏でどんな恋愛の技を繰り出しているのか興味津々なようだ。
ユーミン「どういう手使うわけ?」
みゆき「あのね、決め技持ってたらね、人妻になってますよ奥さん」
痛い目に遭い続ける恋愛は、アリ?
- 女性からの恋愛相談の概要
同じ会社のタイプの男性から「映画を見よう」と誘われて喜んで行くことになった。
ちなみにその映画は「エイリアン3」。
映画の後の食事で、スキーが共通の趣味だと分かり意気投合。
展示会へ行くなどして、やがて交際へと発展していった。
が、次第に彼と会うことが少なくなっていった。
周りから聞いた話によれば、どうやら彼には別の女がいるらしい。
彼のマンションに行ってみると、彼の部屋のベランダに見知らぬ女の姿があった。
噂は本当だった。
耐えきれず、彼に別れを切り出すが、ウマい言葉に丸め込まれ、ぬらりくらり。
結局、ズルズルと関係を続けていくことに。
ある日、彼の部屋で過ごしていた時、例のベランダにいた女が鍵を開けて部屋へ入ってきた。
ショックだった。
自分には合鍵を渡されていなかったからだ。
今度こそもう終わりだと、別れを告げるが、ここでもウマい言葉に丸め込まれてしまう。
そんなある日、彼が体調を悪くしてしまい、差し入れに料理を作って持って行った。
が、開いた窓から見えたのは、部屋の中でアイロンを掛けているやはり例の女だった。
このまま帰るのは悔しいので、呼び鈴を鳴らして、「元気になったか確認しにきた」とだけ伝え、帰った。
もう関わるまい、交際2年目にようやく目が覚めた。
みゆき「ありゃりゃ。踏まれて蹴られてだな」
痛すぎる失恋の曲を歌ってきた中島みゆきですら、この話は救いようがないらしい。
ユーミン「踏まれて蹴られてっていう歌多いじゃない?」
みゆき「でも、私の歌って耐えてないよ? 踏んだな蹴ったなサヨナラっていうのはあっても、踏まれて蹴られてでも耐えるって歌はないんだな」
この手紙の主は、踏まれても蹴られてもまだ気持ちがあるという点で、中島みゆきの曲には登場しないタイプの人間らしい。
だが、痛い目に遭っても関係を続けるというのも1つの恋の形だと、中島みゆきは言う。
みゆき「私の場合はたぶん、自分の方が好きか嫌いかだけが基準なのね。(相談者のように)好きでいられたことは、それはそれなりに幸せだったんじゃないかな」
ずっと長く誰かを愛し続けることができる。
それは、松任谷夫妻についても同じことがいえる。
みゆき「そんだけ長くずっと好きでいられるってのが、私、尊敬しちゃうのよね」
ユーミン「そんな淡々とずっと好きではいられないですよ」
松任谷由実曰く、夫婦関係とは、押したり引いたりして築いてゆくものなのだ。
みゆき「そうか、私も押しっぱなしってのがいけないのね」
ここで1曲、松任谷由実で『Hello, my friend』
⇒松任谷由実『Hello, my friend』(レコチョク試聴あり)
恋は人生に必要か?
- 男性からの恋愛相談の概要
自分は高校生でまだ恋愛がしたことがない。
周りの友人たちが夢中になって恋の話をしているのを聞いていると、「高校生に恋の何が分かる?」と、つい反論したくなる。
「恋の前に何かやるべきことがあるだろ?」
「恋とはもっと余裕のある人間がするものだ」
そんな固定観念が、自分にはあるようだ。
先に控えている大学受験のための勉強は、優先させて今やるべきことの1つ。
恋とは必要なものなのか?
人間は本来強く、1人で生きていける動物だと思うのだが。
これに対する中島みゆきのアドバイスはこうだ。
みゆき「少年よ、惚れた晴れたは命の源よ」
人は自分のためには力は発揮されないものだが、恋をすると、その相手のために頑張ろうとする力が湧いてくる。
また、恋とは、自分の意思で制御できるものでもない。
みゆき「恋って、しようと思ってできるもんじゃないですもんね」
ユーミン「自然ときますね」
みゆき「フッと湧くもんですから、ハイ」
ここで1曲。
この年、中島みゆきがリリースしたアルバム『LOVE OR NOTHING』から、『バラ色の未来』
中島みゆきの結婚観&プロポーズされた過去
- 女性からの恋愛相談の概要
1年前に、6年間交際を続けてきた男性と籍を入れた。
結婚前から色々と課題が多かった。
彼には、自分とは別に、もう1人の女がいた。
相手は人妻だ。
その人妻と縁が切れないまま、私たちは婚約してしまったのだ。
彼は、まだその女に未練があるらしい。
そのせいなのだろうか、結納には仕事を口実に姿を現わさなかった。
結婚式の準備を終えた頃、突然、彼から「好きな人ができたから結婚を諦めてほしい」と切り出された。
ショックだったが、それでも、何とか夫を説得して式を挙げた。
だが、その後は、冷めた結婚生活が待っていた。
彼は、相変わらず人妻との浮気を繰り返すありさま。
結婚という契約で、夫を所有しようとした自分の浅はかさを今更ながら悔いている。
中島みゆきは、「この相談者の気持ちはもう固まっている」と分析。
みゆき「ワガママっていったら変かもしんないけど、好きって気持ちを大事にして欲しいなって思うんだ」
ユーミン「あなたは、結婚にこぎつけそうになったことは一度もないの?」
みゆき「ないな。「結婚してくれないか」ってのはあるんだけど、その時はまったく結婚なんて意識なかったもんね。まるでお子ちゃまだった時代ね(笑)」
中島みゆきがプロポーズを受けたのは、まだ10代の頃だった。
みゆき「「え~結婚? いつの話ぃ?」ってすっ飛ばしきっちゃって、そっから先になって、「中島さんって仕事やることのほうが好きなような人だから」みたいに周りから見られるようになっちゃったすよ」
独身の中島みゆきに、松任谷由実はかつて優越感を抱いていたことがあった。
だが、今は違う。
未だに独身を貫いている中島みゆきの方がかえってスゴいという思うようになった。
ユーミン「正直でパワーがあるんだと思うな」
みゆき「でも、オタクの場合なんかだとさ、やっぱり根が正直な人だと思うから、好きじゃないなら(結婚を)やんないと思う。だから、こんだけ好きでいられるパワーってのは、あたしは尊敬するよ」
ユーミン「おねぇさま!(笑)」
みゆき「おねぇさまはそちらでしょーが!(笑)」
年齢は、2才ほど中島みゆきの方が上だが、音楽業界に入ったのは松任谷由実の方が早く、こちらが先輩なのだ。
ここで1曲、松任谷由実で『リフレインが叫んでる』
中島みゆきと松任谷由実がお互いに尊敬する点
ユーミン「中島みゆきさんからは、アーティストとは個性と情念だってことを教えられますね。それ以外のことは、後からついてくるってことをいつも感じるんですよ」
中島みゆきは、とある対談番組の中で、松任谷由実のことを「時代に敏感」と語っていた。
松任谷自身、数字(セールス)を追っていたこともあったと自覚している。
だが、そんな中で、ふと音楽の原点に立ち返ろうとした時に、中島みゆきの存在が自ずと意識にのぼるのだという。
みゆき「でも、数字を追うってのも1つの側面だよね」
ユーミン「継続していくには仕方のないことってありますよね」
みゆき「ダイヤモンドのカットみたいなもんですよ。いろんなカットの面があって、でも、ダイヤモンドはダイヤモンドなわけじゃない? ダイヤモンドか否かってところが問題であって」
ユーミン「だよね。だからダイヤモンド同士で比較されてるぶんには腹立たないことない?」
みゆき「比較されても「ありがとう」で済む(笑)」
一方、中島みゆきも松任谷のことを尊敬してやまない。
みゆき「筑紫さんのインタビューでも答えたかもしんないけど、オリジナルとバイタリティですか。それは、あなたのダイヤモンドですよ」
ユーミン「そっくりお返ししますよ」
松任谷由実の才能は誰にも真似することができない、と中島みゆきは言う。
さて、ここまで見てきてお分かりだろうが、この2人、世間が思うような対立構造には当てはまらない。
では、この2人の関係とは?
みゆき「「頑張っててよね、私だって頑張ってんだから、あんたもっと頑張っててね」って思ってっからね」
切磋琢磨。
蹴落とす関係ではなく、互いに向上しようとする盟友なのだ。
『空と君のあいだに』の創作秘話
話題は、最高視聴率31.5%を叩き出した大ヒットドラマ「家なき子」(日本テレビ系)へ。
このドラマの主題歌『空と君のあいだに』を歌っているのが中島みゆきだ。
ユーミン「この曲、どういうところを作る基準にした?」
ドラマ主題歌の依頼が来た時、中島みゆきは、新作のアルバム『LOVE OR NOTHING』を企画しているところだった。
少し困りつつも、ドラマの内容を訊いてみると、「犬が出ます」という中島みゆきが釣られそうな答えが返ってきた。
「家なき子」は、安達祐実扮する家なき子のすずが、リュウという相棒の犬と、居を転々とする物語。
みゆき「私、犬モノ弱いのよ。犬が出るって言ったらコマーシャル出るし、犬が出るって言ったら映画もやるし、犬が出るっていうんでテレビも受けちゃったのね」
中島みゆきは、郵便局の年賀状CMでは犬と共演し、犬が出演する映画「奇跡の山 さよなら、名犬平治」では、主題歌『誕生』を書き下ろしている。
みゆき「「家なき子」の台本もらったときに、拠り所がどっかにないもんだろうかって、このドツボのどん底以外に。で、「誰が出るんですか?」って訊いたら、「出演者2人しか決まってません」って。主役の方は「具」のお嬢さんだったの。当時、あの子のイメージとしては「具」だったのね」
当時、主演の安達祐実は、世間では「具の大きいカレー」のCMに出ている子役というイメージが強かった。
それを聞いた中島みゆきは、ますます拠り所のあてを失ってしまったのだ。
みゆき「「「具」ですか。カレーの歌ってわけにはいきませんし。で、もう一方は?」って訊いたら、「犬です」って(苦笑)。「具」じゃ書けないだろって、それで犬の方で書いたの」
ということで、ラストの曲は、アルバム『LOVE OR NOTHING』から『空と君のあいだに』アルバムバージョン。
⇒『空と君のあいだに(アルバムバージョン)』(レコチョク試聴あり)
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