1979年の中島みゆきのアルバム曲『タクシードライバー』
タクシー運転手と失恋した女のやり取りを描いたこの曲は、ファンの間で人気が高い。
長らくベスト盤入りせず、発表から41年を経てようやくベストアルバム『ここにいるよ』に収録された。
実体験とも取れるような臨場感溢れる歌詞に、似た経験を持つのはタレントのマツコ・デラックス。
また、この歌詞は、ドラマ「親愛なる者へ」のワンシーンで再現された。
マツコ・デラックスやドラマ「親愛なる者へ」のもう1つの『タクシードライバー』を覗いてみよう。
この記事は、
- マツコ・デラックスが経験した『タクシードライバー』
- ドラマ「親愛なる者へ」で再現された『タクシードライバー』
について書いてます!
中島みゆき『タクシードライバー』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 福井峻
マツコ・デラックスが経験した『タクシードライバー』
2012年9月22日に放送された「ナツメのオミミ」(テレビ朝日系)にマツコ・デラックスが出演。
忙しすぎてリセットしたい時や、初心を取り戻すために中島みゆきの曲をよく聴いていると明かしている。
なかでも恋愛の曲は、人生を投影できるほど大きなものを歌っていると絶賛。
よく聴く曲として、『タクシードライバー』を挙げている。
やけっぱち騒ぎは のどがかれるよね
心の中では どしゃ降りみたい
(『タクシードライバー』より)
出だしの歌詞から、マツコの日常が描かれているという。
笑っているけど みんな本当に幸せで
笑いながら 町の中歩いてゆくんだろうかね
(『タクシードライバー』より)
この部分も、日頃、マツコが抱いている思いなのだ。
そして、この歌詞、
タクシー・ドライバー 苦労人とみえて
あたしの泣き顔 見て見ぬふり
天気予報が 今夜もはずれた話と
野球の話ばかり 何度も何度も 繰り返す
(『タクシードライバー』より)
マツコにはこれと似た体験があった。
フリーのライターを目指すために、それまで勤めていた仕事を辞めた年の暮れのこと。
マツコは仕事だけでなく、恋人をも失い、帰りのタクシーの車内で1人窓の外を眺めていた。
街は、20世紀から21世紀へと変わろうとする大晦日。
車窓から見える明治通りは、バカ騒ぎする人で賑わっている。
それとは対照的に、何もかも失ったマツコは、1人孤独を噛みしめ、泣いた。
そんな時だった。
前にいた運転手が、優しく声をかけてくれたのだ。
「そういう時もあるよね」
泣き続けるマツコに、「こいつらもバカみたいだね、年が変わるだけだってのに何が楽しいんだかね」と運転手は話し続けたという。
浮かれた街に対するマツコの怒りを、運転手は代弁してくれていたのだ。
マツコはこう言う、
「もちろんその出来事より、この歌の方が先よ。この歌の存在も知ってたけど、ちょっとビックリしたんだよね。冷静に考えてみたら、「コレみゆき私のために作ってくれたのかしら」ってね」
ただ、この曲はこれきりではなく、その後もマツコの人生に深く関わっていく。
「だんだん経験を重ねて、今、こういう風な状況にさせてもらって、もう1回聴くと、ますますあの出だしから、私がやけっぱちになりかけてる時に戒める歌詞なのよ」
ドラマ「親愛なる者へ」で再現された
1992年に放送されたドラマ「親愛なる者へ」(フジテレビ系)の第6話で『タクシードライバー』がBGMに流れている。
男と別れた凪子(浅野ゆう子)が、雨に濡れたままタクシーに揺られているシーン。
運転手が、泣いている凪子に気を遣いながら、天気予報や野球の話を繰り返すくだりは以下の歌詞そのもの。
タクシー・ドライバー 苦労人とみえて
あたしの泣き顔 見て見ぬふり
天気予報が 今夜もはずれた話と
野球の話ばかり 何度も何度も 繰り返す
(『タクシードライバー』より)
浅野ゆう子&柳葉敏郎主演の「親愛なる者へ」(フジテレビ系)は、中島みゆき尽くしのドラマと言ってよい。
主題歌の『浅い眠り』を始め、劇中では中島みゆきの楽曲がふんだんに使われ、そして中島みゆき本人が重要な役で出演している。
中島みゆきと似ている「アローン・アゲイン」
忘れたつもりの あの歌が口をつく
あいつも あたしも 好きだった アローン・アゲイン
(『タクシードライバー』より)
『アローン・アゲイン』は、1976年にアメリカのビルボードで6週1位を獲得したギルバート・オサリバンの代表曲。
中島みゆきは、1977年の雑誌のアンケートでお気に入りの1曲にこれを挙げている。
「あまりにも自分の状況と似ているから」と、その理由を答えている。
『アローン・アゲイン』は、結婚式で花嫁に逃げられてしまった青年の孤独と苦悩を歌った曲だ。
どこか『タクシードライバー』の主人公を彷彿とさせる。
もしかしたら『タクシードライバー』は、中島みゆきの実体験を歌った曲かもしれない。
『タクシードライバー』はこんな曲
失恋してタクシーに乗り込んだ女の1人称の視点から、運転手の姿を描いている。
失恋の歌でありながら、人情も描いた中島みゆきらしい1曲だ。
タクシー・ドライバー 苦労人とみえて
あたしの泣き顔 見て見ぬふり
天気予報が 今夜もはずれた話と
野球の話ばかり 何度も何度も 繰り返す
(『タクシードライバー』より)
『タクシードライバー』のみんなの感想
優しさには色んな種類があるけど、私は通常の優しさ以外に中島みゆきの歌「タクシードライバー」の運転手みたいな不器用な優しさを持っていたいと思う
— 刀 (@nag8_41) January 14, 2022
まったく世代じゃないけど、中島みゆきの「タクシードライバー」の歌詞で泣いてしまった。
— フドー@適応障害•鬱 (@fudo3283) November 1, 2021
中島みゆきのタクシードライバー、都会のなかでの孤独感が表現されてて好き
— 長友 (@zebra_cru1ser) July 12, 2021
本人映像
『夜会VOL.3 KAN(邯鄲)TAN』
1991年上演。中国の故事「邯鄲の夢」をモチーフに、クリスマスの夜に見た夢の中で、真実の愛に気づいていく女の姿が描かれている。
幼い子から老婆までを中島みゆき1人が演じている。
あてにしていた恋がハズれ、タクシーの車内で『タクシードライバー』を歌いながら、やがて夢の中へと迷い込んでいく。
収録アルバム
『親愛なる者へ』
1979年リリースのオリジナルアルバム。
- マツコ・デラックスが愛した『タクシードライバー』
- 吉野家を舞台にした曲『狼になりたい』
を含む全10曲。
【収録曲】
『裸足で走れ』『タクシードライバー』『泥海の中から』『信じ難いもの』『根雪(ねゆき)』『片想』『ダイヤル117』『小石のように』『狼になりたい』『断崖 -親愛なる者へ-』
『ここにいるよ』
2020年にリリースされたコンセプトベストアルバム。
「エール」をテーマに集められた珠玉の26曲。
【収録曲】
《エール盤》
『空と君のあいだに』『旅人のうた』『宙船 (そらふね)』『糸』『ファイト!』『ひまわり“SUNWARD”』『瞬きもせず』『泣いてもいいんだよ』『負けんもんね』『時代』『ホームにて』『空がある限り』『地上の星』
《寄り添い盤》
『アザミ嬢のララバイ』『泣きたい夜に』『愛だけを残せ』『悪女』『あした』『タクシードライバー』『with』『最後の女神』『慕情』『帰省』『たかが愛』『風の笛』『誕生』
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