1993年の中島みゆきのアルバム曲『慟哭』
作詞を中島みゆきが手掛けたこの曲は、工藤静香へ提供され、後にセルフカバーしている。
これまでに、中島みゆきは、多くの楽曲を工藤静香へ提供してきたが、その中で最もヒットした曲だ。
どういういきさつで、工藤静香は中島みゆきに曲依頼するようになったのか。
また、2人は互いにどのような印象を抱いているのか。
インタビューなどを基にみていこう。
この記事は、
- 工藤静香に提供した『慟哭』
- 中島みゆきの周りの『慟哭』への反応
- 工藤静香と中島みゆきの関係
について書いてます!
中島みゆき『慟哭』
作詞 中島みゆき
作曲 後藤次利
編曲 瀬尾一三
「慟哭」の意味
- 慟哭(どうこく)…「悲しみに耐えきれずに声を上げて泣くこと」
工藤静香に提供された曲
工藤静香の最大のヒット曲
『慟哭』は、作詞を中島みゆきが手掛け、工藤静香に提供された。
1993年のドラマ「あの日に帰りたい」(フジテレビ系)の主題歌に起用され、1993年2月3日にシングルリリース。
週間オリコンチャート1位を獲得、93万枚以上のセールスを記録した。
工藤静香のシングルの中で最も売れた曲で、中島みゆきが他アーティストに提供した楽曲の中でも最大のヒット曲である。
中島みゆき&後藤次利のタッグ曲
『慟哭』は、作詞を中島みゆき、作曲を後藤次利が手掛けている。
この2人のタッグでプロデュースした曲を工藤静香が歌うというのは、定番のパッケージ。
他にも、『FU-JI-TSU』『MUGO・ん…色っぽい』『黄砂に吹かれて』『私について』などの曲がこのパターンで生まれ、いずれもオリコン1位を獲得している。
後藤次利は、中島みゆきの曲作りにも多く関わっている。
ベースでレコーディングに参加したり、『うらみ・ます』など数多くの編曲を手掛けている。
工藤静香が心掛けた歌唱法
2008年11月12日放送の「SONGSプレミアム」(NHK)で、工藤静香は、『慟哭』を初めて聴いた時の印象を語っている。
悲しすぎる失恋を描いたその歌詞に胸が締めつけられたという工藤。
この曲は悲しい顔をして歌うべきではないと判断し、曲もアップテンポだったことから、軽いタッチの歌唱を心掛けた。
中島みゆきの周りの反応
中島みゆきの著書「ジャパニーズ・スマイル」(新潮文庫)によると、『慟哭』は、「夜会VOL.4 金環蝕」の準備で多忙の中、書き上げられた。
おまえも早くだれかをさがせよと
からかわないで エラそうに
(『慟哭』より)
この歌詞について、ミュージシャンやスタッフから「みゆきさん何か怒ってるのかなぁ」という声があったり、「慟哭」というタイトルを「しょうとつ」と読む人がいたり、周りの反応も様々だったようだ。
1993年放送の「突然バラエティー速報!!COUNT DOWN100」(TBS系)の中で、司会の山田邦子もこの曲の以下の歌詞に反応している。
話がある と 照れたように言いかけたあなた 逃げる私
聞けよ イヤよ 聞けよ 知ってるわ
(『慟哭』より)
男と女の1人2役を演じたやり取りに、山田の頭の中は、「どっちだよ~!」と混乱をきたしていた。
中島みゆきもセルフカバー
工藤静香がシングルをリリースした同じ年に、中島みゆきも『慟哭』をセルフカバーし、アルバム『時代-Time goes around-』で発表している。
工藤静香と中島みゆきの関係
最も曲提供したアーティスト
中島みゆきは、これまで様々なアーティストに楽曲を提供しているが、中でも工藤静香はダントツに多く、これまでに20曲以上を提供している。
中島みゆきが初めて工藤へ提供した1988年のシングル『FU-JI-TSU』は、週間オリコン1位を獲得し、大ヒットした。
その次のシングル『MUGO・ん…色っぽい』でも1位を獲得し、この曲で、工藤は初の紅白出場を果たしている。
1989年に提供した『黄砂に吹かれて』はオリコン6週連続1位という快挙を打ち立てた。
高校から中島みゆきファン
工藤静香は、なぜ、中島みゆきから曲提供を受けるようになったのだろうか。
おニャン子クラブから離れソロデビュー後、工藤は、誰に曲を提供して欲しいか3つの選択肢を与えられた。
- 松任谷由実
- 竹内まりや
- 中島みゆき
工藤は迷わず、中島みゆきを選んだ。
中島みゆきは工藤にとって高校からずっと憧れた存在だった。
音楽室の掃除をサボッて、『あたいの夏休み』や『やまねこ』など中島みゆきの曲を爆音で聴いていたこともある。
教師がやって来ても、その声に気付かないくらいにのめり込んでいたという。
「ちょっとスレた強い女性像」
工藤はそんな中島みゆきの魅力に没頭していた。
この思い出を周囲に話したところ、それが、中島みゆきへの楽曲依頼へ繋がっていったのだ。
工藤静香が抱く中島みゆきの印象
1994年1月10日放送の「中島みゆき3DAYS~もっとみゆきと深い仲」に工藤静香が出演し、中島みゆきの印象について語っている。
工藤は、中島みゆきを「不思議な人」と捉えており、あえてあれこれ詮索はしないスタンス。
「ただ、どういう人かっていうと、すごく繊細で、言葉をフルに使える人っていうか、言葉を充分に理解して使いこなせる人っていうイメージがすごくありますね」
そして工藤が中島みゆきに惹かれるもう1つの要素というのは、その絶妙な存在感。
「決して派手でなく、決して地味じゃないでしょ。あの辺のみゆきさんの存在の仕方は結構好きです私」
2008年11月12日放送の「SONGSプレミアム」(NHK)では、中島みゆきの歌詞の世界を「絵」に喩えている。
工藤は、油絵でも活躍していて、その作品が「二科展」に入選するなど実績もある。
「中島みゆきさんの言葉はカラーと思ってるんですよ」
画家の視点から言うと、中島みゆきの使う言葉は色のようなもの。
組み合わせ次第で、無限の表現が可能なのだ。
「色のように言葉がバ~ッと出てくる人と出会えて嬉しい」
中島みゆきが抱く工藤静香の印象
「細い太ももは私の図太い二の腕よりはるかに細く」
「笑った目尻の垂れっぷりは、タヌキ顔の私のそれを超えてパンダクラス」
2008年11月12日放送の「SONGSプレミアム」(NHK)で、中島みゆきは声のメッセージで工藤静香の印象を語っている。
歌手としても、工藤は一目置く存在。
1988年7月4日放送の「歌のトップテン」(日本テレビ系)や同年放送の「さよなら1988・ザ・ベストテン豪華版」(TBS系)に、中島みゆきは電話越しに声のみ出演している。
工藤静香へ提供した曲について、「自分で歌わなくてよかった」とリスペクトを示している。
『慟哭』はこんな曲
男友達から突然、恋人が出来たと告げられる。
皮肉なことに、告げられて初めて、友情ではなく恋だったのだと自分の気持ちに気付く。
ひと晩じゅう泣いて泣いて泣いて 気がついたの
ともだちなんかじゃないという想い
ひと晩じゅう泣いて泣いて泣いて わかったのに
おまえも早くだれかをさがせよと
からかわないで エラそうに
(『慟哭』より)
『慟哭』のみんなの感想
中島みゆきが歌う慟哭を聞いたけど、今まで工藤静香のやつしか聞いたこと無かったのもあり、あまりに力強くてひと晩じゅう泣いても次の日には強く前を向いてそうだなと思ってしまった
— 蒼⛩ (@hiyori_biyori_) February 5, 2022
慟哭は中島みゆき版を聴け。めっちゃ重いぞ
— くめん J25-7 A28-4 S9-7-1F (@kumehn) December 7, 2021
中島みゆきさんの慟哭を聞くと女性も失恋はむっちゃ辛いんやでってすごく説得力ある
— たばこ牛 (@yuhirahirahira) July 31, 2020
カバーしたアーティスト
加藤ミリヤ
2012年のシングル『AIAIAI』のB面曲。
井上昌己
2013年のカバーアルバム『回想録〜Calling 90’s〜』に収録。
Ms.OOJA
2015年のカバーアルバム『THE HITS~NO.1 SONG COVERS~』に収録。
工藤静香『慟哭』МV映像
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収録アルバム
『時代-Time goes around-』
1993年リリースのオリジナルアルバム。
- 1993年版『時代』
- 幻のデビュー曲と言われている『あたし時々おもうの』
- 工藤静香に提供した『慟哭』
を含む全11曲。
【収録曲】
『時代』『風の姿』『ローリング』『あどけない話』『夢見る勇気(ちから)』『あたし時々おもうの』『流浪の詩』『雨月の使者』『慟哭』『孤独の肖像1st.』『かもめの歌』
⇒『時代-Time goes around-』の解説&みんなの感想
『大吟醸』
1996年リリースのベストアルバム。
デビュー期から1995年までのヒット作を詰め込んだ珠玉の14曲。
【収録曲】
『空と君のあいだに』『悪女』『あした』『最後の女神』『浅い眠り』『ルージュ』『誕生』『時代』『わかれうた』『ひとり上手』『慟哭』『狼になりたい』『旅人のうた』『ファイト!』