中島みゆき『わかれうた』の裏話|中島みゆき初のオリコン1位曲|カバーしたアーティスト

別れ

1977年の中島みゆきのシングル『わかれうた』

1970年代の代表曲で、初めてオリコンチャート1位を獲得した曲である。
この曲がヒットした時、中島みゆきはどう感じていたのか?
そこには、手放しでは喜べない戸惑いがあったようだ。

この曲にまつわる裏話から、有名人による考察、カバーしたアーティストまで、色々みていこう。

この記事は、

  • 『わかれうた』がヒットして中島みゆきが感じたこと
  • 職務質問で歌わされた『わかれうた』
  • 『わかれうた』が松山千春の曲に似てると言われて出た行動
  • 亀田誠治による『わかれうた』考察

について書いてます!

夢おじ子
夢おじ子
中島みゆきの曲を全て聴いてきたファン歴30年以上の夢おじ子が解説!

中島みゆき『わかれうた』


作詞・作曲 中島みゆき

編曲 福井崚 吉野金次

『わかれうた』で初のオリコンチャート1位獲得

『わかれうた』は中島みゆき初の週間オリコンチャートトップ10入りした曲。
また、1977年12月12日付の週間チャートでは1位を獲得。
累計セールスは76万枚を突破し、1978年度の年間オリコンチャートでは10位にランクインした。

⇒中島みゆきシングル一覧

『わかれうた』がヒットして中島みゆきが感じたこと

ヒットを疑う中島みゆき

1978年放送の「きまぐれ飛行船」(FM大阪)に出演した中島みゆきは、『わかれうた』がヒットした時のことを振り返っている。

メガヒットにも関わらず、中島みゆき自身にはその実感はなかったという。
街を歩いてもラジオを聴いても、この曲を耳にすることはなかったし、そもそもヒットする類の曲ではないと思っていたのだ。
中島みゆきは、当時、流行していたピンク・レディーを引き合い出し、以下のように語っている。

「ピンク・レディーの歌とかね、ああいうのが売れてるってのは分かる気がすんのね。果たしてこのグータラグータラ歌ってるこの『わかれうた』って、すごいのぺぇってした歌でしょ? あれが流行ってるか流行ってないかって分かんないのよね私」

ピンク・レディーに比べたら、『わかれうた』が世の中に与える影響力なんて微々たるもの。
業界誌に、『わかれうた』が4位にランクインしているのを見たときですら、中島みゆきは疑った。

「誰かが4位のところに『わかれうた』って書いたテープをひっつけて驚かそうとしてんだと思って、剥がそうとしたワケよ。下に別の曲が書いてあるに違いないって思ってね」

挙句の果てには、どこかの物好きな誰かが『わかれうた』を買い占めているのではないか?と、中島みゆきの妄想は止まらない。

1977年12月12日付の週間オリコンチャートでは1位を獲得した『わかれうた』だが、翌週の12月19日付けのチャートでこの曲を押さえて1位に躍り出たのはピンク・レディー『UFO』
また、『わかれうた』の前週に1位に君臨していたのはこれまたピンク・レディーの『ウォンテッド (指名手配)』
中島みゆきが引き合いに出したくなる気持ちも分かる。

ヒットによる戸惑い

1986年「GB」11月号のインタビューの中で、『わかれうた』がヒットしたことによる戸惑いを語っている。
この曲は、世間に中島みゆきのイメージを強烈に植え付けた。
だが、中島みゆきにとって、その曲は自分を表す断片でしかない。

「あそこまでは『アザミ嬢のララバイ』からパターンでやってきたことだったから。いくつか持っていた自分のひとつであったの。そのひとつがゴンとあたったとき、それが中島さんという世の中の受け入れられ方で、そのまま走った。他の中島さんが残されてしまったみたいで、どこへいこうかと」

別の記事では、この曲が「わかれを歌う人」という1つの看板を作ったとも語っている。

⇒『アザミ嬢のララバイ』の記事はコチラ

職務質問で歌わされた『わかれうた』

中島みゆきの著書「女歌」に、夜中に引っ越ししているところを警官2人に職務質問されたエピソードが書かれている。

警官は、中島みゆきが家出をしているのではないかと疑っているようで、身元を尋ねられた中島みゆきは、自分が歌手であることを話す。
が、いまいちピンときていない警官2人。
すったもんだの挙句、中島みゆきが『わかれうた』を歌ったところ、
「あ、知ってる、もしかして中島みゆきなの?」
と、ようやく信じてもらえたのである。

亀田誠治による考察

2013年1月4日放送の「亀田音楽専門学校」(NHK Eテレ)で、東京事変亀田誠治『わかれうた』を考察している。
この曲から情念が感じられる理由として以下の2つの点を挙げている。

① 同じメロディが何度もリフレインされている

亀田が例として引用した部分は以下。

途に倒れて だれかの名を
呼び続けたことが ありますか
人ごとに言うほど たそがれは
優しい人好しじゃ ありません
(『わかれうた』より)

この部分だけでも、同じメロディが4回も繰り返されている
情念を打ち出すのに効果的な手法だと亀田は言う。

② 1つ1つの音符に1つ1つの言葉があてはめられている

中島みゆきの代表曲である『時代』の歌詞が横に流れる歌い方をしているのに対し、『わかれうた』は1つ1つの言葉に短くエッジを利かせている
これにより、刃物で斬り込むような強烈な印象を与えることができるのだと亀田は言う。

松山千春の曲に似てると言われて出た行動

『わかれうた』は、松山千春『時のいたずら』とコード進行がほぼ同じで、互いに似た曲だと言われていた。
1978年、札幌で開催された「第16回STVヤングジャンボリー」に出演した中島みゆきは、このことに触れ、反論。

「よく、似てるって言われるんだけれども、わたしゃ声を大にして言いたい。こっちの方が先にできていたんだ!」

このステージでは、『わかれうた』を歌っているが、途中、『時のいたずら』に変えて歌う茶目っ気も見せている。

このステージに出演していた当時、週刊誌が、中島みゆきと松山千春の熱愛を報じていた。
デマの記事ではあったが、中島みゆきはこれに便乗。
「今日はみんなからナイフが飛んでくるんじゃないかと思ってましたが」
と、自虐ネタを盛り込んだMCで会場を沸かせた。

テレビへの露出が多かった曲

テレビ出演は稀な中島みゆきであるが、この頃は珍しく複数の音楽番組に出演し、『わかれうた』を披露している。

  • 1977年12月26日放送「夜のヒットスタジオ」(フジテレビ系)
  • 1978年2月21日放送「ミュージック・フェア」(フジテレビ系)

いずれも、薄暗い照明の中、黒いドレス姿でギターを片手に歌っており、その姿はまさに別れうた唄い。

有吉弘行の聴き方

2012年9月22日放送の「ナツメのオミミ」(テレビ朝日系)に有吉弘行が出演。
お台場に仕事があるときには、早めに行って車を停め、海浜公園を楽しそうに歩いているカップルや家族連れを眺めながら『わかれうた』を聴くという奇妙な習慣を明かしている。

⇒有吉弘行&夏目三久&マツコ・デラックスが語る中島みゆき

議論になりがちな歌詞

『わかれうた』には、やたらクローズアップされがちな歌詞がある。

途に倒れて だれかの名を
呼び続けたことが ありますか
(『わかれうた』より)

サビではない出だしの部分だが、人々に強烈な印象を与える。
道端に倒れ叫ぶ女が果たしているのか?
議題に上りやすいトピックで、それぞれの人生経験が反映されやすい。

芸能界では、俳優の古田新太はこのような女を見たことがあると言い、一方で、俳優の高畑淳子はそんな女がいるはずがないと断言している。

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平井堅、徳永英明、研ナオコ、加藤登紀子、柏原芳恵、坂本冬美、布施明、荒牧陽子がカバーした『わかれうた』も聴くことができる!

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『わかれうた』はこんな曲

別れることが宿命のような女が描かれている。
淡々と歌う様は、己の人生を嘲笑っているようにも、達観しているようにも取れる。

わかれはいつもついて来る
幸せの後ろをついて来る
それが私のクセなのか
いつも目覚めれば独り
(『わかれうた』より)

『わかれうた』のみんなの感想

カバーしたアーティスト

平井堅

2009年のカバーアルバム『Ken’s Bar II』に収録。
スピッツ草野マサムネとデュエットしている。

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徳永英明

2007年のカバーアルバム『VOCALIST 3』に収録。

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研ナオコ

1978年のカバーアルバム『NAOKO VS MIYUKI (研ナオコ、中島みゆきを唄う)』に収録。

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加藤登紀子

2008年のカバーアルバム『SONGS ~うたが街に流れていた~』に収録。

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柏原芳恵

1983年のカバーアルバム『春なのに』に収録。

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坂本冬美

2021年のカバーアルバム『Love Emotion』に収録。
「情念」をテーマにセレクトされた11曲のうちの1曲。

中島みゆきの歌には、情念に怨念がプラスされていると語る坂本冬美
『わかれうた』は淡々と歌っているが、内容が濃く、歌いこなすには難しかったようだ。

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布施明

2009年のアルバム『Ballade II』に収録。

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荒牧陽子

2019年のカバーアルバム『リスペクト!~私が昭和を歌ったらこんな感じ!~』に収録。

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本人映像

『夜会VOL.3 KAN(邯鄲)TAN』

1991年上演。中国の故事「邯鄲の夢」をモチーフに、クリスマスの夜に見た夢の中で、真実の愛に気づいていく女の姿が描かれている。
幼い子から老婆までを中島みゆき1人が演じている。

途に倒れている状態から歌い出すあたりは、歌詞を忠実に再現か?

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収録アルバム

『愛していると云ってくれ』

1978年リリースのオリジナルアルバム。

  • 異色の朗読曲『「元気ですか」』
  • 中島みゆきの初のオリコン1位曲『わかれうた』
  • 失恋の定番曲『化粧』
  • 実在のお店のマスターがモデルになった『ミルク32』
  • 「3年B組金八先生」の挿入歌として流れ話題になった『世情』

を含む全9曲。

【収録曲】
『「元気ですか」』『怜子』『わかれうた』『海鳴り』『化粧』『ミルク32』『あほう鳥』『おまえの家』『世情』

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⇒『愛していると云ってくれ』の曲解説&みんなの感想

『大吟醸』

1996年リリースのベストアルバム。
デビュー期から1995年までのヒット作を詰め込んだ珠玉の14曲。

【収録曲】
『空と君のあいだに』『悪女』『あした』『最後の女神』『浅い眠り』『ルージュ』『誕生』『時代』『わかれうた』『ひとり上手』『慟哭』『狼になりたい』『旅人のうた』『ファイト!』

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⇒『大吟醸』の解説&みんなの感想

『Singles』

デビューした1975年から1986年までのシングルを収録したコレクションアルバム第1弾。

【収録曲】
『やまねこ』『シーサイド・コーポラス』『見返り美人』『どこにいても』『あたいの夏休み』『噂』『つめたい別れ』『ショウ・タイム』『孤独の肖像』『100人目の恋人』『ひとり』『海と宝石』『あの娘』『波の上』『横恋慕』『忘れな草をもう一度』『誘惑』『やさしい女』『悪女』『笑わせるじゃないか』『あした天気になれ』『杏村から』『ひとり上手』『悲しみに』『かなしみ笑い』『霧に走る』『りばいばる』『ピエロ』『おもいで河』『ほうせんか』『わかれうた』『ホームにて』『夜風の中から』『忘れられるものならば』『こんばんわ』『強い風はいつも』『時代』『傷ついた翼』『アザミ嬢のララバイ』『さよなら さよなら』

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⇒『Singles』の解説&みんなの感想

『いまのきもち』

2004年リリースのオリジナルアルバム。
1988年以前の中島みゆきの楽曲からセレクトし、瀬尾一三のアレンジによりセルフリメイク。

27年ぶりの「いまのきもち」で『わかれうた』が歌われている。

【収録曲】
『あぶな坂』『わかれうた』『怜子』『信じ難いもの』『この空を飛べたら』『あわせ鏡』『歌姫』『傾斜』『横恋慕』『この世に二人だけ』『はじめまして』『どこにいても』『土用波』

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⇒『いまのきもち』の曲解説&みんなの感想

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