1995年の中島みゆきのオリジナルアルバム『10 WINGS』
1989年から1994年に上演した「夜会」のために書き下ろされた10曲を収録している。
すでにレコード化された曲も、大きくアレンジを変え、セルフリメイクした意欲作だ。
1曲ずつみていこう。
この記事は、
- 『10 WINGS』の特徴
- 『10 WINGS』の曲解説&みんなの感想
について書いてます!
中島みゆき『10 WINGS』
1995年リリースのオリジナルアルバム。
- 「夜会」のテーマ曲『二隻の舟』のリメイク
- パナソニック「ブレンビー」のCMソング『Maybe』のリメイク
- 世良公則とのデュエット『ふたりは』
を含む全10曲。
【収録曲】
『二隻の舟』『思い出させてあげる』『泣かないでアマテラス』『Maybe』『ふたりは』『DIAMOND CAGE』『I love him』『子守歌』『生きてゆくおまえ』『人待ち歌』
『10 WINGS』の特徴
週間オリコンチャート8位
『10 WINGS』は、1995年10月20日にリリースされ、週間オリコンチャート8位を記録している。
夜会曲コレクションアルバム第1弾
『10 WINGS』は、1989年「夜会」から1994年「夜会Vol.6 シャングリラ」までの、「夜会」のために書き下ろされた曲のみを集めたアルバムだ。
夜会曲コレクションアルバムは、その後、1999年の『日-WINGS』『月-WINGS』へと続く。
『10 WINGS』はこれら3部作の先駆けとなったアルバムである。
「10 WINGS」の意味
中島みゆきは、『10 WINGS』のことを「10手羽」と呼んでいる。
WINGには、手羽先という意味があるからだが、もちろん本意はそこにはない。
「夜会」から生まれた曲に、自由に羽ばたいて欲しいという思いから、「翼」という意味の「WINGS」をタイトルに取り入れたのだ。
1995年「月刊カドカワ」12月号のインタビューで、中島みゆきは以下のように語っている。
「「夜会」の中で生まれたオリジナル・ソングを収めたものですけど、あの場面をもう一度的なことじゃなくて、曲を単体のものとして仕上げてますね。「夜会」の中に閉じこめておくわけじゃなくて、耳で聴くからいい、みたいなね」
また、中島みゆきは、舞台袖のことを「WING」と呼ばれていることを後に知るのだった。
「WING」は「夜会」と縁が深いのである。
宮崎駿も聴いていた
アニメ映画「もののけ姫」のドキュメンタリーDVDには、宮崎駿が『10 WINGS』を聴きながら作画している様子が収められている。
映像で流れていたのはアルバムに収録されている『子守歌』『生きてゆくおまえ』だ。
ちなみに、編曲を手掛けた瀬尾一三は、このドキュメンタリー映像をテレビでたまたま観ていたという。
「この曲で仕事がはかどるのかなあ」と、ジブリファンとして案じたそうな。
2012年「ROCKIN’ON JAPAN」12月号のインタビューで、中島みゆきは、ジブリ映画について次のように言及している。
「「もののけ姫」は宮崎さんがもののけを描いたといって、もののけを外から眺めて描いたというより、あの人の中にもののけがいると思うんですよね」
一方、アレンジャーの瀬尾一三は、ジブリ映画を好み、年に1回は必ず「風の谷のナウシカ」や「となりのトトロ」をDVDで観ているそうな。
中島みゆき、瀬尾一三、宮崎駿のこの3人が、互いの作品に刺激を受けながら創作の糧にしていることを想像させる。
『10 WINGS』曲解説&みんなの感想
『二隻の舟』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
「夜会」のテーマ曲として書き下ろされた曲。
本人曰く、抽象的な歌詞であるゆえに、色んな対比に用いることができ、可能性を秘めている。
1992年のアルバム『EAST ASIA』に収録された曲だが、今回アレンジを変えてガラリと印象を変えている。
また、伴奏のピアノはX JAPANのYOSHIKI所有のクリスタル・ピアノが使用されている。
本作のバージョンは、1996年公開の映画「霧の子午線」の主題歌に起用された。
おまえとわたしは たとえば二隻の舟
暗い海を渡ってゆくひとつひとつの舟
互いの姿は波に隔てられても
同じ歌を歌いながらゆく二隻の舟
(『二隻の舟』より)
二隻の舟は10WINGS派。
— Adelie (@pentalou) December 28, 2017
日本語で書かれた歌詞で、永遠のNo.1は『二隻の舟』という中島みゆきさんの曲で、この曲を初めて聴いた時は、号泣したのを覚えています。どこが素晴らしいのか、言語化できないのですが、本当に心を揺さぶる曲って、言葉を超越したところにあるのかもしれませんね。
— ヒトシ🇺🇦NO Killing (@black_beauty_71) January 15, 2022
『思い出させてあげる』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
1994年上演の「夜会Vol.6 シャングリラ」のために書き下ろされた曲。
主人公のメイ(中島みゆき)が、母親を陥れた女への復讐心を募らせていくシーンで歌われている。
恨みの中になぜか芽生える穏やかな感情が、曲の転調によって表現されており、物語の伏線として効いている。
思い出の中で人はいつまでも変わらない
もしも急に会えたとしても誰とは信じられないでしょう
(『思い出させてあげる』より)
中島みゆきの「思い出させてあげる」という曲は「夜会 シャングリ・ラ」を観ていないと意味が分からない。結構深い。
— 湯茶ぽん🍵 (@yucyaka1970) May 30, 2020
もしも夜会工場Vol.3があったら、「毎時200ミリ~思い出させてあげる」みたいな流れを増やして欲しい。「思い出させてあげる」のイントロで電光掲示板に「Vol.6 シャングリラ」って出てきた時は鳥肌立った。
— じふぶき (@gozonjinai_223) May 11, 2019
『泣かないでアマテラス』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
1992年上演の「夜会Vol.4 金環蝕」のために書き下ろされた曲。
大地を踏み鳴らすように舞い、この曲を歌うシーンは多くの人の感動を呼んだ。
日本神話の岩戸隠れがモチーフになっているこの「夜会」。
アマノウズメという神がアマテラスにエールを送る形でこの曲が歌われている。
1996年公開の岩井俊二監督映画「スワロウテイル」の中でも流れた。
君をただ笑わせて
負けるなと願うだけ
アマテラス アマテラス どこで泣いているの
アマテラス アマテラス 明日は泣かないで
(『泣かないでアマテラス』より)
「泣かないでアマテラス」ってすごい曲名
— わんやんあぐた (@QQQQVVVD) October 11, 2021
泣かないでアマテラスは泣く😭
自分を元気づけるためにちょいちょい頭の中で歌う曲。
いやしかし脚でシャンシャンはスゴいよね( ´;゚;∀;゚;)— 🎪🐆米沢リンダ🎪🌟 (@mikarin6729) October 10, 2021
『Maybe』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
1990年上演の「夜会1990」のために書き下ろされた曲。
劇中では、眠らない街で働く女たちの孤独が、この曲を通して歌われている。
1991年のアルバム『歌でしか言えない』に収録された曲だが、今回アップテンポなリズムとソウルフルな歌声で、ガラリと印象を変えている。
Maybe 夢見れば Maybe 人生は
Maybe つらい思いが多くなるけれど
Maybe 夢見ずに Maybe いられない
Maybe もしかしたら
(『Maybe』より)
中島みゆきのMaybeは2つバージョンあるけど、10WINGSのバージョンが好きだな
— くー(義明)@Titan@6/5(幕張) (@nuo_tkkm_ku) March 16, 2015
#nowplaying 中島みゆき – Maybe / 10WINGS
歌でしか言えない版は気分を上げたい時に。
10 WINGS 版は気分が上がりかけてる時に。— てらりん@自儘マン (@TELLA_D_miyuki) January 28, 2013
『ふたりは』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 David Campbell
1990年上演の「夜会1990」のために書き下ろされた曲。
劇中では、中島みゆきと女性コーラス2が、娼婦とゴロツキ、そして口さがない街の人々という3者を演じ分けながらこの曲を歌っている。
1990年のアルバム『夜を往け』に収録されたこの曲は、3者すべてを中島みゆきのみで歌い分けていた。
今回、世良公則をゴロツキ役に迎え入れ、娼婦のパートを中島みゆき、そして街の人々のパートを森ノ木児童合唱団が、それぞれ役を担当している。
1995年「GB」12月号のインタビューで、世良公則を指名した理由について以下のように語っている。
「イメージとしては、野良犬みたいで、ゴロツキのような声の人がよかったので。最適ですね(笑)」
緑為す春の夜に ふたりは
凍えきってめぐりあった
与えあう何ものも残ってはいないけど
もう二度と傷つかないで
(『ふたりは』より)
中島みゆきと世良公則の「ふたりは」久しぶりに聞いたらエンドレス、止まらなくなった。ミュージカルのよう。あのふたりはどうなったのだろう。沢山の人に聴いて欲しいけど、youtube にはカバーしか見当たらない。みゆきさんの10wings っていうCDに入ってます。
— たたれ (@snow_225) July 11, 2019
ポプコンの先輩後輩の関係にある中島みゆきさんと世良公則さんが95年にレコーディングした「ふたりは」って曲があるんですけど、ぼくはアレが日本のポップス歌手同士によるデュエットの史上最高峰だと思ってます。
— 山口順平 (@hanamogera20) December 9, 2021
『Diamond Cage』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三 浦田恵司
1992年上演の「夜会Vol.4 金環蝕」のために書き下ろされた曲。
劇中では、巫女の恰好をした中島みゆきが、玉串を揺らしながらこの曲を歌っている。
メロディのニュアンスや、歌詞の一部が変更されている。
悲しい思いをしたくないために、ナイフよりも頑丈な檻で自分を守ろうとする。
だが、それによっていっそう孤立していくのだ。
その様子は、アマテラスの岩戸隠れと重なる。
なのに何故WOMAN 愛し始めたら
なのに何故WOMAN 恐いもの知らずなの
なのに何故WOMAN ダイヤの檻さえも
なのに何故WOMAN 卵の殻みたいね
(『Diamond Cage』より)
中島みゆきの「DIAMOND CAGE」メロディめちゃくちゃ好きやけど、”なのに何故WOMAN”のところのクセがすごい。
— 鶴ちゃん (@chariot_grandis) March 31, 2020
#中島みゆき の、DIAMOND CAGEの、#夜会 版(#金環蝕)を、大音量で、ヘッドフォンにて、観賞中。
あれから28年ほど経過した今だから言えますけどね、ワタクシ、あの時、シアターコクーンで、ずっと、ダイアモンド「刑事」だと思ってました。
捉えられているって意では合ってたんですけども。
— 吉田直志(Naoshi Yoshida) (@naoshy) February 17, 2020
『I love him』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
1991年上演の「夜会Vol.3 KAN(邯鄲)TAN」のために書き下ろされた曲。
タクシーの中でひと眠りしている間に、幼少から老婆へ至るまでの一生分の夢を見る女。
劇中では、その夢から醒めた後に、大事なことに気付いていくシーンでこの曲が歌われる。
「夜会」とは違い、ドラムレスとウィスパーボイスによって、落ち着いた雰囲気にアレンジが変えられている。
愛してもらうことを待ち続けていた今までに、決別するような曲だ。
それで生きたことになるの?
長い夢のあと 本当の願いが胸の中 目を醒ます
I love him I love him I love him I love him
I love him I love him 返される愛は無くても
(『I love him』より)
中島みゆきさんの10WINGSというアルバムに入っちょるI love him という曲のベースの音が好き。
— J子 (@jko33) March 25, 2018
CSで中島みゆきの夜会Vol.3を観た。
よく考えたらかなり久しぶりに観るなあ。
昔、テープすりきれるほど観たからねえ。
やっぱりI love himはすごい歌だ。
「愛されるのを待つばかりで人を愛することをしなくて、それで生きたことになるの?」という強烈なメッセージ。— イビ(血行よしお) (@ibing1122) December 10, 2017
『子守歌』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
1994年上演の「夜会Vol.6 シャングリラ」のために書き下ろされた曲。
劇中では、幼少の頃の母親との思い出にふけるシーンで歌われている。
中東の砂漠を旅しているようなエスニック色の強いアレンジへと変えられている。
眠りなさい娘 恐い夢を見ずに
眠りなさい何も思い出さずに
悲しみを忘れるために人は夜の旅をする
(『子守歌』より)
河は流れ雲はそこに留まりはしない
「子守歌」#中島みゆきみゆきさんの言う通り、良いことも悪いことも永遠に続く訳じゃない。
— 流浪花 (@275M26) April 17, 2020
子守歌は子供のものでしょうけれども、大人だからといってそんなに強くなれるものじゃないと思うんですよ。大人だって、誰かに唄って欲しい時だってあると思うし、それを自分で口ずさむこともあるはずだなぁというようなね2001 #中島みゆき
— 中島みゆきの名言 (@_miyuki0223) May 31, 2018
『生きてゆくおまえ』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 David Campbell
1994年上演の「夜会Vol.6 シャングリラ」のために書き下ろされた曲。
中島みゆきは、主人公のメイとその母親の2役を演じている。
その母親の視点で歌われている。
ストーリーの種明かし的な曲であるが、独立した曲として聴いても1篇の物語を読み終えたような気持ちになる。
レコーディングは大掛かりで、50人ものオーケストラが動員された。
きっと愛をみつけてよ
本当の愛をみつけてよ
生きてゆくおまえ
小さな小美(シャオ・メイ)
小さな小美
生きていてよ 生きていてよ
(『生きてゆくおまえ』より)
( ‘ω’ )中島みゆきさんの「生きてゆくおまえ」をスピーカーから出してるけどヤバイ、涙腺決壊しそう
— まりも (@146t) August 25, 2013
生きてゆくおまえ……この曲単品で聞いても一つの物語になってるよな。もともとは夜会・シャングリラの曲だけど…
— 白鴎182 (@siroikamome) August 14, 2014
『人待ち歌』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
1993年上演の「夜会Vol.5 花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に」のために書き下ろされた曲。
劇中では、約束した時間に現れない男を待ちながらこの曲が歌われている。
「待つ」がテーマのこの「夜会」で、中島みゆきは、「待つ」ことと「待たない」ことの違いについて考えたという。
荒野を越えて 銀河を越えて
戦さを越えて 必ず逢おう
来る、来ない、来る、来ない、
待つ、待たない、待つ、待たない、
逢う、逢えない、逢う、逢えない、
逢う、逢えない、逢う
(『人待ち歌』より)
#中島みゆき 「人待ち歌」
――荒野を越えて 銀河を超えて 戦さを超えて 必ず逢おう――
このスケール感がたまりません。「時は流れて」の歌詞は、――逢えない――で終わるのですが、この歌の最後は――逢う――で締めくくられます。— 信乃@拷問蔵 (@shino_i) July 21, 2020
中島みゆきの
人待ち歌もう25年前の歌なのに何回聞いても色あせない
そして圧巻のフェードアウト#人待ち歌#中島みゆき#10wings— シュワ@お値引き大好き投資魔女💰 (@Investing_Witch) March 26, 2019
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