1986年2月17日放送の「中島みゆきのオールナイトニッポン」に甲斐よしひろがゲスト出演している。
甲斐よしひろのプライベートな話の他、サウンドプロデュースした『カム・フラージュ』の裏話や、甲斐が好きな中島みゆきの曲についても語られている。
2人の対談をみていこう。
（※部分的に編集しています）
この記事は、
- 『カム・フラージュ』の裏話
- 甲斐よしひろが好きな中島みゆきの曲
- 甲斐よしひろの恋テク・洗濯事情、箸の持ち方などプライベートな話
について書いてます!
中島みゆきのバレンタインチョコ
冒頭、先日のバレンタインデーでの出来事を語る中島みゆき。
2月14日は、ミュージシャンを集めての打ち合わせだったが、チョコをもらった人、もらわなかった人の差が歴然としていて、なかなか険悪な雰囲気だったという。
中島みゆきも、この風習に乗っかってチョコを3人のマネージャーに渡した。
そのうちの1人は、受け取るなり包みを剥がしチョコを頬張って一言、「マズイ」。
それを聞き逃さなかった中島みゆきは、来年はもっとマズいチョコを仕込んであげようと、決意を新たにするのだった。
甲斐よしひろがアメリカ移住?
CMを挟んで、いよいよ甲斐よしひろの登場だ。
甲斐「こんばんわ～甲斐です」
アメリカから帰国したばかりの甲斐。
ニューヨークへ発つ前に行ったアルバム『REPEAT & FADE』の中ジャケ撮影について語る。
このアルバムは4枚組になっており、表のジャケットはすでに出来あがっていたが、中の4枚のインナージャケットについては、当初のプランがいまいちだった。
そこで、撮影のためのパーティーを催すことにしたのだ。
深夜0時という時間にも関わらず、パーティーは盛況だったという。
甲斐「来ましたよ、高中正義からダンプ松本まで（笑）」
みゆき「どういう伝手で手紙を出したの?」
甲斐「知りましぇん（笑）」
このパーティーには、構成作家のポチこと寺崎要も参加していた。
寺崎は、甲斐がアメリカへ行くことを知り、そのことを中島みゆきへ大げさに伝えていたのだ。
「もう何年も帰ってこれないかもしれない」
「甲斐は向こうで永住するかもしれない」
「しばらく会えないかもしれない」
「これっきりかもしれない」etc.
みゆき「ここで騙されて行けば私もカワイイ女なんだけれども、思わず確認したわけよ」
中島みゆきは寺崎の話がにわかには信用できず、甲斐の事務所へ確認したのである。
「すぐ帰ってきますよ～」というのが事務所からの返答だった。
中島みゆきの読みが当たった訳である。
みゆき「この疑い深さが独身のもとなのね（笑）」
『カム・フラージュ』の裏話
CM後、中島みゆきはブースからいなくなっていた。
隣の部屋で、甲斐よしひろの事務の人が差し入れした寿司に舌鼓を打っていたのだ。
その間、仕方なく甲斐が1人で番組を仕切ることに。
甲斐「『カム・フラージュ』という曲の後半にファルセットボイスを悩まし気に歌っているヤツ、実はアレ、私です」
甲斐が1985年にサウンドプロデュースした『カム・フラージュ』は、甲斐自身がコーラスに参加しているのだ。
間奏部分で、甲斐のシャウトの後に、中島みゆきの吐息が入るパートがある。
ミキシングの際に、レコーディングディレクターからもっと、中島みゆきの声を上げて欲しいという注文を受けた。
「これは甲斐さんのシャウトに、みゆきさんが応えたんです」
その意図を汲んで、甲斐は、中島みゆきの吐息を前面に出す調整を加えたのだった。
甲斐よしひろを尾崎豊と見間違えた
ようやく戻ってきた中島みゆきを交え、話題は、互いのファッションへと移る。
甲斐「その胸開き、いいですよ」
今日の中島みゆきは、胸が開いた服を着ているらしいが、それ以上に甲斐が注目したのは、下に穿いているスカートだ。
みゆき「あら残念ね、キュロットよコレ」
中島みゆきは、足を上げて、それがスカートでないことを見せつける。
甲斐「すごいな～完璧上がったな足」
甲斐は、キュロットよりも今度は、中島みゆきの身体の柔軟性に圧倒される。
一方、中島みゆきはというと、甲斐の着ている黄色いセーターが気になっている。
みゆき「時々すごい色の服着る人だなあと思ってたけど（笑）」
甲斐の着ている服は、あの高級ブランドであるポールスミスらしい。
甲斐は、吉川晃司や尾崎豊など、最近の若手ミュージシャンのファッションに尖った印象を抱いている。
そういえば、と中島みゆきがさっき入ってきた甲斐の印象について語る。
みゆき「パッと入ってきたとき、コート着てたじゃない? 尾崎豊さんとパッと似たような雰囲気にみえたわけ。尾崎さんの場合はね、つい最後までコート脱ごうとしなかったのね」
尾崎豊は、1986年1月13日放送の「中島みゆきのオールナイトニッポン」にゲスト出演している。
甲斐「風邪気味だったんじゃ?」
みゆき「怯えてた（笑）あたしが何するっていうの!ってみたいな（笑）」
甲斐「でも、それ凄いね、寒気っていう点では一緒だから（笑）」
紙パックジュースの新たな発見
みゆき「自動販売機でジュース買ったことないでしょ?」
曲をかけている間、甲斐よしひろは、渡されたウーロン茶のパックジュースの口のところをずっと指でむしっていた。
この手の飲み物には、たいていストローが付属しているのだが、甲斐はそれを知らなかったのである。
甲斐「このウーロン茶のパックの裏にストローがあるっていう。便利ですねぇ今（笑）」
だが、視力の問題もありそうだ。
目が悪いのに、普段はコンタクトもせず、メガネを掛けるのも、映画を見る時か麻雀をする時くらい。
甲斐「あと、すごくおいしそうな料理だなあっていう時も掛けますね」
みゆき「だいぶ前、いっぺんご飯食べた時に掛けてたもんね。なんかトンボと一緒にご飯食べてるみたいな風景だった（笑）」
甲斐「俺はね、君からそういうフリがあるとは思わなかったなあ（笑）僕はね、ホントに今、サインペン落としちゃったよ」
みゆき「アハハハハ!」
甲斐よしひろが好きな中島みゆきの曲
話題は、よく週刊誌のネタにされる松山千春へと移る。
甲斐よしひろが、中島みゆきの『アザミ嬢のララバイ』が好きだとインタビューで語っていた頃、松山千春は『時代』が最高だと語っていたという。
甲斐は、その『時代』が、クリスタル・キングの『大都会』と似ていると分析する。
入口は淡々と、中盤から盛り上がりを見せる流れは、コンテストの王道だ。
甲斐「『時代』もそういう?」
みゆき「もちろんです。あの曲で、私はあのネタを使い果たしてしまいました（笑）」
甲斐「その後、復讐劇ありましたよね?」
みゆき「なんだっけ?」
甲斐「世の中はなんたらかんたら」
みゆき「ああゆうのもあったね」
甲斐「あれはいいですよ。あれは大好きです」
世の中はいつも 変わっているから
頑固者だけが悲しい思いをする
（『世情』より）
甲斐よしひろの視力
みゆき「私の顔、見えてる?」
中島みゆきは、甲斐よしひろの視力を気に掛けている。
だが、そんなに心配されるほど見えない訳でもない。
甲斐「こないだ、スティービー・ワンダーがね、車で通り過ぎたわけ。ホントに。日本の目黒でね。それは、ちゃんと見えましたね」
みゆき「あら、でも私と楽屋ですれ違ったじゃない」
甲斐「どこで?」
みゆき「新宿の厚生年金で」
甲斐「いつ?」
みゆき「私が楽屋に行った時さ、「甲斐さん、こっち～」って歩いてったらさ、「みゆきの声がしなかったかな?」って2人ですれ違ったじゃない」
スティービーの顔は見えても、中島みゆきの顔は見えないらしい。
甲斐よしひろの寝相
ここで、「ひとり上手」のコーナーへ届いたリスナーからの手紙を紹介。
今回は、甲斐よしひろにもコメントを仰ぐ。
寝る時、両手が手持ち無沙汰なので、いつもタマタマをいじくって遊んでいます。
こんな僕は、ひとり上手でしょうか?
毎晩、結局、興奮して眠れません。
みゆき「手を出すんなら、生卵2つ持てばいいんじゃないかと（笑）寝る時、手、どうしてらっしゃいます?」
甲斐「僕は、枕を抱く方ですね」
片手は枕を抱き、もう片方の手は枕のようにして寝るのが甲斐のスタイルだ。
甲斐よしひろの恋テク
もう1通、リスナーからの手紙を紹介。
クラスの人に、女の人と1回デートしただけで、全てフラれていることを知られた僕は、「使い捨てカイロ」と呼ばれています。
僕は、ひとり上手というのでしょうか?
みゆき「どうして1回デートしただけでフラれるんだろう? 1回のデートを2回目に繋げる努力、どうすればいいの?」
甲斐「それはね、無理やり物を貸すんですよ」
借りたら返さなければならないから、2回目に会う口実が生まれる。
甲斐よしひろならではの恋テクだ。
コインランドリーの思い出
大学生の兄から、臭い洗濯物の山が段ボールに詰められて届けられたというリスナーからの手紙を紹介。
みゆき「独身だった頃、洗濯物ためてました?」
甲斐「それはないですね」
甲斐よしひろが、上京した頃、そこかしこにコインランドリーが普及し始めていた。
愛用していた甲斐は、何度も洗濯するたびに洗剤を持っていく手間に気付いて、コインランドリーのオーナーに、「洗剤のキープやったら?」と提案した。
オーナーが提案に応じ、キープ用の棚を設置したところ、そのコインランドリーは大繁盛したという。
さて、下着の洗濯について、甲斐の哲学があるようだが、
甲斐「ビートルズってね、ぜったい下着、毎日替えてなかったんだと思うんだよね。一方で、ストーンズは、毎日、穿き替えてた気がすんの。分かる?」
みゆき「なるほどね」
ストーンズが好きな甲斐は、もちろん、毎日下着を穿き替えている。
甲斐よしひろの箸の持ち方
みゆき「バナナ、どうやって食べます?」
バナナを時間かけて食べる裏技というリスナーからの手紙を読み、中島みゆきは、甲斐よしひろのバナナの食べ方が気になるようで。
甲斐「フツーにあれでしょ、ちゃんとこうやって皮をむいて」
ごく普通の食べ方ではあるが、甲斐の場合、バナナなど果物全般は、食べる速度が遅いという。
食べ方の癖で中島みゆきが思い出したのが、甲斐の独特な箸の持ち方。
みゆき「箸の持ち方がすんごい空前絶後の持ち方なんですよ（笑）」
これには、甲斐も自覚があるようで、親指と人差しだけを動かすという基本を踏まえながらも箸が交錯してしまうという有様。
みゆき「ぶっ刺してるか、掻き込んでるかしか見えなかったけど（笑）箸持ってあずき豆つまめる?」
甲斐「ご飯粒とか、普通につまめるよ」
みゆき「あ、ホント? たいしたもんじゃない」
甲斐「だからあれですよ、基礎をやらない訓練ですよ」
それは、右弦のギターを左手で弾いてきた甲斐の経験則によるものだ。
最後に受験生へ向けてエール
いよいよ、甲斐よしひろとお別れの時間だ。
最後は、受験生へ向けてエールを送ってもらうことに。
甲斐「人生は四分音符です。十六ビートではありません。コツコツといかねば」
みゆき「受験生ガンバレ。また来週」
最後は、甲斐よしひろがサウンドプロデュースした中島みゆきの曲、『ひとりぽっちで踊らせて』。
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