1988年の中島みゆきのシングル『涙 -Made in tears-』
演歌歌手・前川清に提供され、後に中島みゆきもセルフカバーしシングルリリースした曲。
瀬尾一三が初めてアレンジを施した作品で、これがきっかけで、今後の楽曲も担当していくことになる。
瀬尾一三が初めて中島みゆきと出会った時の印象について、ラジオで語られたことを基にみていこう。
この記事は、
- 『涙 -Made in tears-』は前川清への提供曲
- 『涙 -Made in tears-』は初の瀬尾一三とのタッグ作品
- ゴールデンボンバーの鬼龍院翔が紹介した『涙 -Made in tears-』
について書いてます!
中島みゆき『涙 -Made in tears-』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
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前川清への提供曲
『涙 -Made in tears-』は、もともとは前川清に提供した曲だ。
前川版は『涙』というタイトルで、1988年2月21日にシングルリリース。
その後、中島みゆきがセルフカバーして同年10月21日にこちらもシングルリリースしている。
前川のレコーディングには、中島みゆきも立ち会っている。
2020年12月17日放送の「上柳昌彦 あさぼらけ」(ニッポン放送)で前川はこの時のことを以下のように振り返っている。
「この時、レコーディングに来られました。一言でした。「へぇ、こういう風に歌うんだ」。その一言でしたね、ありがとうございます、という」
瀬尾一三との初タッグ作品
瀬尾一三とは?
瀬尾一三は、音楽プロデューサー&アレンジャーで、中島みゆきや長渕剛、徳永英明、吉田拓郎などの大物アーティストの編曲を多く手掛けている。
中島みゆきが音楽の方向性を模索していたいわゆる「御乱心の時代」は、この瀬尾との出会いにより終焉を迎えた。
1988年以降、中島みゆきの楽曲のほとんどは、瀬尾が担当していて、『浅い眠り』『空と君のあいだに』『地上の星』など多くのヒット曲を手掛けた。
中島みゆきにとって、瀬尾は欠かせない存在であることは、彼を「お師匠さん」と呼ぶところからも窺い知ることができる。
中島みゆきと瀬尾一三の出会い
中島みゆきが初めて瀬尾一三を知った時のことを、2012年「ROCKIN’ON JAPAN」12月号のインタビューで振り返っている。それは、用があって渋谷のエピキュラスというスタジオの前を通りかかった時だった。
ドアが開け放たれたスタジオから聴こえてきたのは、チャゲ&飛鳥のレコーディング風景だった。
「弦を被せたりしてる音が聞こえた時に、たまたま。「これ書いた人誰だろう?」って思ったら瀬尾さんだったんです」
この時、中島みゆきは、心の中で瀬尾一三に音を作ってもらおうと決めたのだった。
「ラジオ瀬尾さん」の中で、瀬尾一三は、中島みゆきと初めて出会った時のことを語っている。
中島みゆきからレコード会社のディレクターを通して瀬尾へアプローチをかけてきたことが、始まりだった。
当時、瀬尾は、業界のスタッフやミュージシャンから中島みゆきが「メンドクサイ」という噂を伝え聞いていた。
そのため、「絶対にソリが合わない」「絶対に中島みゆきと仕事はしない」とかねてから思っていた。
だが、親しいディレクターから懇願され、渋々、中島みゆきと会うことになってしまったのだ。
「会って話してみるけど、ダメだったらゴメンね」
2012年「ROCKIN’ON JAPAN」12月号の中で中島みゆきは、初めて対面した瀬尾の印象を以下のように語っている。
「すっごい怒ったような顔して出てきたの覚えてます(笑)。なんかねぇ、もう追い返すぞ!というオーラを満々に湛えて、「なんだこら、帰れこら」みたいなオーラでねぇ、怒った顔で、目も合わさずにデンっと前に座ったんですよ(笑)」
「僕は基本的には女の人のは書かないんですよ」と予防線を張るほど、腰が引けていた瀬尾だったが、実際に本人を前にすると、それまで話に聞いていたものとまるで印象が違っていた。
会う前は、中島みゆきがエキセントリックな人間だと想像していたのだが、実物は、ものすごく寡黙だったという。
「猫100匹くらいかぶってるんじゃ?」
最初、警戒していた瀬尾だったが、中島みゆきがぽつりぽつりと語る言葉が、実に的を射ていることに気付く。
話を聞きながら、中島みゆきが、瀬尾がそれまで世間に対して思っていた疑問と向き合っていたことを知るのだ。
「いい奴だなあと思った」
通うものがあり、1曲、中島みゆきの楽曲を手掛けることを決めたのだ。
それが、『涙 -Made in tears-』だ。
中島みゆきのその後を決定づけた曲
瀬尾一三は、『涙 -Made in tears-』の歌詞にすっかり惚れ込んだ。
男運は 悪くなかった
あんないい人 いやしないもの
男運は 悪くなかった
Made in Tears
(『涙 -Made in tears-』より)
失恋ソングであるが、恨みつらみではなく、出会えたこと幸運だと捉える中島みゆきの作家性。
瀬尾は、中島みゆきについては、ヒット曲くらいしか知らなかったのだが、この曲には、それらと違う意外な側面を見た気がしたのだった。
「ラジオ瀬尾さん」の中で、瀬尾は以下のように語っている。
「『涙 -Made in tears-』はアレンジをかきたててくれる素材だった」
この曲が功を奏し、同年リリースされるアルバム『グッバイガール』も、瀬尾が全曲アレンジを手掛け、以降、タッグを組み続ける。
瀬尾曰く、長く続く秘訣は、お互いに必要以上に干渉しないこと。
瀬尾は、中島みゆきのプライベートについてはほとんど知らない。
それは、瀬尾一三が向き合っているのは本名の「中島美雪」ではなく、アーティストとしての「中島みゆき」だからだ。
鬼龍院翔も絶賛
2020年5月24日放送の「関ジャム 完全燃SHOW」(テレビ朝日)にゴールデンボンバーの鬼龍院翔が出演。
鬼龍院自らが企画した中島みゆき失恋ソング特集の中で、『涙 -Made in tears-』の以下の歌詞を引用して、考察している。
メッキだらけの けばい茶店の隅っこは
雨やどりの女のための席ね
(『涙 -Made in tears-』より)
- 思い出として美化しないことでリアリティを演出している。
今ごろ どうしておいでだろうか
今夜は 煙草が目にしみる
(『涙 -Made in tears-』より)
- 泣いているのを煙草のせいにするその感性がカッコイイ!
男運は 悪くなかった
あんないい人 いやしないもの
(『涙 -Made in tears-』より)
- 出会えたことを幸せに思う前向きな歌詞。
『涙 -Made in tears-』はこんな曲
恋の終わりに涙が出てしまうのは、良い人に巡り会えたという証だ。
失恋が悲しいだけではないことをこの曲は教えてくれる。
男運は 悪くなかった
あんないい人 いやしないもの
男運は 悪くなかった
Made in Tears
(『涙 -Made in tears-』より)
『涙 -Made in tears-』のみんなの感想
中島みゆき
涙 made in tears
歌詞が刺さる人にはゲロ刺さりします— 島の王 (@king_of_utopia) June 22, 2020
10代半ば〜20代前半までは渋谷にいることが多かったから、記憶の中の渋谷と今の渋谷を比べながら歩く。
公園通りの坂を上がる時は、何故かいつも中島みゆきの「涙 Made in tears」のサビを口ずさんでしまう。男運は悪くなかった……
— 柳美里 (@yu_miri_0622) June 25, 2019
中島みゆきに「涙―Made in tears―」というあまり文字にしたくないタイトルの曲があるのだけど、メロディがすごくよくて、整理された哀愁がある。
— Y. MINAMITANI (@YMINAMITANI) September 24, 2016
カバーしたアーティスト
工藤静香
2008年のカバーアルバム『MY PRECIOUS -Shizuka sings songs of Miyuki-』に収録。
⇒工藤静香『涙 -Made in tears-』(レコチョク試聴あり)
高畑淳子
「中島みゆきリスペクトライブ2018 歌縁」の中で、『涙 -Made in tears-』を歌っている。
本人映像
『夜会VOL.3 KAN(邯鄲)TAN』
1991年上演。中国の故事「邯鄲の夢」をモチーフに、クリスマスの夜に見た夢の中で、真実の愛に気づいていく女の姿が描かれている。
幼い子から老婆までを中島みゆき1人が演じている。
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収録アルバム
『グッバイガール』
1988年リリースのオリジナルアルバム。
- 前川清に提供した『涙 -Made in tears-』
- 原発反対運動をモチーフにした『吹雪』
を含む全9曲。
【収録曲】
『野ウサギのように』『ふらふら』『MEGAMI』『気にしないで』『十二月』『たとえ世界が空から落ちても』『愛よりも』『涙 -Made in tears-』『吹雪』
『Singles II』
1987年から1993年までのシングルを収録したコレクションアルバム第2弾。
【収録曲】
『時代』『最後の女神』『ジェラシー・ジェラシー』『兆しのシーズン』『浅い眠り』『親愛なる者へ』『誕生』『Maybe』『トーキョー迷子』『見返り美人 (2nd Version)』『with』『笑ってよエンジェル』『あした』『グッバイガール』『涙 -Made in tears-』『空港日誌』『仮面』『熱病 (2nd Version)』『御機嫌如何』『シュガー』
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