1993年の中島みゆきのシングル『最後の女神』
この曲は、報道番組「筑紫哲也NEWS23」(TBS系)のエンディング曲として中島みゆきが書き下ろした曲だ。
中島みゆきは、この番組に出演し、筑紫哲也と対談している。
その中で、ニュースの特性を考えて歌詞に反映させたことを語っている。
この記事は、
- 『最後の女神』の創作意図
- 筑紫哲也が語る中島みゆきの魅力
- 「僕」という歌詞について
について書いてます!
中島みゆき『最後の女神』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
「筑紫哲也NEWS23」のエンディング曲
『時代』と両A面シングル
『最後の女神』は、報道番組「筑紫哲也NEWS23」(TBS系)の1993年10月~1994年3月のエンディング曲として書き下ろされた。
1993年12月1日に、『時代』と両A面シングルでリリースされている。
「筑紫哲也NEWS23」は、現在放送されている「NEWS23」の前身の番組。
雑誌「朝日ジャーナル」の編集長だった筑紫哲也がメインキャスターを務めた。
2007年に、番組内で肺癌を患っていることを発表し、療養のため入院。
翌2008年3月から、タイトルから「筑紫哲也」の名前が消え、今の「NEWS23」となる。
2008年、筑紫は、闘病の末に逝去した。
創作意図
中島みゆきは、この「筑紫哲也NEWS23」(TBS系)に2回出演して、筑紫哲也と対談している。
初めての出演である1993年11月10日の放送では、筑紫哲也と対談し、『最後の女神』の創作意図を語っている。
日々起こるニュースの目まぐるしさには、自分の時間感覚ではとうてい手に追えない。
ならば、自分は何を拠り所に曲を書けばいいのか?
考えた末、1つの結論に行きついた。
「日々起こることの底に流れているものを見ることが私にはできることかなと思いまして」
日によっては重いニュースもあれば、明るいニュースもある。
その両方に共通するものを書こうとすると、取り留めなくなってしまう。
中島みゆきが書きたかったのは、そのニュースの奥深くに流れている人の心だ。
「願いみたいなものとか、私の憧れてる人間の心の熱みたいなもの。そういうところから出来事は起こってくるんです。その大本のところの歌にしたいなって願いで作ったんですけどね」
心は変わる 誰もが変わる
変わりゆけ 変わりゆけ もっと好きになれ
(『最後の女神』より)
この対談で中島みゆきは、よく比較されがちな松任谷由実との対比で自身の時間感覚を語っている。
時代を読み取るのが早い松任谷に対し、自分は1年とか10年とかという数え方ではない時間の捉え方だと分析している。
筑紫哲也が語る中島みゆきの魅力
なぜ、「筑紫哲也NEWS23」(TBS系)に中島みゆきの曲が起用されたのか?
それは、他ならない筑紫哲也が中島みゆきのファンであるからだ。
筑紫哲也は、デビュー以来ずっと中島みゆきの曲を聴き続けていた。
1994年1月10日放送「中島みゆき3DAYS~もっとみゆきと深い仲」(NHK衛星第2)の中で中島みゆきの印象を語っている。
「こんな小娘になんでこんなことが分かるんだ?」
これが最初の印象だった。
人生経験がそんなに深いはずのない駆け出しの歌手が、言い得た言葉で世界を表現してしまう不思議さがあった。
以来、中島みゆき沼へハマっていく。
海外へ行くときには、いつも中島みゆきの曲が入ったテープを持参した。
冬のベルリンの寂しいホテルで夜中に延々聴いていたときは、耐えがたくテープを止めてしまったことも。
なぜ、そこまでして中島みゆきと向き合うのだろうか?
「行くまで行った時の開放感というかカタルシスというか明るさみたいなものをみゆきさんの世界は持ってると思うんです。そこのないまぜになったところ、つまり、本来は異物のものが混じり合ったところがあの人の歌とキャラクターの大変魅力的な理由だと思いますが」
歌詞の中の「僕」
あぁ あれは壊れたオモチャ
いつもいつも好きだったのに
僕には直せなかった
夢の中で今も泣いている
(『最後の女神』より)
「筑紫哲也NEWS23」(TBS系)での筑紫哲也との対談の中で、中島みゆきは、歌詞の中の「僕」という言葉について触れている。
レコーディングの時、中島みゆきはロサンゼルスのミュージシャンにこう言われた。
「アメリカでは女性の歌は女性の立場で女性の気持ちを歌うことが多いが、あなたの歌はどちらにも取れるような中性的な歌が多く、ときに「僕」という男性の立場の歌詞が見られるのは非常に不思議」
1993年11月3日放送の「FMフェスティバル’93/地球感謝祭~EARTH CARNIVAL」(TOKYO FM)に出演した中島みゆきは、上と同じエピソードを語っている。
歌の中の「僕」について、「男も女も動物も、元を辿れば同じところにいる。そこに、性別という垣根はない」という旨の発言をしている。
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『最後の女神』のみんなの感想
屋根開けて中島みゆきの最後の女神を聴くと元気でる
— 恋あざみ🇮🇹街道踊子 (@koi_azami_3588) October 14, 2021
中島みゆきは最後の女神が一番好きなんよね
報道番組のエンディングにぴったり— ゆ あ さ (@Adriatico125) August 31, 2021
中島みゆきさんの曲は「糸」もいいけれど私は「最後の女神」がめちゃくちゃエモくて好きで、「最後のロケットが君を残し地球を捨てても」のSF的な歌詞と荘厳なメロディーがとても好きなのでこっちもぜひぜひ聴いてほしい。
— おたみ あお (@ota3chi) May 22, 2020
『最後の女神』はこんな曲
報道番組のエンディング曲らしく、発信する側と受け手側の存在が描かれている。
果たして受け止めてくれるだろうか?という発信者の心許なさ。
一方で、信じる力を感じさせる1曲だ。
あぁ あれは最後の女神
まぎれもなく君を待っている
あぁ たとえ最後のロケットが
君を残し 地球を捨てても
(『最後の女神』より)
収録アルバム
『Singles II』
1987年から1993年までのシングルを収録したコレクションアルバム第2弾。
【収録曲】
『時代』『最後の女神』『ジェラシー・ジェラシー』『兆しのシーズン』『浅い眠り』『親愛なる者へ』『誕生』『Maybe』『トーキョー迷子』『見返り美人 (2nd Version)』『with』『笑ってよエンジェル』『あした』『グッバイガール』『涙 -Made in tears-』『空港日誌』『仮面』『熱病 (2nd Version)』『御機嫌如何』『シュガー』
『大吟醸』
1996年リリースのベストアルバム。
デビュー期から1995年までのヒット作を詰め込んだ珠玉の14曲。
【収録曲】
『空と君のあいだに』『悪女』『あした』『最後の女神』『浅い眠り』『ルージュ』『誕生』『時代』『わかれうた』『ひとり上手』『慟哭』『狼になりたい』『旅人のうた』『ファイト!』
『中島みゆき 2020ラスト・ツアー「結果オーライ」』
2022年にリリースされたライブアルバム。
2020年に行われた幻のラスト・ツアー「結果オーライ」の音源を収録。
ライブバージョンの『最後の女神』を聴くことができる。
【収録曲】
『一期一会』『アザミ嬢のララバイ』『悪女』『浅い眠り』『糸』『ローリング』『流星』『最後の女神』『齢寿天任せ』『離郷の歌』『この世に二人だけ』『ナイトキャップ・スペシャル』『宙船(そらふね)』『あたいの夏休み』『麦の唄』『永遠の嘘をついてくれ』『慕情』『誕生』『人生の素人』『土用波』『はじめまして』
⇒『中島みゆき 2020ラスト・ツアー「結果オーライ」』の解説&みんなの感想