1991年の中島みゆきのアルバム曲『南三条』
北海道の南三条を舞台にしたこの曲は、ストーリー性に富んでいて、これまでにドラマや舞台の原案とされてきた。
南三条とは、どういうところなのか。
ドラマ「親愛なる者へ」(フジテレビ系)で使われた歌詞や設定、中島みゆきがこだわった点など、色々みていこう。
この記事は、
- 『南三条』は音楽の街だった
- ドラマ「親愛なる者へ」のモチーフになった『南三条』
- 中島みゆきがこだわった『南三条』のサウンド
について書いてます!
中島みゆき『南三条』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
「南三条」は音楽の街だった
「南三条」とは、北海道札幌市中央区にある地名だ。
碁盤の目のように区画されたこの街は、大通公園を起点に、そこから南の通りを、「南〇条」と呼ぶ。
南一条、南二条、その次にあるのが「南三条」なのだ。
一方、北の方は「北〇条」と呼ばれ、中島みゆきの曲『ミルク32』のモデルになった「コーヒーハウスミルク」は北二十条に位置する。
タウン情報誌「ステージガイド札幌」の編集長を務めていた和田由美は、「南三条」は、かつて音楽喫茶の銀座だったと語っている。
1991年「日刊スポーツ」北海道版のインタビューで、中島みゆきは『南三条』について言及している。
学生時代の中島みゆきは、何かを求めながら、飲み屋と商店が入り乱れるこの通りを歩いていた。
その時の自分を思い出して書いた曲なのだ。
ドラマ「親愛なる者へ」のモチーフ
ストーリー性の強い『南三条』は、1992年に放送されたドラマ「親愛なる者へ」(フジテレビ系)の下敷きにもなった。
ドラマのところどころに、『南三条』の人物設定やセリフが取り入れられている。
例えば、第1話。
主人公の凪子(浅野ゆう子)が、外出先でバッタリかつての恋敵と出くわすシーンがある。
凪子にとっては会いたくない女。
自分が付き合ってた男を横取りして籍まで入れてしまった張本人なのだから。
だが、女は奪ったという意識は1ミリもなく「懐かしい」と笑顔で凪子に歩み寄ってくる。
このシーンは自ずとこの歌詞を彷彿とさせる。
突然袖引かれ見れば
息をきらしてる笑顔
なんてなつかしい、と汗かいて
忘れたい忘れないあの日の女
(『南三条』より)
また、この恋敵は、3才くらいの男の子を連れている。
男との間に出来た子だ。
無邪気に再会を喜ぶこの女に対し、凪子の心の声がモノローグで入る。
「会いたくなんかなかった」
その後の、2人の会話には、『南三条』のエッセンスが盛りだくさん。
「私ふけたでしょ? 凪子さんより年上みたいでしょ?」
「私、奥寺(男の名前)と別れるんです」
会いたかったわ会いたかったわと無邪気はあの日のまま
会いたくなんかなかったわ私は急ぐふり
どこまでゆくのと
背中で眠る赤子を揺りあげながら
私ふけたでしょうあなたより年上みたいねと
(『南三条』より)
戸惑う私に気づいて教える屈託のない声で
あなたの知ってるあの人とは間もなく切れたわと
(『南三条』より)
そして極めつけは、帰り道に凪子が心の声で自分を責めるモノローグ。
「本当に許せないのはあの日あいつを惚れさせることができなかった私……」
ほとんど、以下の歌詞をトレースしたものだ。
許せないのは許せなかったのは
あの日あいつを惚れさせるさえできなかった自分のことだった
(『南三条』より)
ドラマ「親愛なる者へ」(フジテレビ系)は、中島みゆきに彩られたドラマといっても過言ではない。
主題歌『浅い眠り』を始め、劇中には多くの中島みゆきの楽曲が流されている。
また、中島みゆき本人も、産婦人科医というセリフありの重要な役で出演している。
演劇「ラブミーテンダー」のモチーフ
『南三条』は、1991年に、Bunkamuraシアターコクーンで上演された「ラブミーテンダー」の原案にもなった。
「7つの恋物語」というサブタイトルのオムニバス形式で、その1篇が『南三条』の歌詞を下敷きにしている。
「ラブミーテンダー」に出演した吉田日出子は、劇中、中島みゆきに提供された曲『あどけない話』を歌っている。
吉田日出子は、中島みゆきが「夜会」を始めるときに背中を押してくれた恩人だ。
サウンドも中島みゆきのこだわり
1991年「GB」12月号のインタビューで中島みゆきは、『南三条』でこだわった点について明かしている。
この曲を制作する上で、どうしても乾いた風を感じさせるようなドラムの音が欲しかったという。
「北海道人のカラッとした言い方や、札幌の碁盤の目のようになってる道を海から山までサッと吹き抜ける風の感じが欲しかった」
結果、その音を作ってくれたのはロスのミュージシャンだったのだ。
『南三条』はこんな曲
自分の男を奪った恋敵と出くわした時の心境が描かれている。
憎しみの矛先は、惚れさせることが出来なかった自分へと向く。
激しい感情がドラムの音と共に波打つ感じだ。
南三条泣きながら走った
胸の中であの雨はやまない
南三条よみがえる夏の日
あの街並みはあとかたもないのに
(『南三条』より)
『南三条』のみんなの感想
別れた恋人ぢゃないけど、街でバッタリある人に逢ってあわあわ…な曲は、中島みゆきさんの南三条が秀逸…😌💕#福のラジオ
— にっく (@fm26_nic) November 3, 2022
中島みゆきさんの『南三条』、いつも歌詞のストーリーに引き込まれるなあ。この曲の主人公は大人だなと思います。もし私が主人公の立場だったら、『許せないのはあいつを惚れさせられなかった自分』とは最後まで絶対に思えない‼️💦
— うめ☆ (@umeblessing) August 29, 2021
わたしの中で札幌を走る歌といえば中島みゆきの「南三条」しか思い浮かばないので頭の中で南三条リピートさせてる
— ののじ (@honojinonoji) August 7, 2021
本人映像
『夜会VOL.6 シャングリラ』
1994年上演。母親を騙し大富豪のもとへ嫁いでいった女の居所を突き止めたメイ。
メイドを装い女が暮らすシャングリラへと乗り込んでいく。
「夜会」初の完全オリジナルストーリー。
『南三条』をフルで聴く方法
単品購入
収録アルバム
『歌でしか言えない』
1991年リリースのオリジナルアルバム。
- テレビ朝日系「ニュースステーション」のコーナーソング『おだやかな時代』
- パナソニック「ブレンビー」のCMソング『Maybe』
- 国語の教科書に掲載された『永久欠番』
を含む全11曲。
【収録曲】
『C.Q.』『おだやかな時代』『トーキョー迷子』『Maybe』『渚へ』『永久欠番』『笑ってよエンジェル』『た・わ・わ』『サッポロSNOWY』『南三条』『炎と水』
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