1982年3月21日に発売された9作目のアルバムに収録されている
『傾斜』
をみていこう。
中島みゆき『傾斜』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 後藤次利
収録アルバム
『寒水魚』
1982年3月21日に発売された9作目のオリジナルアルバム。
中島みゆきのアルバムの中で最も売れたアルバムで週間オリコン1位、そして、1982年度年間1位を獲得している。
1980年代を代表する『悪女』は後藤次利のアレンジによる別バージョンで収録されている。
他に『鳥になって』『歌姫』などを含む全9曲。
『傾斜』は2曲目に収録。
『いまのきもち』
2004年11月17日に発売された32作目のオリジナルアルバム。
瀬尾一三とタッグを組む前の楽曲をセレクトし瀬尾一三のアレンジによりセルフリメイクした。
『わかれうた』『横恋慕』など、1970~80年代の曲が2004年の「いまのきもち」で中島みゆきが歌っている。
『傾斜』は8曲目に収録。
サンプル盤
オリジナルアルバム『寒水魚』の発売に先だって、そのプロモーションとして、アルバムに収録されている『傾斜』と『捨てるほどの愛でいいから』の2曲のみのシングルが制作された。
こちらは7インチシングル盤で非売品である。
国語の教科書に掲載された
『傾斜』は、角川書店が出版する国語の教科書「高校生の現代文」に掲載されている。
「文体・表現」という単元で扱われた教材で、
「「傾斜」という言葉には何が暗示されているか、考えてみよう」
など国語の教科書らしい課題も添えられている。
なお、中島みゆきの曲は教科書に採用されることが多く、他に掲載された曲には、『誕生』『時代』『永久欠番』などがある。



幻の歌詞
1984年のコンサートツアー『明日を撃て!』の中で傾斜が歌われているが、2番の歌詞が別の歌詞に入れ替わっている。
そのコンサート用の歌詞というのが以下の通り、
「炊ぎの煙が昇っていますね
どこで誰かが たぶん幸せなのですね
どこまで行くのか忘れてしまて
登り坂を探し 彼女はただ登る」
この歌詞に加え、歌唱法もだいぶアグレッシブなため、オリジナルとはだいぶ印象が違っていたようだ。
ちなみに「炊ぎ(かしぎ)」とは「ご飯を炊く」こと。
仁徳天皇が、人里に煙が昇っていないことを民の貧しさの表れだと憂い、3年間の徴税を禁止した日本書紀のエピソード(「民のかまど」)がもとになっているのでは?という見方もある。
歌詞解釈
老婆が傾斜10度の坂道を歩いてく様子を歌った曲。
老婆の風貌について、
「腰の曲がった」
「抜きすぎた白髪の残りはあと少し」
などなど、老いの哀れさを描写したAメロBメロから一転、サビ部分では、曲もろとも印象がガラリと変わる。
「としをとるのはステキなことです そうじゃないですか
忘れっぽいのはステキなことです そうじゃないですか
悲しい記憶の数ばかり
飽和の量より増えたなら
忘れるよりほかないじゃありませんか」
同じ「老い」でも、視点を変えれば解釈が違ってくるという面白い曲だ。
ただ、救いがある曲なのかと問われれば、疑問符がつくところだが。
本人映像
『夜会VOL.3 KAN(邯鄲)TAN』
中国の故事「邯鄲の夢」をモチーフに、1人の女性が一睡の間に、少女から老婆になるまでの一生を夢に見るという物語。
中島みゆきは老婆の姿でこの『傾斜』を歌っている。
物語を通して聴く『傾斜』はまた別の味わいがある。
『傾斜』のみんなの感想
健忘が多くて失敗してしまうことを嘆いていたら17歳が洗濯物を畳みながら「お母さん、中島みゆきの傾斜聞く?」と音楽を流してくれた。
「としをとるのは素敵なことですそうじゃないですか♪」
「忘れっぽいのは素敵なことですそうじゃないですか♪」
あははこれ、私の歌だね、って少し笑いが出る。— 里松 栞帆 (@satomatsu_shiho) December 8, 2020
中島みゆきさんのお歌で『傾斜』なる曲はみゆきさんの思い遣り気遣い、お年を召してゆく人々江のおもいやりたっぷりのお歌で暫くぶりでお聴きして、感動も最高潮?、この字で宜しいのか、に達してそのお歌の素晴らしさを楽しませて頂きました、感動ものお歌をありがとうございます。
— 渡邉 たかし (@mstmusashi2531) November 13, 2020
「ファイト」に限らず、中島みゆきの歌詞には人間の内面を抉り出す様な内容が多い。「それ以上言わないで」には「もしも私に勇気があれば ここで貴方を殺したかった」とあるし、「傾斜」の歌詞も高齢女性の悲哀を歌詞にしている。着眼点と表現力がすごい。
— トルツメ・トルアキ (@marisupo2005) November 8, 2020
#中島みゆき といえば
高校のころ現代文教師に
「お前中島みゆき好きなんだろ、じゃ授業やれ」
といわれて教科書にあった
「傾斜」の授業1時間やった。
ガキだったし字面しかわからんかったがやった。CDかけた。恥ずかしい。でもなんか皆聴いてくれた自由な高校。でも思い出すとやっぱ少し恥ずい— 昼アンドンクラゲ万太郎 (@nageado) May 19, 2020
中島みゆきの「傾斜」、〈としをとるのはステキなことです〉なんて言いつつ、全然そんな雰囲気ないところが好き。老婆が坂を上ろうとし、娘が坂を下りる。冬から春へは坂を下りること、老婆は上っても上っても頂上に辿り着かない。人生は下り坂という悲観。
— Moi (@coffee_moi) March 13, 2020
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