ニッポン放送の「上柳昌彦 あさぼらけ」(毎週月曜朝5:00-6:00、火~金朝4:30-6:00)で、2月17日から5日連続で、中島みゆきがゲスト出演し、上柳昌彦との対談を行っている。
今回はその模様をまとめてみた。
コンサートツアーでのハプニング
2月17日放送分。
「中島みゆきでございます。
おはようございま~す」
朝5時台のラジオ放送とあって珍しく早起きの中島。
ちょうどこの頃、中島みゆきのラストツアーである『結果オーライ』が7公演終わったところということで、まだコロナの影響で中止に追い込まれる前の頃の放送だ。
これまでのコンサートツアーを色々あったなあと振り返る中島。
台風のシーズンは避けていたものの、思わぬ雪などの天候で飛行機が飛ばなかったなど、色んなハプニングに見舞われたことがあったようだ。
「あの大所帯の人数で全員が体仕事なんですよねぇ」
と、その苦労を語る。
今回のツアーでも、舞台監督が腹痛を我慢しすぎてツアー中に盲腸破裂を起こし、公演の合間を見つけて、少しずつ手術を受けたという。
さらに、バックコーラスの杉本和世が、博多で足の骨を折る大怪我を負った。
中島みゆき引退説
2月18日放送分。
「中島みゆきです。
お邪魔いたしてま~す」
ラストツアーと銘打った今回の『結果オーライ』について、巷では「え、コンサート終わっちゃうの?」と憶測が飛び交っているが、このことについて中島みゆきが語る。
事務所の方には「中島みゆき引退か?」というお問い合わせがあったというが、「ラストツアー」であっても「ラストコンサート」ではないとのこと。
もちろん引退はない。
歴代主題歌&挿入歌
ここで過去にテレビ番組の主題歌や挿入歌になった中島みゆきの楽曲へと話題が移る。
上柳が1つめに挙げたのが、『浅い眠り』。
フジテレビ系ドラマ「親愛なる者へ」の主題歌だ。
上柳「(中島さん)出てましたよね?」
中島みゆきが産婦人科役で出演したことでも話題になった。
次に挙げたのが、日本テレビ系のヒットドラマ「家なき子」の主題歌『空と君のあいだに』。
上柳「これは犬っていうのと安達祐実ってのしか聞かずに作っちゃったという」
中島「お話いただいた段階で筋書きも台本も何にもないというのは、あれは記録的なもんでしたね」
「具が大きい」女の子と犬が出ます、以上。
そんな感じで最初は話を受けたのだ。
「具が大きい」というのは当時安達祐実がカレーのCMに出演した時のセリフだ。
「家なき子」の続編「家なき子2」の主題歌は『旅人のうた』。
これも中島みゆきの曲だ。
そして、NHK「プロジェクトX~挑戦者たち~」のテーマ曲『地上の星』。
分厚い企画書がドンと中島みゆきの前に届いたという。
中島「あんなに字の小さい企画書(笑)
私、3週間もたないかなと思いました(笑)こんな地味な話(笑)1カ月後にはさよならかなと思いましたもんね(笑)」
だが予想に反して番組は、多くの人の感動を呼び、5年以上も続いたのである。
それからフジテレビ系ドラマ「Dr.コトー診療所」の主題歌『銀の龍の背に乗って』があり、NHK放送のドラマ「マッサン」の主題歌『麦の唄』。
当時、上柳は、中島みゆきが朝ドラの主題歌を手掛けると聞いてたいそう驚いたそうな。
ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝を描いたドラマだったので、お酒の歌を歌うんだろうなあと上柳は思ったが、予想に反して、出てきた歌は「麦」。
上柳「そうきたか!って思いましたよねぇ」
中島は、北海道が舞台の話なので曲のオファが北海道出身の自分のもとへきたんだろうと思ったそうな。
中島「北海道の人じゃなかったら『米の唄』になってたんじゃないかと思うんです(笑)」
続いて、倉本聰ドラマ「やすらぎの刻~道」の主題歌となった『進化樹』『離郷の歌』『終り初物』『観音橋』。
前作の「やすらぎの郷」の主題歌『慕情』を含めるとなんと5曲もこのドラマシリーズに提供したことになる。
中島「台本の山。
雪崩が起きてなんとかしてよってくらいの台本の量」
中島みゆきは、これらの台本を曲を作る前に全て読んだのだろうか?
中島「(曲に)取りかかる前にとっくに全部(台本が)きてますから。
それは読まないと倉本さんと話ができないと思って、読みました」
これら4曲は、もともと中島みゆきがアルバム用に作っていた曲だ。
レコーディングして形になった曲を倉本聰に(全曲?)聴いてもらい、そこから「イエス」「ノー」で振り分けて残ったものがこの4曲なのだという。
まさにより取り見取りの状態で選出された主題歌たちなのだ。






アルバム『CONTRALTO』について
2月19日放送分。
続いてニューアルバム『CONTRALTO』へと話題は移る。
中島みゆきの音域を表わしているという「CONTRALTO」と書いて「コントラアルト」。
中島みゆきもついこの間まで知らなかった。
本屋でアメリカのジャズシンガーの歴史を書いた本を立ち読みしていたときに巡り会ったコトバなのだという。
中島みゆきのレコーディングは一発勝負なところがあることについても上柳は触れている。
譜面と歌詞を編曲家の瀬尾一三に預けた後は、レコーディング当日までどのようなサウンドにアレンジされたかは中島には知らされない。
「いっせいのせい」という感じで歌と伴奏を合せる時に初めて音に触れるのだそう。
中島「ミュージシャンにつられるのね私。
だからデモテープのときにいっぺん歌ってるんだけど、ミュージシャンたちがそれぞれの思いで弾き始めると、そっちへゴオ~って持ってかれるの」
主題歌の1つ『終り初物』について話題は移る。
この歌詞の冒頭、
「こんな言葉を今どきわかる人がいるかしら」
とあるように、上柳にとっても「終り初物」という言葉は馴染みがない。
辞書によれば、
「野菜や果物で、多く出回る時期が過ぎてから成熟したものを、初物と同様に珍重していう語」
だという。
中島によると、これと同じ意味のコトバが英語にもあるんだとか。
アルバムの英訳歌詞カードには、「END OF THE FIRST FRUITS」とある。
アルバム『CONTRALTO』に収録されている『おはよう』という曲は、糸井重里の対談でも触れられているが、英訳するとその真意がよく伝わってくる。
英訳歌詞カードには、「WAKE UP」つまり「目を覚ませ」という意味。
中島みゆきのアルバムには英訳のカードがつけられているが、なぜなのだろうか?
中島「歌詞ってすごく省略形なのね。
誰のことか分からなくなってくらい、ちょん切ってんのね」
その点、英語は主語・述語をハッキリさせる言語なので、大きく混乱しないように手がかりとして英訳を用意してあるのだという。
2/20日放送分。
続いて、アルバム『CONTRALTO』に収録されている『ルチル (Rutile Quartz)』の曲について。
ルチルとは金色の繊維みたいなのが中に入っている水晶のことだそうで。
中島「糸井重里さんに、あの金色の筋のことを針ショウガって言われたの。
あれいらい食べものみたいな齧ってみようかかって気持ちになっちゃいましたけどね(笑)」
続いて『歌うことが許されなければ』。
中近東みたいなアレンジが上柳には印象的だった。
この曲は難民キャンプに収容された人々のことを歌っている。
中島はそれを瀬尾一三に、
「難民の気持ちになってアレンジしてください」
とその旨を伝え、このようなサウンドが出来上がったのだ。
続いて『齢寿天任せ』。
雅楽の笙が用いられ極めて和のテイストのこの曲。
続いて『観音橋』。
「やすらぎの刻~道」の主題歌の1つ。
その土地で暮らす者と部外者とのドラマの話とまるでリンクする曲。
続いて『自画像』。
「デリカシーに欠ける女」
「エゴイストなだけの女」
実は、どれも中島みゆき自身のことを歌っているのだ。
中島「まんまですからねぇ。
たまにはちょっと反省(笑)」
続いて、上柳が一番のお気に入りだという『タグ・ボート(Tug Boat)』。
大きな船を移動させるための小さな船のことを歌った曲。
中島「船は小さいし、ボロいし、油まみれで汚れているし、でも、それくらい誇りだって生きがいだってあるはず」
そんな中島みゆきの想いが込められている。
続いて、「やすらぎの刻~道」の主題歌の1つ『進化樹』。
このイントロ部分は中島みゆき自身が書いたものの。
イントロは基本瀬尾一三の領域であるが、これに限らず時々、中島自身が提案するこういうケースもあるのだという。
中島「頼めばね、『壮大なイントロつけてください』って言えば壮大なイントロつけてくれるけれども、『これはチマ~っといきたいのでこんな感じでチマ~とお願いします』ってのが書いてあるのもある」
「やすらぎの郷」にドラマ出演
実はこの「やすらぎの郷」シリーズには中島みゆきも出演している。
倉本聰と中島みゆきが夫婦役としてカメオ出演しているのだ。
中島「メールが来たんですよ、倉本さんから(笑)」

『夜会VOL.20 リトル・トーキョー』について
続いて、『夜会VOL.20 リトル・トーキョー』へと話題は移る。
拝見した上柳は、
上柳「小説になりますよね!」
パンフレットをみると、物語には出てこないがバックボーンが精密に作り込まれている。
中島みゆきがこの話を書くきっかけになったのが白い狼。
絶滅されたとされる北海道の狼がもしかしたら絶滅してはないのではないか?という説があり、調べていくうちに世界中で色んな狼が絶滅しているという事実が分かり、
「狼のことやりたいな」
と思い立ったのだ。
中島みゆきはこれまでに小説や絵本など、様々なスタイルの書籍を発表しているが、その執筆の風景を上柳が尋ねた。
上柳「ペンで書くんですか?
パソコンで書くんですか?」
中島「ワシ、パソコン持ってないから」
パソコンの代わりに鉛筆で書いているのだ。
中島「2Bから4Bの間ですね」
力を入れずに書けるからというが、その代わり手が真っ黒になるんだそう。
脚本、演出、歌、全てにおいて手掛けている中島だが、脚本の立場で書いたセリフやト書きが、演じる側に立った時に体が受けつけないというジレンマに毎回陥ると語る。
中島「寝そべって歌うとヨダレ出るんですよ」
そんな時、役者中島みゆきは、脚本家の中島みゆきのせいにするのだ。

中島みゆきとラジオ
話題は中島みゆきとラジオの関係に移る。
多くの人は歌とラジオの中島みゆきのギャップに驚くのだが、中島みゆきは言う。
中島「ニッポン放送の玄関入るとね、その空気に影響されるの」
ニッポン放送に入るまでは至って普通のテンションなんだとか。
ラジオ用の独特の雰囲気はいつから身に着いたものなのだろう?
上柳「デビュー当初からラジオやってらっしゃるんですけど、最初の頃はそのテンションだったんですか?」
中島「大阪の番組で鍛えられましたかね」
中島みゆきがパーソナリティを務めた「ミュージックマガジン」というラジオ番組だ。
受験生だった中島みゆきとラジオ
上柳が小耳に挟んだ情報によると、中島みゆきがまだ北海道在住だった頃、北海道で大阪
MBSの番組「ヤングタウン」を受信して聴いていたんだとか。
中島みゆきが語るところによると、十勝の方にいた時には大阪の電波が海を超えて北海道へ届き、しかも入りがよかったのだそう。
その時聴いていたのが、笑福亭鶴瓶や笑福亭鶴光の声だ。
中島「受験勉強と称してラジオ聴いている世代ですから(笑)」
受験期の頃の中島は、もちろん目の前の勉強に一生懸命で、その後ラジオに自分がDJとして出るなんて考えは1つも過らなかったという。
中島「その頃は私、『スチュワーデスさんになりたい』なんて普通に夢見てましかたらね(笑)
飛行機のドア開けたとたんに人格変わったりなんてね(爆笑)」
近眼の壁でダメだったというが、もし彼女の視力がよかったら我々の知っている中島みゆきは存在しなかったということだろうか。
ここでお時間。
中島「ありがとうございます。
ぜひまた」
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