1990年8月21日に発売された25作目のシングル
『with』
についてみていこう。
この曲が映画『息子』のイメージソングとなった経緯をまとめてみたぞ。
中島みゆき『with』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
映画『息子』のイメージソング
『with』は、1991年公開の日本映画『息子』のイメージソングになっている。
ちなみに本編でこの曲は流れていない。
なぜ『with』がイメージソングに?
『with』はこの映画のために中島みゆきが書き下ろしたものではない。
『息子』の監督である山田洋次が、中島みゆきがコンサートでこの曲を手話を交えて歌っていると聞き、イメージソングに使いたいと思ったという。
1991年の『月刊カドカワ』で山田洋次は中島みゆきと対談し、このことについて語っている。
『息子』は、東京でフリーター生活をしていた青年(永瀬正敏)が、聴覚障碍の女性(和久井映見)と恋に落ち、母親の一周忌に岩手県の実家へ戻った時に父親にその女性を紹介するというストーリー。
その劇中、父親が酔っぱらって歌を歌うシーンがあるのだが、山田洋次は、これを撮影しながら、「聴覚障碍者は歌をどのように感じているのだろうか」と考えていたという。
そんなところで『with』という曲に出会った。
「この曲と映画がぶつかり合うと不思議な味が出るんじゃないか」
山田洋次はそう直感したらしい。
なぜ手話で歌ったのか
では、なぜ中島みゆきは『with』を手話を交えて歌っていたのだろうか。
『月刊カドカワ』の対談で中島みゆきはこの点について触れている。
手話は『with』の歌詞から思いついた試みだった。
「僕のことばは意味をなさない」という歌詞にあるように、どんなに言葉を尽くしても伝わらないことがある。
だけど、言葉に頼らず相手に気持ちを伝える方法はいくらでもあるのではないか。
その1つとして提示したのがこの手話だったのだ。
香港で中島みゆきが耳にした『with』
1995年12月号「月刊カドカワ」のインタビューの中で、香港で『夜会VOL.6 シャングリラ』のビデオ撮影を行っている最中にラジオから『with』が流れてきてビックリしたエピソードを語っている。
撮影は香港の田舎で行われ、その撮影中に、ポツポツ建っていた家から聞こえてきたのだ。
中島みゆきが偶然聞いた『with』はサミー・チェンによるカバーで中国語で歌われていたが、イントロですぐに曲が分かったという。
「香港の方々が私の曲を聴いてくださってるっていうのは聞いてたんですけど、メイクして衣装着てメイの役やってるその時に、いきなり後頭部にが~んと『with』ですから」
歌詞の内容
そんな『with』の歌詞だが、「僕のことはば意味をなさない」という言葉の無力さや、「みんな自分のことで忙しい」という冷えきった世の中で孤独を感じる「僕」という視点で描かれている。
この僕が救いにしているのは「君の名」。
「淋しさと虚しさと疑いとのかわりに」君の名を綴る。
「意味をなさない」僕の頼りない言葉と違って、大きな意味を持つ「君の名」。
それを「with◯◯◯」と綴るのである。
収録アルバム
『夜を往け』
1990年6月13日に発売されたアルバム『夜を往け』。
『with』はもともとこのアルバムに収録されたものだが、後に映画『息子』のイメージソングとしてシングルカットされリリースされている。
このアルバムにはKDDのCMソングに使われた『あした』やサスペンスドラマの主題歌にもなった『夜を往け』が収録されている。
『Singles II』
1994年4月21日に発売されたコレクションアルバム第2弾。
1987年『御機嫌如何』から1993年『時代』までの10枚のシングル曲を収めたアルバム。
『with』のカップリング曲『笑ってよエンジェル』も収められている。
他には『浅い眠り』『誕生』『最後の女神』など代表曲盛りだくさん。
『大銀幕』
1998年11月6日に発売されたベストアルバム。
『with』も含めて『糸』『命の別名』『世情』など全曲がドラマ・映画のタイアップソングとなっている。

映像
『歌旅~中島みゆきコンサートツアー2007~』
2008年6月11日に発売されたライブDVD(2011年3月16日Blu-ray発売)。
2007年に行われたコンサートツアー。
12月18~19日に行われた東京国際フォーラムでの模様を映像に収めたDVD&Blu-ray。
こちらで歌われている『with』も手話を交えている。
その手の動きは「with LOVE」と伝えているらしい。
『with』のみんなの感想
#なうぷれ
with/中島みゆき
この曲を聞くとじんわりする。はぁ、あしたも生きようね。— みなと(港) (@ya_suisanda_ru) June 3, 2020
私は音楽依存症。
今、いちばん聴きたいのは
中島みゆきさんの『with』コロナが終結に向かい
カラオケ店が営業を始めたら
最初に歌いたいと思う曲です。優しくならなきゃ誰も救えない。
— 智子 (@happy_go_38) May 24, 2020
中島みゆきさんの曲で一番好きなのはWITHだな…。RPGの主人公っぽい歌詞が好き。
— あっ (@akikomanaiyo) January 31, 2020
父が死に葬儀もできずどうにもやり場のない気持ちを抱える中、中島みゆきを聴くことで、涙を促進している自分に気づく。父の死は父の死なので他の何物も介在させたくないが、理想ほど悲しみきれぬ最低な自分もおり、堰き止めていたダムを取っ払って欲しいなどと思いながら、withと誕生を聴いている。
— さつき@夜明け間際 (@yakeato_box) December 21, 2019
中島みゆきさんの「with」
鬼龍院さんが誰に聴かせるでもなく歌う曲だそう。とてものびのび気持ち良さそうに歌ってた✨
私はカラオケBOXのソファになりたいと、心から思った笑
— ぴろ (@hirobeem57) November 25, 2019
『with』はこんな時に歌おう
カラオケで意中の相手に匂わせるように歌おう。
勇気がある人は、「with」の後に、さりげにその人の名前を付け加えて歌っちゃおう。
『with』はサブスク(定額制)でも聴ける
2020年1月8日よりついにサブスクリプション(定額制)で中島みゆきの曲を聴けるようになった。
『Amazon Music Unlimited』に登録すれば、月額980円(プライム会員は月額780円)で中島みゆきのシングル曲(カップリング含む)が聴き放題。
(※1975年版『時代』、映画主題歌バージョン『瞬きもせず』は含まない)
もちろん中島みゆき以外のアーティスト曲も聴くことができる。
その数、6500万曲以上。
30日間の無料お試し期間があるので、ぜひ一度試していただきたい。
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