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中島みゆき『DRAMA!』の全曲解説&みんなの感想|『SEMPO 〜日本のシンドラー 杉原千畝物語〜』のどのシーンで歌われたか

劇

2009年11月18日に発売された36作目のオリジナルアルバム
『DRAMA!』
をみていこう。

中島みゆき『DRAMA!』の特徴

 

『DRAMA!』(レコチョク試聴あり)

2008年に上演されたミュージカル『SEMPO 〜日本のシンドラー 杉原千畝物語〜』と2008~2009年に上演された『夜会VOL.15 〜夜物語〜元祖・今晩屋』『夜会VOL.16 〜夜物語〜本家・今晩屋』の2つの「ドラマ」のために書き下ろされた全13曲。

『SEMPO 〜日本のシンドラー 杉原千畝物語〜』への中島みゆきの思い

『SEMPO 〜日本のシンドラー 杉原千畝物語〜』吉川晃司主演のミュージカル。

中島みゆきがこのミュージカルのために6曲を書き下ろし、提供している。

吉川は中島みゆきの曲を歌うことについて、

「実際に歌ってみないと分からない部分もあるけど、楽しみですね。
 傷だらけの中島みゆきになるのか、暴れる中島みゆきになるのか」

と胸膨らませた。

杉原千畝とは?

このミュージカルのモデルとなった杉原千畝とはどんな人物なのだろうか?

第二次世界大戦中、当時、杉原千畝はリトアニアの日本国総領事館に赴任していた。

ナチス・ドイツの迫害から逃れてきたユダヤ人の命を救うために、日本の外務省の命令に逆らないながらも、ビザを発給し、ヨーロッパから逃れる手伝いをした。

後に、その勇断が称賛され、杉原は強制収容所のユダヤ人を雇用することで命を救った実業家オスカー・シンドラーにちなんで「日本のシンドラー」と呼ばれるようになった。

中島みゆきの杉原千畝への思い

中島みゆきは、このミュージカルが上演されるにあたって以下のコメントを寄せている。

「現代の民族紛争にも通ずるデリケートな作品ですが、私はただ一点、「人間として」という立場を貫いたSEMPO氏への敬意に基づいてのみ詞曲を書かせていただきました」

また、2009年12月5日放送「中島みゆきのラジオ昼間便」(NHK-FM)の中でも、杉原千畝のことに触れている。

当時の世界情勢の中で下した杉原千畝の決断は大変なことだったと述べている。

また、提供した楽曲については、杉原千畝を直接知っているわけではないので、もし後に自分がある形で歌うことになった場合に、責任を持てる範囲内で曲を書いたと述べている。

『夜会VOL.15 〜夜物語〜元祖・今晩屋』『夜会VOL.16 〜夜物語〜本家・今晩屋』について

日本の童話である「安寿と厨子王」をモチーフにして作られているが、それを本作の「夜会」で読み取ろうとするのは難解。

中島みゆき曰く、「今」に移すことで掛詞のような謎解きがあるという。

輪廻転生や東洋思想を踏まえた本作は、出てくる単語が聞き慣れないものが多いのでふんだんにフリガナを振る配慮が施されている。

『DRAMA!』のみんなの感想

曲解説

『翼をあげて』

『翼をあげて』(レコチョク試聴あり)

ミュージカル『SEMPO 〜日本のシンドラー 杉原千畝物語〜』のテーマ曲の位置づけ。

劇中では、色んなしがらみを断ち切ってビザを発給することを決心した杉原千畝とその妻の幸子によって、歌われている。

また、迫害から逃れヨーロッパから脱出しようとするユダヤ人たちの合唱でも歌われるシーンがある。

静かなイントロから曲が進むにつれて大団円のように盛り上がっていく構成は実にミュージカルらしい。

歌詞解釈

立ちはだかる壁を超えてゆくにはリスクを選び取らなければならないこともある。

杉原千畝が下した決断と重なる。

「怖れは消えはしない 生きる限り消えない
 迷え 選べ 己れが最も畏れるものを 選べ
 翼をあげて 今ゆくべき空へ向かえ
 翼をあげて 向かい風の中」

『こどもの宝』

『こどもの宝』(レコチョク試聴あり)

ミュージカル『SEMPO 〜日本のシンドラー 杉原千畝物語〜』の中では、杉原千畝が悩みの末にビザを発給することを決心するシーンで歌われている。

歌詞解釈

子供だった自分と向き合い、当時、願っていたことと、今の自分が願うことが果たして同じだろうか。

この先の決断のヒントを昔の自分に求めている。

「見覚えのある あの少年が
 遠い昔を抜け出して
 私を見上げる 私は目を逸らす
 教えてやれることは まだ無い」

『夜の色』

『夜の色』(レコチョク試聴あり)

ミュージカル『SEMPO 〜日本のシンドラー 杉原千畝物語〜』の第1幕で歌われた曲。

杉原千畝が赴任先のリトアニアへ向かう直前、千畝の妻・幸子とその妹の節子がフィンランドの白夜の空を見上げながら歌っている。

歌詞解釈

光なのか闇なのか、どちらに捉えるべきか白夜の空を見て判じかねている。

同様に、この先の未来がどう転ぶか不安定さを孕んでいる。

「君のひそむ夜の色を 何んと呼べばいいのだろう
 光は希望か 闇は恐ろしいか
 それなら この白い夜はどうだ」

『掌』

『掌』(レコチョク試聴あり)

「てのひら」と読む。

ミュージカル『SEMPO 〜日本のシンドラー 杉原千畝物語〜』では、杉原千畝が国からの命令に背いてビザを発給するべきか己の無力に悩むシーンで歌われている。

歌詞解釈

幼い頃はこの手で何もかもを掴むつもりで未来へ夢膨らませていたが、今、その手にそんな輝きは見る影もない。

自分の手が無力であることを嘆きつつも、今この手に何ができるのか自問自答している。

「この掌で支える何かがあろうか
 ひれ伏す地面に両の掌をつく以外に
 この掌で守れる何かがあろうか
 打たれる我が身を両の掌でかぼう以外に」

『愛が私に命ずること』

『愛が私に命ずること』(レコチョク試聴あり)

ミュージカル『SEMPO 〜日本のシンドラー 杉原千畝物語〜』の中では、ナチス・ドイツの迫害から逃れるためにポーランドを脱出するユダヤ人青年と、故郷にとどまろうとする恋人の女性のデュエットで歌われる。

この曲が劇中で男と女のどちらで歌われるか分からないと知らされていた中島みゆきは、デモテープでは宮下文一に歌を吹き込んでもらった。

中島みゆきは、この曲は男の人が歌ってもそれなりに味わいがあると語っている。

歌詞解釈

離れ離れになってしまうことも、それが愛ゆえのことであれば意味のある寂しさなのだ。

迫害から逃れるユダヤ人の恋人たちにとって、何に従うかで愛の意味が変わってくるのである。

「心には翼がある
 さまよう民となって離れるときも
 2つのかけら遠く呼び合うだろう」

『NOW』

『NOW』(レコチョク試聴あり)

物語のラストに杉原千畝とユダヤ人難民たちによって感動的に歌われた。

まさに大団円という曲で、ダイナミックな盛り上がりを見せている。

歌詞解釈

「今」とは過去と未来を繋ぐ大事な中継地点。

暗い過去から望みある未来を切り拓くには「今」決断すべきなのである。

杉原千畝のように。

「煩いを捨て 企みを捨て
 我等は何を見つめるだろう
 今 ここは過去と未来つなぐ
 Right NOW」

『十二天』

『十二天』(レコチョク試聴あり)

ここからは『夜会VOL.15 〜夜物語〜元祖・今晩屋』『夜会VOL.16 〜夜物語〜本家・今晩屋』に書き下ろされた曲。

まず1曲目はこの曲。

「十二天」とは仏教用語で天界に住む神々の12種類の総称。

それぞれの方角を守っている。

天が落っこちてしまうほどのそのド迫力の歌唱にも注目。

歌詞解釈

それぞれの方角やそこを護っている神々を列挙している。

「毘沙門天から 焔魔の天へ
 風の天から 火の天へ」

『らいしょらいしょ』

『らいしょらいしょ』(レコチョク試聴あり)

2009年12月5日にNHK-FMで放送された「中島みゆきのラジオ昼間便」の中で中島みゆきは、幼いころに手毬をつきながら歌っていた歌が「らいしょらいしょ」というこの曲だったと明かしている。

当時は何も意味など分からず歌っていたが、そのうち、「らいしょ」が「前生、今生、来生」の「来生」のことではないかという考えに至ったという。

ちなみに劇中でも手毬歌として歌われている。

歌詞解釈

ニチョウメノニスケサンなど所々に「数」を散りばめ、さらにその語調の小気味よさなど、昔ながらの数え歌の雰囲気をまとっている。

「来生 来生 前生から今生見れば 来生
 彼方で見りゃ この此岸も彼岸」

手毬
『らいしょらいしょ』は中島みゆきの幼児体験が基になっていた2009年11月18日に発売された36作目のアルバムに収録されている 『らいしょらいしょ』 をみていこう。 中島みゆき『らいしょら...

『暦売りの歌』

『暦売りの歌』(レコチョク試聴あり)

劇中では随所で歌われている曲。

歌詞解釈

「新しき古え」など逆説的な表現が多く、中島みゆきの暦や時間の捉え方が面白い。

「暦はいかが 新しき古えを
 暦はいかが 1生1度の1日を」

『百九番目の除夜の鐘』

『百九番目の除夜の鐘』(レコチョク試聴あり)

除夜の鐘というのは108という煩悩の数だけ鐘をつくのだが、36類を前世・今世・来世の3つに配分して、36×3=108ということである。

前世・今世・来世というのが、劇中でも描かれている輪廻転生と通じる。

歌詞解釈

煩悩が108で終わるという保証はどこにもない。

もしも109番目以降も除夜の鐘が鳴り続けるというのなら、我々はその辺どうやって折り合いつけて生きていけばいいのだろう。

「百九番目の除夜の鐘 鳴り止まなければどうなろうか
 このまま明日になりもせず このまま来生になりもせず」

『幽霊交差点』

『幽霊交差点』(レコチョク試聴あり)

「夜会」では魚が泳ぐ水の底と思われるところで歌われている。

この捉えどころのない歌が異空間をさらに浮世離れさせている。

『海に絵を描く』

『海に絵を描く』(レコチョク試聴あり)

「夜会」では前生の記憶を失った男がこの歌を歌っている。

前生での大切なことを今生になって思い出そうとするが思い出せない。

そんなもどかしい状況で歌われている。

歌詞解釈

記憶は失えば捨てたものとなり、約束は消えれば嘘となってしまう。

海に絵を描くようにそれは儚く頼りないことなのだ。

「海に絵を描く 絵具は涙
 海が絵を呑む 記憶は逃げる
 忘れたものは 捨てたものと同じことになる」

『天鏡』

『天鏡』(レコチョク試聴あり)

「夜会」ではラストに歌われている。

2009年12月5日に放送された「中島みゆきのラジオ昼間便」の中で、この曲について触れている。

中島みゆきは寺モノの話を書こうと思っても、自分の力では及ばない大きな力があり、そこへ委ねたと語っている。

歌詞解釈

天にある鏡はこの世の人々の営みを天で映しているようで、また、人が踏み込めない領域なのだ。

「その鏡に映るものは 置き忘れた約束と
 その鏡に映るものは 通り過ぎて気が付く誤ち」

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中島みゆきが好きで、人よりちょっと詳しいだけが取り柄の人間やってます。