1979年3月21日に発売された5作目のオリジナルアルバムに収録された
『狼になりたい』
をみていこう。
歌詞に出てくる吉野家と中島みゆきの関係を深掘りしていくぞ。
中島みゆき『狼になりたい』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 福井峻
収録アルバム
『親愛なる者へ』
1979年3月21日に発売された5作目のオリジナルアルバム。
マツコ・デラックスもお気に入りの名曲『タクシードライバー』も収録されている。

ベストアルバム『大吟醸』
『狼になりたい』は、シングル曲でも何かのタイアップ曲というワケではないけれど、他の中島みゆきの代表曲&ヒット曲に引けを取らない楽曲の一例として、このベストアルバムの曲目に選ばれる運びとなった。

江角マキコのCM曲に
シングル曲でもタイアップ曲でもない地味な一曲として選ばれた『狼になりたい』だったが、『大吟醸』が発売された翌年の1997年に、大塚製薬のCMで江角マキコとコラボしている。
CMの内容は、うっぷんが溜まったОLがもぐらたたきを叩きまくり、翌朝、栄養ドリンクを飲みながらスッキリとした顔で会社へ向かって歩いていくというもの。
このBGMに『狼になりたい』が使われている。
ライブアルバム『歌暦』
1987年に発売されたライブアルバム。
1986年に行われた両国国技館でのライブを収めたアルバム。
御乱心の時代に行われたライブなので、サウンドが垢ぬけた感じになっている。
「御乱心の時代」とは1980年代中期から後期にかけて、中島みゆきが新たなサウンドや作風を模索していた時代。
この時期を経て、『空と君のあいだに』や『地上の星』など、その後のヒット作が生まれている。
中島みゆきがライブで歌いたい一曲
『狼になりたい』は中島みゆきがライブで好んで歌う一曲だという。
どんな気持ちの状態でも安定して歌えるというのがその理由らしい。
吉野家の店の風景を歌った『狼になりたい』
出だしでいきなり「夜明け間際の吉野屋」が登場しているこの歌。
ちなみに「吉野屋」は字こそ違うが、日本のそこらじゅうにあるチェーン店「吉野家」のことを指している。
店内にいる客たちの様子が生々しく描かれていて、彼らと比べて今この席にいる「よれよれ」の「アロハ」を着た自分(主人公)の惨めっぷりをひがんだ歌となっている。
吉野家と中島みゆきの関係
週刊ポストが報じた中島みゆき
中島みゆきは、吉野家をこよなく愛している歌手として有名。
2004年BSE問題で吉野家が牛丼の販売を中止した際、『週刊ポスト』が「中島みゆきが吉野家の牛丼を買い占めている」と根も葉もないニュースを報じるほどだ。
2003年、BSE(牛海綿状脳症)という疫病にかかった食用牛がアメリカワシントン州で発見されたため、日本政府はアメリカ産牛肉の輸入を禁止した。
牛肉をアメリカ産に頼っていた吉野家は、これにより、看板メニューである牛丼を販売できなくなってしまう。
この時期は、豚キムチ丼やマーボー丼などの新メニューを加えて展開していった。
オールナイトニッポンでも吉野家
中島みゆきは1979年4月2日の『中島みゆきのオールナイトニッポン』初回の番組内で、『狼になりたい』の曲の中に吉野家を登場させたことにちなんで、吉野家の牛丼を食している。
この時、中島みゆきは、
「吉野家の漬物がパックの形のまんま出てくるのをなんとかして欲しい」
と、なかなか通らしい注文をつけている。
他にも、テイクアウト用の牛丼は、牛肉とご飯を別の容器にしてもらった方がいいという裏技まで披露している。
こうすることで、ご飯が伸びないんだとか。
吉野家側は、曲の中に店の名前を入れてくれたことを「宣伝になる」と喜び、感謝の意を表して『中島みゆきのオールナイトニッポン』の番組宛てに制服一式を贈った。
これに中島みゆきは大喜び。
その日の放送内で制服を着て、長靴まで履いて、その格好で、この日初対面となる松任谷由実との対談に臨んでいる。
松任谷由実が影響を受けたという『狼になりたい』
その松任谷由実が、1979年に12月1日に発売したアルバム『悲しいほどお天気』。
この中に収録されている『影になって』という曲の中で「ドーナツ屋」という歌詞が出てくるが、これは『狼になりたい』の「吉野屋(吉野家)」に対抗したものである。
『狼になりたい』をカバーしたアーティスト
根津甚八
1979年に発売されたアルバム『ル・ピエロ』に収録されている。
不器用な感じの歌声が、夜明け間際の吉野家とちょっと擦れた感じの主人公によく馴染んでいる。
こちらのアルバムには、同じく中島みゆきが作詞・作曲を手掛けた『ピエロ』も収録されている。
『狼になりたい』のみんなの感想
中島みゆきさん「狼になりたい」
14歳の自分にガツンときたアルバム「親愛なる者に」、吉野家も知らんかったし、人間模様が痛かった
夕暮れで聞いたレコード、ナツい😢#musicj
— 東区の鯉 (@higasikunokoi) May 28, 2020
中島みゆきの狼になりたいを口ずさむが、真夜中の牛丼屋でビールを呷る生活など今はもう遠い夢。
— y_mat2009@Censored (@y_mat2009) April 22, 2020
1980年に吉野家が倒産。今の明るい雰囲気からは想像も出来ないけど、この頃の吉野家はまずくて、店員も殺伐として陰気なムードだった。中島みゆきの『狼になりたい』の「夜明け間際の吉野家では」って歌詞は、陰気な店のそんな時間にいる人間は相当に訳ありってことでリアリティがあった。
— 懐かしい昭和時代 (@natsukashi__) April 9, 2020
中島みゆき 『狼になりたい』
歌詞に吉野家がでてくるんだ カウンターに座って蛍光灯に照らされる深夜の牛丼が浮かんできます#痛快J太郎— ゆらちゃん🌦 (@rousokunomi) March 19, 2020
中島みゆきの狼になりたい聞いてるけど、今聞くとあんなに美人なのにこんなに独身おっさんの気持ちを書けるってマジでかなりすごいなぁって思った
— u16 (@likefoolish) January 11, 2020
『狼になりたい』はこんな時に聴こう
笑い声が絶えない賑やかな飲食店の中で1人孤独を噛みしめているときに『狼になりたい』を聴こう。
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