1995年10月20日に発売された23作目のオリジナルアルバムに収録された
『泣かないでアマテラス』
をみていこう。
中島みゆき『泣かないでアマテラス』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
『夜会Vol.4 金環蝕』のために作られた楽曲
1992年に上演された『夜会Vol.4 金環蝕』。
アメノウズメという日本神話に出てくる歌と踊りを司る女神をモチーフにしたストーリーだ。
この劇中で歌われる曲が『泣かないでアマテラス』。
この『夜会Vol.4 金環蝕』のために書き下ろされたもので、劇全体に断片的に歌われている。
ラストで力強い舞で歌う場面は、『夜会』の特集が組まれるととかくフォーカスされるほど有名。
誰の視点から歌われているのか?
タイトルや歌詞からアマテラスに呼びかけるような歌であるが、では、誰からアマテラスへ呼びかけているのだろうか?
ほとんど歌だけで紡がれる劇なので、その辺の詳しい説明はされていないが、ほぼアメノウズメと断定できる。
アメノウズメとアマテラスの立ち位置
日本神話によると、アマテラスは、弟スサノオの暴力に恐れて(or怒って)岩戸に隠れてしまう。
そのせいで世界は闇に包まれてしまい、神々はあの手この手でアマテラスを引っぱり出そうとする。
そんな中、伏せた桶の上で足を踏み鳴らし、胸や陰部をさらけ出して踊り出したのがアメノウズメ(最古のストリップショーと呼ばれる)。
周りの神々がその滑稽な舞いを見て大笑いした。
これが功を奏したようで、賑やかな声を疑問に思ったアマテラスは、天岩戸の扉を少し開けて、外の様子を覗こうとした。
その隙を狙って、天手力男神がアマテラスを引きずり出したのである。
この足を踏み鳴らして踊るというのが舞台のラストのそれと重なる。
天文学者から真っ赤な衣装へと変貌したあの踊り子は、アマテラスと誤解する人もいるようだが、あれはアメノウズメである。
「低く腰を落として足を踏みとどろかす」
日本神話にあるくだりが、まさにそれと合致する。
中島みゆきによる視点を加えた
つまりアメノウズメは、アマテラスを表に引っぱり出すために一役買ったワケだ。
中島みゆきは、暴力に恐れて岩戸へ隠れたアマテラスが、またも暴力によって引きずり出されるというオチが納得いかずに、アマテラスの気持ちに目を向けたという。
歌の中に強引さが見えず、アマテラスの気持ちに寄り添っているように聴こえるのはそのためだろう。
モールス信号の「Z」がリズム
『夜会Vol.4 金環蝕』のラストに歌われる『泣かないでアマテラス』は、イントロがコツコツと床を叩く音で始まる。
「トン、トン、トントン」
次第にそれに足踏み、足につけた鈴の音が加わる。
「トン、トン、トントン」
このリズムは、モールス信号の「Z」を表している。
あらゆる信号を打ち続け、あらゆるアルファベットを打ち続け、その最後の文字が「Z」。
天文学者に扮した中島みゆきがモールス信号の「Z」のリズムに合わせて足を踏み鳴らしているのだ。
西田ひかるも観ていた夜会
1999年12月7日にNHK衛星第2で放送された『夜会の冒険』の中で、タレントの西田ひかるが『夜会Vol.4 金環蝕』の感想を述べている。
彼女が最も印象に残ったシーンに『泣かないでアマテラス』を挙げている。
「アフリカのダンスのような全身を使った力強い踊り」
そう話す西田ひかるは、過去に中島みゆきから『きっと愛がある』という曲(歌詞のみ)の提供を受けている。
「あるある・る・る愛がある」
中島みゆきのイメージとはかけ離れたポップな歌詞から、周りからはたいそう驚かれたそう。
夜会には、そんな中島みゆきの意外な面が多くみられると西田は語る。
収録アルバム
『10 WINGS』
1995年10月20日に発売されたアルバム。
『夜会』のために書き下ろした曲が収録されたアルバム。
『夜会』のテーマ曲である『二隻の舟』や以前のアルバムで既に発表した『Maybe』や『ふたりは』もリメイクされ収録されている。
『泣かないでアマテラス』は3曲目に収められている。
映画『スワロウテイル』の劇中歌
1996年に公開された岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』。
この劇中で『泣かないでアマテラス』が流れている。
主演のCHARAが雑誌記者役の桃井かおりに車中で問い詰められるシーンでカーラジオから『泣かないでアマテラス』のイントロ部分が流れるという演出。
その後、この曲を背景に銃撃を受けるなど、映像とのちぐはぐさが印象的なシーンだ。

(本ページの情報は2020年8月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。)
『泣かないでアマテラス』のみんなの感想
夜会の金環蝕だと「泣かないでアマテラス」とか凄くよかったね #中島みゆき
— Kei Nishikawa (@KeiNishikawa3) July 21, 2020
で、散々自分の辛さと向き合ったら泣かないでアマテラスを聴いて、うん…泣いて終わらない…!って、気づいたら少し微笑んでいる自分に気づく。人は十分辛くて幸せになるんですもんね。 #中島みゆき
— 銀ちょび@ココナラで占い出品中 (@ginchovi) July 21, 2020
中島みゆきさんの歌で「泣かないでアマテラス」と言う歌がある。
歌詞の中の「アマテラス」のフレーズを親しい人に置き換えたら、このコロナ禍の応援歌に思えてきた。
我が友よ、でも、弟よ、でも、おじいちゃん、でも、お母さん、でも。— 佐藤誠 (@makoto_sato) April 10, 2020
久しぶりに夜会のDVDを観た
『金環蝕』
すげーよ、みゆきさん。
最後の「泣かないでアマテラス」で涙涙。
みゆきさんから元気貰ったから、家事頑張ろ。— ひふみん (@hifumin450205) February 22, 2018
昨日仕事忙しすぎて抜けてったタマシイが夜になっても戻ってこないからぼけーっと口開けて中島みゆき夜会、金環蝕のDVDを観たよ。泣かないでアマテラスが終わった途端目尻からつーって綺麗に涙が落ちてったよ。
— なじゃ@あね (@re_ndj) November 3, 2017
『泣かないでアマテラス』はこんな人に歌ってあげよう
『夜会Vol.4 金環蝕』の踊りを完コピして、悲しみにくれる人へ『泣かないでアマテラス』の舞いと歌をプレゼントしてあげよう。
『夜会Vol.4 金環蝕』
天文学と古典がクロスした不思議な世界観を作っている。
中島みゆきは天文学者、アマテラス、アメノウズメを演じている。
インカムっぽいマイクを装着して全身で力強く踊る姿が印象的な『夜会』である。
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