1992年10月7日に発表された20作目のオリジナルアルバムに収録された
『二隻の舟』
をみていこう。
『夜会』のテーマソングにしようとした狙いを書いてみた。
中島みゆき『二隻の舟』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
『夜会』のテーマ曲
中島みゆきが1989年から行っている言葉の実験劇場『夜会』。
そのテーマ曲になっているのがこの『二隻の舟』だ。
収録アルバム
『EAST ASIA』
1992年10月7日に発売されたオリジナルアルバム。
『糸』『浅い眠り』『誕生』など名曲が収められたこのアルバムは、1992年に第34回日本レコード大賞ポップス・ロック部門優秀アルバム賞を受賞している。
こちらに収められている『二隻の舟』は、『夜会』のときのメンバーそっくりそのままでレコーディングされている。
何回もライブレコーディングした後に、一番いいものを採用している。

『10 WINGS』
1995年に発売されたオリジナルアルバム。
1989年から1994年までの『夜会』のために書き下ろされた10曲が収められている。
こちらの『二隻の舟』は新たにセルフリメイクが施されている。
伴奏にどうしてもX JAPANのYOSHIKIが弾いているピアノの音が欲しくて、ロサンジェルスのYOSHIKIのスタジオで録音したという。
YOSHIKI愛用のクリスタル・ピアノとは
伴奏に使われたのはカワイ製クリスタル・ピアノ(CR-40A)。
文字通りクリスタルのように透明なビジュアルのグランドピアノだ。
そのお値段600万円台。
もちろんその洗練された見かけだけでなく音も上質。
YOSHIKI曰く、自分の思った通りの音を奏でてくれるピアノらしい。
『二隻の舟』をテーマ曲にした狙い
当初、『夜会』のステージに出るのは基本女3人と決めていた中島みゆき。
『二隻の舟』は、女から男へという意味の二隻、女同士で共鳴するという意味の二隻など、色んな対比に用いることができる。
1992年11月号『月刊カドカワ』のインタビュー記事で中島みゆきは、「ひとつずつのそしてひとつの」という歌詞に触れ、これも状況によっては、離ればなれだったのが1つになるハッピーエンドもありうるかもしれず、色んな可能性を見せていける歌だと語っている。
歌詞の解釈
「おまえ」と「わたし」を「二隻の舟」に例えて歌ったこの曲。
互いは別々のところを行く舟。
「波に隔てられ」互いの姿は見えないけれど、わたしの舟が「波に砕ける日」には「おまえの舟がかすかにきしむだろう」と遠いところにいても常に繋がりを感じている。
「ひとつずつの」わたしたちだけど、でも「ひとつ」だよね。
そんな曲。
映画『霧の子午線』の主題歌
1996年に公開された岩下志麻と吉永小百合W主演の映画『霧の子午線』。
女の友情を描いたこの映画の主題歌が『二隻の舟』だ。
こちらはアルバム『10WINGS』に収録されたバージョン。
この場合の「二隻」は、岩下志麻と吉永小百合にあてはめらるのが自然だろう。
『二隻の舟』はオープニングとエンディングで2回流される。
冒頭の2人の日常を追った映像に重ねて爽やかに流されるそれと、ラスト絶望的なシーンで流されるそれとでは、同じ曲なのにずいぶん印象が違う。
まるでもう1つの『夜会』を見せられている気がする。
記憶の中の『二隻の舟』
私が初めて生の中島みゆきを見たのは2000年の『夜会VOL.11 ウィンター・ガーデン』だった。
まず視界に飛び込んできたのは犬の着ぐるみを着た犬役の中島みゆきだったのを覚えている。
私は初めての中島みゆきに胸をドキドキさせていたのだが、同時に『二隻の舟』を聴けるのを楽しみにしていた。
が、皮肉にもこの『夜会』では『二隻の舟』は歌われなかった。
それまで毎年歌われてきた『二隻の舟』なのにだ。
カバーしたアーティスト
井上芳雄
ミュージカル俳優である井上芳雄。
2019年3月24日放送のTBSラジオ『井上芳雄 by MYSELF』の中で歌われた井上芳雄版『二隻の舟』は、まるで1つのミュージカルを見せられているような錯覚に陥る。
発声がしっかりしているので安心して聴いていられる。
井上はこの番組の中で『糸』『時代』『地上の星』も歌っている。
尚、井上は、この『二隻の舟』を2011年のクリスマスディナーショーでも歌っていて、ファンのブログによると、あちこちからすすり泣きが聞こえていたんだとか。
平原綾香
2015年に行われたコンサート『中島みゆきRESPECT LIVE『歌縁』(うたえにし)』で平原綾香が歌っている。
心許ない感じで「愚かさをください」というくだりとか、後半に向かって大きなうねりになっていく歌唱法がさすが。
平原綾香はMCで、みゆきファンが大切にしているこの曲を歌うのにプレッシャーがあったと述べている。
『二隻の舟』のみんなの感想
たまたま中島みゆきさんの夜会1989の二隻の舟を聴くことができたけど、思ってたよりキーが高いし、サビになるとどっちかというと叫んでる感じで歌っているんだな。聴けてよかった
— コスモス (@miyuki0225iw) July 2, 2020
他に高校の時はTM Networkを全アルバムMDに入れて持ち歩いてたくらいハマったし、一つ下の後輩にhide のアルバム貸したら好きになってくれて嬉しかったし、ジッタリンジンにハマって聴きながら湘南平を駆け回っていたし、
中島みゆきの「二隻の舟」聴いて愛の深さをガキの癖に知り得ようとした。— らいこ (@raico_akasava) June 29, 2020
二隻の舟は後半の転調からの盛り上がりが狂おしい程に好き。
— 桜木ネル◇夕張新刊🍈委託中 (@nehru1030) June 25, 2020
空君が流行りだして『EAST ASIA』を買ってみた大阪で大学生してた頃。「浅い眠り」が収録されてたので知ってる曲あるし買ってみよ~と。でその中の「誕生」と「二隻の舟」を聴いたときの衝撃といったら。この人のどこがわかれうた歌いやねん!😭となったのがファンになったきっかけ
— sayaka🌿 (@saya_zuka_dufy) May 25, 2020
中島みゆきの「二隻の舟」この曲知らなかったからなんじゃこの果てしない名作文学は😭😭😭ってなった みゆきちゃんのハードボイルドな世界観はさすがに違う世界線から飛ばされてきた女性が書いてる歌詞なのかな…?くらいの妄想をさせられる
— marie (@ilapsgl) May 13, 2020
『二隻の舟』はこんな風に楽しもう
何気ないこの人とあの人を『二隻の舟』にあてはめて妄想を膨らませてみよう。
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