ラジオ

デビュー間もない中島みゆきのインタビュー|1976年FM大阪「ポプコン・アウトアンドイン」より

壁

1976年放送の「ポプコンアウトアンドイン」(FM大阪)にまだデビュー間もない初々しい中島みゆきがゲスト出演している。

その模様をまとめてみた。

あどけない顔した音楽の魔女

進行役は映画評論家でありラジオパーソナリティでもある増井孝子

『時代』(1975年シングルバージョン)をBGMに中島みゆきという人物についての紹介を始める。

『時代』(1975年シングルバージョン)

増井「あどけない顔した音楽の魔女。
中島みゆきさんは周りの人からこんな風に言われてます。
譜面、ギター、ピアノを使わずに頭の中で音階を作り、それをドレミで書き殴る独特の作曲法」

時代
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中島みゆきの弾き語り

自己紹介の後、中島みゆきのワンマンステージが行われる。

みゆき「今日、何してましたか?
私も、ほぼ御機嫌になんとか生きてます」

後のオールナイトニッポンでの中島みゆきとはまるでかけ離れた大人しい口調だ。

ファーストアルバム『私の声が聞こえますか』のLPが中島みゆきの誕生日にできあがったそうで、リリース前に、この番組で弾き語りしようというのだ。

『私の声が聞こえますか』(1975年シングルバージョン)(レコチョク試聴あり)

この番組は、中島みゆきがデビューして本当にまだ間もない頃に放送されたのだ。

みゆき「いろんな曲があってビックリしたでしょ?
あんまり傾向が違うの入れるとみんな迷っちゃうかもしれないけど、私はね、人間にはいろんな面があると思うんだよね。
ひとつの面で捉えるのは恐ろしいことだと思うから、私の色んな面をみて、それから私っていうものを見てちょうだい」

そういう中島みゆきの一面としての1曲、『時代』を弾き語りで歌い始める。

今からすれば、贅沢なライブである。

この曲で、中島みゆきは1975年の「第10回ポピュラーソング・コンテスト」「第6回世界歌謡祭」でグランプリをダブル受賞している。

そんな中島みゆきが、デビューシングル『アザミ嬢のララバイ』にまつわるエピソードを語った。

『アザミ嬢のララバイ』(シングルバージョン)(レコチョク試聴あり)

みゆき「最初のレコードは私が知らないあいだに出てたんだよね」

ポプコンに出ると、ライブレコードのLPが出て、その後シングルカットされリリースされる。

当初は、B面の曲用に『アザミ嬢のララバイ』を歌ったのだが、その後、この曲がA面になったことを知るのだった。

とはいえ、それは中島みゆきにとっては初めて世に出したレコード。

みゆき「テスト版もらって帰って喜んだだけどね」

と、喜びもひとしおだったようだ。

その『アザミ嬢のララバイ』について、中島みゆきは「イメージが狂う元となった曲」と語る。

デビュー前の中島みゆきは、その頃のコンテストの傾向を多少意識して、明るめの歌をコンテスト用に歌っていた。

暗めの曲は、デビューした後に出していこうという計算があったそうだ。

この『アザミ嬢のララバイ』もそんな曲の1つだったのだろう。

当時、コンテストでの中島みゆきしか知らない人にとっては、イメージからかけ離れた曲だったのかもしれない。

ところで、さっきから中島みゆきが語っている傍で、ギコギコ物音が鳴っている。

どうやら、話しながら、ギターのチューニングを合わせているらしい。

みゆき「私はステージでね、間違えること忘れることチューニングが狂うことしょっちゅうでね、弾きながらチューニングすっていうのは度々で」

そして、次に弾き語りで歌い始めたのは、デビューシングル『アザミ嬢のララバイ』

アルバムバージョンに近い形で歌われた。

『アザミ嬢のララバイ』(アルバムバージョン)(レコチョク試聴あり)

アルバムバージョンについては、このように語っている。

みゆき「シングルのときとはアレンジが違ってるんだけれども、これは、ギター1本でやってたときのアレンジにそっくりにしたのを入れたのね」

中島みゆきにとって、アルバムバージョンの方がオリジナルということだろうか。

アルバム『私の声が聞こえますか』では、『時代』もまた、ギター弾き語りの別バージョンで収録されている。

『時代』(1976年アルバムバージョン)(レコチョク試聴あり)

続いて歌うのは、この時リリースされたばかりのニューシングル『こんばんわ』

『こんばんわ』(レコチョク試聴あり)

歌い終えここで進行役の増井が登場。

増井「いいですねぇ、ぜんぜんレコードと感じが違うけど、私はむしろギター1本のそういうみゆきさんが好きだなぁ」

みゆき「どうもぉ(笑)
ステージはギター1本なんですけどねぇ」

増井「ホントに?
じゃ今度ぜひ、夜のステージを拝見しに行かなくちゃと思いますけど(笑)」

電話
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中島みゆきの歌を分類すると

世間では中島みゆきの歌を3つに大別しているらしい。

  1.  怨歌(人間の怨念みたいなのを歌った歌)
  2.  メッセージソング
  3.  みんなで口ずさめるような歌

増井「自分で分けて作曲しているんですか?」

みゆき「いえ、そういう風に私、音楽的学問ないですから、そんな器用に分けるほどの技術はないです」(笑)」

増井「いろいろ作ったらなんとなく3つに分かれたということ?」

みゆき「ハタからみたらそういう風に見えるんじゃないですか?」

増井「現在オリジナル曲が130曲」

みゆき「そうですね」

増井「すごいわねぇ。
ちょっとできてるのも含めると500か600くらいあるんだって?」

みゆき「ちょっとできてたくらいじゃ人前で出せないですからねぇ」

中島みゆきの作曲法は、おそらくこの頃から変わっていない。

この断片的な、曲が、時間をかけて繋がって1つの曲になっていく。

福山雅治のラジオ番組に出演したときにそのように語っている。

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世界歌謡祭グランプリ受賞後、生活はどう変わった?

中島みゆきはこの放送より半年前ほどに、「第6回世界歌謡祭」に出場し、『時代』を歌い、グランプリを受賞している。

この受賞の前と後で、生活はどう変わったのだろうか?

中島みゆきはこのように語る、

みゆき「物理的にはあっち走ったりこっち走ったりっていう体の忙しさはありますけどね、ものの考え方とかはぜんぜん変わんないですね」

中島みゆきが目指すコンサート

増井「どんなステージをやってみたいと思いますか?」

みゆき「私はね、一方的なステージってのは嫌いなのね。
だから、対話のできるコンサートってのを小さくでいいから積み上げていきたいのね」

この姿勢は現在も崩していない。

中島みゆきは、『夜会』をスタートさせたときも観客との距離感を大切にし、シアターコクーンというあえて小さな劇場を選んだのだ。

みゆき「ステージで、『ね?』って言ったら、『そう』だとか『そうじゃない』とか言ってくれる気配が感じられる距離にね人にいて欲しいなあ」

増井「一番記憶にあったステージって何ですか?」

みゆき「あんまり後悔するコンサートってのはそんなになかったですけどもね、今んとこもう一度やりたいなと思ったのは、3年くらい前に、大学のね、ちょっとした階段教室みたいなとこで、明かりを消して、すごいボロっちいとこでしたけどね、そこでやったコンサートがわりと思い出に残っています」

中島みゆきがよく訪れる京都について

増井「東京から札幌に帰るときに、京都経由で帰るんですって?」

この当時、中島みゆきは、まだ札幌に住んでいて、そこから仕事のたびに、東京へ出てきていたのだった。

なぜ、京都なのだろう?

増井「京都が好きだから?」

みゆき「頭が休まるんですよね、旅先でいえば。
私は札幌住んでるから、やっぱり札幌が肌に合って好きですけどね。
旅先にいて気分を休めるって意味で、京都の壁を見てるのが好きなんですよ」

増井「壁? 壁なんて別に京都行かなくてもいいんじゃない?(笑)」

みゆき「京都まで行くと、そこらじゅうに壁があるからね(笑)
だからアホみたいにジッと壁見ている人いたら、私ですから(笑)」

中島みゆきには、消しゴムを収集する趣味がかつてあったが、それ以上に変わった趣味である。

しかも、特別な壁というワケではなく、なんでもないような普通の壁で事足りるようなのだ。

みゆき「デザインされたものとか、そういうの見てるのもいいんですけどね、それだと頭休まんないからね。
空とか、プラスティックとかでもいいし、何にもないところを見てるのが好きなんです」

これには増井もどう応えていいのか分からないという感じだ。
だが、この一風変わったクセは小さいときからだという。

みゆき「幼稚園通ってたときにね、角曲がって帰ってるときに、姿が見えるところから家まで2時間かかるんだって」

増井「なにしてるわけ?」

みゆき「空見たり、石見てたりしてたんだって」

伝聞の形で語っているのは、おそらく成長したときに、後で親からその話を聞いたのだろう。

増井「かなり哲学的というか、空見ても石見ても何かが得られるっていうのは」

みゆき「と思うでしょ?
空を見て何か考えてるように見えるでしょ?
じゃないの。
なんにも考えないで空見てるからね」

空っぽになるこういうひと時が中島みゆきの創作活動には必要なのかもしれない。

増井「じゃ、昔からいわゆる、小さいころから仲間を集めて遊ぶっていうんじゃなくて、1人で遊んでたワケ?」

みゆき「あんまり器用に仲間に入れなかったですね。
女の子っていったら徒党を組むでしょ?
あれになかなか入れなくてね。
なんて声をかけたらグループに入れてもらえるか分かんなくて、おたおたしてるうちにダーって通り過ぎたりね。
だんだんそれが繰り返されると、声かけても入れなかったらどうしようって思っちゃうの」

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中島みゆきが好きで、人よりちょっと詳しいだけが取り柄の人間やってます。