中島みゆき『誕生』の秘話|歌詞に込められた意味

1992年の中島みゆきのシングル『誕生』

映画「奇跡の山 さよなら、名犬平治」の主題歌として書き下ろされた曲であるが、今や映画の枠を超えて多くの人に愛される名曲だ。
その歌詞のスケールの大きさから、卒業式や結婚式など人生の節目にも流されるようになった。
ある時は、槇原敬之の応援歌となったり、またある時は、麻原彰晃死刑囚へ宛てられたこの曲。

いったいどんな風に生まれ、中島みゆきのどんな思いが込められているのだろうか。

この記事は、

  • 『誕生』が生まれた経緯
  • 『誕生』に励まされた槇原敬之
  • 弁護士から麻原彰晃死刑囚へ薦めた『誕生』とその真意
  • 『誕生』を今すぐ聴く方法!

について書いてます!

映画のタイアップ主題歌

『誕生』は、映画「奇跡の山 さよなら、名犬平治」の主題歌として中島みゆきが書き下ろした曲だ。
1992年3月4日に『Maybe』と両A面シングルでリリースされた。

『誕生』が誕生した経緯

最初に見せられたのは犬の写真

主題歌の依頼を受けた時点で、中島みゆきには、この映画の詳細は伝えられていなかった。
劇中ではクラシックしか流れないからインパクトのある歌詞が欲しいという注文。
そして、唯一の情報として、犬が出るということだけが告げられた。

1992年「月刊カドカワ」11月号の中で、中島みゆきがこれについて触れている。

初め、映画に出演するという犬の写真を見せられたという。
だが、いまいちピンとこない。
曲を作る手がかりとしてはあまりにも乏しい素材だ。

映画の制作現場に立ち会った

犬の写真だけでは、曲のインスピレーションが湧かない。

そこで、中島みゆきは、もっと映画の中へ踏み込んでいくことにしたのだ。
台本を読み、撮影されたフィルムも見せてもらい、さらにはフィルム編集にまで立ち会うなど、曲のために制作現場に密着したのだ。
曲は、映画の制作と同時進行で作られていった。

『誕生』に込めた思い

映画の女の子と母親へ送った曲

1992年「月刊カドカワ」11月号の中で、中島みゆきはこのように語っている。

「この曲は、映画に出てきたお母さんやあの子に言葉をかけるとしたら、こういうことかなという感じで作ったの」

映画では、主人公の女の子(中江有里)が、両親の離婚と母親の自殺によって、心を病み、失語症になってしまう。
中島みゆきは、この親子に注目したのだ。

「どういう生まれだとか、能力があるとかに関係なく、どの子も「WELCOME」って言われることを思い出してほしかった」

「生まれてくれてWELCOME」という歌詞の意味

歌詞を書く上でモチーフになったのがアメリカの風習だ。
英語圏では、赤ん坊が生まれてくる時に「WELCOME」と声をかける。
「ようこそ」「いらっしゃい」という意味のその言葉は、どんな子でも、この世に生まれたことを歓迎されることを意味する。

中島みゆきはこのように言う。
「いらない子なんていないんだっていうことを言いたかった」

『誕生』に励まされた槇原敬之

2013年11月3日放送の「オール中島みゆきナイト」(NHK BSプレミアム)に槇原敬之が出演。
『誕生』をリクエストし、この曲にまつわる自身のエピソードを披露した。

「自分って何のために生まれてくるんだろう?」
「自分は愛されるために生まれてきたのだろうか?」
槇原は、思春期から引きずっていた疑問に答えが出せず悶々としていた。

そんなある日、中島みゆきの大ファンだという友人から曲の入ったテープをプレゼントされる。
その中に入っていた1曲が『誕生』だった。

槇原は、その曲を聴くと、堰を切ったように涙が溢れ出た。
「みゆきさんがこう言ってくれるんなら頑張れちゃうかな」
光を見出せた1曲であることを語っている。

麻原彰晃死刑囚へ薦めた『誕生』

オウム真理教の被害者や教団脱会者を支援していて自身もオウムから襲撃を受けた滝本太郎弁護士。
彼は、2000年5月13日、麻原彰晃(松本智津夫)死刑囚の公判で、このように語っている。

「私は、あなたのことを、あなたが生まれたことを決して恨んでいません。あなたがしたことを恨んでいます。あなたにプレゼントしたいのは、中島みゆきの『誕生』という歌です」

また、死刑執行後の2018年7月16日には、マスコミ向けに、『誕生』の歌詞を引用して、このようにコメントしている。

「本人(麻原死刑囚)には、「生まれてくれてウェルカム」と言いたい」

『誕生』を薦めた真意

滝本弁護士はブログでこの発言の真意について語っている。
それによると、麻原死刑囚に『誕生』を薦めたのは、麻原を許したからということではない。

「生まれてこなければよかったのに、までは言わないよ」
「あなたの命も一つの大切な命だったんだ」
という以上の意味はないと強調している。

教科書に掲載

『誕生』の歌詞が中学や高校の教科書に掲載された。
掲載された教科書は、1999年度「高校生の現代文」(角川書店)、2005年度「中学国語(1年)伝え合う言葉」(教育出版)。

中島みゆきの曲は、この他に、『永久欠番』『傾斜』の歌詞が国語教科書に掲載されたことがあった。

⇒『永久欠番』の記事はコチラ

⇒『傾斜』の記事はコチラ

『誕生』のみんなの感想

カバーしたアーティスト

工藤静香

中島みゆきカバーアルバム第2弾『青い炎』に収録。

⇒工藤静香『誕生』(レコチョク試聴あり)

中村中

鴻上尚史の作・演出の舞台「ベター・ハーフ」で歌われた。
天国でひとつだった魂が、現世では別々に離れてしまい、また1つになろうとする男女の姿を描いた作品。
中村中は、トランスジェンダーの女性役でこの曲を歌っている。

⇒中村中『誕生』(レコチョク試聴あり)

木山裕策

『home』をヒットさせた木山裕策によるカバー。

⇒木山裕策『誕生』(レコチョク試聴あり)

島津亜矢

カバーアルバム『SINGER 5』に収録。

⇒島津亜矢『誕生』(レコチョク試聴あり)

他にも、まきちゃんぐYOKO宇野ゆう子などがカバーしている。

『誕生』はこんな曲

自分なんてこの世に必要ないのではないか?
そんな気持ちのときに聴きたい曲だ。
我々は、産声をあげた瞬間から祝福され続けていることを、この曲は教えてくれる。

「Remenber 生まれた時
 だれでも言われた筈
 耳をすまして思い出して
 最初に聞いた welcome」
(『誕生』より)

本人映像

『夜会VOL.6 シャングリラ』

1994年上演。新聞の求人欄に見つけたのは、かつて母親を陥れた女の名前だった。
メイは、母親のかたきを打つために、雇われメイドの恰好で女の住むシャングリラへと乗り込んでいく。
この舞台のラスト、母親と娘のそれぞの立場から『誕生』が歌われている。

『歌旅 -中島みゆきコンサートツアー2007-』

2007年に行われたコンサートツアーのライブDVD/Blu-ray。

『誕生』をフルで聴く方法

単品購入

⇒『誕生』(レコチョク試聴あり)

収録アルバム

『EAST ASIA』

1992年リリースのオリジナルアルバム。

  • フジテレビ系ドラマ「親愛なる者へ」の主題歌『浅い眠り』
  • 映画「奇跡の山 さよなら、名犬平治」の主題歌『誕生』
  • 「夜会」のテーマ曲『二隻の舟』
  • 不朽の名曲『糸』

を含む全9曲。

【収録曲】
『EAST ASIA』『やばい恋』『浅い眠り』『萩野原』『誕生』『此処じゃない何処かへ』『妹じゃあるまいし』『二隻の舟』『糸』

⇒レコチョクで購入(試聴あり)

⇒『EAST ASIA』の解説&みんなの感想

『Singles II』

1987年から1993年までのシングルを収録したコレクションアルバム第2弾。

【収録曲】
『時代』『最後の女神』『ジェラシー・ジェラシー』『兆しのシーズン』『浅い眠り』『親愛なる者へ』『誕生』『Maybe』『トーキョー迷子』『見返り美人 (2nd Version)』『with』『笑ってよエンジェル』『あした』『グッバイガール』『涙 -Made in tears-』『空港日誌』『仮面』『熱病 (2nd Version)』『御機嫌如何』『シュガー』

⇒レコチョクで購入(試聴あり)

⇒『Singles II』の解説&みんなの感想

『大吟醸』

1996年リリースのベストアルバム。
デビュー期から1995年までのヒット作を詰め込んだ珠玉の14曲。

【収録曲】
『空と君のあいだに』『悪女』『あした』『最後の女神』『浅い眠り』『ルージュ』『誕生』『時代』『わかれうた』『ひとり上手』『慟哭』『狼になりたい』『旅人のうた』『ファイト!』

⇒レコチョクで購入(試聴あり)

⇒『大吟醸』の解説&みんなの感想

『歌旅 -中島みゆきコンサートツアー2007-』

2007年に行われたコンサートツアーのライブアルバム。

【収録曲】
『御機嫌如何』『ホームにて』『あなたでなければ』『蕎麦屋』『EAST ASIA』『ボディ・トーク』『昔から雨が降ってくる』『ファイト!』『誕生』『本日、未熟者』『背広の下のロックンロール』『地上の星(ライブ・カラオケ・バージョン)』

⇒レコチョクで購入(試聴あり)

『ここにいるよ』

2020年にリリースされたコンセプトベストアルバム。
「エール」をテーマに集められた珠玉の26曲。

【収録曲】
《エール盤》
『空と君のあいだに』『旅人のうた』『宙船 (そらふね)』『糸』『ファイト!』『ひまわり“SUNWARD”』『瞬きもせず』『泣いてもいいんだよ』『負けんもんね』『時代』『ホームにて』『空がある限り』『地上の星』
《寄り添い盤》
『アザミ嬢のララバイ』『泣きたい夜に』『愛だけを残せ』『悪女』『あした』『タクシードライバー』『with』『最後の女神』『慕情』『帰省』『たかが愛』『風の笛』『誕生』

⇒レコチョクで購入(試聴あり)

⇒『ここにいるよ』の解説&みんなの感想

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