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中島みゆき『心守歌-こころもりうた』の全曲解説&みんなの感想

ベビーリーフ

2001年9月19日に発売された29作目のオリジナルアルバム
『心守歌-こころもりうた』
の曲解説とみんなの感想をみていこう。

『心守歌-こころもりうた』の特徴

 

『心守歌-こころもりうた』(レコチョク試聴あり)

2001年9月19日に発売された29作目のオリジナルアルバム。

シングル曲が含まれておらず、『夜会VOL.11 ウィンター・ガーデン』のために書き下ろされた曲が2曲入っている。

「心守歌」は中島みゆきによる造語

アルバムタイトルの「心守歌」は中島みゆきによる造語である。

2001年「音楽専科SOUNDPEOPLE」11月号のインタビューの中で、

「子守歌は子供のための歌だけど、大人だってね、そんなに強かないものね」

と、このタイトルをつけたいきさつを語っている。

念のため、既存の語でないか確認するために辞書を引いたという。

「心守歌」という枠組みでの選曲

アルバムは「心守歌」というコンセプトのもと曲が選ばれた。

中島みゆきのアルバムづくりは、アルバムのコンセプトのもと1から曲を書いていくスタイルではない。

「わたしの場合、右から左には曲を作れませんから。
時間かかるんです」

普段からゆっくり書きためておいた曲を、枠組みの中で選んでいく。

これが中島みゆきのアルバムづくりである。

選曲した後は、その曲順についてあれこれ考えるようで、今回はマスタリングの段階まで試行錯誤していたようだ。

『心守歌-こころもりうた』のみんなの感想

曲解説

『囁く雨』

『囁く雨』(レコチョク試聴あり)

冒頭に雨のSEが30秒以上ある。

2001年「音楽専科SOUNDPEOPLE」11月号のインタビューによると、このSEが曲と曲の間にくるとどうしてもノイズに聞こえてしまうため、このアルバムの1曲目を飾ることになったという。

なお、この曲はMVが制作され、ライブDVD『歌姫 LIVE in L.A.』に収録されている。

エッジの効いたサウンドと歌声が、失恋した女のしたたかさをも感じさせる。

歌詞解釈

男から別れを切り出されて絶望の淵に突き落とされた女。

さらには、自分が泣くよりも相手の男が先に泣かれてしまうというダブルパンチ。

完全に思考停止した状態で、降り続ける雨だけが聞こえている。

「囁く雨に身じろぎもせず
 ただ さよならを全身で聴いている」

『相席』

『相席』(レコチョク試聴あり)

大人の恋の始まりから終わりまでをしっとり歌いあげている。

ジャズピアノの優しい音色は、小箱から昔の恋を取り出して懐かしんでいるような心持になれる。

歌詞解釈

マスターの勘違いから相席になった男との恋が始まり、そしてその恋は、同じマスターによって幕を下ろす。

1つの曲で甘くほろ苦い恋のすべての要素を味わえる。

「誰かに感謝をするのなら あのマスターに言わなきゃね
 2人が忘れてしまっても あのマスターがわかるでしょう」

『樹高千丈 落葉帰根』

『樹高千丈 落葉帰根』(レコチョク試聴あり)

中国では有名なことわざだそうで、木の枝がどんなに伸びようとも、葉っぱは根元に落ちていくということから、人間も同様にどんなに故郷を離れたとしても、いつも故郷を恋しく思うという意味。

日本では辞書にも載っていない馴染みのない言葉であるが、「そのうちどこかでこの言葉に出くわしたときにこの曲を思い出すのもおとなの味わいだ」と、中島みゆきは語る。

歌詞解釈

最後に行き着くところは自分のルーツである木の根元だと分かれば、精一杯枝を広げて生きることができる。

中島みゆきの歌には、このように自然から学ぶものが多い。

「樹高は千丈 遠ざかるしかない者もある
 落ち葉は遙か 人知れず消えてゆくかしら
 いいえ どこでもない 枝よりもっと遙かまで
 木の根はゆりかごを差し伸べて きっと抱きとめる」

『あのバスに』

『あのバスに』(レコチョク試聴あり)

「会社勤めも通勤もしていませんが、それほど奇妙な生き方でもないと思います」

とインタビューで答えているように、立場の違いはあれど、大多数の人々の感覚と近いところにいる。

だからこそ、中島みゆきの歌は共感を呼ぶのだろう。

この曲も、そんな日常の中から生まれた曲と言える。

「いつもなにかを考える目は開けていたいと、意識はしています」

ただバスに乗り込むという些細なことから世界を広げていく力量を感じさせる。

歌詞解釈

他人を押しのけて何とか目当てのバスに乗ることができたが、果たしてそれで一安心していいものか。

バスが走り出しても、何か大事なものを置き去りにしてるような気がするのである。

「精一杯に急いだと 肩で息を継ぎながら
 押しのけたあの傘の中に自分がいた気がした
 あのバスに乗らなけりゃならないと急いでた」

『心守歌』

『心守歌』(レコチョク試聴あり)

表題曲。

「旅」という言葉は一切出てないが、歩き疲れた旅人を癒すような歌詞の内容になっている。

ゆったりした曲調と優しい歌詞は、1日を終える前にぜひ聴きたい1曲。

歌詞解釈

この世に生きる者は肉体的にいろいろな制約を受けている。

せめて心だけは翼を持って自由になって欲しいという願いを込めて歌う心守歌だ。

「遙かな愛しい人々に
 悩みのない寝息があればいい
 風よ 心のかかとに翼をつけて
 どんな彼方へも ひと晩で行って戻れ」

『六花』

『六花』(レコチョク試聴あり)

2000年に上演された『夜会VOL.11 ウィンター・ガーデン』のために書き下ろされた曲。

『夜会VOL.11 ウィンター・ガーデン』は最初からDVD化される予定はなかったので、曲だけでもしっかり残したかったと語る中島みゆき。

「心守歌」というアルバムのコンセプトにも合うこの曲が選曲された。

劇中では、中島みゆきは、犬の役でこの曲を歌っている。

「六花」とは雪の結晶のことである。

舞台で共演した谷山浩子は札幌での自身のライブの中でこの曲を歌っている。

歌詞解釈

シンシンと雪が降り積もっていく雪原の風景が目に浮かんできそうだ。

見渡す限りの真っ白な雪が織りなす風景だが、何もないわけでなく降ってくる雪には何かが綴られているのである。

「広い空の上では 手紙がつづられる
 透きとおる便箋は 六つの花びらの花
 六花の雪よ 降り積もれよ
 白く白く ただ降り積もれよ」

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『カーニヴァルだったね』

『カーニヴァルだったね』(レコチョク試聴あり)

酔って少し記憶が曖昧な人間が描かれているこの曲。

お酒好きな中島みゆきも若気の至りで酒の飲み方を誤って痛い目にあっている。

酔った勢いでお偉いさんの頭をはたいてしまったこともあるんだとか。

そういう中島みゆきだからこそ、ちょっとほろ苦いお酒の歌が書けるのだ。

この曲のように。

歌詞解釈

誰かに弱音を吐きたいときや、どこかに自分を葬りたいときに酒というのは便利なのかもしれない。

だが、酔いから醒めて、自分がどこにいるか見失っている状態とい虚しさは酒の副作用らしい。

「注がれる酒に毒でもあれば今ごろ消えているものを
 何故ここにいるのだろう
 カーニヴァルだったね」

『ツンドラ・バード』

『ツンドラ・バード』(レコチョク試聴あり)

『六花』に続いてこちらも2000年に上演された『夜会VOL.11 ウィンター・ガーデン』のために書き下ろされた曲。

舞台が北限の地とあり、この曲もまたそれにちなんだ設定になっている。

ツンドラとは、北極周辺に広がる凍結した荒原。

その上空を飛ぶオジロワシがモデルになっている。

オジロワシの視点から見る自然の営みも自ずと目に浮かんでくる。

中島みゆきのミステリアスな歌唱もまたいい味出している。

歌詞解釈

空から獲物を狙っているオジロワシ。

遠くのものほどよく見えるという習性は、何か物事の真理をついているようだ。

「あれはオジロワシ 遠くを見る鳥
 近くでは見えないものを見る
 寒い空から見抜いているよ 遠い彼方まで見抜いているよ」

雪原
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『夜行』

『夜行』(レコチョク試聴あり)

不穏な雰囲気のイントロから始まり不埒な人間が登場してきたと思いきや、途中からいっきにそのイメージが覆る。

その切り返しの表現が実に鮮やか。

この曲は『中島みゆきライヴ! Live at Sony Pictures Studios in L.A.』の中にライブ映像として収録されている。

歌詞解釈

偏見は、時に相手の本性を見えなくするものである。

一見、凶暴でやましいようにみえる行いが、優しさの裏返しだったりすることがある。

それを誰にも分かってもらえず陰で泣く人間がいるということを忘れてはならない。

「ふところに入れた手は凶暴な武器を隠しているに
 違いないと見られる
 本当は 散りそうな野菊を雨から隠してる」

『月迎え』

『月迎え』(レコチョク試聴あり)

冒頭、秋の夜長を思わせる虫の声がSEで入る。

自ずと頭上に大きな月が浮かび、古き良き日本の原風景が広がっているのがイメージされ、ヒーリング効果がある。

お月見するときにはBGMにこの曲を流したいものだ。

歌詞解釈

肉体を離れて月を迎えに行かないかと魂に誘いかけているような曲。

月の光の描写がとても幻想的で癒される。

「月を迎えに出かけませんか 部屋を抜けておいでなさい」

『LOVERS ONLY』

『LOVERS ONLY』(レコチョク試聴あり)

中島みゆきはかつてアマチュア時代に『クリスマスソングを唄うように』というクリスマスソングを書いたことがあったが、プロデビュー後に書いたクリスマスソングとしてはこの曲が初めて。

クリスマスの時期の中島みゆきは、「夜会」の公演でおおわらわ。

さらにその公演が終われば「夜会」のビデオ撮影におおわらわということで、クリスマスを楽しむ余裕など長らくなかった。

2001年「音楽専科SOUNDPEOPLE」11月号のインタビューでは、

「その鬱積した気持ちが爆発したのかもね(笑)」

と、この曲について語っている。

歌詞解釈

クリスマス前に別れてしまった女の孤独を歌った曲。

街を歩けばどこもかしこも恋人たちを祝福するためのドアしか開いていない。

シングルの自分は居場所を求めてさまよう。

「Merry Xmas, Merry Xmas 恋人たちだけのために
 Merry Xmas, Merry Xmas すべての傷は癒される
 Merry Xmas, Merry Xmas 今夜の願いごとは叶う
 Merry Xmas, Merry Xmas 愛のためにすべてが変わる」

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