中島みゆきの曲や対談でのコトバをまとめて記事にしてきた。
それを通して1つの輪郭が見えてきたのでここに書き記したいと思う。
テーマは「自分らしさ」。
中島みゆきの「自分らしさ」への考え方と、その向き合い方について書いてみた。
「自分らしさ」がわからないに悩む必要はない
中島みゆきも悩んでいた
「君らしくない」と言われることは誰にだってあると思う。
その度に傷つき、「自分らしさ」を模索して、それが見つからず悶々とする人はかなりいると思う。
中島みゆきもその1人だった。
松任谷由実のラジオにゲスト出演した際にそのことについて触れている。
学生の頃からずっと、「自分らしさ」に悩み、
「自分らしいことしなくっちゃ」
「みんなと同じになっちゃいけない」
自分を追い込んでいたという。
中島みゆきが見つけた「自分らしさ」
「自分らしさ」を模索していた中島みゆきだが、ある春の晴れた日にフッと悟ったのだ。
「自分らしさなんてどこにもない」
自分が行動する全てのことはみんな自分。
だから、そこに「らしさ」というのはそもそも存在しない。
そんな結論に至ったのである。

なぜ「自分らしさ」を気にするのか?
「自分らしさ」を模索する人の中には他人の目を気にしている人が少なからずいるのではないだろうか。
他人が思う「自分らしさ」の型に自分を押し込めて、心が窮屈になってしまう。
他人の声に囚われることはよくないと中島みゆきは言う。
さくらももこに贈ったコトバ
1990年6月号の『月刊カドカワ』で中島みゆきは漫画家のさくらももこと対談している。
対談の最後にさくらももこへこんなコトバを贈っている。
「今まで『ちびまる子ちゃんを描いていたさくらももこさんが』というところの期待とか、『こういうイメージの人だったのに』っていうのがあると思うけど、そういう人の思惑に縛られないで欲しい」
1990年と言えば、中島みゆきが「御乱心の時代」をようやく抜けてまだ間もない頃のことだ。
「御乱心の時代」とは、1980年代半ばから中島みゆきが新たな自身の音楽のスタイルを作るために模索していた時期を言う。
甲斐よしひろをプロデューサーに迎え入れ、それまでのイメージを覆すような新しいサウンドを取り入れていた。
1986年に行われたコンサート『歌暦Page86 -恋歌-』の中でこの頃の心境を語っている。
「弾き語りで歌ってた頃の私しか知らない人には、不思議に思うかもしれないけど、でも私は、色んなこと迷ったりとかいろいろしたけど、私は、ただ……ただね、正直になりたいの。
だから、好きな歌うたいたいの」
そんな自分の体験があるからこそ、さくらももこには同じクリエイティブな仕事に携わる者として伝えたかったのではなないだろうか。
さくらももこへのコトバはこう続く。
「自分でやりたくて、納得のできることだけやってて欲しい。
人はいろいろ言うけれど、それは時々聞いて」
この「時々聞いて」は、「それ以外は全部聞き捨てて」という意味合いで言っているのだろう。


名曲『ファイト!』から見る自分らしさ
他人が押しつける「自分らしさ」に囚われることがナンセンスだということは、中島みゆきの曲についても言える。
その曲は、『ファイト!』。
今や中島みゆきの代表曲である『ファイト!』だが、この曲が有名になったのは発表されてから10年以上経ってからのことである。
だが、2010年の『ダ・ヴィンチ×ほぼ日刊イトイ新聞』での糸井重里との対談の中で、ボロクソに言われていた曲であることを中島みゆきは明かしている。
「登場人物と関係ない人格がサビを歌っている」
糸井重里が評価した点は、発表当時は「この曲には自分がいない」と言われ酷評されていたポイントだった。
それが10年という時間の洗礼を受けてたちまちヒット&代表曲となるのだから、世間の評価というのはいかに曖昧かが分かる。
さくらももこの対談で中島みゆきはこうも言っている。
「1億人の言うとおりにやってたら身がもたないですからね」
『ファイト!』をボロクソに言った人は世間の一部にすぎない人だろう。
一方で、大勢の人がこの曲に10年以上も目を向けなかった。
そして現在、アーティストをはじめ多くの人がこの曲を口ずさむようになった。
こんな移ろいやすい世間の声に一喜一憂するのは、本当に心が疲れる。
大事なのは自分が何がしたいのか、自分はどうなりたいのか、他人の視線や声をシャットダウンして改めて考える必要がありそうだ。

「自分らしさ」で悩む人へ贈る中島みゆきの曲
『僕は青い鳥』
幸せを追いかけて青い鳥を追いかける人の愚かさを歌っている。
この歌の答えはこうだ、
「青い鳥 それは自分なのに」
こちらは1984年発売のアルバム『はじめまして』に収録。

『風の姿』
まさにこの記事のテーマにどんぴしゃな曲。
この歌には「そんな人だと思わなかった」と言われて傷ついたり、悪く言われて捨てたシャツが本当はお気に入りだったという、周りの声に翻弄される女性が描かれている。
「『らしい』と言われて付けてたブレス
鎖の角が本当は痛かった」
こういう悲劇もあるのだ。
こちらは1993年発売のアルバム『時代-Time goes around-』に収録されている。

『ひまわり”SUNWARD”』
『ひまわり"SUNWARD』(レコチョク試聴あり)
「たとえどんな名前の人の庭でも
花は香り続けるだろう」
咲く場所がいかなる所でも自分がそこにいる限り自分の香りを放ち続ける。
とってもステキなメッセージだ。
こちらは1994年発売のアルバム『LOVE OR NOTHING』に収録されている。
『アンテナの街』
「はるかに流れる永遠の流れ
似てない子供を愛してください」
「出る杭は打たれる」的な日本の悪しき風潮を批判している歌に聴こえる。
協調性を重視する世間に組み込まれるくらいなら、
「それよりも逃げて クズと呼ばれよう」
とまでも歌っている。
こちらは1994年発売のアルバム『LOVE OR NOTHING』に収録されている。

『Tell Me, Sister』
低い鼻やクセの髪などコンプレックスを抱いた女性がとある友人の出会いによって価値観を変えてゆくという歌。
その友人は男も言い寄るほど「全てを備えた」完璧な女性だった。
だが、この完璧な友人、まもなくこの世からいなくなる。
「時は流れ ある日突然 この世にいない彼女を知った
きっとずっと全てを知って『何もない』と未来を見てた」
羨ましいと思っていた完璧なその友人は自分よりはるかに過酷な運命を背負っていたのである。
彼女がかけてくれた
「そのままでいいのに」
というコトバが微笑みと共に記憶に残されていくという、何とも切ない歌。
こちらは2000年発売のアルバム『短篇集』に収録されている。
『Nobody Is Right』
訳すると「誰も正しくない」という意味。
自分がカンペキに正しいと思えば、自分以外の全てのことは間違いだらけ。
そんな一生はきっと寂しいものだと歌っている。
「正しさと正しさとが 相容れないのはいったい何故なんだ」
1人1人に問題提起しているように聴こえる。
こちらは2007年発売のアルバム『I Love You, 答えてくれ』に収録されている。
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