1998年に上演された『夜会VOL.10 海嘯』
記念すべき10回目のこの「夜会」は、草創期と比べるとだいぶ演劇的な要素が強くなっている。
特徴から、見どころ、また、歌われた曲が収録されたアルバムについて、色々みていこう。
この記事は、
- 『夜会VOL.10 海嘯』の特徴
- 『夜会VOL.10 海嘯』の見どころ&みんなの感想
- 『夜会VOL.10 海嘯』で歌われた曲が収録されたアルバム紹介
について書いてます!
中島みゆき『夜会VOL.10 海嘯』
1998年上演。アメリカでレストランを経営する女は、命を懸けても果たしたい復讐があった。
その復讐のために日本行きの便に乗ったが、持病の結核が悪化し、ハワイへと緊急着陸。
収容された療養所の人々との交流を通して、自分の生き方を見つめ直していく。
『夜会VOL.10 海嘯』の特徴
キャスト陣とのセリフの掛け合い
これまでの「夜会」は中島みゆき1人によるセリフと歌でストーリーが展開されていたが、今回はその1人芝居の要素が薄れている。
植野葉子、香坂千晶、張春祥によるキャスト陣にもセリフや歌が配され、より演劇的要素が色濃く出た舞台となっている。
死生観
本作では、生まれ来る命と死にゆく命が、主要人物それぞれのバックボーンに流れている。
医師(張春祥)が妊婦(植野葉子)に対して言う「生まれなさい、赤ん坊と一緒にあなたも一緒に生まれなさい」というセリフは鳥肌モノだ。
「死」を描写するシーンでは産声のSEを使用するなど、その後の「夜会」で扱われるテーマ「輪廻」の布石を思わせる。
毎年恒例の最後の作品
毎年恒例の風物詩として開催してきた「夜会」だが、本作を以って1つの区切りをつけている。
1998年11月23日放送の「筑紫哲也のニュース23」(TBS系)に出演した中島みゆきは、以下のように語っている。
「これで終わりって訳じゃないんですけど、もうちょっと1作に時間かけながらゆっくり続けていきたいなと思ってまして」
11作目以降からは、「夜会」は不定期公演として開催されるようになった。
「海嘯」というタイトルの意味
字面からしてとっつきにくい「海嘯」だが、「かいしょう」と読む。
中島みゆき曰く、この難解な漢字について、方々から問い合わせを受けたという。
このタイトルをつけた狙いについて、1998年11月23日放送の「筑紫哲也のニュース23」(TBS系)の中で、以下のように語っている。
「海から聞こえてくる何の音ともつかない色んな海の声。それを全部合わせて名前をつけたかったんでね」
ロケ地はハワイ
DVD/Blu-rayにはステージ映像をメインに、国内とハワイで撮影された映像が挿入されている。
メイキング映像がテレビで流れた
1998年11月23日放送の「筑紫哲也のニュース23」(TBS系)で、「夜会」のメイキング映像が流れた。
スタジオでの音楽リハーサル風景や、舞台セットが組まれるところなど、めったにお目にかかれない「夜会」の舞台裏にカメラが潜入。
中島みゆき書き下ろしの小説
「夜会VOL.10 海嘯」は小説化し、1999年12月10日に幻冬舎より出版された。
現在、電子書籍でも販売されている。
セットリスト
『夜会VOL.10 海嘯』では、以下の曲が歌われている。
『夢を叶えて』『夢の代わりに』『I am』『故国』『カレンダー』『知人・友人・愛人・家人』『空しき人へ』『二隻の舟』『難破船』『愛から遠く離れて』『Good Morning, Ms. YAMASHINA』『献灯』『白菊』『明日なき我等』『時効』『フロンティア』『紫の桜』『叶わぬ夢』『フロンティア』
『夜会VOL.10 海嘯』の見どころ
『夢の代わりに』
劇中で何回にも渡り歌われる曲。
「夢はきっと叶う」という歌詞は、希望に満ち溢れているように感じられるが、主人公の繭(中島みゆき)の心情が変化するにつれて意味合いも変わってゆく。
夢はきっと叶う
ひとつだけきっと叶う
そのために何もかも失ってかまわない
それほどまでの夢なら叶う
(『夢の代わりに』より)
『紫の桜』
年々、舞台が大掛かりになっていきスペクタクルとも呼ばれるようになった「夜会」。
本作もまた凝っている。
飛行機の機内のセット、本物と見まがうばかりの犬、ステージ上を走る自動車etc.
何より目を引くのは、ステージの頭上から滝のように降る紙吹雪。
この紙吹雪が舞う中、中島みゆきが雄たけびのごとく歌う『紫の桜』は圧巻だ。
桜 桜 50年前に
桜 桜 見たものを話せ
(『紫の桜』より)
『フロンティア』
ラストは、植野葉子、香坂千晶、張春祥らメインキャストに、中島みゆきが加わり、合唱でこの曲が歌われる。
課題を抱えた各々が、ようやくそれぞれのフロンティアに辿り着いた感動のフィナーレ。
FRONTIER FRONTIER
地平を見つけるために
誰にも守られず
誰にも祀られず
寂しさも優しさも
行く手を塞げない
(『フロンティア』より)
『夜会VOL.10 海嘯』のみんなの感想
久々のDVDプレイヤーがある生活。中島みゆき「海嘯」の曲に圧倒された。紫の桜、叶わぬ夢、フロンティア、と続く展開に感動。曲良すぎ。
— Atsuhiro Kubo (@iteman) February 11, 2022
中島みゆきの夜会、いままであまり見てなかった海嘯がとんでもなく名作だった。
— ビジー・レイク (@bosei_river) May 29, 2020
夜会なら海嘯、アルバムなら寒水魚。
これらの系譜に連なる作品群というのが中島みゆきの新譜についての個人的な印象。— Adelie (@pentalou) November 23, 2017
『夜会VOL.10 海嘯』の曲が収録されたアルバム
『日-WINGS』
1999年リリースのオリジナルアルバム。
「夜会VOL.7 2/2」~「夜会VOL.10 海嘯」からセレクトした楽曲をセルフリメイク。
「夜会VOL.10 海嘯」からは、
- 『難破船』
- 『知人・友人・愛人・家人』
- 『Good Morning, Ms. Castaway』
- 『明日なき我等』
を収録。
【収録曲】
『竹の歌』『NEVER CRY OVER SPILT MILK』『いつか夢の中へ』『羊の言葉』『異国の女』『あなたの言葉がわからない』『難破船』『知人・友人・愛人・家人』『Good Morning, Ms. Castaway』『明日なき我等』
『月-WINGS』
1999年リリースのオリジナルアルバム。
「夜会VOL.7 2/2」~「夜会VOL.10 海嘯」からセレクトした楽曲をセルフリメイク。
「夜会VOL.10 海嘯」からは、
- 『白菊』
- 『時効』
- 『愛から遠く離れて』
を収録。
【収録曲】
『1人で生まれて来たのだから』『紅い河』『LAST SCENE』『女という商売』『SMILE,SMILE』『PAIN』『白菊』『時効』『愛から遠く離れて』
『おとぎばなし-Fairy Ring-』
2002年リリースのオリジナルアルバム。
「夜会VOL.10 海嘯」からは、
- 『紫の桜』
を収録。
【収録曲】
『陽紡ぎ唄』『シャングリラ』『おとぎばなし』『雪・月・花』『匂いガラス~安寿子の靴』『あの人に似ている』『みにくいあひるの子』『愛される花 愛されぬ花』『裸爪(はだし)のライオン』『紫の桜』『海よ』
⇒『おとぎばなし-Fairy Ring-』の解説&みんなの感想
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