1979年の中島みゆきのアルバム曲『しあわせ芝居』
中島みゆきが桜田淳子のために書き下ろした曲だ。
当時、清純派で売り出していた桜田淳子が、この曲によってガラリとそのイメージを変えた。
どうして桜田淳子はこの曲を歌わなければならなかったのか?
そこにはちゃんとした理由があった。
この記事は、
- 中島みゆきへ曲を依頼した経緯
- 依頼を受けてプレッシャーだった中島みゆき
- 『しあわせ芝居』に涙した桜田淳子とその理由
について書いてます!
中島みゆき『しあわせ芝居』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 鈴木茂
桜田淳子のために書き下ろされた曲
『しあわせ芝居』は中島みゆきが桜田淳子へ提供した曲で、1977年11月5日にシングルリリースされた。
曲を依頼した経緯
中島みゆきが、曲の依頼を受けたのは桜田淳子が所属するビクターレコードの笹井ディレクターからだった。
この頃、桜田は飛ぶ鳥を落とす勢いの人気歌手だった。
2004年「文芸ポスト」冬号に掲載された桜田淳子の手記によると、一方で、彼女は歌うことに限界を感じていた。
「いつも笑顔のヒロインであって、泣き顔は許されなかった」と当時の心境を振り返っている。
笑顔をいつも絶やさないという世間のイメージから外れることができず、泣きたい気持ちを押し殺しながら芸能活動を続けていたのだ。
そんな桜田の胸中を、近くにいた笹井ディレクターはそれとなく察していた。
これまでの「明るい」というイメージとは真逆の「翳り」のある曲。
笹井は、それを中島みゆきに求めたのである。
依頼を受けた中島みゆきはプレッシャーだった
笹井から依頼を受けた中島みゆきは、かなりの重圧を感じていたようだ。
2003年リリースの『桜田淳子BOX~そよ風の天使~』のブックレットには、当時の中島みゆきの心境を綴ったコメントが掲載されている。
「既にトップアイドルでいらしたし、常に超一流の先生がたが書いていらしたことでしたから、デビュー間もなかった私としては冷や汗ダラダラの、ものすごいプレッシャーだったのを覚えています」
当時、桜田淳子の曲を手掛けていたのは阿久悠や中村泰士、森田公一という錚々たる顔ぶれだ。
桜田淳子をイメージして書いた
中島みゆきと桜田淳子は複数の雑誌で対談している。
その中で、中島みゆきは『しあわせ芝居』についてこう語っている。
「あの歌の女の子は淳子ちゃんのイメージで書いた詞なのよ。外で仕事のときなんか「私、充実してますよ、頑張ってますよ」って顔してツッパってるけど、家では急に男の子に涙を流しながら電話するような二面性ってあるでしょ」
これに対し桜田は、「ズバリあたってるわ!」と驚いている。
『しあわせ芝居』に涙した桜田淳子とその理由
2004年「文芸ポスト」冬号の手記の中で、桜田淳子は、初めて『しあわせ芝居』を聴いた時のことを振り返っている。
まず、歌のタイトルから感動が走ったという。
そして、中島みゆきの歌声が入ったデモテープを聴いた瞬間、譜面を手にしながらハラハラと泣いていたのである。
それは、デビュー以来、初めて経験する感覚だった。
自分も普通に泣き、考え、もがくのだという心の叫びをこの曲は代弁してくれている。
桜田はそう感じた。
そして、『しあわせ芝居』は、桜田淳子によって息が吹き込まれるのであった。
『わかれうた』と一緒にトップ10入り
『しあわせ芝居』は、1977年12月5日付の週間オリコンチャートで3位を記録。
この時、2位にランクインしていたのが中島みゆきの『わかれうた』だった。
レコード大賞で受賞
1978年の第20回日本レコード大賞において、桜田淳子は『しあわせ芝居』で金賞を受賞している。
また、中島みゆきも、この曲と加藤登紀子へ提供した『この空を飛べたら』で西条八十賞(作詩賞)を受賞している。
息継ぎがない曲
1979年、『しあわせ芝居』は、中島みゆきによってセルフカバーされ、アルバム『おかえりなさい』へ収録された。
『桜田淳子BOX~そよ風の天使~』のブックレットに掲載された中島みゆきのコメントには、こうある。
「桜田さんはとても軽やかに歌ってくださいましたけれども、後になって自分のアルバム用に歌ってはじめて、あ、息継ぎの箇所を設けておくのを忘れてたわ、と気づきました。桜田さん、ゴメンナサイ」
前後の文脈から『しあわせ芝居』のことを言っていると思われるが、一方で、1978年に提供した『追いかけてヨコハマ』という可能性もある。
いずれにしろ、中島みゆきは桜田淳子へ、息づぎしづらい曲ばかりを提供しているのだ。
『しあわせ芝居』はこんな曲
勘違いの恋をしてしまう女。
優しくしてくれると思っていた男は、他の誰にも優しかったのだ。
私みんな気づいてしまった
しあわせ芝居の舞台裏
電話してるのは私だけ
あの人から来ることはない
(『しあわせ芝居』より)
『しあわせ芝居』のみんなの感想
桜田淳子の「しあわせ芝居」聴くと、亡き父が一緒に観てて、「いい歌だなあ。菅原洋一あたりが歌えばもっといいのに」と言ったのをいつも思い出す。中島みゆきが一番いいけど、菅原洋一ってのも確かにハマりそう。
なんて、独り言です、スミマセン😅— chisako (@madamechisako) May 15, 2021
ちなみに中島みゆきのアイドル提供曲では、桜田淳子のしあわせ芝居が好きです♥️
— 5年3組魔法METAL (@53M_METAL) July 11, 2021
中島みゆきさん作詞・作曲の「しあわせ芝居」て、
恋人がすんごい受動的で情熱が感じられないから“芝居“ってことなん??🤔
恋人としてはイマイチかもしれないけど、結婚してずっと一緒にいる相手としては良いと思うわ。子供できれば尚更。とか、あまりに現実的な感想、、https://t.co/CwICzOI6pt
— 月が、きれいですね。 (@returnf86d) November 22, 2020
カバーしたアーティスト
研ナオコ
1978年リリースのカバーアルバム『NAOKO VS MIYUKI/研ナオコ、中島みゆきを歌う』に収録。
岩崎良美
2013年リリースのカバーアルバム『THE REBORN SONGS〜シクラメン〜』に収録。
『しあわせ芝居』をフルで聴く方法
単品購入
収録アルバム
『おかえりなさい』
1979年リリースのオリジナルアルバム。
中島みゆき初のセルフカバー集。
- 研ナオコに提供した『あばよ』
- 桜田淳子に提供した『しあわせ芝居』
- 小柳ルミ子に提供した『雨…』
- 日吉ミミに提供した『世迷い言』
- ちあきなおみに提供した『ルージュ』
を含む全10曲
【収録曲】
『あばよ』『髪』『サヨナラを伝えて』『しあわせ芝居』『雨…』『この空を飛べたら』『世迷い言』『ルージュ』『追いかけてヨコハマ』『強がりはよせヨ』
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