2017年の中島みゆきのシングル『慕情』
この曲は、ドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)の主題歌として中島みゆきが書き下ろした。
ドラマの脚本を手掛けた倉本聰は、中島みゆきと旧知の仲で、互いに尊敬しあう関係である。
それゆえ、中島みゆきは、相当な意気込みで曲作りに挑んでいる。
それは、ドラマの台本に隈なく目を通す姿勢からも窺える。
この曲がどのようにして生まれてきたかみていこう。
この記事は、
- 『慕情』はドラマ「やすらぎの郷」の主題歌
- 『慕情』はドラマの台本全てに目を通して作られた
- 『慕情』を初めて聴いた倉本聰の反応
について書いてます!
中島みゆき『慕情』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
ドラマ「やすらぎの郷」の主題歌
週間オリコンチャートトップ10入り
『慕情』は倉本聰が脚本を手掛けたドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)の主題歌として中島みゆきが書き下ろした曲だ。
2017年8月23日にシングルリリースされ、週間オリコンチャート8位を記録。
前作2014年の『麦の唄』に続き、2作連続のトップ10入りを果たしている。
長い制作時間
これまで倉本聰のドラマ作品には、中島みゆきの曲がたびたび劇中に登場してきた。
だが、倉本のオファにより、ドラマの曲が作られたのは本作が初めて。
中島みゆきは、公式に、以下のコメントを残している。
「倉本さんがね。ひと言ひと言を、命を削るようにして紡いでいらっしゃるんですから。そこへ、徒(あだ)や疎(おろそ)かな歌詞など書いてはならない……」
中島みゆきが作家として尊敬する倉本聰。
彼の期待に応えようと多大なプレッシャーを感じていたようだ。
2021年「週刊現代」4月3日号の記事は、曲作りの苦しみを窺わせる内容が報じられている。
最愛のパートナーに先立たれ1人で生きていくことになったドラマの主人公。
彼に、どんなメッセージを投げかけるべきか、歌詞が1行も進まない……。
中島みゆきは、この頃、「夜会VOL.19 橋の下のアルカディア」の準備に追われていた。
多忙も相まって、「もっと早く出来ないか?」と曲の催促を受けつつも、ギリギリまで先延ばしにしていたのだ。
台本に全て目を通して曲を作った
中島みゆきが曲作りに取り掛かる前には、もうすでに倉本聰からドラマの全話分の台本が中島みゆきのもとへ届いていた。
中島みゆきが主題歌を手掛ける場合、台本に目を通すことがほとんどだが、それでも全話分というのはめったにないことらしい。
倉本聰曰く、自分の寿命がいつ果てるかもしれない(べつに病気ではないのだが)から、周りに迷惑がかからないように急いで書き上げた台本だという。
上柳昌彦との対談の中で、その積み重なった台本を「雪崩が起きてなんとかしてよってくらいの量」と形容している。
中島みゆきは、この全話の台本を曲を作る前に、セリフを覚えるまで読み込んだという。
どの回の誰が出てるシーンでもピッタリ合うような曲にするために、1年もの歳月を費やして完成したのが『慕情』なのだ。
生き残る歳月 ひとりで歩けるかな
生き残らない歳月 ひとりで歩けるかな
(『慕情』より)
最初に曲を聴いた倉本聰の反応
レコーディングは12月25日クリスマスの日に行われた。
正月を挟むとテンションが落ちてしまうということで、「夜会」の公演終了後すぐに、渋谷のスタジオで収録が行われた。
「ラジオ瀬尾さん」で瀬尾一三が語るところによると、倉本聰の耳に曲が届けられたのは翌年の2月。
スタジオに倉本が来て、中島みゆきと瀬尾一三立ち合いのもと初めて『慕情』を披露した。
倉本は、「スゴイ!」と顔をほころばせて喜んだという。
中島みゆきも出演した「やすらぎの郷」
中島みゆきが関わったのは主題歌だけではない。
ドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)にカメオ出演も果たしている。
倉本聰から直々に主演のオファがあり、倉本と夫婦役で第64話と第70話に出演している。
入居者たちが体操をしている前を、車椅子に乗った倉本聰とそれを押す中島みゆきが通り過ぎるというシーン。
一瞬で、もちろんセリフもない。
情報番組「グッド!モーニング」(テレビ朝日系)の中で主演の石坂浩二が明かすところによると、この夫婦にはちゃんとドラマ上の設定があるようだ。
- 夫…「老舞台演出家」
- 妻…「紅白出場経験もある大物歌手」
極めてリアルに即した設定だ。
イメージしたサウンド
「ラジオ瀬尾さん』の中で瀬尾一三は、『慕情』は老夫婦が手をつないで歩くシーンをイメージしてサウンドを作り上げていったと語っている。
MVのような映像を意識しながら音を作っていったという。
有線放送で首位
『慕情』は、2017年10月18日集計分(10月6~12日)の有線J-POPリクエストランキングで1位を獲得した。
これは、2003年の『地上の星』以来の快挙で、他に有線1位を獲得した中島みゆきの曲は『悪女』『浅い眠り』しかない。
『慕情』はこんな曲
これまで辿ってきた道、
これから歩いていく道、
人生の終わりをどう生きるか考えさせられる曲だ。
愛より急ぐものが どこにあったのだろう
愛を後回しにして 何を急いだのだろう
甘えてはいけない 時に情けは無い
手離してならぬ筈の 何かを間違えるな
(『慕情』より)
『慕情』のみんなの感想
中島みゆきの慕情ってめっちゃいい曲だな〜
愛より恋に走ってしまいたい気持ちに「待った」をかけられた気分
— ひろ (@enp_hk) May 6, 2021
今号の特集は「#中島みゆき の名曲『#慕情』で人生を振り返る」。「このうたを聞くと、決して消すことのできない過去の過ちが蘇り、心がズキズキと痛みます。それと同時に、どこか浄化されていくような気持ちにもなるのです」(作家・ #片岡義男 氏)
— 週刊現代 (@WeeklyGendai) April 2, 2021
これを唄おう(^_^;)中島みゆきさんの「慕情」です。受け売りですが、チマチマした範疇を超えて、大きくて深い人間同士の愛を歌いあげている。生きていれば、いつかは必ず訪れる。だから、深く人の心を打つ。それより、箴言もいいが上手く唄おう(^_^;)
— やさい わふ (@yasai_wahu) March 31, 2021
『慕情』をフルで聴く方法
単品購入
収録アルバム
『相聞』
2017年リリースのオリジナルアルバム。
- テレビ朝日系ドラマ「やすらぎの郷」挿入歌『人生の素人(しろうと)』
- 平原綾香へ提供した『アリア -Air-』
- テレビ朝日系ドラマ「やすらぎの郷」主題歌『慕情』
を含む全10曲。
【収録曲】
『秘密の花園』『小春日和』『マンハッタン ナイト ライン』『人生の素人(しろうと)』
『移動性低気圧』『月の夜に』『ねこちぐら』『アリア -Air-』『希い』『慕情』
『中島みゆき 2020ラスト・ツアー「結果オーライ」』
2022年にリリースされたライブアルバム。
2020年に行われた幻のラスト・ツアー「結果オーライ」の音源を収録。
【収録曲】
『一期一会』『アザミ嬢のララバイ』『悪女』『浅い眠り』『糸』『ローリング』『流星』『最後の女神』『齢寿天任せ』『離郷の歌』『この世に二人だけ』『ナイトキャップ・スペシャル』『宙船(そらふね)』『あたいの夏休み』『麦の唄』『永遠の嘘をついてくれ』『慕情』『誕生』『人生の素人』『土用波』『はじめまして』
⇒『中島みゆき 2020ラスト・ツアー「結果オーライ」』の解説&みんなの感想
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