2017年の中島みゆきのアルバム曲『アリア -Air-』
平原綾香が2016年にリリースしたアルバム『LOVE』には、「愛の唄」をテーマに様々なアーティストが書き下ろした曲が収録されている。
この曲も、そのうちの1つだ。
平原綾香が、どのような思いで曲をオファしたのか。
中島みゆきが、どのような思いでこの曲を書いたのか。
レコーディングでの2人のやり取りも含めて、色々、みていこう。
この記事は、
- 『アリア -Air-』は平原綾香への提供曲
- 中島みゆきが『アリア -Air-』をセルフカバーした経緯
- 『アリア -Air-』レコーディングの中島みゆきと平原綾香のやり取り
について書いてます!
中島みゆき『アリア -Air-』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
平原綾香への提供曲
『アリア -Air-』は、平原綾香のオファに対し中島みゆきが書き下ろした曲。
2016年のアルバム『LOVE』に収録されている。
「愛の唄」がテーマ
2016年のアルバム『LOVE』は、様々なアーティストが「愛の唄」をテーマに書き下ろした曲を平原綾香が歌うというコンセプトをもとに制作された。
それまでも、平原は、ステージで中島みゆきの曲を歌ってきた。
2015年の24都市30公演をめぐる全国ツアーでは、『糸』をカバーしており、その後、参加した「中島みゆき RESPECT LIVE 歌縁(うたえにし)」の中でも、『糸』『二隻の舟』を披露している。
「FanplusMusic」のインタビューで以下のように語っている。
「『糸』を歌いながらいっぱいいっぱい癒されるというか、いろんな思いを浄化してもらった感じあって」
そして平原は、ある時、ダメ元で直筆のオファの手紙を中島みゆきへ送ったのである。
偶然にも、中島みゆきのマネージャーが、ステージで平原のライブを聴いた経験があった。
その時の感動が、中島みゆきにも伝えられ、快くオファへOKを出したという。
平原綾香の音域を意識した
オファの手紙の内容は、「魂の子守歌みたいな歌を作ってもらえませんか」という内容だった。
もちろん、アルバムのコンセプトでもある「愛の唄」をテーマも踏まえなければならない。
また、送られた平原綾香の音域表も、楽曲を制作する上での材料だ。
中島みゆきは、平原の広い音域をフル活用できるような曲を作ろうとしていた。
「ぜったい私は歌わないわ」
中島みゆきすら、こう言わしめてしまう曲が完成した。
編曲を手掛けた瀬尾一三によると、中島みゆきは当初この曲のセルフカバーを考えていなかったようだ。
レコーディングに立ち会った中島みゆき
『アリア -Air-』のレコーディングには、中島みゆきも立ち会っている。
平原綾香は、当時を以下のように振り返っている。
「スタジオに入ってきた瞬間、周りがパッと明るくなるような方です」
通常は、ミキシングルームの真ん中でレコーディングの様子を聴くものだが、中島みゆきの場合、平原への配慮からか、隣の小さな部屋から歌声だけを聴いていたらしい。
リハーサルの時、平原は「響きあう波を探して」という部分を、デモテープとは異なる食い気味な歌唱法で歌った。
すると、中島みゆきがブースへ入ってきて、こう言った。
「あそこの部分、本番でもさっきの綾香ちゃんみたいに歌っちゃって。そっちのほうがいい」
中島みゆきなりの先回りした気遣いらしいが、一方で、平原へのリスペクトでもあるようだ。
アルバムのブックレットには、中島みゆきの以下のコメントが掲載されている。
「収録初日で平原さんは、既にカンペキでした。ものすごい天才なのか、ものすごい練習量なのか」
そして最後には、「尊敬してます」と付け加えられている。
この言葉は、レコーディングの時にも平原本人へ掛けられている。
「いえいえ! 私のほうこそ!」と謙遜する平原だが、実力を認めているのは中島みゆきだけでなく編曲を手掛けた瀬尾一三もだ。
瀬尾は、まるで平原を試すように曲のラストにハイトーンボイスを加える提案をした。
そして、その期待通り、平原はあっさりとそれを歌いこなしてしまったのである。
中島みゆきへのプレゼント
2021年3月13日放送の「ミュージックフェア」(フジテレビ系)に出演した平原綾香は、中島みゆきへ贈ったプレゼントについて語っている。
『アリア -Air-』のレコーディング時、中島みゆきの誕生日が近かったので、プレゼントにキラキラ輝くバッグを贈ったのだった。
中島みゆきは大いに喜んだ。
「あたしキラキラ大好きなのよ! 今日はコレもらったからもう帰るね!」
そしてルンルンとスキップを踏みながら去って行ったのだ。
平原は、その姿を「まるで少女のようだった」と振り返っている。
平原綾香が『アリア -Air-』へ思うこと
平原綾香は、『アリア -Air-』から以下のようなメッセージを受けたと語る。
「歌を歌っても、受け取ってもらえなければ何も生まれない」
平原の中で、みんなが求めているものを届けられるアーティスになりたいという目標が生まれた。
最初にファイルでこの曲を受け取った時に、「アリア」というタイトルにカッコ良さを感じたという。
さっそく曲を聴いた平原は、渦に巻き込まれるようにメロディに引かれ、そして歌詞に自分を重ねた。
「FanplusMusic」のインタビューでは、以下のように語っている。
「不思議な歌なんですよね。<私は待ちわびる/あなたの歌声を>っていう歌詞にドキッとして。みゆきさんが音楽の神様で、地上にいる私に「さぁ、歌え!」って言ってるような感覚になって、ドキッとして。私、アリアっていう名前なんじゃないかって思ったくらい」
海辺で聴く歌は 波の音(ね)と似ている
砂漠で聴く歌は 砂の音(ね)と似ている
私の歌声は何にでもなる
私は待ちわびる あなたの歌声を
(『アリア -Air-』より)
周囲の反応
『アリア -Air-』を歌うようになり、周囲からよく以下のように言われることがあった。
「中島みゆきが乗り移っている」
曲や歌詞に、中島みゆき節が織り込まれているからなのでは?
そんな風に思っていたが、後に中島みゆきがセルフカバーしたものを聴いて、全く非なるものであることに気付くのであった。
セルフカバーした経緯
「ぜったい私は歌わないわ」と言い放った中島みゆきだが、2017年のアルバム『相聞』の中で『アリア -Air-』は、セルフカバーされている。
この心境の変化は、アルバム『相聞』のコンセプトが影響している。
- 相聞…「互いに相手のようすを尋ねること」
このイメージに合致したのが『アリア -Air-』だ。
そのため、収録曲のラインナップに加えない訳にはいかなかったのである。
1人では歌えない 受けとめられて産まれる
響きあう波を探して
(『アリア -Air-』より)
田家秀樹との対談の中で、中島みゆきは、以下のように語っている。
「「響き合う波を探して」と歌ってるの。響き合うために相手もアリアを歌っていなければダメ。それぞれが自分のアリアを精一杯歌って響き合う。それが「相聞」だと思う」
音域の問題は、中島みゆきが歌いやすいように曲に手を加えたことで解消している。
平原綾香版も中島みゆき版も、瀬尾一三が編曲を手掛けているが、中島みゆきの方はよりシンプルに仕上げられている。
「アリア」に込めた思い
田家秀樹との対談の中で、中島みゆきは、『アリア -Air-』について以下のように語っている。
「ワシが歌う時は二律背反、アンビバレンツなつもりで歌っています」
独唱という意味の「アリア」に、「1人では歌えない」という相反する要素を絡めている。
「孤独という闇から自由になりたいがために歌うんだったら、出会う歌をキチンと探す、ということなんですね」
『アリア -Air-』はこんな曲
歌う人間と、それを受け止める人間がいて、初めて歌になり得る。
音楽の根本を考えさせる曲だ。
1人では歌は歌えない 受けとめられて産まれる
響きあう波を探して
アリア 人は誰も 自由になりたかった
(『アリア -Air-』より)
『アリア -Air-』のみんなの感想
みゆきさんのアリア。とんでもないな。平原綾香のアリアがとんでもなくて音域広いわ歌うの難しいわどう聞いても中島みゆきソングでもあるんだけど、セルフカバーできるのか疑問だった。
いつも通りのみゆきさんの歌だった。— 井守千尋 (@igami_tefly) November 21, 2017
しかし、平原綾香さんの「アリア」、中島みゆきに全く詳しくない自分の耳でも、”中島みゆき”って分かるのがスゴいよね…(^^;
検索してみて、やはり…だった。
でも、良くある作った側の色が強すぎて、全然提供曲として活きてないダメな曲でなく、平原綾香さんの歌唱力がとにかく凄かったのよね…— ぐいん☆彡 (@Lunar_Sanctum) November 19, 2017
アリア -Air-
いつか、中島みゆきさんとデュエットとかされているのを聴いてみたい— 齊藤 健司(ゆめかけ) (@yume_piece1010) October 3, 2021
『アリア -Air-』をフルで聴く方法
単品購入
収録アルバム
『相聞』
2017年リリースのオリジナルアルバム。
- テレビ朝日系ドラマ「やすらぎの郷」挿入歌『人生の素人(しろうと)』
- 平原綾香へ提供した『アリア -Air-』
- テレビ朝日系ドラマ「やすらぎの郷」主題歌『慕情』
を含む全10曲。
【収録曲】
『秘密の花園』『小春日和』『マンハッタン ナイト ライン』『人生の素人(しろうと)』
『移動性低気圧』『月の夜に』『ねこちぐら』『アリア -Air-』『希い』『慕情』
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