1984年の中島みゆきのオリジナルアルバム『はじめまして』
中島みゆきが、これまでの音楽のスタイルから大きく舵を切った印象を与えるアルバムだ。
1曲ずつみていこう。
この記事は、
- 『はじめまして』の特徴
- 『はじめまして』の曲解説&みんなの感想
について書いてます!
中島みゆき『はじめまして』
1984年リリースのオリジナルアルバム。
- シングル曲『ひとり』のアルバムバージョン
- Bank Bandもカバーした『僕たちの将来』
を含む全10曲。
【収録曲】
『僕は青い鳥』『幸福論』『ひとり』『生まれた時から』『彼女によろしく』『不良』『シニカル・ムーン』『春までなんぼ』『僕たちの将来』『はじめまして』
『はじめまして』の特徴
週間オリコンチャート1位
『はじめまして』は、1984年10月24日にリリースされ、週間オリコンチャート1位を記録した。
「御乱心の時代」の幕開け
『はじめまして』は、「御乱心の時代」の始まりのアルバムとされている。
「御乱心の時代」とは、中島みゆきが自身の音楽性を模索しながら試行錯誤していた時期のことを指す。
1986年「婦人公論」12月号の田家秀樹の手記によると、このアルバムが出た時、デビュー当時からの中島みゆきファンの間で、「ロックへ転向したのではないか?」と囁かれていた。
1年半ぶりのリリース
この頃の中島みゆきは、通常、春にアルバムをリリースしていた。
本アルバムは、例年から半年遅れの秋にリリースされている。
このため、一部のレコード店では、春にアルバムの予約を受け付けてしまうというフライングをやらかしている。
基本1年ペースでアルバムをリリースしている中島みゆきだが、本アルバムに至っては前作から1年半と珍しくインターバルが長くなった。
本人曰く、選曲するところから数えると1年2年どころでない、それ以上の時間がかかっている。
『はじめまして』の曲解説&みんなの感想
『僕は青い鳥』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 小野崎孝輔
アルバムに先駆けて1984年の春のコンサートツアー「明日を撃て!」のオープニングで披露されている。
1984年「GB」12月号のインタビューでは、この時、すでにこの曲がアルバムに収録されることが決定していたので、紹介のつもりで歌ったと明かしている。
だが、この曲が初めて披露されたのは、それから遡ること5年前。
「1979年・秋のツアー」のステージでだった。
歌詞は、モーリス・メーテル作の童話劇「青い鳥」がモチーフになっている。
幸せの象徴である青い鳥は自分の中にあるのに、人々はそれになかなか気付けないでいる。
風刺の効いた1曲だ。
香港では夢劇院というデュオがカバーしている。
幸せになりたくて 人は変わってゆく
幸せを追いかけて 狩人に変わってく
青い鳥 青い鳥 それは自分なのに
青い鳥 青い鳥 今夜も迷子
(『僕は青い鳥』より)
サカナクションの関ジャ厶で思い出した。
ライブが先というのは、僕には中島みゆきさんの「僕は青い鳥」がそうだった。初めて見たライブの最初の弾き語りが当時知らないこの曲だった。この後のアルバム「はじめまして」の一曲めの曲だった。これが長い中島みゆきファンとしての僕のスタートになった。— ポップンポール (@hitokuchimemo) April 3, 2022
僕は青い鳥 中島みゆき – 歌詞タイム http://t.co/EFRhVBiYYl この「青い鳥」を聴いたのがみゆきワールドとの出会い。最後…幸せになりたくて人は変わってゆく 幸せを追いかけて人は変わってゆく 青い鳥 青い鳥 それは自分なのに…に衝撃を受け、以来みゆき命に。
— 雪之丞🇺🇦プーチンのジェノサイドは戦争犯罪だ (@aoitori2011) November 6, 2013
『幸福論』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 小野崎孝輔
この曲は、それまでフォーク色の強かった中島みゆきの印象をガラリと変えた。
ちなみに、中島みゆきを尊敬してやまない芸人の鳥居みゆきは、自身の舞台のタイトルをこの曲から拝借している。
他人の幸せを妬ましく思ってしまう本音を惜しげなくさらけ出した1曲だ。
笑顔になるなら 見えない所にいてよ
妬ましくて貴方を憎みかけるから
プラスマイナス他人の悲しみをそっと喜んでいないか
(『幸福論』より)
はじめましてでいきなり激変なイメージはないのだけど、当時はどのような感じだったのかなあ。
ただ、幸福論だけは明らかにこれまでとは違う空気感を感じた。
はじめまして〜MissMの成熟具合や36·5℃の突き抜け感、アルバム中島みゆきのロックと恋歌、社会派ソングの飛躍的な融合性凄いよなあ。— BAKAQ (@redwing2014) June 26, 2022
中島みゆきの「幸福論」という楽曲の歌詞の通りだ。「人の笑顔が悔しい」アリストテレスは「嫉妬とは他者の善に対する悲しみ」と定義したそうだが、日本人の嫉妬心はさらに根深い。自分が今より不幸になっても他人のささいな幸せをも許さない。
— SATO, Ryo (@beerlove_ryo) June 14, 2022
『ひとり』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 倉田信雄
1984年にリリースしたシングル曲をアレンジを変え再収録。
シングルよりも内向的な印象を受ける仕上がりになっている。
別れた後の展望を思い描いている切ない1曲だ。
時計の針なら戻る
枯れた花さえも 季節がめぐれば戻る
でも私たちの愛は
Good-by Good-by 明日からひとり
どんな淋しい時でも 頼れないのね
(『ひとり』より)
今日のエンディングテーマ
「ひとり」 中島みゆき 1984年
作詞・作曲 中島みゆき中島みゆきは、
失恋ソングをうまく書くな。
このメロディーも、
耳に心地よい。— アビ族@対局休業中 (@kuma32dealtuta) November 10, 2020
中島みゆきで「時計の針なら戻る 枯れた花でさえも 季節が巡れば戻る でも私たちの愛は」という歌詞があって大好きなんですが、今日ふと、自然のものが一周めぐって元に戻るんだったら、人間の愛だって戻るんじゃないの?と思いました。ただ、相手が同じ人でないというだけで。
— 山口茜 (@punainenpenkoa) November 12, 2014
『生まれた時から』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 後藤次利
当初、コーラスは専門のプロに依頼する予定だったが、後に、ライブのベース担当だった岡沢章が務めることになった。
ちなみに、女性コーラスは杉本和世が担当。
想いを寄せる相手の男は、いつも飲んだくれている。
昔の女のことを、まだ引きずっているらしい。
それを知った主人公の女は、やるせない思いで、今度は自分が飲んだくれるのであった。
いまさら嫌いに変われるはずもなし
聞かなかったふりして もろともに飲んだくれ
飲んででもいなければ 悲しみは眠らない
(『生まれた時から』より)
中島みゆきさんは、強いらしいのはお酒の歌も数多くあることからもわかる。三大飲んだくれソングの「生まれた時から」「ふらふら」「テキーラを飲みほして」がありますね。
— あらま🌙ことなり (@miara0511) October 18, 2020
真夜中、ひとりで飲んだくれてると、中島みゆきの「生まれた時から」の歌詞が思い浮かぶ。
中島みゆきは、日本の歌手の中でも、最もお酒が似合うと思う。彼女の歌には、小道具としてお酒がいい役割をしている。
— Kore@C100 土曜 東ム-48a (@korekichi_san) December 22, 2017
『彼女によろしく』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 小野崎孝輔
先が分からないというのは、関係を長続きさせる上では好都合なのかもしれない。
この先に別れがあると知ったなら、きっと愛し合うことはできないだろうから。
あと幾日生きられるか 生命線に尋ねてみても
昨日死んだ若い人の掌(てのひら)は長生き示してた
昨日が見えなくて良かったわ
だからあなた信じられたもの
(『彼女によろしく』より)
時間について色々考えさせられる歌ですね。「いつか行ってみたいけれど、多分無理だなと、、、」っていう歌詞が、疲れたときに自然と口をついてでてきます RT @yu_miri_0622: 「彼女によろしく」なう。深夜の中島みゆきは、いいな。
— maru0e (@marokoto) March 9, 2014
♪仕事をしていて良かったわ 愛どころじゃないふりができる
(by 中島みゆき「彼女によろしく」)
…ではないけれど、別件で凹んでるときは、仕事が忙しい方がありがたいかもしれない。— きぬっち (@silk0108) February 14, 2020
『不良』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 倉田信雄
激しいドラムからのイントロ。
これもまた、これまでの中島みゆきのイメージを覆した1曲だ。
本当の気持ちを自分にすら誤魔化しながら、どこかの他人を抱きしめている。
不良の心は、寂しく脆い。
裸で夜の海に浮けば 間違いだった数が解ける
1たす1は今夜も1にはなれないね
遠くて男 寒くて女
抱きしめているのにさ 腕の中の他人
(『不良』より)
中島みゆきのライブで聞いた不良にも打ちのめされた。なんなんだよ、もうって。最高だった。
— すー (@su2ep) April 14, 2020
中島みゆきに「不良」という作品がある。ここでの〝不良〟とは、一般的に言われる、不完全燃焼的な意味の不良であり、それを純化させたもの。故に「1たす1は今夜も1にはなれな」い事態を引き起こし、「抱きしめているのにさ 腕の中の他人」という叙述へと至る。
— lyricist(Takanobu Kiminami) (@lyricis86239939) November 9, 2019
『シニカル・ムーン』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 倉田信雄
月が雲に隠れていくような夜の静けさが、サウンドから漂っている。
桜、月、不安定な男女。
アンバランスな風情がクセになりそうな1曲。
肩にまわした指に積もる花びらひんやり
すこし薄着のうなじの上 髪の先が逃げる
好きだと言えば不安になる 言われていなきゃ不安になる
言えないことから伝わってしまう
皮肉なものだね
(『シニカル・ムーン』より)
春の夜の描写というと、中島みゆきの「シニカル・ムーン」の歌詞の
「二人歩くのが似合いそうな春の夜は四月
少し肌寒いくらいの風が寄り添いやすい」
が真っ先に出てくる。— 稲持栄【猟犬とか探偵助手とか】 (@moonlit1997) March 27, 2020
暖かくて気持ちのいい春の宵だなあ…と中島みゆきの「シニカルムーン」を歌いかけて気付いた。今12月じゃん!
お外で飲むビールがうまい日。— みゆうのすけ(PUI PUI) (@miyuu753315) December 4, 2018
『春までなんぼ』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 倉田信雄
1991年「月刊カドカワ」11月号では、この曲について「歌い方が御乱心」と言っている。
音程が取れているようで取れていないクセの強い曲なのだ。
1984年「GB」12月号のインタビューで、中島みゆきは以下のように答えている。
「あれは、あのとおりもう1回歌えったって、同じにはならんでようね」
退廃的な歌詞もまた、新たな扉を開いたような印象を受ける。
いらない鳥を逃してあげた
逃してすぐに 野良猫喰べた
自由の歌が親切顔で
そういうふうに誰かを喰べる
(『春までなんぼ』より)
いくつかある中島みゆきの声色のなかで…「春までなんぼ」と同じく…この声を目の前で聞かされたら…平静を保つ自信なし!という曲が入ってんですが、大好きな曲も入っているという…
アルバム #中島みゆき— 庵主 (@tsuyoshi5049) December 29, 2017
中島みゆきの「春までなんぼ」は最初は歌詞を気にしてなかったけど高校生くらいん時にじっくり聴いてゾっとした記憶がある。アルバム「はじめまして」全体がこんな感じだけど好きなアルバム上位(^_^)
— shiori⚙️сиори (@yudanchan40) April 27, 2016
『僕たちの将来』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 小野崎孝輔
中島みゆきは自身の体質を以下のように述べている。
「結婚したとしても、ふと疑問を抱く瞬間が繰り返されるんだろうね」
それを反映したような1曲。
レストランで、男は、2人の将来や切れないステーキのことで頭がいっぱいで、戦争を伝えるテレビのニュースがまるで入ってこない。
かつて井上陽水は、自殺の増加を報じる新聞の記事より、恋人に会いに出かけるための傘がないことを問題視する男の気持ちを歌っていた。
社会より個を優先させることはカッコ悪いという、それまでの風潮を突き崩した曲とされている。
『僕たちの将来』は、その流れを汲んでいる曲と言える。
青の濃すぎるTVの中では
まことしやかに暑い国の戦争が語られる
僕は見知らぬ海の向こうの話よりも
この切れないステーキに腹を立てる
(『僕たちの将来』より)
中島みゆき「僕たちの将来」、戦争のニュース見ながら?、今から食べる肉が切れないことに苛立つって結構ブラックな表現だよな。
— しの (@55_1229R) March 13, 2022
“ナイフに急に力を入れて彼はことばを切る”
中島みゆきの「僕たちの将来」の歌詞が美しい。
— 鎌塚慎平 (@kama_rly) March 13, 2021
『はじめまして』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 倉田信雄
カウントダウンからスタートする威勢のいい曲。
アルバムのラストなのに「はじめまして」というアンバランスさは、これも「御乱心の時代」ならではの試みなのだろうか。
面と向かって言うべき挨拶が、まだ見ぬ明日へと向けられている。
新しい服を着る 季節のように
今来た道を 忘れてしまう
枯れた枝 落とすように
悲しい人を 他人のように忘れてしまう
(『はじめまして』より)
「僕たちの将来」は「はじめまして」とセットで聞かないと効果が薄れると、中島みゆき教セット曲派のワタクシは思うのであります。
— おこた (@kotatsu1977) January 16, 2014
はじめまして明日、名曲すぎる!ラストの予想できない展開がごっつい!中島みゆきなう。
— いとう (@ito_shi) January 15, 2011
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