1979年の中島みゆきのアルバム曲『世迷い言』
作詞を阿久悠、作曲を中島みゆきが手掛け、日吉ミミに提供された曲だ。
1978~1979年のドラマ「ムー一族」(TBS系)の劇中歌としてオファがあり、一部、番組の都合に合わせた歌詞となっている。
歌詞の中の印象的な回文のフレーズ「ヨノナカバカナノヨ」の真意から、歌詞に込められた阿久悠の思いまで、色々みていこう。
この記事は、
- 作曲のみが中島みゆきの異色作『世迷い言』
- 『世迷い言』の歌詞「ヨノナカバカナノヨ」は阿久悠のアイデアではない
- 『世迷い言』の歌詞「デジタル時計がカタリ」とは?
について書いてます!
中島みゆき『世迷い言』
作詞 阿久悠
作曲 中島みゆき
編曲 戸塚修
日吉ミミに提供された曲
『世迷い言』は、1978年に日吉ミミに提供された曲だ。
1970年にリリースしたシングル『男と女のお話』が60万枚を超えるヒット作となり、同年、初の紅白出場を果たす日吉。
その後、低迷するが、この『世迷い言』で再び脚光を浴びることに。
作曲のみが中島みゆきの異色作
『世迷い言』は、作詞を阿久悠、作曲を中島みゆきが手掛けている。
中島みゆきの曲の多くは、作詞・作曲の両方が自身によるもので、たまに作詞のみを担当するパターンがあるくらいだ。
この作曲のみという例は、極めて珍しく、他には以下に挙げる曲くらいしかない。
- 『安寿子の靴』(1984年)
作詞 唐十郎
作曲 中島みゆき - 『匂いガラス』(1986年)
作詞 唐十郎
作曲 中島みゆき - 『雨月の使者』(1987年)
作詞 唐十郎
作曲 中島みゆき
ヒットメーカーである阿久悠の詞に、中島みゆきの作った曲が添えられ、それを日吉ミミが歌うという当時としては斬新な組み合わせだったという。
「ヨノナカバカナノヨ」は阿久悠のアイデアではない
『世迷い言』は、1978~1979年放送のドラマ「ムー一族」(TBS系)の劇中歌として制作された。
日吉ミミ扮する居酒屋に出没する謎の歌手という体(てい)でこの曲が歌われている。
上から読んでも 下から読んでも
ヨノナカバカナノヨ
(『世迷い言』より)
この印象的なフレーズ「ヨノナカバカナノヨ」は、このドラマが発端となった回文だ。
主人公の拓郎(郷ひろみ)が呟いた「シンブンシ、タケヤブヤケタ」が、大きな反響となり、視聴者から様々な回文が番組宛てに送られてくるようになった。
番組プロデューサーの久世光彦は、これにあやかった詞を書いてほしいと阿久悠にオファをした。
そこには、「ヨノナカバカナノヨ」という回文を盛り込むようにと注文が付け加えられていたのだ。
普段は作詞の注文を受けないスタンスの阿久悠だが、盟友である久世光彦の頼みを断ることができなかったと著書「なぜか売れなかったぼくの愛しい歌」(河出文庫)の中で語っている。
だが、オファを受けた最大の理由は、作曲が中島みゆきだからとも。
阿久悠
昭和の名曲を生み出した作詞家。
代表作に以下がある。
- 『また逢う日まで』尾崎紀世彦
- 『北の宿から』都はるみ
- 『勝手にしやがれ』沢田研二
- 『UFO』ピンク・レディー
- 『雨の慕情』八代亜紀
「ムー一族」
1978~1979年にTBS系で放送されたドラマ。
創業90年の足袋屋「うさぎ屋」が舞台のコメディ人情劇で、郷ひろみ、樹木希林、伊東四朗などが出演している。
阿久悠もお気に入り「デジタル時計がカタリ」
デジタル時計がカタリと変る
もしや あんたが帰って来たのかと
ベッドをおりたら出るくしゃみ
(『世迷い言』より)
今の感覚からいうと「カタリ」と音を立てるデジタル時計なんて不可解だろう。
この頃の時計は、アナログから少しずつデジタルが入り始めていた。
デジタルといっても、液晶画面ではなく、ひと昔前の駅や空港でよく見られたフラップ式の案内板のようなもの。
時間を刻むごとに、数字が書いたプレートがパタとめくられる仕様だ。
「カタリ」とは、その時に出る音を表している。
阿久悠は、著書「なぜか売れなかったぼくの愛しい歌」(河出文庫)の中で、当時の時代を上手く反映できたと満足げに振り返っている。
日吉ミミ版の方は「デジタル時計がカタリと変る」と歌われているが、中島みゆき版は「カタリとデジタル時計が変る」と若干の変更が加えられている。
『世迷い言』はこんな曲
失恋すると風邪をひいてしまう変なクセのある女。
憎めない女のキャラクターが歌詞や曲から滲み出ている。
蜜柑をむく指 黄色く染まる
忘れたマニキュア はがれて落ちる
とてもあんたにゃついていけないわと
無理して笑えば出るくしゃみ
(『世迷い言』より)
『世迷い言』のみんなの感想
#annm10
日吉ミミさんの♪世迷い言♪(中島)みゆきさんっぽい曲だなと思ったら、本当にみゆきさんの作曲だった。しかも、作詞が阿久悠さんって。
聞いた事のあるような、ないような歌だけど、これをチョイスした理由も知りたいような…。— 古池蛙 (@Thelongandwind2) January 5, 2022
今の若い世代の子は『カタリとデジタル時計が変わる』という表現からどんな時計を想像するんだろうか。と中島みゆきの『世迷い言』を、聴いてふとおもった。
— やみぱん (@yamipikopanda) December 20, 2021
「上から読んでも下から読んでも
よのなかばかなのよ」
って、中島みゆきの世迷い言の1フレーズが頭の中でエンドレスにかかる最近。— 金木犀 (@t1On9TgZjJcN69R) August 14, 2021
『世迷い言』をフルで聴く方法
単品購入
収録アルバム
『おかえりなさい』
1979年リリースのオリジナルアルバム。
中島みゆき初のセルフカバー集。
- 研ナオコに提供した『あばよ』
- 桜田淳子に提供した『しあわせ芝居』
- 小柳ルミ子に提供した『雨…』
- 日吉ミミに提供した『世迷い言』
- ちあきなおみに提供した『ルージュ』
を含む全10曲
【収録曲】
『あばよ』『髪』『サヨナラを伝えて』『しあわせ芝居』『雨…』『この空を飛べたら』『世迷い言』『ルージュ』『追いかけてヨコハマ』『強がりはよせヨ』
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