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中島みゆき『真夜中の動物園』の曲解説&みんなの感想【試聴あり】|『負けんもんね』『雪傘』『愛だけを残せ(Album Version)』を収録したアルバム

2010年の中島みゆきのオリジナルアルバム『真夜中の動物園』

ハリネズミ、サメ、鷹など様々な動物をモチーフにした曲を集めたアルバムだ。
動物の姿に自分を重ねて聴ける楽しさがある。

1曲ずつみていこう。

この記事は、

  • 『真夜中の動物園』の特徴
  • 『真夜中の動物園』の曲解説&みんなの感想

について書いてます!

夢おじ子
夢おじ子
中島みゆきの曲を全て聴いてきたファン歴30年以上の夢おじ子が解説!

中島みゆき『真夜中の動物園』

2010年リリースのオリジナルアルバム。

  • フジテレビ系ドラマ「東京にオリンピックを呼んだ男」の主題歌『鷹の歌』
  • 工藤静香へ提供した『雪傘』
  • 映画「ゼロの焦点」の主題歌『愛だけを残せ』のアルバムバージョン

を含む全12曲。

【収録曲】
『今日以来』『真夜中の動物園』『まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う』『ハリネズミだって恋をする』『小さき負傷者たちの為に』『夢だもの』『サメの歌』『ごまめの歯ぎしり』『鷹の歌』『負けんもんね』『雪傘』『愛だけを残せ(Album Version)』

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『真夜中の動物園』の特徴

週間オリコンチャート5位

『真夜中の動物園』は、2010年10月13日リリースされ、週間オリコンチャート5位を記録した。

制作意図

アルバム『真夜中の動物園』について、中島みゆきは以下のように書き記している。

「魚類・鳥類・哺乳類……可笑しくて、トホホで、やがて愛しき、動物たちの、音楽図鑑」

2010年「ダ・ヴィンチ」11月号のインタビューによると、これまでにも動物が登場する曲はあったが、本作では好きな動物ばかりを集めたという。

「すべての生きとし生けるものと一緒に生きていたいって思いですかね」

ジャケット写真は富良野塾で撮影

山の中で走っている中島みゆきの姿が写ったジャケット写真は、富良野塾で撮影された。
富良野塾は、1984年に脚本家の倉本聰が北海道の富良野に開いた脚本家と俳優の養成所だ。
かねてから親交のあった倉本聰を通じて、ここを撮影場所と選んだと思われる。

ジャケット写真の中島みゆきの足元を見ると、長靴を履いている。
2010年「ダ・ヴィンチ」11月号のインタビューによると、当初はスタイリストが用意した綺麗な靴を履いて撮影に臨む予定だった。

撮影当日は、雨上がり。
本来の撮影場所までの道がぬかるんでいたため、スタッフが調達した長靴を履いて移動した。
本作のジャケットは、その移動中に撮られた写真が使われた

ボーナストラックの意味

11曲目の『雪傘』と12曲目の『愛だけを残せ(Album Version)』は、ボーナストラックとして収録されている。
アルバムの区切りとしては10曲目だが、このボーナストラックもまた別の役割を持っているらしい。
2010年「ダ・ヴィンチ」11月号のインタビューでは、以下のように答えている。

「ボーナストラックの2曲を聴いてもらうと、動物の世界から人間の世界に戻っていただけるんじゃないかと」

『真夜中の動物園』の曲解説&みんなの感想

『今日以来』

⇒「今日以来』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三 中村哲

アルバムの曲順を色々考えた結果、気楽に始められるこの曲を1曲目に据えたという。

愛されようと思うより自分から愛そうと思うようになっていく決意を描いた曲。
要領よく生きられずいた過去に決別しようとする姿が美しい。

さまにならない人生でした
間違いばかりをやらかしました
こけました へこみました
なのに何(な)んにも学べてません
(『今日以来』より)

『真夜中の動物園』

⇒『真夜中の動物園』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三

タイトル曲という性格上、通常はアルバムのラストに持ってくるものだが、早く聴いてほしいという思いで2曲目に据えた。
同時録音のレコーディングでは、他のミュージシャンとの間に起きた化学反応を以下のように語っている。

「その場の空気が共振して何倍にも鳴るんです」

そのお陰か、園内の動物たちが呼応するような雰囲気に仕上がっている。

真夜中の真ん中に
動物園では人知れず
逢いたい相手が逢いに来る
逢えない相手が逢いに来る
(『真夜中の動物園』より)

『まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う』

⇒『まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三

コピーライターの糸井重里に「みゆきさんは畳みかける作詞家」と言わしめたこの曲。
似た表現を繰り返す独特の歌詞であるが、特に2番目以降の歌詞が糸井の心を掴んだようだ。

人生とは、その場限りの瞬間を繋げただけの集積にすぎないのかもしれない。

笑うことも 泣くことも 思うことも しゃべることも
怒ることも 歌うことも 大嫌いも 大好きも
あたしたちは あたしたちは あたしたちは あたしたちは
自由っていう名前の中 何か嘘を嗅ぎ取ってる
(『まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う』より)

『ハリネズミだって恋をする』

⇒『ハリネズミだって恋をする』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三

英語でハリネズミは、「hedgehog」と「porcupine」の2つのパターンの呼び方がある。
同じハリネズミでも、この2つは行動様式や風貌がまるで違うらしい。

前者の「hedgehog」は、身を護る術しか持たない
一方、後者の「porcupine」は、いわゆるヤマアラシで、攻撃されたら反撃する。
さて、中島みゆきは、どちらのハリネズミを想定しているのだろうか?

英訳の歌詞カードには「hedgehog」と書かれている。
当初、翻訳家からは「porcupine」の方で提出されたが、これを修正してもらっている。

痛い恋を経験した人間は、身を護るためだけに針を尖らせるのだ。

この針は 脱げない鎧
人にも我にも突き刺さる
でも ハリネズミだってね 切実な恋をする
暖めあって眠りたい
(『ハリネズミだって恋をする』より)

『小さき負傷者たちの為に』

⇒『小さき負傷者たちの為に』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三

中島みゆき曰く、この歌詞は色々な意味に受け取れることができ、聴く人に委ねられる。
糸井重里との対談では以下のように語っている。

「「泣いてちゃわかんないから、泣かないでちゃんと言いなさい」と言うけれど、その泣き声の調子から分かんないかなぁ、ということもあるのね」

言葉を持たない幼子が虐げられていることに対しての怒りを歌っている。

言葉持たない命よりも
言葉しかない命どもが
そんなに偉いか 確かに偉いか
本当に偉いか 遥かに偉いか

卑怯と闘う同志でありたい
小さき小さき負傷者たちの為に
(『小さき負傷者たちの為に』より)

『夢だもの』

⇒『夢だもの』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三

現実で上手くいかない恋を、夢の中で実らせようとする悲しいラブソング。
夢の中でなら、皮肉なことに叶わないものはないのだ。

だって夢だもの 全部夢だもの
好きになっても 打ち明けても 誰も困らない
(『夢だもの』より)

『サメの歌』

⇒『サメの歌』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三

サメは泳ぎ続けていなければ水中から酸素を取り込めず死に至ってしまう。
生きている限り、前進しなければならないのだ。
これはサメだけの習性とは限らない。
中島みゆきは以下のように語っている。

「動物や生き物とはいっても、そこに人間を投影するでしょうからね」

常に前だけ見て、振り返れないでいる人間もいるのだ。

可笑しいことに
なまものは後ろへ進めない
なりふりを構いもせず
前(さき)へ向くように出来ている
サメよ サメよ
落とし物の多い人生だけど
(『サメの歌』より)

『ごまめの歯ぎしり』

⇒『ごまめの歯ぎしり』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三

「ごまめ」とは、カタクチイワシの素干しのこと。
その小さくて弱そうなビジュアルから、実力のない者がイラついたり嫉妬することを「ごまめの歯ぎしり」という
その様は、理屈をつけて恋をはなから諦めようとする誰かさんにそっくりだ。

空振りしたら立ち直れない
立ち直るほど時間がないでしょ
だから冷たく世間話です
ごまめの歯ぎしりでしょうね、たぶん
(『ごまめの歯ぎしり』より)

『鷹の歌』

⇒『鷹の歌』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三

2014年10月11日放送のドラマ「東京にオリンピックを呼んだ男」(フジテレビ系)の主題歌に起用

鷹と呼ばれていた人が、今はすっかり衰えてしまった。
だが、その胸の内にはまだ熱いものを持ち続け、それこそが人の真価だと歌っている。

かすれた鳴き声をあげて
「見なさい」 あなたの目が
「見なさい」 私を見た
「命を超えて続くものを」
鷹の目が 叫んでいた
(『鷹の歌』より)

『負けんもんね』

⇒『負けんもんね』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三 中村哲

望んだ通りに上手くいかないことが多すぎる人生もある。
運に、ことごとく見放されてしまった時に、「負けんもんね」と言える気持ちは強く美しい。
マイ応援歌に加えたい1曲だ。

やっと見上げる鼻先を
叩きのめすように日々は降る
そんなにまで そんなにまで 人生は私を嫌うのか、な
負けんもんね 負けんもんね
(『負けんもんね』より)


『雪傘』

⇒『雪傘』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三 小林信吾

2008年に工藤静香へ提供した曲のセルフカバー。
ボーナストラックという位置づけでありながら、歌詞に「小ギツネ」という動物が隠れている。

想いを寄せていた男に、恋人が出来てしまう。
悲しみより先に、誕生日を一緒に祝ってくれる相手が出来たことを喜べる素敵な関係だ。

「Happy Birthday」
今日を祝う人が居てくれるのなら
安心できるわ
いつまで1人ずつなんて
良くないことだわ 心配したのよ
(『雪傘』より)

⇒『雪傘』の記事はコチラ

『愛だけを残せ(Album Version)』

⇒『愛だけを残せ(Album Version)』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三

映画「ゼロの焦点」の主題歌として書き下ろし、2009年にシングルリリースした曲。
中島みゆき曰く、映画から切り離してこの曲を考えた場合、このアルバムバージョンが形としてふさわしいようだ。
オリジナルとは異なり、ずいぶん静かな印象のアレンジが加えられた。

愛だけを残せ 壊れない愛を
激流のような時の中で
愛だけを残せ 名さえも残さず
生命(いのち)の証(あかし)に 愛だけを残せ
(『愛だけを残せ』より)

⇒『愛だけを残せ』の記事はコチラ

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