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中島みゆきと上柳昌彦の対談|2020年放送「上柳昌彦あさぼらけ」より

2020年2月17日~21日放送の「上柳昌彦 あさぼらけ」(ニッポン放送)に中島みゆきがゲスト出演している。
この年にリリースされたアルバム『CONTRALTO』の話や、これまで手掛けた主題歌の裏話。
また、「夜会」の台本を普段はどのように書いているのかなど、なかなか聞くことのできないことまで、話題が及んでいる。

2人の対談をみていこう。
(※部分的に編集しています)

この記事は、

  • コンサートでのハプニング
  • 中島みゆきが手掛けた主題歌&挿入歌秘話
  • アルバム『CONTRALTO』について
  • 「夜会VOL.20 リトル・トーキョー」と台本の執筆環境

について書いてます!

夢おじ子
夢おじ子
中島みゆきの曲を全て聴いてきたファン歴30年以上の夢おじ子が解説!

コンサートでのハプニング

みゆき「中島みゆきでございます。おはようございま~す」

この日から5日連続で中島みゆきを迎え入れ、上柳昌彦が根掘り葉掘りあれこれ聞いていく。
朝5時台の放送とあって、夜型人間の中島みゆきには珍しく早起きだ。

ちょうどこの頃、中島みゆきのラストツアーである「結果オーライ」の7公演が終わったところ。
この後、コロナ感染症の影響を受けて中止に追い込まれるが、それより前の放送である。

ラストツアーと銘打った今回のツアーだが、多くの人からコンサートそのものが終わってしまうのではないかと不安視された。
一部の人からは、事務所の方に、「中島みゆきは引退するのか?」という問い合わせが来たというが、中島みゆきはこれを否定。
「ラストツアー」であっても「ラストコンサート」ではない。
全国を巡る形でのツアーを、今回をもって最後にするということなのである。

さて、これまでのツアーを振り返り、思い出されるのは、数々のハプニング。
台風のシーズンは避けて行われるツアーだが、思わぬ雪などの天候で飛行機が飛ばないということがあった。

みゆき「あの大所帯の人数で、全員が体仕事なんですよねぇ」

今回も、舞台監督が腹痛を我慢しすぎて、ツアー中に盲腸破裂を起こし、公演の合間を見つけて少しずつ手術を受けていたのだった。
また、バックコーラスの杉本和世は、博多で足の骨を折る大怪我を負っている。

歴代主題歌&挿入歌

過去にテレビ番組の主題歌や挿入歌になった中島みゆきの楽曲へと話題が移る。
上柳昌彦が、まず挙げた曲が『浅い眠り』
1992年放送のテレビドラマ「親愛なる者へ」(フジテレビ系)の主題歌として中島みゆきが書き下ろした曲だ。

浅い眠りにさすらいながら
街はほんとは愛を叫んでいる
(『浅い眠り』より)

⇒『浅い眠り』(レコチョク試聴あり)

⇒『浅い眠り』の記事はコチラ

上柳「中島さん、ドラマに出てましたよね?」

中島みゆきが産婦人科役で出演したことでも話題になった。

次に挙げたのが、『空と君のあいだに』
1994年に放送された大ヒットドラマ「家なき子」(日本テレビ系)の主題歌として中島みゆきが書き下ろした曲だ。

空と君とのあいだには
今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら
僕は悪にでもなる
(『空と君のあいだに』より)

⇒『空と君のあいだに』(レコチョク試聴あり)

⇒『空と君のあいだに』の記事はコチラ

上柳「これは、出演者が犬っていうのと、安達祐実ってのしか聞かずに作っちゃったという」
みゆき「お話いただいた段階で、筋書きも台本も何もないというのは、あれは記録的なもんでしたね」

中島みゆきが聞いたのは、「具が大きい」のCMの女の子が出演する、ということのみだった。
「具が大きい」というのは、当時、安達祐実がカレーのCMで放ったセリフだ。

そして、「家なき子」の続編「家なき子2」の主題歌『旅人のうた』も、中島みゆきが手掛けた。

あの日々は消えても
まだ夢は消えない
君よ歌ってくれ 僕に歌ってくれ
忘れない 忘れない
ものもここにあるよと
(『旅人のうた』より)

⇒『旅人のうた』(レコチョク試聴あり)

⇒『旅人のうた』の記事はコチラ

2000年代の中島みゆきの代表曲『地上の星』は、ドキュメンタリー番組「プロジェクトX~挑戦者たち~」(NHK)の主題歌として中島みゆきが書き下ろした。

つばめよ 高い空から教えてよ
地上の星を
(『地上の星』より)

⇒『地上の星』(レコチョク試聴あり)

⇒『地上の星』の記事はコチラ

番組側から中島みゆきのもとへ届いたのは、分厚い企画書。

みゆき「あんなに字の小さい企画書(笑)私、3週間ももたないかなと思いました、こんな地味な話(笑)1カ月後にはさよならかなと思いましたもんね(笑)」

だが、予想に反して番組は、多くの人の感動を呼び、5年以上も続いたのである。
2003年には、『銀の龍の背に乗って』がヒットした。
こちらはドラマ「Dr.コトー診療所」(フジテレビ系)の主題歌として中島みゆきが書き下ろしたものだ。

銀の龍の背に乗って 届けに行こう
命の砂漠へ
(『銀の龍の背に乗って』より)

⇒『銀の龍の背に乗って』(レコチョク試聴あり)

⇒『銀の龍の背に乗って』の記事はコチラ

そして、2014年、中島みゆきは朝ドラの主題歌も担当した。
連続テレビ小説「マッサン」(NHK)を彩ったのは『麦の唄』という曲だ。

麦に翼はなくても 歌に翼があるのなら
伝えておくれ故郷へ ここで生きてゆくと
(『麦の唄』より)

⇒『麦の唄』(レコチョク試聴あり)

⇒『麦の唄』の記事はコチラ

当時、上柳は、中島みゆきが朝ドラの主題歌を手掛けると聞いて、たいそう驚いていた。
ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝を描いたドラマだったので、酒の曲を歌うんだろうと上柳は思っていたが、予想に反して出てきた歌が「麦」。

上柳「そうきたか! って思いましたよねぇ」

中島みゆきは、北海道が舞台の話なので、北海道出身の自分のもとへオファが来たのだろうと思っている。

みゆき「北海道の人じゃなかったら、「米の唄」になってたんじゃないかと思うんです(笑)」

2019年~2020年に放送された倉本聰ドラマ「やすらぎの刻〜道」(テレビ朝日系)では、なんと4つの主題歌を提供している
『進化樹』『離郷の歌』『終り初物』『観音橋』
なお、前作のドラマ「やすらぎの郷」へは、『慕情』という曲を書き下ろしている。

もいちどはじめから もしもあなたと歩きだせるなら
もいちどはじめから ただあなたに尽くしたい
(『慕情』より)

⇒『慕情』(レコチョク試聴あり)

⇒『慕情』の記事はコチラ

中島みゆきは、この曲を作る上でドラマの台本全てに目を通している。

みゆき「曲に取りかかる前にとっくに台本が全部来てますから、それを読まないと、倉本さんと話ができないと思って、読みました」

だが、月曜~金曜まで半年間放送されたドラマとなると、その台本は膨大だ。

みゆき「台本の山。雪崩が起きて何とかしてよってくらいの台本の量」

ドラマ「やすらぎの刻〜道」に提供された4つの主題歌は、中島みゆきがもともとアルバム様に作っていた曲だ。
レコーディングして形になったアルバムを倉本聰に聴いてもらい、そこから「イエス」「ノー」で振り分けて残ったのが、この4曲なのである。
これだけドラマに貢献したからか、このドラマには、中島みゆきが倉本聰の妻役としてカメオ出演している。

みゆき「メールが来たんですよ、倉本さんから(笑)」

アルバム『CONTRALTO』について

タイトルについて

2020年1月8日にリリースされたばかりの中島みゆきのアルバム『CONTRALTO』へと話題は移る。
「CONTRALTO」とは、中島みゆきの音域を表す用語だが、実は中島みゆき本人もつい最近知ったのである。
本屋で、アメリカのジャズシンガーの歴史を立ち読みしていた時に偶然巡り会った言葉なのだ。

レコーディングについて

中島みゆきのレコーディングは一発勝負なところがある。
譜面と歌詞を、編曲家の瀬尾一三に預けた後は、レコーディング当日までどのようなサウンドにアレンジされているか、中島みゆきには知らされない。
歌と伴奏を合わせる時に初めて音に触れるのだという。

みゆき「ミュージシャンにつられるのね私。だから、デモテープの時にいっぺん歌ってるんだけど、ミュージシャンたちがそれぞれの思いで弾き始めると、そっちへゴォ~って持ってかれるの」

『終り初物』について

こんな言葉を今どき わかる人がいるかしら
言葉は変わる 暮らしは変わる
今では 何て言うかしら
(『終り初物』より)

⇒『終り初物』(レコチョク試聴あり)

上柳昌彦にとっても、この「終り初物」という言葉は馴染みがない。
辞書には、以下のように定義されている。

  • 終り初物…「野菜や果物で、多く出回る時期が過ぎてから成熟したものを、初物と同様に珍重していう語」

中島みゆきによると、これと同じ意味の言葉が英語にもあるのだという。
本アルバムの英訳歌詞カードには、「END OF THE FIRST FRUITS」と翻訳されている。
ところで、中島みゆきのアルバムには英訳された歌詞カードがつけられているが、どういう狙いがあるのだろうか?

みゆき「歌詞ってすごく省略形なのね。誰のことか分からなくなるくらい、ちょん切ってんのね」

英語は、主語・述語を明らかにする言語なので、このような省略された歌詞を大きく誤解しないための手掛かりとして、英訳を用意しているのだという。

『ルチル (Rutile Quartz)』について

誰のものでもない 誰にも壊せない
水の石の中の ささやかな真実
(『ルチル (Rutile Quartz)』より)

⇒『ルチル (Rutile Quartz)』(レコチョク試聴あり)

ルチルとは、金色の繊維のようなものが中に入っている水晶のこと。

みゆき「糸井重里さんに、あの金色の筋のことを針生姜って言われたの。あれ以来、食べ物みたいに齧ってみようかって気持ちになっちゃいましたけどね(笑)」

『歌うことが許されなければ』について

もの言わぬ魚さえ 歌いたい 波に紛れて
もの言わぬ枝でさえ 歌いたい 夜に紛れて
繰り返される戦いの日々
言葉は閉じこめられてゆく
(『歌うことが許されなければ』より)

⇒『歌うことが許されなければ』(レコチョク試聴あり)

上柳昌彦にとって、中近東風のアレンジが印象的だった。
実は、この曲は、難民キャンプに収容された人々のことを歌っている。
「難民の気持ちになってアレンジしてください」という中島みゆきからの注文を受けて、瀬尾一三がアレンジしたものだ。

『自画像』について

デリカシーに欠ける女が1人
ゆく先々で いちいち揉める
デリカシーに欠ける女が1人
発つ鳥あとを 散らかし放題
(『自画像』より)

⇒『自画像』(レコチョク試聴あり)

これは中島みゆき自身のことを歌った曲だ。

みゆき「まんまですからねぇ。たまにはちょっと反省(笑)」

『タグ・ボート(Tug Boat)』について

その城の足元を 懸命に押している
汚れたタグ・ボートを 誰も見ていない
(『タグ・ボート(Tug Boat)』より)

⇒『タグ・ボート(Tug Boat)』(レコチョク試聴あり)

大きな船舶を移動させるための小さな船を歌った曲だ。

みゆき「船は小さいし、ボロいし、油まみれで汚れているし、でも、それくらい誇りだって生きがいだってあるはず」

『進化樹』について

誰か教えて
僕たちは今 ほんとうに進化をしただろうか
この進化樹の 最初の粒と
僕は たじろがずに向きあえるのか
(『進化樹』より)

⇒『進化樹』(レコチョク試聴あり)

この曲のイントロ部分のサウンドは、中島みゆきが作っている。
本来なら、アレンジャーの瀬尾一三の仕事であるが、そこに中島みゆきの注文が入る時もあるのだ。

みゆき「「壮大なイントロつけてください」って言えば、壮大なイントロつけてくれるけれども、「これはチマ~っといきたいので、こんな感じでチマ~とお願いします」ってのが書いてあるのもある」

「夜会VOL.20 リトル・トーキョー」と台本の執筆環境

2019年上演の「夜会VOL.20 リトル・トーキョー」へと話題が移る。
パンフレットには、物語には出てこないバッグボーンが綿密に作り込まれている。

中島みゆきが、この話を書くきっかけになったのが、白い狼。
絶滅されたとされる北海道の狼が、もしかしたら絶滅してはいないのではないか?
そんな説があり、調べていくうちに、世界中で色んな狼が絶滅している事実を知る。

「狼のことやりたいな」

そう思い立ったのである。
中島みゆきは、これまでに小説や絵本など、様々な形態で文芸作品を発表している。
上柳は、中島みゆきがいつもどのような環境で執筆しているかが気になるようだ。

上柳「ペンで書くんですか? パソコンで書くんですか?」
みゆき「ワシ、パソコン持ってないから」

パソコンの代わりに鉛筆で書いているようだ。

みゆき「鉛筆の濃さは、2Bから4Bの間ですね」

力を入れずに書ける濃さだが、一方で手が真っ黒になるという困った点もある。
「夜会」は、脚本、演出、歌、全てにおいて、中島みゆきが手掛けている。
脚本の立場で書いたセリフやト書きが、演じる側に立った時に体が受けつけないというジレンマに毎回陥るという。

みゆき「寝そべって歌うと、よだれが出るんですよ」

こういう時、役者・中島みゆきは、脚本家・中島みゆきのせいにしてしまうのだ。

中島みゆきとラジオ

軽快なおしゃべりは大阪で培われた

歌とラジオの中島みゆきのギャップに、多くの人が驚かされる。
ラジオで見せるハイテンションなノリは、ニッポン放送の建物へ入った時に作られる。

みゆき「ニッポン放送の玄関に入るとね、その空気に影響されるの」
上柳「デビュー当初からラジオやってらっしゃるんですけど、最初の頃はそのテンションだったんですか?」
みゆき「大阪の番組で鍛えられましたかね」

中島みゆきがパーソナリティを務めた「ミュージックマガジン」(MBS)がそれで、その番組を聴いた亀渕昭信によって、後に「オールナイトニッポン」へスカウトされる。

受験生の時の中島みゆきとラジオ

上柳昌彦が小耳に挟んだ情報によると、中島みゆきが北海道在住だった頃、中島みゆきは、北海道から大阪MBSの番組「ヤングタウン」を受信して聴いていたという。
十勝にいた時は、大阪の電波が海を越えて北海道へ届き、しかも入りが良かったようだ。
中島みゆきがよく聴いていたのが、笑福亭鶴瓶笑福亭鶴光の番組だ。

みゆき「受験勉強と称してラジオ聴いている世代ですから(笑)」

受験生の頃の中島みゆきは、まさか、後にラジオに自分がDJとして出るなんて思いもしなかった。

みゆき「その頃は私、「スチュワーデスさんになりたい」なんて普通に夢みてましたからね。飛行機のドア開けたとたんに人格変わったりなんてね(笑)」

近眼だったため、その夢は早い段階で諦めてしまったが、そのおかげで今の中島みゆきがあるのだ。

『CONTRALTO』

2020年リリースのオリジナルアルバム。

  • テレビ朝日系ドラマ「やすらぎの刻~道」の主題歌『終り初物』
  • テレビ朝日系ドラマ「やすらぎの刻~道」の主題歌『観音橋』
  • テレビ朝日系ドラマ「やすらぎの刻~道」の主題歌『離郷の歌』
  • テレビ朝日系ドラマ「やすらぎの刻~道」の主題歌『進化樹』

を含む全10曲。

【収録曲】
『終り初物』『おはよう』『ルチル(Rutile Quartz)』『歌うことが許されなければ』『齢寿天任せ』『観音橋』『自画像』『タグ・ボート』『離郷の歌』『進化樹』

⇒レコチョクで購入(試聴あり)

⇒『CONTRALTO』の解説&みんなの感想

『夜会VOL.20 リトル・トーキョー』

2019年上演。歌手の渡辺真知子との共演。
北海道の山奥にあるホテル&パブを舞台に様々な人間模様が織りなされていく。
久々に、既存曲も歌われ、原点回帰したような作品になっている。

⇒『夜会VOL.20 リトル・トーキョー』の解説&みんなの感想

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