2020年の中島みゆきのオリジナルアルバム『CONTRALTO』
ドラマ「やすらぎの刻~道」(テレビ朝日系)の主題歌を多く含んだ1枚。
難民キャンプをモチーフにした曲、年齢を重ねた今だからしか歌えない曲まで、新たな顔を覗かせている。
1曲ずつみていこう。
この記事は、
- 『CONTRALTO』の特徴
- 『CONTRALTO』の曲解説&みんなの感想
について書いてます!
中島みゆき『CONTRALTO』
『CONTRALTO』
2020年リリースのオリジナルアルバム。
- テレビ朝日系ドラマ「やすらぎの刻~道」の主題歌『終り初物』
- テレビ朝日系ドラマ「やすらぎの刻~道」の主題歌『観音橋』
- テレビ朝日系ドラマ「やすらぎの刻~道」の主題歌『離郷の歌』
- テレビ朝日系ドラマ「やすらぎの刻~道」の主題歌『進化樹』
を含む全10曲。
【収録曲】
『終り初物』『おはよう』『ルチル(Rutile Quartz)』『歌うことが許されなければ』『齢寿天任せ』『観音橋』『自画像』『タグ・ボート』『離郷の歌』『進化樹』
『CONTRALTO』を公式チャンネルで試聴
『CONTRALTO』の特徴
6つの年代でトップ10入り
『CONTRALTO』は、2020年1月8日にリリースされ、週間オリコンチャート3位を記録。
本作により、1970年代から2020年代の全ての年代で、週間オリコンチャートトップ10入りする記録を打ち立てた。
ドラマ主題歌4曲が収録
『CONTRALTO』には、2019~2020年に放送されたドラマ「やすらぎの刻〜道」(テレビ朝日系)の主題歌が4曲収録されている。
「CONTRALTO」とは?
- CONTRALTO(コントラアルト)…「女性の声域の1つで、テノールよりも高くソプラノより低い声域」
中島みゆきの持つ音域が、まさにこのCONTRALTO(コントラアルト)なのだ。
中島みゆきは、ずっと自分の音域を「テノールよりちょっと上くらい」と説明していた。
そんな時、このCONTRALTO(コントラアルト)という言葉と出会う。
中島みゆき曰く、「このタイトルは自分そのもの」という思いが込められている。
『CONTRALTO』の曲解説&みんなの感想
『終り初物』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
終り初物(おわりはつもの)…「野菜や果物を多く出回る時期を過ぎてから成熟したものを初物と同じように珍重して言った言葉」
ドラマ「やすらぎの刻~道」(テレビ朝日系)の主題歌。
中島みゆきは、レコーディングよりずっと前にドラマの台本を渡されていた。
主題歌については、はっきりとは決まっていなかったため、ドラマのことを頭の隅に置いたままアルバム制作が行われたという。
アレンジャーの瀬尾一三曰く、この曲はドラマの世界観を広げて書いたものだろうとみている。
遠い所へ行ってしまう「あの子」へ、見送りに行けない代わりに詩集に終わり初物を添えて送る。
別れを嘆かず祝う気持ちを託して…。
終り初物 季節見送り
会えなくなるから おすそわけ
過ぎゆく季節 嘆くより
祝って送るために
(『終り初物』より)
「過ぎ行く季節嘆くより祝って送るために」
卒業発表や卒業を目の当たりにすると、
中島みゆきさんの #終り初物 のこの歌詞が脳裏をよぎる。— ゆうき@まどかちゃんからもらい泣き(さえぴな⭐︎オイモチャン☆めるまど) (@M_SaePina_Y_313) February 12, 2020
終り初物 季節見送り⁰手に入ったから おすそわけ⁰終り初物 明日にはもう⁰会えなくなるから おすそわけ#中島みゆき #終り初物
2番のこの部分が音程といいフレーズといい大好きです。— えいいち (@ei1chi1) February 10, 2022
『おはよう』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
アルバムの各曲には英訳が施されている。
この曲には、「おはよう」という英訳に「good morning」があてがわれたが、これは中島みゆきの意図と反するものだったため、差し替えられた。
この曲においての「おはようは」、目覚めた人間が自分から言う挨拶ではなく、寝ている人を起こすときに声をかける意味を含む。
よって、「wake up」に改められた。
中島みゆきの曲は写実的でないものが多いため、いかようにも解釈されてしまう。
だが、本人曰く、そこは嫁に出した子みたいなもの。
聴き手に委ねるというスタンスを取っている。
さて、ゲスの極み乙女。のボーカル川谷絵音は、「日経エンタテイメント」の中でこの曲について以下のように感想を述べている。
「『おはよう』という曲は言葉通りの朝の挨拶の爽やかさはみじんもなく、“おはよう”と繰り返しながらも徐々に何かが終わっていくような切なさと怖さが同居したメロディーが続いていく。こんなに悲しい“おはよう”を僕は聴いたことがあっただろうか」
おはよう 夜は終わった
おはよう 闇は終わった
おはよう 魔法たちはみんな終わった
おはよう 星はもういない
(『おはよう』より)
おはよう怖いな… #中島みゆき #CONTRALTO
— OSaM (@osam) January 7, 2020
『CONTRALTO 』一巡目。夜会慣れしているにもかかわらず、濃密に起伏の激しいアルバムにしばし呆然。創作者としての体力年齢はいくつなんだ。エネルギーは底無しか。「おはよう」のシニカルで真っ直ぐなまなざしから目が逸らせない。#CONTRALTO #中島みゆき
— YUPY (@MYUPYZ) January 8, 2020
『ルチル(Rutile Quartz)』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三 小林信吾
ルチル(Rutile Quartz)…「風水に使われるパワーストーン。中に鉱物が入っている水晶。富と愛を表す」
アレンジャーの瀬尾一三は宝石に疎く、「ルチルって何?」と訊いたところ、中島みゆきは「コレよ」と手首に身に着けているそれを見せた。
「水の石の中のささやかな真実」という歌詞を、どう英訳すれば良いか、翻訳家はたいそう悩んだという。
それに対し、「水晶って書けばいいじゃん?」というのが、中島みゆきの一応の答えである。
形有るものも 形無きものも
声高なものも ひそやかなものも
誰のものでもない 誰にも壊せない
水の石の中の ささやかな真実
(『ルチル(Rutile Quartz)』より)
中島みゆきの「ルチル」(CONTRALTOから)を聴くと、寂しくなってしまうから。こころに響くからこそ、聴きたくないとさえも思ってしまうことがまた悲しい。
しかし、良い歌だ。— なべくん (@nabekan) April 3, 2021
「ルチル(Rutile Quartz)」 柔らかな曲調に笑みを含んだ歌声。声なき声に耳を傾ける優しさが沁みる。小さきものに心を見出す擬人法が冴えるほど、心ない偽人であることを見透かされるようだ。こうしてあぶり出されるのは醍醐味だけれども。 #CONTRALTO #中島みゆき
— YUPY (@MYUPYZ) January 14, 2020
『歌うことが許されなければ』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
国から追われた難民を描いた歌。
中島みゆきは、難民問題が世の中に浮上し始めた頃からこの曲を作り始めていたという。
国を追われて身を寄せる難民キャンプでは、自国の言葉で歌うことが憚られる。
そんな彼らと、歌い手としての自分がクロスする部分を歌に落とし込んでいる。
本人曰く、「他人事だけでは歌にはならない」とのこと。
アレンジャーの瀬尾一三によると、楽器は中近東のものを使用していて、世界観が限定せずに、歌が漂い、行き場所を探す感じを演出したという。
ものを言わぬ魚さえ 歌いたい 波に紛れて
ものを言わぬ枝でさえ 歌いたい 夜に紛れて
繰り返される戦いの日々
言葉は閉じこめられてゆく
(『歌うことが許されなければ』より)
コロナ禍で普段通りのライヴが催されなくなったり、香港で抗議歌を歌うことが禁じられたり、そんなことは誰も予想もしていなかった筈の2020年初頭に「歌うことが許されなければ」という歌を発表した中島みゆきのシンクロニシティに身震いすることがありますよ。
— (@solascape) July 9, 2020
中島みゆきさんの「歌うことが許されなければ」が、何故だかとても馴染んでいる。
まだ出しきれていない想像力を喚起させられたり、混乱した状況の中で、ふんわりと、理性的な佇まいへとエスコートされるよう。
すっごく不思議で心地良い。
— TAKASHI (@TAKASHI08470741) March 4, 2020
『齢寿天任せ』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
中島みゆきが言うには、「ファン層が高齢化していることもあって共感いただける内容」というこの曲。
寿命に対する人間の不可抗力を歌っている。
伴奏には、雅楽で用いられる管楽器・笙(しょう)や大太鼓などが使われ、和を前面に出している。
さようならは べつだん恐くない
恐いのは 嘘つきになることです
いつまでも離れずにいますなんて
有り得ない嘘をついてしまうことです
(『齢寿天任せ』より)
齢寿天任せ
(よわいことぶき そらまかせ)— えつりん∞ (@8er825) February 27, 2022
「齢寿天任せ」について
コンサートバージョンとアルバムバージョンを聴き比べてみる‥音はコンサートの方が俄然クリーンで素晴らしい
コーラスは、アルバムの方がスッキリして聴き心地がいい。#中島みゆき #齢寿天任せ #結果オーライ— わび(wabi)@みゆき節 (@wabidatteutau) February 12, 2022
『観音橋』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
ドラマ「やすらぎの刻~道」(テレビ朝日系)の主題歌。
レコーディング中に、脚本家の倉本聰がドラマに使える曲はないだろうかとやってきて、耳に止まったという曲。
中島みゆき曰く、この曲の完成までには、何十年単位で時間を費やしている。
少しずつ歌詞に手を加えていったが、一方、全く変えず残した部分もある。
その1つが、「グスベリ」という言葉。
中島みゆきの故郷の北海道では親しまれている植物で、直径8mm~10mmの実をつける果樹だ。
ブドウのような甘酸っぱい味わいがあるらしい。
グスベリの粒 ぶっつけたの誰ぁれ
観音さんの おつかい坊主
「おまえバカだな ここいらの言葉
ひとことくらい語ってみろや」
(『観音橋』より)
中島みゆきの次のライブで一番聴きたい曲は観音橋。最後のパートは毎回涙が出るんだ
— BAKAQ (@redwing2014) July 28, 2022
観音橋で”待つ”の意味が自分の中で明確になった気がする。中島みゆきの歌詞の世界を理解する上で重要なキー概念だと思う。
— Tim (@GcyyyNdIuFqQWFL) June 30, 2021
『自画像』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
中島みゆき自身を指す「CONTRALTO(コントラアルト)」。
このアルバムコンセプトにより加えられたのがこの曲。
中島みゆきが自分を見つめて描写した、まさに歌の自画像。
自嘲気味の歌詞に、アレンジャーの瀬尾一三も「それほどひどくもないだろ」と、中島みゆき本人とのズレを感じている。
最後のガラスが割れる効果音は、瀬尾のアイディアだ。
デリカシーに欠ける女が1人
ゆく先々で いちいち揉める
デリカシーに欠ける女が1人
発つ鳥あとを 散らかし放題
(『自画像』より)
すごい歌詞です。
ラジオから流れてきて思わず聴き入ってしまいました。いろんな意味で心当たりを感じる朝です⤵︎
中島みゆき 自画像 歌詞 https://t.co/nLdR553orm
— 天野こうゆう (@koyu_a) January 27, 2020
♪ Listening Now ♪ 自画像 / CONTRALTO by 中島みゆき #TwitSong
デリカシーに欠ける仲間であります←
— てらりん@自儘マン (@TELLA_D_miyuki) March 5, 2020
『タグ・ボート(Tug・Boat)』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三 小林信吾
タグ・ボート…「大型の船舶を押したり引いたりして着岸・離岸の補助をする小型船のこと」
アレンジャーの瀬尾一三曰く、日の当たらない人に日を当てるという中島みゆきの曲に多く見られる視点。
客船の甲板の上の客たちは、甲板の下で汚れながら働くタグ・ボートの存在に目を向けようともしない。
だが、中島みゆきはちゃんと見ているのだ。
大いなる人々の水平線は
大いなる船の上 甲板の高さ
大いなる人々は
その足よりも 低いところにあるものを見ることはない
(『タグ・ボート(Tug・Boat)』より)
最近、色んなことで疲れたら中島みゆきのタグ・ボートを聞いて自分は他にない力が有るんだと思う様にしてます。
— 雪風 (@kouya_ffr31) April 21, 2022
観音橋とタグ・ボート聞くだけで、僕は中島みゆきが今も昔も圧倒的に一番好きで、今まで好きでよかったと心から思う
— BAKAQ (@redwing2014) January 14, 2022
『離郷の歌』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
ドラマ「やすらぎの刻~道」(テレビ朝日系)の主題歌。
約1年にも渡る放送だけあって、台本のボリュームもかなりのもの。
だが、中島みゆきはその全てに目を通し、この曲を書き上げた。
そのかいあって、脚本家の倉本聰に以下のように言わしめている、
「また一歩僕より先に行ってくれた感じがしました。やっぱり、やっぱり中島みゆきは天才です」
心は離れない 星は消えない
いつの日か 遠い國(くに)の歌を聞かせよう
(『離郷の歌』より)
中島みゆきは意図して英訳を歌詞カードに載せているわけだけど、離郷の歌の英訳を「Hiraeth」としていて、なんじゃこりゃと調べたら、この単語自体なかなか深い単語のようだ。
ウェールズ語だそうで、もう帰れない場所に帰りたいと思う気持ち、を意味すると。— Limassol (@Limassol_IST) June 13, 2022
なんだろう?「離郷の歌」は昔から貫いてる中島みゆきのイメージ。
— ゆうき@まどかちゃんからもらい泣き(さえぴな⭐︎オイモチャン☆めるまど) (@M_SaePina_Y_313) February 4, 2022
『進化樹』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
ドラマ「やすらぎの刻~道」(テレビ朝日系)の主題歌。
前作のドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)の台本の裏表紙には、脚本家・倉本聰が描いた挿絵が印刷されている。
土に根ざす樹木の絵に、「樹は根に拠って立つ されど 根は人の目に触れず」と添えられた言葉。
これが中島みゆきにインスピレーションを与え、この曲が生まれたのである。
イントロは、中島みゆきが譜面に起こしたメロディを採用し、それに瀬尾一三が手を加え、少し膨らましている。
誰か教えて
僕たちは今 ほんとうに進化をしただろうか
この進化樹の 最初の粒と
僕は たじろがずに向きあえるのか
(『進化樹』より)
#進化樹 が今考えさせられる歌詞で、発売当初はさほど歌詞に関心がない曲だった。#中島みゆき の先行した思想というか考え方は普通の人より物事を深く考え共振する事で生まれてるんだろうなぁ。
— ピ̵コ̵ピ̵コ̵ぱ̵ん̵だ̵ (@pikopikopandai) March 17, 2022
中島みゆき朝から聴くと壮大すぎて泣きたくなるな
進化樹— さ◯だ (@olsawada) July 6, 2020
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