1977年の中島みゆきのアルバム曲『遍路』
失恋の苦しみを断ち切ろうと、霊場巡りをする女を描いた曲。
中島みゆきは、作家・村上龍との対談の中で、この曲が実体験を反映していることを仄めかしている。
「遍路」とは何か?
「手にさげた鈴」とは何か?
歌詞の意味についても、考察してみた。
この記事は、
- 『遍路』は中島みゆきの実体験を反映した曲?
- 『遍路』の歌詞解釈
- 「手にさげた鈴」の意味
について書いてます!
中島みゆき『遍路』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 吉野金次
中島みゆきの実体験を反映した曲?
1978年「GORO」5月25日号の中で、中島みゆきは作家・村上龍と対談している。
はじめて私が 長い長い手紙書いた人は
仲間たちの目の前で
大声で読みあげ 笑ってた
(『遍路』より)
この歌詞について、村上と中島みゆきは以下のような会話を交わしている。
村上「初めて長い手紙を書いた人は…っていう歌があるでしょう」
みゆき「あァ、その話は滅入るから。あれは歌に書いたものが限度です。それ以上はよしましょう」
村上「その手紙を男が友達に見せて笑ってたという歌。女の人にとっては重いシチュエーションだよね」
みゆき「ひとつとしてカタがついてないから。いまだに私にしてみればアンニャロ、チキショーメかもしれないしさ。早い話、相手は三人もいたっていうんじゃなくて、ひとりなんですよ」
村上「というと、継続してひとりの男にラブ・ソングをかいてきたわけね」
みゆき「ウン」
『遍路』の歌詞は、主人公の女が複数人の男に見離されてきたかのように取れるが、実は、たった1人の男を描いていたのだ。
歌詞解釈
「遍路」
遍路…「祈願や煩悩を断つために四国の霊場八十八カ所を巡って歩くこと」
遍路に勤しむ人を「お遍路さん」と呼ぶ。
元プロ野球選手の清原和弘、国会議員の菅直人、元サッカー選手の前園真聖、お笑い芸人の狩野英孝など、著名人が自分を見つめ直すために遍路に臨んでいる。
「遠回り道 行き止まり道」
もう幾つ目の 遠回り道 行き止まり道
手にさげた鈴の音は
帰ろうと言う 急ごうと言う
(『遍路』より)
主人公の女は、失恋の傷を抱えながら遍路に臨んでいる。
遠回り、行き止まり、旅路の困難は、それまで女が辿ってきた紆余曲折の人生を象徴している。
「スミレの花束」
はじめて私に スミレの花束くれた人は
サナトリウムに消えて
それきり戻っては来なかった
(『遍路』より)
スミレの花言葉…「愛」「誠実」「無邪気な恋」
主人公の女は、スミレの花を男からプレゼントされ、喜んだ。
だが、その花言葉を裏切るように姿を消してしまったのである。
「手にさげた鈴」
もう幾つ目の 遠回り道 行き止まり道
手にさげた鈴の音は
帰ろうと言う 急ごうと言う
(『遍路』より)
この鈴は、遍路アイテムの1つで「持鈴(じれい)」と呼ばれている。
熊などに襲われないようにするための実用性を備えているが、一方で、鈴の音で煩悩を払い心を清めるという意味も持つ。
主人公の女は、鈴の音が鳴るたびに、旅をこのまま続けるべきか迷いが生じる。
そして、1つの結論に行きつくのである。
うなずく私は 帰り道も
とうになくしたのを知っている
(『遍路』より)
『遍路』はこんな曲
煩悩を断ち切る旅路の中で、辛い過去の恋を振り返っている。
はじめて私に 甘い愛の言葉くれた人は
私が勤めた店に 前借りに現われ雲隠れ
はじめて私に 笑い顔がいいと言った人は
あれは私の聞き違い
隣の席の娘あての挨拶
(『遍路』より)
『遍路』のみんなの感想
中島みゆきさんの「遍路」を聴いたとき、もう、映画なんかいらないとおもった。それでも映画が必要だとするならば、どのようなものなのかとの自問から創作をはじめるしかなかった。
— 金秀吉 (@DdhUJ7oJwx5iXA0) June 3, 2022
中島みゆきの「遍路」には人生が全部入ってる。
— マツ(許してください) (@matsurara) September 19, 2021
母の病室では彼女の好きな音楽を聴かせていて
最期にちょうど流していたのが中島みゆきの「遍路」だったのです— 碧 風羽 Foo Midori (@foomidori) May 23, 2021
本人映像
『夜会VOL.5 花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に』
1993年上演。雨月物語「浅茅が宿」がモチーフの作品。
季節ごとに、それぞれ4人の「待つ女」を中島みゆき1人が演じている。
カフェテラスで、中島みゆき扮する祭半纏の女が、空席に向かって今は亡き男の幻と会話するシーンで『遍路』が歌われている。
⇒『夜会VOL.5 花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に』の解説&みんなの感想
『遍路』をフルで聴く方法
単品購入
収録アルバム
『あ・り・が・と・う』
1977年リリースのオリジナルアルバム。
- 亡き父親がモチーフになった『まつりばやし』
- 吉行淳之介との対談から生まれた『女なんてものに』
- 名曲『ホームにて』
を含む全9曲。
【収録曲】
『遍路』『店の名はライフ』『まつりばやし』『女なんてものに』『朝焼け』『ホームにて』『勝手にしやがれ』『サーチライト』『時は流れて』
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