1991年の中島みゆきのアルバム曲『永久欠番』
この曲は、国語の教科書に掲載されたことのある名曲で、わりと幅広い年代に歌詞が知られている。
かけがえのない命の尊さを訴えかけるこの曲は、東日本大震災直後の被災地の学校で教材として扱われた。
インタビューでの中島みゆきの言葉も織り交ぜながらみていこう。
この記事は、
- 『永久欠番』に中島みゆきが込めた思い
- 国語の教科書に掲載された『永久欠番』
- 東日本大震災直後の教材になった『永久欠番』
について書いてます!
中島みゆき『永久欠番』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
『永久欠番』に中島みゆきが込めた思い
1991年「月刊カドカワ」11月号で、『永久欠番』に言及している。
この頃の中島みゆきは、余儀なく迎えてしまう死というものを多く目の当たりにし、思うことがあったようだ。
生きようと思って生きられなかった人、余命宣告されてもギリギリまで生きようとした人。
そんな人たちへの尊敬からこの曲を書くに至ったと、語っている。
「あれだけ一生懸命いろんなことやろうとしても死んだらおしまいよねって言い方があるでしょ。でも、ほんとに死んだらおしまいなのかしらってとこで、せめて欠番であって欲しいじゃないかって思ったんです」
中島みゆき自身は、死そのものに対して、絶望や悲しみはさほど抱いていない。
それよりも、自分が死んでも替えが効くということを最も恐れていた。
「生きてたことが別に自分じゃなくてもよかったんだと、それじゃあ、はじめからいなくてもよかったんじゃないかというんじゃあ、悲しいことだと思うのね」
この思いは歌詞の随所に表れている。
愛した人の席がからっぽになった朝
もうだれも座らせないと
人は誓ったはず
でも その思い出を知らぬ他人が平気で座ってしまうもの
(『永久欠番』より)
「永久欠番」とは、功績を残したスポーツ選手を称えるために、その背番号を他の選手に与えずにしておくこと。
その英雄のみに与えられた世界でオンリー1の背番号という意味を持つ。
『永久欠番』は中学国語の教科書に掲載された
『永久欠番』は2001年から東京書籍「新編 新しい国語3」の最初のページに掲載された。
指導書には、以下の歌詞に触れ、個人の悲しみに割くための時間を社会は持ち合わせていないと解釈が書かれている。
街は回ってゆく 人1人消えた日も
何も変わる様子もなく 忙しく忙しく先へと
かけがえのないものなどいないと風は吹く
(『永久欠番』より)
東日本大震災直後の教材になった
2011年、東日本大震災直後の被災地でもこの教材が使われた。
女川第一中学校教員の佐藤敏郎さんは、この曲を被災直後の授業で扱うことに抵抗があったと、ブログ「コラボ・スクール」で明かしている。
被災直後、新学期は例年通りの日程でスタートすることになり、各地から文房具や教科書が集められた。
この時、佐藤さんは、「国語の教科書だけは間に合わないでほしい」と胸の中で強く願っていた。
というのも、その教科書の最初のページは『永久欠番』だったからだ。
佐藤さんが戸惑ったのは、以下の歌詞だ。
どんな立場の人であろうと
いつかはこの世におさらばをする
(『永久欠番』より)
10人に1人が津波の犠牲になった学校の授業で、この1節に触れることにはかなりの抵抗があった。
その佐藤さん自身も、小学校6年生の娘さんを震災で失っているのだ。
「なんでこんな歌詞を書いたんだ」と中島みゆきを逆恨みすることもあったが、何度も歌詞を繰り返し読んでいくうちに考えが変わっていった。
「傍らで多くの命が一瞬にして消えていった私たちに、この詞の言葉はすごくリアルだった」
この状況だからこそ聴いて歌うべき曲だと考えを改めたのである。
詞の解釈は生徒たちに委ねることにし、授業では自分からは1つだけの発問にとどめた。
生徒たちは、それを取っ掛かりに、活発な意見を交わした。
佐藤さんは、生徒たちが『永久欠番』を通して命を考える姿を見て、胸がいっぱいになったという。
『永久欠番』に影響を受けた山本彩
2019年9月16日放送の「J-WAVE HOLIDAY SPECIAL RESALTAR」に、NMB48及びAKB48の山本彩が出演。
中学時代に国語の教科書で『永久欠番』の詞を読み、中島みゆきに憧れたことを語っている。
歌や詞、舞台など、枠にはこだわらずに音楽の可能性に挑み続ける中島みゆきは、人間としてもアーティストとしても、自分のなりたい存在だと、山本は言う。
『永久欠番』はこんな曲
自分1人の命に目を向けた時、そのちっぽけさに心もとなさを感じてしまう。
自分は、替えがきく命なのかもしれない?
この曲は、そんな弱気を打ち砕いてくれる。
100億の人々が
忘れても 見捨てても
宇宙(そら)の掌の中
人は永久欠番
(『永久欠番』より)
『永久欠番』のみんなの感想
永久欠番🎶
訃報をきくといつも思い出すんですよね…
自分の存在意義が分からなくなったときに沁みる曲✨#FMおとくに #中島みゆき— えつりん∞🖤 (@8er825) November 8, 2021
“ルールには必ず反則もある”
私は小学生の頃に人生の目標として親より長生きする事と決めました。あんな強い母親が姉を亡くした時に夜1人で泣いている姿を見た時に。どんな事があっても、この目標を肝に銘じている。そのだいぶ後にこの曲を知りました。#中島みゆき #永久欠番— やべべ(元Mr Castaway) (@Castaway1846497) March 4, 2021
知ってる人が亡くなる度に私は中島みゆきの「永久欠番」が心にそっと出てくる。中3の国語の教科書に載っていた詩。授業中に衝撃を受けた内容でずっとずっと心に残る内容。だから私は亡くなった人に向けてレクイエムとして、1人声に出して詠む。
— Emi_73期. autumn (@tomcat_dh_trip) February 9, 2021
収録アルバム
『歌でしか言えない』
1991年リリースのオリジナルアルバム。
- テレビ朝日系「ニュースステーション」のコーナーソング『おだやかな時代』
- パナソニック「ブレンビー」のCMソング『Maybe』
- 国語の教科書に掲載された『永久欠番』
を含む全11曲。
【収録曲】
『C.Q.』『おだやかな時代』『トーキョー迷子』『Maybe』『渚へ』『永久欠番』『笑ってよエンジェル』『た・わ・わ』『サッポロSNOWY』『南三条』『炎と水』
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