2003年の中島みゆきのシングル『銀の龍の背に乗って』
吉岡秀隆主演のドラマ「Dr.コトー診療所」の主題歌として中島みゆきが書き下ろした曲だ。
「銀」は、医療用メスの色を表しているそうだが、「銀の龍」は一体何なのか?
中島みゆきがこの曲に込めた思いに迫ってみよう。
この記事は、
- 『銀の龍の背に乗って』の「銀の龍」が意味すること
- 『銀の龍の背に乗って』に中島みゆきが込めた思い
- 「Dr.コトー診療所」にハマっていた中島みゆき
- 『銀の龍の背に乗って』を今すぐ聴く方法!
について書いてます!
中島みゆき『銀の龍の背に乗って』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
ドラマ「Dr.コトー診療所」の主題歌
医療用メスのイメージを持たせたのは、『銀の龍の背に乗って』が医療ドラマのために書き下ろされたからだ。
この曲が主題歌に起用されたのが、2003年放送のフジテレビ系ドラマ「Dr.コトー診療所」。
ドラマでは、医療設備が整わない離島の診療所で、命と向き合いながら奮闘していく医師の姿が描かれている。
『中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』』のライナーノーツで、中島みゆきはこの曲に言及している。
心細く、時に、痛ましくさえ思える医者の仕事に、中島みゆきは思いを馳せた。
「たった一人で命に直面する重責の孤独。せめてもの援護をしてくれるようにと、命の水の化身であるところの龍に頼み事をしたかったのです」
「Dr.コトー診療所」を戦闘モノと思っていた
「Dr.コトー診療所」へのコメント
「多感な大人にも共感できるドラマです」
2003年6月20日放送のフジテレビ系情報番組「めざましテレビ」の中で、以上の中島みゆきの肉声が流れた。
これから始まる「Dr.コトー診療所」を絶賛するメッセージの内容だ。
ドラマの主人公のイメージ通り
2022年9月8日の「MOVIE WALKER PRESS」の記事によると、このドラマの演出を手掛けた中江功は、主題歌の打ち合わせで、中島みゆきにこのドラマの主人公について、このように伝えている。
「海を超えてやって来た、傷ついた非力なヒーロー」
完成した曲は中江のイメージ通りだったという。
中島みゆきと中江功は、1992年のフジテレビ系ドラマ「親愛なる者へ」で一緒に仕事をしている。
この時、中島みゆきは、産婦人科医役としてドラマ出演している。
中江は、「Dr.コトー診療所」の主題歌の件で中島みゆきと再会した際に、「お久しぶりです。南雲律子です」と、産婦人科医の役名で挨拶されたという。
戦闘モノと思っていた
だが、最初にこのドラマ主題歌のオファを受けたとき、中島みゆきには戸惑いがあったという。
2004年「音楽専科SOUNDPEOPLE」1月号のインタビューで、初めてドラマ主題歌のオファを受けたときのことを振り返っている。
中島みゆきは、最初にドラマ制作サイドから、原作が少年向けコミックの連載漫画であると告げられた。
「少年向けコミック」というワードから、中島みゆきは勝手に戦闘モノを想像し、自分の作風との食い違いを感じた。
「書ける気がしない」
だが、主演:吉岡秀隆、脚本家:吉田紀子という倉本聰に育てられた顔ぶれに「?」となる。
台本を読んで、ようやく戦闘モノでないことを確信したのだった。
ドラマにハマる中島みゆき
中島みゆきは、ドラマ「Dr.コトー診療所」の一視聴者であった。
自身のラジオ番組の中では、脚本の巧みさからカメラワークに至るまでを絶賛した。
他の番組へゲスト出演した際も、「あのドラマいいですよね!」と自分から話題を振るほど、のめり込んでいたようだ。
「銀の龍」とは何なのか?
「銀」は医療用メスの色を意味する
銀の龍の背に乗って 届けに行こう
命の砂漠へ
(『銀の龍の背に乗って』より)
「銀の龍」とは一体何なのか?
ドラマ「Dr.コトー診療所」の演出を手掛けた中江功は、事務所の関係者から「「銀の龍」というのは波頭が光って輝いている様を表現しているんです」と教えてもらっている。
一方、中島みゆきは、『中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』』のライナーノーツで、以下のように述べている。
「なぜ銀なのかという問いには、手術用のメスの色だからとお答えしています。まあ金ぴかのメスというのもないとは限らないかもしれませんが」
赤でもなく金でもなく銀という色を選んだのは、医療用メスのイメージを歌詞に乗せたかったからだ。
ちなみに、ドラマのタイトルバックで主人公が座っていた崖の上は、島民たちによると、龍が昇ってくる場所だという。
「Dr.コトー診療所」の劇中歌も中島みゆきが作詞・作曲
「Dr.コトー診療所」では、主人公の医師(吉岡秀隆)に想いを寄せる看護師を柴咲コウが演じている。
柴咲コウが歌うこのドラマの劇中歌『思い出だけではつらすぎる』は、中島みゆきが作詞・作曲を手掛けている。
この曲は、2003年、アルバム『恋文』で中島みゆきによってセルフカバーされている。
PVロケ地は北海道礼文島
雄大な自然の中で中島みゆきが歌う『銀の龍の背に乗って』のPV。
ロケ地は、ドラマ「Dr.コトー診療所」の舞台・沖縄と思いきや、全く正反対の北海道・礼文島というところだ。
澄海岬という水の澄んだ入り江をバックに歌っている。
ここは、2012年に上映された吉永小百合主演の映画「北のカナリアたち」のロケ地でもある。
PVは、DVD『歌姫 Live in L.A.』に収録されている。
MISIAが中国で歌った
中国の人気オーディション番組「歌手SINGER・当打之年」。
2020年放送のこの番組にMISIAが出場し、『銀の龍の背に乗って』を歌っている。
中国では、范瑋琪(クリスティン・ファン)という中国系アメリカ人シンガーがこの曲をカバー。
「最初の夢をあきらめずずっと握りしめていれば、必ず願いは叶う」
MISIAは、この中国版歌詞に感銘を受け、この曲をオーディションに選んだ。
オーディションでは、ラストのみを中国版歌詞で歌っている。
当時、MISIAはデビューから22年目を迎えていた。
これからもずっと歌い続けたい思いをこの曲に託したと語っている。
米津玄師の『Lemon』に似ている?
米津玄師が2018年に発表した『Lemon』が『銀の龍の背に乗って』に似ているとネット上で話題になった。
似ているのは冒頭部分のメロディ。
「夢ならば~」の部分が、『銀の龍の背に乗って』の「あの蒼ざめた~」と似ているらしい。
また、日本テレビ系情報バラエティ番組「ラジかるッ」では、『銀の龍の背に乗って』の再生速度を落とすと、美輪明宏の歌声のようになるという情報が視聴者から寄せられている。
映画化で異例のシングル再リリース
2022年12月16日、16年ぶりに「Dr.コトー診療所」の続編が、劇場版として公開。
それに合わせて、主題歌『銀の龍の背に乗って』が、2022年12月14日に再びシングル化されることになった。
2022年のドラマ「PICU 小児集中治療室」(フジテレビ系)の主題歌『俱(とも)に』と両A面シングルリリース。
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『銀の龍の背に乗って』のみんなの感想
最近ものまね動画観てるんだけど中島みゆきの歌詞いいなぁ 銀の龍の背に乗ってとかファンタジーと比喩のバランスと言葉の丁度いい強さが凄い
— 五十嵐 (@odndsknndikn) October 23, 2021
中島みゆきの銀の龍の背に乗ってが割と好きで、サビに入る「さあ行こうか」ってところがガバっ!て前に出る気持ちが出ててとても良い
— SatoHTottuan (@shtottuan) October 15, 2021
銀の龍の背に乗ってを聴くとコト―先生が自転車乗ってるシ―ンが目に浮かぶ🚲
— モノノフ@ 一生リコティ推し同盟 (@0640J) October 15, 2022
『銀の龍の背に乗って』はこんな曲
どんな優れた医師でも、その力が及ばなかったり、自分の非力に絶望することがある。
別の大きな力にすがってでも、命を救いたいという強い思いが伝わってくる歌だ。
夢が迎えに来てくれるまで
震えて待ってるだけだった昨日
明日 僕は龍の足元へ崖を登り
呼ぶよ 「さあ、行こうぜ」
(『銀の龍の背に乗って』より)
カバーしたアーティスト
槇原敬之
2014年リリースのカバーアルバム『Listen To The Music 3』に収録。
工藤静香
2008年の中島みゆきのカバーアルバム『MY PRECIOUS -Shizuka sings songs of Miyuki-』に収録。
本人映像
『歌姫 LIVE in L.A.』
ロサンゼルスのソニーピクチャーズ・スタジオで収録された『歌姫』を加えたPV集DVD。
北海道礼文島で撮影された『銀の龍の背に乗って』も収録。
【収録曲】
『歌姫』『銀の龍の背に乗って』『囁く雨』『地上の星』
『中島みゆきライヴ! Live at Sony Pictures Studios in L.A.』
ロサンゼルスのソニーピクチャーズ・スタジオで収録されたライブDVD/Blu-ray。
アルバム『いまのきもち』に収録された曲をベースに『銀の龍の背に乗って』『地上の星』などの名曲をライブバージョンで楽しめる。
収録アルバム
『恋文』
2003年リリースのオリジナルアルバム。
- フジテレビ系ドラマ「Dr.コトー診療所」の主題歌『銀の龍の背に乗って』
- 柴咲コウに提供した『思い出だけではつらすぎる』
を含む全10曲。
【収録曲】
『銀の龍の背に乗って』『恋とはかぎらない』『川風』『ミラージュ・ホテル』『寄り添う風』『情婦の証言』『ナイトキャップ・スペシャル』『月夜同舟』『恋文』『思い出だけではつらすぎる』
『十二単〜Singles 4〜』
2003年から2012年までのシングルを収録したコレクションアルバム第4弾。
【収録曲】
『恩知らず』『時代 -ライヴ 2010〜11-』『荒野より (remix)』『バクです』『愛だけを残せ (remix)』『闘りゃんせ』『一期一会』『昔から雨が降ってくる』『帰れない者たちへ』『命のリレー <’04 夜会ヴァージョン>』『銀の龍の背に乗って』『恋文』
『中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』』
2016年リリースのベストアルバム。
2000年以降の曲からセレクトされた珠玉の全12曲。
【収録曲】
『銀の龍の背に乗って』『地上の星』『泣いてもいいんだよ』『常夜灯』『Nobody Is Right』『宙船 (そらふね)』『倒木の敗者復活戦』『Why & No』『India Goose』『産声』『麦の唄』『ヘッドライト・テールライト』
⇒『中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』』の解説&みんなの感想