1979年11月21日に発売された6作目のアルバムに収録されている
『世迷い言』
をみていこう。
中島みゆき『世迷い言』
作詞 阿久悠
作曲 中島みゆき
編曲 戸塚修
収録アルバム
『おかえりなさい』
1979年11月21日に発売された6作目のオリジナルアルバム。
中島みゆきが他アーティストに提供した楽曲たちをセルフカバーした1枚。
研ナオコに提供した『あばよ』、小柳ルミ子に提供した『雨』、ちあきなおみに提供した『ルージュ』、桜田淳子に提供した『しあわせ芝居』、加藤登紀子に提供した『この空を飛べたら』など、ヒット曲&話題曲がいっぱい詰まっている。
『世迷い言』は7曲目に収録されている。

日吉ミミ&阿久悠&中島みゆき 異色の組み合わせ
『世迷い言』は作曲のみを中島みゆきが担当し、歌手の日吉ミミに提供された曲だ。
中島みゆきの楽曲の中でも作曲が中島みゆき、作詞が他の作詞家が手掛けるということは極めて稀なケース。
このパターンは、作詞・唐十郎 作曲・中島みゆきの『安寿子の靴』『雨月の使者』などが数曲あるのみだ。
この『世迷い言』の作詞を担当した阿久悠は、ピンク・レディの『UFO』や、石川さゆりの『津軽海峡・冬景色』などの作詞を手掛けたヒットメーカー。
そこへ中島みゆきの作った曲が添えられ、日吉ミミが歌うという当時としては斬新な組み合わせだった。
なお、阿久悠はこの曲の作詞の依頼を引き受けた最大の理由は、「作曲が中島みゆきである」からと答えている。
『ムー一族』の劇中歌
『世迷い言』は1978~1979年に放送されたTBS系ドラマ『ムー一族』の劇中で日吉ミミによって歌われていた。
『ムー一族』は創業90年の足袋屋で繰り広げられる人間模様をコメディタッチで描いたホームドラマ。
日吉ミミは居酒屋に出没する謎の歌手という設定である。
「ヨノナカバナナノヨ」は阿久悠の発案ではない
歌詞に出てくる、
「上から読んでも下から読んでも
ヨノナカバカナノヨ」
は作詞家の阿久悠のアイディアではない。
ドラマ『ムー一族』の演出家・久世光彦のアイディアだ。
そもそもなぜ回文なのか?
それはこのドラマに関係している。
郷ひろみ扮する拓郎が、「たまには気のきいた寝言でも言ってみるか」と発した
「シンブンシ、タケヤブヤケタ」
の回文のセリフが大反響で、放送後、視聴者から自前の回文ネタがハガキで届くようになった。
その流れをくんで久世光彦は阿久悠に作詞を依頼する際に、「ヨノナカバカナノヨ」という回文を歌詞に盛り込むようにお願いしたのだ。
普段は作詞の注文を受けない阿久悠であったが、盟友の久世の頼みを断ることはできなかったようだ。
阿久悠がお気に入りの「デジタル時計がカタリと変る」
阿久悠はこの曲に当時の時代を盛り込むことができたと著書の中で語っている。
それは、冒頭の歌詞。
「窓打つ木枯しみぞれがまじる
カタリとデジタル時計が変わる」
という部分。
当時、時計は、アナログから少しずつデジタルのものが入り始めた頃だった。
デジタルといっても、今のような液晶画面の上に表示されるものではなく、空港の案内表示機のように(あるいは黒柳徹子が司会やってた歌のザ・ベストテンのパタパタ)、数字が書いたプレートが時間を刻むごとにパタとめくられる仕様のヤツだ。
「カタリ」というのはその時に出る音のことを指している。
この音を別れた男が帰ってきた物音と勘違いしてベッドから飛び出すくだりは、確かに時代が活かされた描写だ。
歌詞の一部がちょっと違う
日吉ミミ版の方は「デジタル時計がカタリと変わる」と歌われているが、
中島みゆき版は「カタリとデジタル時計が変わる」と微妙に順番を変えて歌っている。
変更のいきさつは分からないが、日吉ミミの方は「デジタル時計が『語り』と変わる」と誤解を与えかねないからだろうか?
『世迷い言』のみんなの感想
中島みゆき「世迷い言」
ああ。回文の日だからか。#FM京都 #αstation #nowplaying— めぷりゅ (@maipluie) December 21, 2020
やっぱ、冬の寒い時期は中島みゆきさんの失恋ソングが染みるよなぁ。。
本当に、世迷い言とタクシードライバーはこの時間に聞くのが1番最高— JULIA(すが笑) (@suga_julia_2424) December 14, 2020
♪パタリとデジタル時計がかわる
っていう歌詞すごい変やん考えると!デジタルちゃうやんむちゃくちゃアナログやん。わかるけど、私の勉強机にも白でふちが黄色のんがあって懐かしすぎて今めっちゃ手元に欲しいけど!
(世迷い言/中島みゆき)— がう次郎 (@03l17b24c09_3) October 6, 2020
中島みゆき「世迷い言―よまいごと―」https://t.co/4zHfNBFc5n
これ、何十回となく聴いているにも関わらず、歌詞をみるまで「ヨノナカバカナノヨ」が回文だってことに気がついていなかった…(恥)。「上から読んでも下から読んでも」って何回も言われているのに…。
— 風柳 (@furyutei) July 25, 2020
「世迷い言」の歌詞、日吉ミミ版では「デジタル時計がカタリと変る」のところ、作曲者・中島みゆきによるカバー版では「カタリとデジタル時計が変わる」になっていて、言葉に対する中島さんの何らかのこだわりなのかなあ、と思う
— 砂時計 (@y_m_sunadokei) July 21, 2020
『世迷い言』はこんな時に歌おう
回文を順番に披露する場でフシをつけて『世迷い言』を歌ってやろう。
「ヨノナカバカナノヨ」と。
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