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坂本龍一もレコーディングに参加した中島みゆき『あ・り・が・と・う』|全曲解説&みんなの感想

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1977年6月25日に発売された3作目のオリジナルアルバム
『あ・り・が・と・う』
をみていこう。

中島みゆき『あ・り・が・と・う』の特徴

 

『あ・り・が・と・う』(レコチョク)

1977年6月25日に発売された3作目のオリジナルアルバム。

中島みゆきにとって初めてオリコン週間チャートトップ10入りを果たしたアルバム。

レコーディングには吉田建坂本龍一が参加している。

中島みゆきの坂本龍一への印象

1991年11月号の「月刊カドカワ」の中で、中島みゆきは坂本龍一「癖の強い人」の1人として紹介している。

最も印象深かった思い出として、坂本龍一が、

「今日出がけに金魚を食べてきた。
 まずかった」

と発言したことを挙げている。

また、スタジオではみかんを貪り食べ、なかなか弾いてくれなかった坂本だったが、手についたものを舐め終え、すごくいいタイミングで弾くところは、やはり天才だなあと中島みゆきを圧倒した。

坂本龍一の中島みゆきへの印象

一方、坂本龍一もまた中島みゆきに度肝を抜かれていた。

スタジオで、中島みゆきは、「新曲ができたから聞いて欲しい」と、そこにいた坂本を含むスタッフらに弾き語りで聴かせた。

すると、中島みゆき、歌いながら泣いているではないか。

その姿に坂本龍一は衝撃を受けた。

『あ・り・が・と・う』のみんなの感想

全曲解説

『遍路』

 

『遍路』(レコチョク)

遍路とは、四国にある空海ゆかりの88カ所の寺を巡ることを言う。

白装束に三角のすげ笠、金剛杖というスタイルで巡るこの方々を「お遍路さん」と呼ぶ。

曲の中に登場する「鈴」はお遍路さんの装備品の1つである持鈴(じれい)を指す。

この鈴は、熊などの獣除け以外にも、煩悩を取り払う役割もある。

彼らは、煩悩を断ち切るためだったり、願掛けだったり、いろんな理由で四国を旅して回っているのだ。

歌詞解釈

歌は、お遍路さんである「私」が、辛い過去を振り返る形を取っている。

「はじめて私に スミレの花束くれた人は
 サナトリウに消えて
 それきり戻っては来なかった」

という男の他に、

「はじめて私に 甘い愛の言葉くれた人」
「はじめて私に 永遠の愛の誓いくれた人」

と色んな「はじめて」をくれた2人の男が登場する。

だが、そのどの恋も成就しなかった。

おそらくその過去を断ち切るために88カ所を巡っているのだろう。

「手にさげた鈴の音は
 帰ろうと言う 急ごうと言う」

と、鈴との対話は、他に話す相手がいない「私」の孤独を描いている。

あえて軽いタッチのメロディに乗せて歌うことによって、切なさが胸に迫る1曲だ。

『店の名はライフ』

 

『店の名はライフ』(レコチョク)

中島みゆきが学生時代に通っていた実在の喫茶店をモデルにした曲。

「頭のきれそな二枚目マスター」は、東昇さんという実在の人物。

店の場所も歌詞の通り「自転車屋のとなり」と、事実を忠実に描写した歌であるが、やはりそこは中島みゆき、どこか妖艶な別世界を見つめているような感覚に浸ってしまう。

歌詞解釈

「店の名はライフ 自転車屋のとなり」

歌詞は間取りが分かりそうなくらい細かい店の描写がところどころにある。

そして、店で働く人物も、マジックでくっきり輪郭を描いたような、

「頭のきれそな 二枚目マスター」
「母娘で よく似て 見事な胸」
「真直ぐな足のむすめ 銀のお盆を抱えて」

ユーモア溢れたキャラばかり。

他には、

「二階では徹夜で続く恋愛論」

など、店の中の模様のみを描写しただけの歌詞だが、1つの物語を読み終えた心持ちなるから不思議である。

喫茶店
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『まつりばやし』

 

『まつりばやし』(レコチョク)

中島みゆきは、コンサートのMCで、この曲が亡くなった父がモチーフであることを明かしている。

父親が倒れたのは、これから祭りが始まろうとしていた矢先のことだった。

祭りの日には、家の軒先に飾る紙で作った「軒花(のきばな)」を飾る風習があり、中島みゆきの家でも、すでに作って用意していたのだが、父親はそのまま帰らぬ人となり、結局軒花は無駄になってしまった。

「もう 紅い花が 揺れても」

という歌詞の中にある「紅い花」とはその軒花のことで、はかなく感じられるのはこのためだろう。

歌詞解釈

今年のまつりばやしを去年のまつりばやしと対比させている。

去年はいっしょに眺めていたが、今年は「おまえの最後を知る」まつりばやしとなってしまう。

歌詞の中に登場する「おまえ」とは父親のことであることは容易に想像つくが、ふつう、父親のことを「おまえ」という言い方はしない。

あえて「おまえ」を使っているのは、個人的な曲になることを避けるためか?

祭り
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『女なんてものに』

 

『女なんてものに』(レコチョク)

ラジオで作家・吉行淳之介と「プラトニック・ラブ」をテーマに対談したことがきっかけで生まれた曲だとされている。

「女性は、打算的なところで男を得たいという気持ちを、恋愛感情と錯覚している」

そんな吉行の立てた仮説に対抗した曲だという。

この対話の記録が、新潮文庫『片想い』の中に掲載されていて、確かに文面からは、中島みゆきの反応が芳しくない表情が読み取れる。

だが、実はこの対談の前の日の晩、中島は加藤登紀子と飲んでいて、そこで食べたヌタが原因で蕁麻疹がびっしり出てしまったと後に明かしている。

反応の悪さは体調の悪さ由来とも考えられるのであって。

歌詞解釈

「女なんてものに 本当の心はない」

そんな風にある時から言うようになってしまった男への哀しみと怒りを歌にしている。

他に、吉行淳之介を意識したような歌詞を拾うとすれば、

「女なんてものは 愛などほしがらないと
 笑いながら 言うようになった」

という部分だろうか。

だが、そもそもがつきあっていた男という体(てい)の曲なので、それは淳之介には該当しないし、

「忘れても あなたは
 帰らないじゃないの」

と、彼もまた、そんな風に言われる筋合いはないのだろうが。

だが、事実をまんま事実として書かないというのは、中島みゆきの曲を作る上でのポリシー。

曲の中にいくらか吉行淳之介が反映されていると捉えるくらいが丁度よいのかもしれない。

涙
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『朝焼け』

 

『朝焼け』(レコチョク)

桜田淳子夏木マリ古手川祐子など多くのアーティストにカバーされている曲。

大人の色気を備えた彼女たちが選ぶにふさわしい曲というか、はたまた、この曲が彼女たちを選んだというべきか。

歌詞、曲、ともに大人の哀愁をたっぷり帯びている。

歌詞解釈

「ああ あの人は いま頃は
 例の ひとと 二人」

好きな人が別の誰かと愛を交わしている光景を想像することほど辛いことはない。

うらみ言並べながら眠れない夜が明けるというくだり。

ふしあわせを願うくだり。

ちょっとやつれた感じで歌ってるところに、大人の色気を感じる。

『ホームにて』

 

『ホームにて』(レコチョク)

この曲は、このアルバムの後にリリースされた『わかれうた』のB面曲としてシングルカットされた。

B面の曲といっても、ファンに限らず多くの人にわりと知られた曲だ。

芸人の有吉弘行や歌手の手嶌葵などは、この曲に励まされている。

故郷を心のどっかで気にかけながら、都会で踏ん張って暮らす人にはツボにハマること間違いなしの名曲。

あ、「BOSS」のCMで流れてましたね。

歌詞解釈

舞台は駅のホーム。

ふるさと行きの最終列車を前に乗るべきか乗るまいか決めかねている主人公の気持ちが描かれている。

「灯りともる窓の中では 帰りびとが笑う」

と、電車内の幸せそうな光景を、外から主人公が眺めていて、電車の扉1枚隔てたコチラと向こうの世界の違いを対照的に描いた構図となっている。

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『勝手にしやがれ』

 

『勝手にしやがれ』(レコチョク)

このアルバムが出た1977年には、沢田研二がシングルで、セックス・ピストルズがアルバムで、さらにはこの前の年の1976年には南佳孝がアルバムの中の曲で、各々の『勝手にしやがれ』を次々とリリース。

もちろん詞も曲もそれぞれ全く別物。

1960年に日本で公開されたフランス映画『勝手にしやがれ』を意識したタイトルと思われ、中島みゆきに至っては、主演のジャン=ポール・ベルモンドがお気に入りとのこと。

しかし、映画公開から10年以上も経って、ほぼ同時期に『勝手にしやがれ』ラッシュが起きるというのは、不思議である。

この曲は研ナオコが後にカバーしている。

歌詞解釈

「右へ行きたければ
 右へ行きゃいいじゃないの
 あたしは左へ行く」

女は男のわがままに愛想を尽かし別れを決めたが、いざ1人になって気付く。

「あんたのわがままが ほしい」

と。

家出
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『サーチライト』

 

『サーチライト』(レコチョク)

「サーチライト」「ラ」を使って「ライライライ」とノリ良いリズムを生み出しているこの曲は、他とは毛並みが違う。

歌詞に、

「昔の古いろうそくを
 引っぱり出して火をつける
 すると 聞こえだす 古いブルース」

と、あり、メロディやサウンドが、ブルースを意識した仕上がりとなっている。

歌詞解釈

男がいなくなってしまった後の女の孤独を歌った曲。

歌詞のいたるところに描写された心象風景がまあスゴい。

「町では このところ
 天気予報は「明日も夜です」」

男のいなくなってから町はすっかり闇に閉ざされてしまったと表現している。

「あたしの悲しみは
 昇る朝日も落としちまうほど」

とこの辺の表現もスゴいが、この後、男を暗闇の中に見つけ出すために、町じゅうのろうそくで照らしだそうとする発想もまたスゴい。

『時は流れて』

 

『時は流れて』(レコチョク)

1976年に、東京大学の学園祭「五月祭」で初披露された曲なんだとか。

この年は、他にも北海道大学、神奈川大学、金沢医科大学、近畿大学、宮﨑大学などなど多くの学園祭に精力的に顔を出している。

なお、2001年には慶応大学で24年ぶりの学園祭出演を果たしている。

歌詞解釈

中島みゆきの歌には、別れた男のことを待ってしまう曲が多いが、コレもその手の曲。

別れた男を忘れるためにいつくもの恋を渡り歩くが、ちっとも忘れることができないでいる。

月日が経ち、町も自分も変わってしまったけど、もしかしたら男だけは何ひとつ変わっていないとしたら?

そんな女が願うことは、ただ一つ、

「あんたが あたしを
 こんなに変わった あたしを
 二度と みつけや しないように」

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