中島みゆきがライフワークとして取り組んでいる言葉の実験劇場『夜会』。
1989年から始まり、2019年時点で、VOL.20を迎え、そのほとんどがBD/DVD化されているのだが、なぜか、2000年と2002年に上演された『ウィンター・ガーデン』は現在までBD/DVD化されていない。
いったい何故なのだろう?
なぜ『ウィンター・ガーデン』は映像化されていないのか?
『ウィンター・ガーデン』だけぽっかり穴が開いたように、DVD化されないのは、すこぶる違和感がある。
中島みゆきは、2000年12月号「日経エンタテイメント!」のインタビュー記事の中で、中島みゆきは、映像化しなかった理由についてこのように答えている。
「今までの『夜会』はフィクションから始まったけど、今回は日常から始めようかなって思ったので。
それとライブである、1回限りのものだって点を考え直してみたくなりました。
その意味で今回は映像収録もしません」
つまり、非映像化は中島みゆきのポリシーによるものだったのだ。
また、別のインタビューでは、撮影すればいろいろな制約が生じるため、『ウィンター・ガーデン』はそれを許容できる性質ではなかったとも答えている。
『ウィンター・ガーデン』ってどんな舞台だったのか?
2000年に私は渋谷のコクーンシアターでこの『ウィンター・ガーデン』を鑑賞した。
わりと前の方の席で音響もよく、劇中で、共演した谷山浩子が段ボールのガムテープを剥がす場面があるのだが、その音が生で耳に届く近さだ。
中島みゆきの息づかいがマイクを通さずそのまま聴こえた感じがした。
私にとって生の中島みゆきを拝んだ初めての日だったが、最高の状態で臨むことができたことを記憶している。
舞台が北限の地とあって、全体的に吹雪のSEだったり、氷や雪のセットだったり、色でいえば「白」のイメージが濃い。
億かかっている舞台だと聞いてはいたが、確かに、横から突如として現れる氷山(氷の塊)のセットは「金かかってるんだろうなぁ」と見上げるほどスケールがでかいものだった。
帽子が風に吹き飛ばされる仕掛けもなかなか面白かった。
『ウィンター・ガーデン』のポスターには、「主の知れない犬一匹」とあるが、この犬を演じたのが、中島みゆき。
全身タイツのようなものにふさふさの毛を飾り、髪の毛が赤毛に染められていて、ショートヘアで、ウェルシュ・スプリンガー・スパニエルという犬をイメージしたものらしい。
スタタタと袖から軽快に現れたのが印象的だった。
『ウィンター・ガーデン』は他の『夜会』と比べると毛並みが違う。
セリフの多くが詩の朗読のような形態をとっている。
共演者は、谷山浩子の他に狂言師がいる。
狂言師は、木の役で出ているのだが、ビジュアルは狂言師のあのまんま袴姿。
狂言独特のあの歩き方や喋り方で、手元の紙に書いてある詩を朗読するのだ。
現代劇と伝統が融合したような異空間がそこには広がっていて、なかなか味わい深いものがあった。
また、輪廻転生が描かれ始めたのもこの『ウィンター・ガーデン』からだ。
この作品の中で、中島みゆきは犬と、その犬の前世を生きた人間の女性の2役を演じている。
中島みゆきは、後に、『夜会VOL.15 〜夜物語〜元祖・今晩屋 』や『夜会VOL.18 橋の下のアルカディア』などでも、この輪廻転生に向き合っている。
『夜会VOL.12 ウィンター・ガーデン』では吉田日出子が出演予定だった
2000年の『夜会VOL.11 ウィンター・ガーデン』から2年後の2002年、女の役を谷山浩子から吉田日出子へ変えて再演される予定だった。
2002年「weeklyぴあ」10月7日号のインタビューで中島みゆきは、この再演の意図を明かしている。
「この話は、登場するのが植物と動物と人間で、さあ会話は成り立たない、という世界ですので、これ女が変わったら話は変わるだろうなと前回も思っていたんですよ」
犬と女とカシワの役をシャッフルするというのも考えたりして、結果、吉田日出子みたいな人を女役に据えてみてはどうかという考えに至った。
となると、谷山浩子が演じる女と吉田日出子が演じる女とでは印象が違う。
中島みゆきはこう語る。
「あの女は、谷山浩子ならではのあの女だったんですね。
彼女が歌の中に持っている、良い意味で天使のような恐ろしい女ね。
(それは)彼女から出てきた女なのね。
でも吉田日出子が目の前に立ってニッと笑った時には、あのセリフではないというのもあるわけで(笑)」
女の言葉が変わると、それを受け取る犬やカシワの表情も違ってくる。
再演といっても、ずいぶん内容の違うものだった。
しかし、残念なことに吉田日出子は急病により舞台を降板し、香坂千晶が代わりを務めることになった。
『ウインター・ガーデン』のみんなの感想
夜会【ウィンターガーデン】で歌った、谷山浩子さんの【街路樹】と、みゆきさんと一緒に歌った【記憶】がまた素敵なのよ😃なんで映像として残ってないのが残念だよ #中島みゆき #谷山浩子
— 北国のくまきち🐻🍯⛄✨ここにいるよ🍀 (@kuma_kichi003) May 5, 2020
ゲイバーで、中島みゆきさんファンとの会話
私「ウィンターガーデン映像化してもらいたいんですよー」
「別に映像化されなくてもいいですけどねー」
世間は世知辛い…
— yui nathan (@yui_norzem) November 16, 2019
中島みゆきファンの友達に「谷山浩子ファンは、ウィンターガーデンの映像化を期待しているんだよ」と話したら、「無理だと思うよ。朗読劇でほとんど動きがないからつまらないと思う」と言って、納得してしまった。
確かに浩子さんファン以外の収益は望めないかも…
— yui nathan (@yui_norzem) February 3, 2019
みゆきさんの夜会の中で、「問う女」と「ウィンターガーデン」は気になるなー!#中島みゆき #夜会工場 #夜会
— うめ☆ (@umeblessing) December 5, 2017
#taniyama #ファムラジオ 中島みゆきさんと谷山浩子さんが共演した夜会は最高でした!
また共演してほしいです。
「ウィンターガーデン」良かったな。— DeK (@kkDeK) October 2, 2016
『ウィンター・ガーデン』の映像
『ウィンター・ガーデン』は、他の『夜会』のようなフルの形で映像化はされていないが、断片的な映像としてはいくつかのDVDに収録されている。
『夜会の軌跡 1989〜2002』
1989年から2002年までの『夜会』の軌跡を辿った総集編的なDVD。
このDVDには、『ウィンター・ガーデン』の映像が多く収録されていて、犬の格好した中島みゆきにお目にかかることができる。
曲目は、『ツンドラ・バード』『陽紡ぎ唄』『朱色の花を抱きしめて』『六花』『街路樹』『氷脈』『記憶』。
『夜会工場VOL.2』
『夜会VOL.19 橋の下のアルカディア』までの『夜会』全19作の中から、名場面を再現したもう1つの『夜会』。
18年前を振り返る形で『ウィンター・ガーデン』の名シーンが再び演じられた。
こちらは、『朱色の花を抱きしめて』『陽紡ぎ唄』の他に、詩として朗読された『谷地眼(やちまなこ)』『傷』も収録されたDVD&Blu-ray。

CDに収録された『ウィンター・ガーデン』の曲
『陽紡ぎ唄』
2002年に発売されたアルバム『おとぎばなし-Fairy Ring-』に収録されている曲。
小人が陽なたの綿毛と月夜の綿毛を紡いで小さな上着をつくるという可愛らしい歌詞。
「Ding-Dong」という歌詞の響きや、子どもに読み聞かせるような中島みゆきの優しい歌声は、まるで童話の中の世界にいる感覚になる。
中島みゆきのアルバムは好きなのたくさんあるけど、おとぎばなし-Fairy Ring-がいちばん好き
全曲好きとかじゃなくて、陽紡ぎ唄から始まるあのアルバムの雰囲気が好き— 碧(あお)/いおみ (@kobaltblaue) October 25, 2015
『ツンドラ・バード』
2001年に発売されたアルバム『心守歌-こころもりうた』に収録されている曲。
冬の大自然を舞台にして、オジロワシが獲物を狙ってる姿が描かれている。
ちなみにツンドラとは、地下に永久凍土が広がる降水量の少ない地域のことで、まさに北限を指している。
NHK子ども科学電話相談で中島みゆきのツンドラ・バードとサーモン・ダンス流してほしいな
— モッツ (@isogacchu) June 1, 2020
中島みゆきの「ツンドラ・バード」は、初めて聞いた時にこれはすごい曲だと思ったのだ。
でも18年前の曲なのに、未だに歌詞を何度読んでも意味がわからないのだ。— 魔導いさん(大魔道士のアライさん) (@AraiSorcererSan) November 21, 2019
中島みゆきの「ツンドラ ・ バード」を聴くと冬の北海道に旅行に行きたい衝動に駆られる。
— 久樹輝幸@生きねば (@t_hisaki) October 22, 2009
『天使の階段』
2000年に発売されたアルバム『短篇集』に収録されている曲。
「天使の階段」とは雲の切れ間から差し込む光の筋のこと。
「天使の梯子』とも呼ばれ、天使が降りてきそうな神々しい雰囲気を帯びた景色である。
この曲は、犬に生まれ変わる前の女性の役で歌われた曲だ。
歌い終わって氷の間に落ちていき死んでしまうシーンが印象的。
中島みゆきで一番好きな曲は天使の階段。きれいな曲。コトーのテーマの銀の竜の背に乗っても好き。両方CD持ってるぐらい
— 椎名聖 (@ele_tria) July 20, 2012
#nowplaying 天使の階段 ♪ 中島みゆき http://bit.ly/psCAoY in iPod app via @twitbird
合唱曲にしたら、すごい良いと思うんだよね。
— ルーン@体がバグ中 (@lu_luun) July 12, 2011
中島みゆきさんの「天使の階段」を聴いている♪ 2000年の夜会「ウィンターガーデン」の舞台を思い出す。この夜会がDVDになっていないのが何とも惜しいけど、歌だけはCD「短編集」で聴けるのがうれしい。補足:天使の階段・・ヤコブの梯子、天使の梯子ともいう。
— ありあ (@ariaflower) June 8, 2011

『六花』
2001年に発売されたアルバム『心守歌-こころもりうた』に収録されている。
「六花」とは六角形のカタチをした雪の結晶を指している。
雪を空で綴られた手紙と表現されている。
シンシンと静かに降り積もる雪の様子が目に浮かぶ曲だ。
雪が本格的に降ってるので
中島みゆき「六花」
お願いします。#nhk_suppin— Yellow Face🐨🦘🦎🐬🦜🦇 (@mt_hopeless) December 5, 2019
車のラジオから
中島みゆき「六花」って歌が流れてきてああ良い曲だなあ!と思った後、
ふと、六花って どんな花なのか
知りたくなってググってみたら
なんと、雪の異称で、おったまげた!六花とは、雪の異称のことである。結晶が六角形であることからこのように呼ばれる。
今日1つ偉くなった♪
— K.TOSADA【凪の綿(ワタ)】 (@NL9YRgGuleu3Z55) March 19, 2019
ここばあばさん、こんにちは😊
私も初めて中島みゆきさんの『六花』を聴いた時は、大きな衝撃を受けました。そして私も、歌詞のその部分が好きです。
私には「たくさんの経験を積みなさい」と言われているように響いて来ました✨— よしお (@ym920mimiki) February 8, 2018
『粉雪は忘れ薬』
2000年に発売されたアルバム『短篇集』に収録されている曲。
こちらはラストに犬が主を思いながら歌った曲。
どんな人の悲しみも等しく雪が降り積もって隠していくとして、悲しみを忘れるための薬だと形容している。
ここ最近ずっと中島みゆきを聴いている。
似た系統で、松任谷由実は割と聴いていたんだけど中島みゆきは何となく敬遠したんだがすごく良いな…
とくに粉雪は忘れ薬って曲が好き。— 祥 (@hitsuji_1213) June 11, 2020
翔さん❤️
こんばんは🌙
凄いです👏良かったです😭
翔さんにまず聞いて作られるとは凄い!✨✨
頑張ってネ😊中島みゆきさんの失恋ソングというと「粉雪は忘れ薬」が好きです。
好きな人に悩みを相談した時に教えてもらいました。それから大好きになった曲です✨— izu (@izu28_) May 17, 2020
Day4
忘れたい人を思い出させる曲覚えておこうとしないのに
何かのはずみ 思い出して泣ける粉雪は忘れ薬 / 中島みゆき
— 少年(しょーや) | syowya (@syowya) May 16, 2020

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