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中島みゆきのアルバム『真夜中の動物園』の曲解説&みんなの感想|ジャケットは富良野塾にて撮影

動物園

2010年10月13日に発売された37作目のオリジナルアルバム
『真夜中の動物園』
をみていこう。

『真夜中の動物園』の特徴

 

アルバム『真夜中の動物園』(レコチョク試聴あり)

様々な動物をモチーフにした曲を集めたアルバム。

タイトルに「ハリネズミ」「サメ」「鷹」など様々な動物が登場していて、『負けんもんね』のような曲にも「アリ」が登場するなど徹底している。

制作意図

中島みゆきは、このアルバムについて以下のように書き記している。

「魚類・鳥類・哺乳類……可笑しくて、トホホで、やがて愛しき、動物たちの、音楽図鑑」

2010年「ダ・ヴィンチ」11月号のインタビューによると、これまでにも自身の曲には動物が多く登場していたので、今回は好きなものばかりを集めたという。

「すべての生きとし生けるものと一緒に生きていたいって思いですかね」

そんな思いで作り上げた1枚なのだ。

ジャケット写真は富良野塾にて

山の中で走っている中島みゆきの姿を撮ったジャケット写真だが、これは富良野塾で撮影された。

富良野塾は1984年に脚本家の倉本聰が北海道の富良野に開いた脚本家や俳優の養成所だ。

かつてから親交のあった倉本聰を通じて、今回この場所を撮影場所に選んだと思われる。

2010年「ダ・ヴィンチ」11月号のインタビューによると、ジャケット写真の中島みゆきの足元をよく見ると長靴を履いている。

撮影当日、雨上がりで、撮影場所までの道がぬかるんでいたため、スタッフが調達してきた長靴を履いた姿がコレである。

ジャケットの写真は、移動する最中のところを撮られたものであり、当初の予定としてはスタイリストが用意してくれていた綺麗な靴を履いて撮影するはずだったのだ。

ボーナストラックの意味

11曲目の『雪傘』と12曲目の『愛だけを残せ』はボーナストラックとして収録されている。

アルバムとしての区切りは

アルバム『真夜中の動物園』のみんなの感想

曲解説

『今日以来』

『今日以来』(レコチョク試聴あり)

中島みゆきの中で曲順をいろいろ考えた結果、気楽に始められるこの曲を1曲目に置いたという。

動物がコンセプトのアルバムであるが「人」「人生」などワードが登場するこの曲は、もしかしたら「人間」という動物を意識したのかもしれない。

歌詞解釈

要領よく人生を生きられないでいる人間が主人公。

これまでは人に愛されたいと願い続けてきたが、いろんな失敗や孤独を経て、これからは、愛されるよりも自分から進んで誰かを愛そうとしている。

「もう愛します 今日以来
 愛されたがりは罪つくり
 もう愛します 今日以来
 愛したがりになれるかな」

『真夜中の動物園』

『真夜中の動物園』(レコチョク試聴あり)

表題曲という性格上、ふつうはアルバムのラストに持ってくるものだが、早く聴いてほしいという思いで2曲目に据えたという。

レコーディング中に他のミュージシャンと「共振」していたと語っている。

「その場の空気が共振して何倍にも鳴るんです」

とのこと。

歌詞解釈

まるで、夜中になって開園するような幻想的な動物園。

この真夜中の動物園では、昼間には会えない誰かが訪ねてくるようだが。

「真夜中の真ん中に
 動物園では人知れず
 逢いたい相手が逢いに来る
 逢えない相手が逢いに来る」

『まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う』

『まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う』(レコチョク試聴あり)

おそらく中島みゆきの曲のなかで最も長いタイトルではないだろうか。

糸井重里の対談の中で糸井に「みゆきさんは畳みかける作詞家」と言わしめたこの曲。

同様の例えを繰り返す独特の歌詞であるが、中でも2番目以降の歌詞は糸井の心を掴んだようである。

歌詞解釈

人生というのは、その場限りの瞬間を繋げただけのものかもしれない。

日常に潜んでいる真実を見せられている気がしてドキッとしてしまう。

「笑うことも 泣くことも 思うことも しゃべることも
 怒ることも 歌うことも 大嫌いも 大好きも
 あたしたちは あたしたちは あたしたちは あたしたちは
 自由っていう名前の中 何か嘘を嗅ぎ取ってる」

『ハリネズミだって恋をする』

『ハリネズミだって恋をする』(レコチョク試聴あり)

中島みゆきのアルバムには英訳の歌詞が入っている。

この曲に登場する「ハリネズミ」を英訳するときに意外な発見があったという。

英語でハリネズミは、「hedgehog」と「porcupine」の2パターンの呼び方があるようなのだ。

2つは似てるようで、行動様式からその風貌までまるで違うらしい。

後者の「porcupine」は、いわゆるヤマアラシで、攻撃されたら反撃するらしく、前者の身を守るしかしない「hedgehog」とは違って獰猛らしいのだ。

で、この曲のイメージはというと、前者の身を守るだけの「hedgehog」の方なのだ。

当初、翻訳家からはヤマアラシの方で提出されたが、ここは修正してもらったという。

歌詞解釈

いちど痛い恋をした人間は、ハリネズミのように針を尖らせて身を守ろうとする。

でもその心の内は、実は、恋を夢見ているのだ。

「傷つきやすいということが 言い訳になってハリネズミ
 傷つきやすいということが 逃げ道になってハリネズミ」

『小さき負傷者たちの為に』

『小さき負傷者たちの為に』(レコチョク試聴あり)

近年の幼児虐待問題を歌ってるようにも取れる曲だが、

「いろいろな意味に受け取れるものなんですよね」

と中島みゆき。

どう受け取るかは聴く人に委ねるスタンスだが、糸井重里の対談では以下のように語っている。

「「泣いてちゃわかんないから、泣かないでちゃんと言いなさい」と言うけれど、その泣き声の調子からわかんないかなぁ、ということもあるのね」

飽くまでこれも解釈の1つということだが。

歌詞解釈

「言葉を持たない命」である幼い者が、「言葉しかない命」の前では弱い存在にならざるをえないことへ反発した歌。

「言葉持たない命よりも
 言葉しかない命どもが
 そんなに偉いか 確かに偉いか 本当に偉いか 遥かに偉いか
 卑怯と闘う同志でありたい
 小さき小さき負傷者たちの為に」

『夢だもの』

『夢だもの』(レコチョク試聴あり)

ドスの効いた声で歌われる『小さき負傷者たちの為に』の後に聴くと、果たして同一人物なのかと疑うほど印象の違うこの曲。

切ないことを、明るいリズムに乗せて歌うと余計に切なくなってしまうこの手法は、『悪女』に通ずるものがある。

歌詞解釈

現実の恋が上手くいかない女は儚い夢を見る。

夢の中では手を取ってダンスしてくれる、積極的にアプローチできる。

悲しいくらいトントン拍子なのだ。

「だって夢だもの 全部夢だもの
 好きになっても 打ち明けても 誰も困らない
 どうせ夢だもの 全部夢だもの
 儚くっても 短くっても
 嘆かないのよ 夢だもの」

『サメの歌』

『サメの歌』(レコチョク試聴あり)

物々しいイントロはどこか映画「ジョーズ」を思わせる。

サメの習性を歌っているが、人にもバッチリあてはまる。

インタビューの中で中島みゆきはこのように語っている。

「動物や生きものとはいっても、そこに人間を投影はするでしょうからね」

歌詞解釈

種類にもよるが、サメは泳ぎ続けていないと水中から酸素を取り込めず死ぬんだとか。

生きるためには、なりふり構わず常に前へ進まなければならないのだ。

こんな人見かけないだろうか?

前しか見ていない人は、前向きだと捉えられるかもしれないが、一方、何か大切なことを後ろへ忘れているのでは?とも思えたり。

「可笑しいことに なまものは後ろへ進めない
 なりふりを構いもせず 前(さき)へ向くように出来ている
 サメよ サメよ 落とし物の多い人生だけど」

『ごまめの歯ぎしり』

『ごまめの歯ぎしり』(レコチョク試聴あり)

「ごまめ」とは、カタクチイワシの素干しのこと。

お正月のおせち料理の田作りに使うあのちっこい魚のことだ。

その弱っちそうなビジュアルから、実力のない者がイラっときたり嫉妬するようなことを「ごまめの歯ぎしり」というのだ。

ジャズチックな軽快なサウンドに乗せてぼやくように歌っているのがまたコミカルだ。

歌詞解釈

心理学でいうと「合理化」の心理状態を歌っている。

例のイソップ寓話の「すっぱい葡萄」の話も引用されていることだし。

恋にありつけず1人でいる理由をかたっぱしから挙げていくのだが、どれもこれも自分を守るための言い訳。

だが、どこか憎めないこの人。

きっと多くの人がこんな気持ちを心の中に秘めているはず。

「空振りしたら立ち直れない
 立ち直るほど時間がないでしょ
 だから冷たく世間話です
 ごまめの歯ぎしりでしょうね、たぶん」

『鷹の歌』

『鷹の歌』(レコチョク試聴あり)

2014年10月11日放送されたフジテレビ開局55周年記念スペシャルドラマ「東京にオリンピックを呼んだ男」の主題歌に起用された曲。

個人的な誰かのことを歌っている曲らしいが、その誰かについては不明。

人間の生きざまと向き合う歌詞や、迫力のある声量が、曲に凄みをもたらしている。

圧巻のバラードだ。

歌詞解釈

鷹と呼ばれていた人が、体力的に衰えていく。

そのゆっくりとした動作にかつての勢いは鳴りを潜めてしまったようだが、心の内にはまだ熱いものを持ち続けていることを、中島みゆきは見抜いている。

「かすれた鳴き声をあげて
 「見なさい」 あなたの目が
 「見なさい」 私を見た
 「命を超えて続くものを」
 鷹の目が 叫んでいた」

『負けもんね』

『負けんもんね』(レコチョク試聴あり)

2020年のベストアルバム『ここにいるよ』にエントリーされた曲でもある。

『ファイト!』と姉妹関係にあるような応援歌。

定番曲に抵抗ある人はこの曲を人前で歌ってみるのも良いかも。

歌詞解釈

何をやっても望んだ通りにはならない。

人生ってそんなもの。

だが、「負けんもんね」という言葉をただ繰り返し呟いているだけでも、不思議と気持ちは前向きになっていくものだ。

「やっと見上げる鼻先を
 叩きのめすように日々は降る
 そんなにまで そんなにまで 人生は私を嫌うのか、な
 負けんもんね 負けんもんね」

『雪傘』

『雪傘』(レコチョク試聴あり)

工藤静香に提供した曲のセルフカバー。

工藤静香はこの曲を2008年に、『NIGHT WING』と両A面でシングルリリースしている。

『NIGHT WING』『雪傘』いずれも中島みゆきの作詞・作曲によるもの。

このアルバムの中で最もロマンティックな恋の歌。

ちなみに、ボーナストラックという位置づけでありながら、ここにも「小ギツネ」という動物ワードが登場している。

歌詞解釈

いろんな別れ方があるが、この歌のように、「相手の男に誕生日を祝ってくれる別の女性ができてよかった」とか「ありがとう」とか、いたわりや感謝の気持ちを言えるような別れだと、その後もずっと思い出にできそうだ。

「「Happy Birthday」
 今日を祝う人が居てくれるのなら 安心できるわ
 いつまで1人ずつなんて良くないことだわ 心配したのよ」

傘
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『愛だけを残せ(Album Version)』

『愛だけを残せ(Album Version)』(レコチョク試聴あり)

映画「ゼロの焦点」の主題歌として書き下ろして、2009年にシングルリリースされた曲。

今回はアレンジを変えてこのアルバムへ収録された。
2010年「ダ・ヴィンチ」11月号のインタビューによると、シングルバージョンは映画との連結を前提としていたが、映画から離れて単品として考えた場合、「あの形ではないな」と思い、このようなアレンジで生まれ変わった。
シングルとは異なり、ずいぶん静かな印象だ。

歌詞解釈

愛なんて儚いもので簡単に壊れやすい。

だからこそ、しっかりした愛を残していかないといけないのである。

「愛だけを残せ 壊れない愛を
 激流のような時の中で
 愛だけを残せ 名さえも残さず
 生命(いのち)の証(あかし)に 愛だけを残せ」

断崖
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