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中島みゆき『いまのきもち』の曲解説&みんなの感想【試聴あり】|1970年代~1980年代の曲をセルフリメイクしたアルバム

今の気持ち

2004年の中島みゆきのオリジナルアルバム『いまのきもち』

1970年代~1980年代の曲から選んだ13曲を、瀬尾一三のアレンジによりセルフリメイクしたアルバム。
中島みゆきの「いまのきもち」によって歌われ、オリジナルとはまた違う表情を見せている。

1曲ずつみていこう。

この記事は、

  • 『いまのきもち』の特徴
  • 『いまのきもち』の曲解説&みんなの感想

について書いてます!

夢おじ子
夢おじ子
中島みゆきの曲を全て聴いてきたファン歴30年以上の夢おじ子が解説!

中島みゆき『いまのきもち』

2004年リリースのオリジナルアルバム。
1988年以前の中島みゆきの楽曲からセレクトし、瀬尾一三のアレンジによりセルフリメイク。

【収録曲】
『あぶな坂』『わかれうた』『怜子』『信じ難いもの』『この空を飛べたら』『あわせ鏡』『歌姫』『傾斜』『横恋慕』『この世に二人だけ』『はじめまして』『どこにいても』『土用波』

⇒レコチョクで購入(試聴あり)

『いまのきもち』の特徴

週間オリコンチャート8位

『いまのきもち』は、2004年11月17日にリリースされ、週間オリコンチャート8位を記録している。

セルフリメイク集を出すことになった経緯

2004年「カムジン」12月号のインタビューで、『いまのきもち』を制作した動機を語っている。

もともと中島みゆきは、1度世に出した曲を歌い直すということは言い訳がましいと考えており、このようなセルフリメイク集のアルバムは考えていなかった。
だが、最近、コンサートで昔の曲を歌う時に、昔の曲のままコピーして歌うよりも、その時の気持をそのまま出していくのが自分らしいと思うようになったという。

本作とは別に、新作のアルバムの構想があったのだが、かつての曲への気掛かりから、『いまのきもち』の企画が立ち上がった。

「次の新作出ました、聴いてください、前の曲はもういいです、という感じでやるのは、自分の曲を自分で粗末にするみたいで、この子たちがかわいそうっていうのもあるし」

新しいのがいいとは限らない

2004年「カムジン」12月号のインタビューでは、このアルバムに収められた曲は、クオリティを良くするために歌い直したものではないと語っている。

「最初に出した歌い方やあの音が想い出と一緒になってるから、それをさわられたくない人もいると思うんですけどね。まあ、そういう方は、前のを回収するわけではありませんので、それを聴いていただくということでね」

タイトルの由来

「いまのきもち」というのは、中島みゆきの歌手としての姿勢である。
同じ曲であっても、コンサートや「夜会」で聴く表情が異なるのは、その時の「いま」の気持ちを大事にしているからだと、中島みゆきは語る。

「その曲を発表した時のいまのきもちを尊重しようと思ったら、それを単にまねるのはかえって、その時のきもちに対して失礼ですよね」

中島みゆきは、曲に対し常に「現在形」の気持ちで向き合っているのだ。

曲を選んだ基準

『いまのきもち』の収録曲は、1976年から1988年までの、瀬尾一三とタッグを組むより前の曲から選ばれている。
この時期に限定したのは、瀬尾から、「自分のアレンジをした曲を変えるにはまだ気持ちが割り切れてないから」と釘を刺されたためだ。
打ち合わせの段階では何十曲と候補があったが、バラエティに富むようにと取り合わせが考えられた。

中には、音域が広くなった今だからイメージ通りに歌える曲というのも含まれている。
シングルコレクションのようにはしたくなかったため、アルバム曲の割合が多くなったという。

オリジナルがデモテープ代わり

通常のオリジナルアルバムの制作には、サウンドを作るための手掛かりとしてデモテープが用いられる。
だが、今回、瀬尾がデモテープ代わりに聴いたのが、すでにリリース済みの昔のオリジナル曲。

「今の中島みゆきならこう歌うだろう」

瀬尾は、ある程度の見当をつけて音を作っていったが、実際に歌をつけると、なかなかハマらなかったりしたため、現場でちょこちょこと修正が加えられた。

『地上の星』がきっかけ?

2004年「カムジン」12月号のインタビューによると、本作のようなセルフリメイクアルバムを作る1つのきっかけになった曲に『地上の星』を挙げている
この曲のヒットに伴い、色んな場所で耳にするようになった中島みゆきはふと、自分の昔を知らない人もこの曲を聴いているのだろうと思うようになる。

「中島みゆきって「プロジェクトX」の人でしょっていう方が、昔出していた曲をいっぺん聴いてみたいという場合にはお手軽かもしれないです、こんなんですってことで」

命がけのジャケット撮影

『いまのきもち』のジャケット撮影は屋外で行われた。
よく日が照っている中での、本人曰く覚悟をもって臨んだ撮影となった。
1991年「月刊カドカワ」11月号の中で、紫外線にあたると、アレルギーの水泡で膨れ上がり、発熱するという自身の体質について語っている

曲解説

『あぶな坂』

⇒『あぶな坂』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三

1976年の1stアルバム『私の声が聞こえますか』の収録曲。
あぶな坂を転げ落ちていく人を遠くから見つめている女の歌。
村八分のような、しょっぱい世界が描かれている。

今日も坂は だれかの痛みで
紅く染まっている
紅い花に魅かれて だれかが
今日も ころげ落ちる
(『あぶな坂』より)

『わかれうた』

⇒『わかれうた』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき

編曲 瀬尾一三

1977年のシングル曲『わかれうた』のリメイク。
メキシコの民族音楽を彷彿とさせるサウンドは、馬車に揺られて1人旅しているようなノスタルジーを誘う。

別れはいつもついて来る
幸せの後ろをついて来る
それが私のクセなのか
いつも目覚めれば独り
(『わかれうた』より)

⇒『わかれうた』の記事はコチラ

『怜子』

⇒『怜子』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき

編曲 瀬尾一三

1978年のアルバム『愛していると云ってくれ』の収録曲。
オリジナルと比べると、だいぶゆったりしたリズムで歌われている。
想いを寄せていた男が、皮肉にも自分の友人とくっついてしまったという何とも切ない歌だ。

ひとの不幸を 祈るようにだけは
なりたくないと願ってきたが
今夜 おまえの幸せぶりが
風に追われる 私の胸に痛すぎる
(『怜子』より)

⇒『怜子』の記事はコチラ

『信じ難いもの』

⇒『信じ難いもの』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき

編曲 瀬尾一三

1979年のアルバム『親愛なる者へ』の収録曲。
ライトタッチなオリジナルと違い、サウンドに重厚感があり、テンポ感もゆったりめである。
この曲によると、人は、寂しくなると、嘘まみれの愛の言葉も聞き入れてしまうらしい。

十四や十五の 娘でもあるまいに
くり返す嘘が 何故みぬけないの
約束はいつも 成りゆきと知りながら
何故あいつだけを べつだと言えるの
(『信じ難いもの』より)

『この空を飛べたら』

⇒『この空を飛べたら』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき

編曲 瀬尾一三

1979年のアルバム『おかえりなさい』の収録曲。
もともとは、加藤登紀子のために書き下ろされた提供曲だ。
オリジナルの印象を引き継ぎつつも、歌詞やメロディが持つ世界観を前面に出している。

暗い土の上に 叩きつけられても
こりもせずに空を見ている
凍るような声で 別れを言われても
こりもせずに信じてる 信じてる
(『この空を飛べたら』より)

⇒『この空を飛べたら』の記事はコチラ

『あわせ鏡』

⇒『あわせ鏡』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三

1981年のアルバム『臨月』の収録曲。
オリジナルのアンニュイな印象を踏襲しつつも、ジャズバーで聴いているような艶っぽさが加わっている。

鏡に映る自分の姿に、理想と現実のギャップを突きつけられる。
そのギャップを埋めるために、つくり笑いが必要になってくるのだ。

鏡よ鏡 あたいは誰になれる
鏡よ鏡 壊れてしまう前に
つくり笑いとつくり言葉であたいドレスを飾るのよ
袖のほつれた シャツは嫌なの あたい似合うから
(『あわせ鏡』より)

『歌姫』

⇒『歌姫』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき

編曲 瀬尾一三

1982年のアルバム『寒水魚』の収録曲。
このアルバムの中で存在感があり、ベストアルバムに収録された経歴を持つ。
やりきれない気持ちを歌姫に預け歌い流してもらおうとする、実は客からの目線の歌なのだ。

淋しいなんて 口に出したら
誰もみんな うとましくて 逃げだしてゆく
淋しくなんか ないと笑えば
淋しい荷物 肩の上では なお重くなる
(『歌姫』より)

『傾斜』

⇒『傾斜』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき

編曲 瀬尾一三

1982年のアルバム『寒水魚』の収録曲。
この曲の歌詞が高校国語の教科書に掲載されたこともあり、若者にとっては、この頃大ヒットした『悪女』よりも馴染みのある曲なのかもしれない。

「夜会VOL.3 KAN(邯鄲)TAN」で、老婆の役で歌われた印象深い曲。

歳をとっていくことは、弊害と素晴らしさを併せ持つ。
これを皮肉と捉えるのかは、聞き手次第であるが。

としをとるのはステキなことです そうじゃないですか
忘れっぽいのはステキなことです そうじゃないですか
悲しい記憶の数ばかり
飽和の量より増えたなら
忘れるよりほかないじゃありませんか
(『傾斜』より)

⇒『傾斜』の記事はコチラ

『横恋慕』

⇒『横恋慕』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき

編曲 瀬尾一三

1982年のシングル曲『横恋慕』のリメイク。
笑福亭鶴瓶は、自身のラジオ番組でニューバージョンのこの曲をかけて、「歳をとられたせいか丸くなった?」と感想を述べている。
確かに、幼さ残るオリジナルと比べ、ニューバージョンは円熟味を帯びている。

片想いに踏ん切りつけようと、男の家へ電話をかける。
だが、バツの悪いことに電話に出たのは、男ではなくカノジョの方だった。

ねてるふりで 話は聞こえてるはずよ
ためしに彼女
耳から受話器を 遠ざけてみてよ
夜明けの前のバスで あなたの住む町へ
着くわと告げれば
おどろく あなたの背中 見える
(『横恋慕』より)

『この世に二人だけ』

⇒『この世に二人だけ』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき

編曲 瀬尾一三

1983年のアルバム『予感』の収録曲。
ゴールデンボンバー鬼龍院翔が失恋ソングに推していた曲。
妻帯者を好きになってしまい、もしこの世に2人だけだったらよかったのにと妄想を抱く女が描かれている。

二人だけ この世に残し
死に絶えてしまえばいいと
心ならずも願ってしまうけど
それでもあなたは 私を選ばない
(『この世に二人だけ』より)

『はじめまして』

⇒『はじめまして』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき

編曲 瀬尾一三

1984年のアルバム『はじめまして』の収録曲。
音楽の方向性を模索していたいわゆる「御乱心の時代」に制作された曲。
1990年代以降の作風の兆しを感じさせる。

シカタナイ シカタナイ そんなことばを
覚えるために 生まれて来たの
少しだけ 少しだけ 私のことを
愛せる人もいると思いたい
(『はじめまして』より)

『どこにいても』

⇒『どこにいても』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三

1986年のシングル『見返り美人』のB面曲。
ゴールデンボンバー鬼龍院翔が失恋ソングに推していた曲だ。
恋をすると、どこにいてもその人の姿をつい探してしまう。
よくある心理を一人称の視点で描いている。

どこにいても あなたが急に通りかかる偶然を
胸のどこかで 気にかけているの
あなたがまさか 通るはずない
こんな時間 こんな場所 それはわかっているのに
(『どこにいても』より)

『土用波』

⇒『土用波』(レコチョク試聴あり)

作詞・作曲 中島みゆき

編曲 瀬尾一三

1988年のアルバム『中島みゆき』の収録曲。
土用波とは、晩夏にあたる夏の土用の時期に発生する大波のこと。
メロディやサウンドにも大きなうねりを感じさせる。

昔の歌を聴きたくはない
あの日が二度と戻らないかぎり
なつかしい名前口ずさんでも
砂を崩して 土用波がゆく
(『土用波』より)

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