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中島みゆきと福山雅治の対談|2011年放送「福山雅治のオールナイトニッポンサタデースペシャル 魂のラジオ」より

2011年10月22日放送の「福山雅治のオールナイトニッポンサタデースペシャル 魂のラジオ」に、中島みゆきがゲスト出演している。
福山雅治が5年ものラブコールを送り続け、ようやく共演が実った。
中島みゆきの音楽性が培われた幼少のことや、作曲法や歌い手としての悩み、犬や料理などプライベートに至るまで、福山が根掘り葉掘り訊いている。

2人の対談をみていこう。
(※部分的に編集しています)

この記事は、

  • 中島みゆきと福山雅治の音楽の捉え方
  • 中島みゆきと福山雅治のプライベート話

について書いてます!

夢おじ子
夢おじ子
中島みゆきの曲を全て聴いてきたファン歴30年以上の夢おじ子が解説!

初対面の中島みゆきと福山雅治

福山「中島みゆきさんです!」
みゆき「お邪魔しま~す!」

過去に、中島みゆきの番組に、福山雅治から声のメッセージが届いていたことがあったが、実際に会うのはこれが初めて。
5年もの間、中島みゆきへ出演オファを出し続けて、ようやく今回それが実現したのである。

このことは、スポーツ紙にも大々的に取り上げられた。
「ラジオ界の国王と女王の共演」という見出しからも、いかにこの2人の共演が貴重であるかが分かるだろう。
だが、そこはおだてられずに、慎ましく行きたい中島みゆき。

みゆき「私は今日は大人しく地味に玄関先にごめんくださいって感じですから、今日は」

これまでに、福山は、中島みゆきの曲をカバーしてきた。
この「福山雅治のオールナイトニッポンサタデースペシャル 魂のラジオ」内では、『時代』『糸』『化粧』などを弾き語りで歌ってきた。

みゆき「ハハ、『化粧』なんてまたすごいとこ行きましたね」

福山は、中島みゆきはもちろんだが、坂本冬美の歌う『化粧』もお気に入りらしい。
また、カラオケでの彼の十八番ということだ。

福山「あれがなんか泣けちゃって泣けちゃって」

化粧なんて どうでもいいと思ってきたけれど
せめて今夜だけでも きれいになりたい
今夜あたしは あんたに逢いにゆくから
最後の最後に逢いにゆくから
(『化粧』より)

⇒『化粧』(レコチョク試聴あり)

⇒『化粧』の記事はコチラ

福山雅治の『ファイト!』に中島みゆきが思うこと

中島みゆきは、福山雅治がカバーした『ファイト!』について、思うことがあった。

みゆき「福山さん音程がいいから、すごい安心して聴けるんですよねぇ」

中島みゆきがお喋りのように歌うのに対し、福山の方は、ちゃんと音程を取りながら歌っているというのだ。
福山は、中島みゆきの曲を耳で聴いた通りに歌っているというが、後で改めてオリジナルの方を聴いてみると、その差に不安になってしまうという。

福山「「あれ、俺、なんか間違って覚えてるかも」って(笑)」
みゆき「いったん咀嚼して歌ってらっしゃるんですね。素敵じゃないですか」

⇒『ファイト!』の記事はコチラ

中島みゆきはカラオケに行くのか?

福山「みゆきさん、カラオケ行かれるんですか?」
みゆき「いや、私カラオケ行かないですね」
福山「女性の歌を歌うことっていうのはあるんですか?」
みゆき「ないですね、覚えられないから(笑)」
福山「デビューする前は、どんな人の曲を歌ってたんですか?」
みゆき「学生でバンド組んでたりしてた時は、人様の歌を歌ってましたね」
福山「バンドだったんですね!」

中島みゆきは、北海道で有名なコーヒー専門店「宮越屋珈琲」の社長・宮越陽一と学生時代にフォーク・グループを組んで活動していた。

中島みゆきの音楽活動

まわるまわるよ 時代はまわる
喜び悲しみくり返し
今日は別れた恋人たちも
生まれ変わって めぐりあうよ
(『時代』より)

⇒『時代』(1975年版)(レコチョク試聴あり)

⇒『時代』の記事はコチラ

福山雅治は、『時代』が1980年代の曲だと思っていた。
だが、この曲は、1975年にセカンドシングルとしてリリースされた曲なのだ。

福山「『時代』は、デビュー後すぐに作られたんですか?」
みゆき「厳密に言うとデビュー盤ってのは、その前にしんみりと出てたんですけどね」

中島みゆきは、1975年に『アザミ嬢のララバイ』でレコードデビューし、翌年には、アルバム『私の声が聞こえますか』をリリースしている。
それ以来、2011年時点で計37枚のオリジナルアルバムを発表している。

みゆき「すごいですねぇ、数だけ聞くと」
福山「疲れませんか? そんな曲作ってると?」
みゆき「年に1回くらいですからねぇ」

年に何枚もレコードを出すアイドルと比べたら、自分なんて楽な方だと言う。
だが、数だけでなくコンスタントにヒットを飛ばしているのも中島みゆきの凄いところだ。

  • 1970年代『わかれうた』
  • 1980年代『悪女』
  • 1990年代『空と君のあいだに』『旅人のうた』
  • 2000年代『地上の星』

これら、4つの年代でチャート1位を獲得しているのは中島みゆきだけなのだ。

みゆき「こう聞くと40年歌っているように聞こえるでしょ? 違うのよお客さん(笑)」

リスナーからの質問に答える中島みゆき

学生時代に「中島みゆきのオールナイトニッポン」を聞きながら勉強していたというリスナーから、質問のメールが届いている。

Q 今夜初対面ですが、お互いの第一印象を教えてください。

福山「顔ちっちゃいなと思いましたね」

福山雅治曰く、自分よりもずっと中島みゆきは小顔らしい。
一方、中島みゆきの福山への印象はというと、

みゆき「あ、カーディガンだ」

中島みゆきは、世間のイメージから、福山が「ベルサイユのばら」のアンドレみたいな恰好だったらどうしようと、想像を膨らませていた。

みゆき「フリフリのドレスに花背負って、星背負ってみたいなのが出てきたらどうしようと思ったところ、「あ、カーディガンだ」って(笑)」

実際目の当たりにした福山は、カーディガンを着た普通の男性だった。
そして、「思っていたよりもなごみ系」という印象を受けたという。

続いてのリスナーからの質問。

Q みゆきさんが初めて曲を書いたのはいつ頃だったんですか?

ちなみに、福山雅治は、事務所から「曲持ってきて」と言われ、持ち歌が1つもなく大急ぎで書き上げたのが最初だという。
一方、中島みゆきはというと歴史が深い。

みゆき「厳密には覚えてないけど、小学校の音楽の時間」

中島みゆきは、学校で教えられる音楽の歌詞に違和感を感じていて、この頃から自作の歌詞をあてがって歌っていたのだ。

Q 他のアーティストに曲を提供する時には、何を一番に考えて作詞・作曲をするのですか?

みゆき「私、曲書くの、ものすごく遅いから、とりあえず既にある自分の曲の中で、自分では歌いづらそうな曲を渡してる(笑)」

これには、深く頷く福山。
福山の作った曲にも、自分が歌いやすいものとそうでないものがある。

みゆき「作る時の人と歌う時の人の都合ってありますもんね」

中島みゆきの場合、曲は常にストックされている。
それらは、完成形ではなく、スケッチ的な断片にすぎない。

作った時に、「今は歌う気持ちじゃない」というものについては、いざという時まで寝かしておく。
最近発表した曲が、実はずいぶん前に書いたものだというのは、よくあること。

先日リリースしたシングル『荒野より』もその例だ。

望みは何かと訊かれたら 君がこの星に居てくれることだ
力は何かと訊かれたら 君を想えば立ち直れることだ
(『荒野より』より)

⇒『荒野より』(レコチョク試聴あり)

⇒『荒野より』の記事はコチラ

逆に、いちど発表した曲が、時間を経て納得いかなくなることもあるんだとか。

福山「歌詞を変えたくなる時もありますよね」
みゆき「ありますあります!」

Q 好きな色は何ですか?

福山「赤ですよ!」

中島みゆきについてよく調べていると思いきや、この時、中島みゆきが着ていた服が単に赤だったのだ。
中島みゆきの好きな色は、赤、黒だ。

Q 中島みゆきさんの曲が主題歌のドラマって犬が出てくるものが多いような気がします。犬が好きなんですか?

みゆき「そうなんですよ~」

よく色んな取材で、「また犬ですか?」と聞かれることが多い。
ドラマ「家なき子」(日本テレビ系)、映画「奇跡の山 さよなら、名犬平治」など、犬と縁のある仕事が多い。

みゆき「動物が出ますっていうとねぇ、なんかうっとりしちゃうんです私」

中島みゆきは、子供の頃からずっと犬と共に暮らしている。
一方、福山も子供の頃から動物が好きで、特に大型犬がお気に入りだという。
逆に、小さい犬を見ると、「コイツ改良されちゃったんだろな」と冷たくなってしまう。

Q みゆきさんは、スーパーで買い物をされているということですが、ご自分でお料理とかよくされるのですか?

みゆき「料理するんですけどね、予定と結果が違うんですよ」

作ろうと思っていたものが、違う料理として出来あがってしまう。
肉じゃがなど一般的なメニューを作るつもりでいても、完成品は、「じゃがいもの炒め物」みたいになってしまう。
料理本を見てやっても、その通りにはならないというので、不思議なものである。

Q 芸能人だから「不自由だなぁ」と思ったことはありますか?

みゆき「黙ってりゃ芸能人だとは気づかれない」

あまり不自由を感じたことがないらしいが、油断しているとたまに痛い目に合う。
ワゴンから奪い合って押しのけて買ってきたものをレジで会計する時に、店員から「曲聴いてます」と声を掛けられたことがあった。
そんな不意討ちに出くわしたので、ドッと冷や汗をかいてしまったという。

一方、福山はというと、芸能人ゆえに地下鉄やバスに乗ることが憚られ、SUICAを使いこなせなかったりする。

また、エロ本を購入するのにも店を選ぶ必要がある。
かつては、自宅近所の特定のコンビニでしかエロ本を購入していなかった。
店員が年輩だったので、自分のことなど知らないだろうと高を括っていたのだ。

だが、ある日、いつものようにエロ本を精算中、その店員から「福山さんのこないだのドラマ、おもしろかったですよ」と話しかけられたのである。

続いて、北海道の男子高校生からのハガキ。

みゆきさん、メディアにもっとどんどん出てください!

中島みゆきのCDを10枚所有しているコアなファンの彼。
学校では、中島みゆきファンをまだ2人しか発見できておらず、もっと若い人に中島みゆきの素晴らしさを広めたいという。
だが、このリクエストには、中島みゆきも困ってしまう。

みゆき「メディアに出れば、買い物しづらくなるんだってば」
福山「思い切って陽水さんやタモリさんみたいに、サングラスかけて歌えばいいんじゃないんですか?」
みゆき「いかにもフルフェイスとか?」
福山「買い物してる人で、フルのサンバイザーかけてる人いますけど、あれで歌うってのはどうです?」
みゆき「アハハハハ!」

続いて、中島みゆきファンサイト「中島みゆき研究所」管理人からのハガキ。

ファン歴20年のこの管理人には案じていることがある。
ファンが集まると、話題に上るのが、中島みゆきの活動の中心がコンサートから夜会へシフトチェンジするのではないかという懸念だ。
地方にとってコンサートは、生の中島みゆきを拝める機会でもある。

Q みゆきさんにとって「夜会」とコンサートツアーとはどのような位置づけにあるんでしょうか?

みゆき「本当は「夜会」始めることになった時、ツアーはもうないなと思ったの」

「夜会」のメリットは、東京と大阪の一点集中型なので、移動の荷づくりをしなくてよく手間いらずの点だ。
乗り物酔いする中島みゆきにとって、これはかなりポイントが高い。

だが、「夜会」は芝居の要素があり、進めていくうちにコンサートでしかできないことに気づいていく。
中島みゆきは、かつて「夜会」に対してコンサートは「宴会」と語っていた。
「夜会」ではできないMCがコンサートでは可能なため、賑やかなお喋りが加わり宴会のようになるからだという。

結局は、「夜会」もコンサートも、両方やらざるをえなくなっていったという。

なぜ歌詞が覚えられない?

みゆき「今日の気持ちはね、このまま成田に行って海外逃走したいような気分」

これから始まる「夜会VOL.17 2/2」の不安を漏らす中島みゆき。
チケットが完売したというのに、未だに歌詞が覚えられていないのである。

みゆき「福山さんって凄いですねぇセリフOK、歌詞OKってのは」

中島みゆきは、福山雅治の記憶の良さに憧れるが、そこには福山なりの工夫があった。

福山「歌詞は、足元に出してるんですよ」
みゆき「ってことは近眼じゃないんだ」

歌詞はカンペに頼っている福山だが、一方、セリフはどういう訳か簡単に覚えられるという。

福山「人が作ったものは覚えられる。自分で作ったものって、完成形まで辿り着くまでにものすごくボツにしてるものがあって、そのキャッシュが頭に残ってて急にバグるんです」
みゆき「それ分かる!!」

中島みゆきも、ライブで口から出た歌詞が2回くらい前に書いたものだったりすることがあった。

「夜会」の台本も手掛けてる中島みゆきは、いざ自身で演じる段階になると自分で書いたセリフが覚えられないのだ。
かつてその台本を脚本家の倉本聰に見せたところ、「馬鹿だね、こりゃ覚えづらい台本だよ」と笑われたんだとか。

福山「毎回「夜会」が近づくと、気持ちがドヨ~ンってなります?」
みゆき「人前に出て歌わなきゃなんないと思うと、ドヨ~ンってなります」

福山も、コンサートよりもテレビの方が気が重くなる傾向にある。

福山「出たくて出てるかってそうでもない、テレビに関しては」

一方、ラジオは心から楽しんでいるという。

共演を終えて

中島みゆきが帰った後、福山雅治のセコンド・荘口彰久が、感想を語る。

「身振りが大きく、表情が豊かな人」

荘口の目に、中島みゆきはそのように映った。
また、笑う時にマイクから距離を離すという所作からは、中島みゆきがラジオの人間だということを改めて感じたのだった。

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