タモリ「猫が好きなんですか、あなた?」
中島「ええ、動物みんな好き」
変わった出だしで始まった「今夜だけ恋人」のコーナー。
1979年11月14日の『タモリのオールナイトニッポン』登場したのが中島みゆきである。
多くのリスナーからのリクエストを受けての出演である。
今夜だけ、タモリの恋人という体(てい)でコーナーは進められる。
タモリの中島みゆきの印象
タモリは歌の雰囲気から中島みゆきのことをあれこれ勝手に想像していたようだ。
タモリ「地味な人で捻くれてて、世の中半分くらい投げ捨てたような人じゃないかと」
だがタモリの想像は裏切られたようだ。
「やめてよ!岡崎さん!」
タモリが初めてラジオで聞いた中島みゆきの第一声がコレだった。
タモリ「歌のイメージと180度違うんだよねぇ」
岡崎さんというのはディレクターの岡崎正通のことか。
中島「岡崎さんが品のない台本書くから、『私こんなの読むのイヤよ』と泣いて言いましたよ」
この頃、中島みゆきは火曜深夜とタモリは木曜深夜にそれぞれ『オールナイトニッポン』のパーソナリティを務めていた。
岡崎は共に、2人のディレクターを担当している。
タモリ「あの人(岡崎)は悪い人だよ(笑)」
中島みゆきのタモリの印象
タモリ「私の印象はどうですか?」
中島「知性的な感じ」
中島は、会う前からタモリについての予備知識があったという。
それが「ジャズ」。
タモリは早稲田大学時代にモダン・ジャズ研究会に在籍していてトランペットを吹いていた過去がある。
だが、ブリーフ一枚でイグアナの形態模写をやる芸風も、少なからず中島の予備知識の中にはあったのではないだろうか。
ともあれ、そのジャズのイメージがあり、それに加え、実際みたタモリはずっと黙っていたこともあり、知性的な印象が強まった。
タモリ「俺、黙ってるとカッコいいんだよ」
芸能界入りする前と比べてめっきりモテなくなったという。
タモリ「喋り出すと口元がだらしなくなるからね」
中島「ウフフ」
ここで中島みゆきが曲をリクエストする。
中島「この曲かけて欲しいの、『金太郎』」
ひばり児童合唱団が歌う『金太郎』とえらくピンポイントなリクエスト。
中島みゆきが曲をひらめく場所
タモリ「シンガーソングライターって色んなところで作るんだよね」
渡辺真知子を例にとり、彼女は電車の中で作るらしい。
なので曲も電車のリズムなんだとか。
自転車を漕ぎながら歌を考えるシンガーソングライターもいたりして、思いついても家に着くころにはスッカリ忘れているというヘマをやったりもする。
タモリ「曲はどこで思いつくの?」
中島「トイレが多い」
トイレでいい曲を思いついた中島は、トイレから出るとそれをカタカナで音階をメモるという。
タモリ「ドドド、ミ~ソ、って全部書いてくワケ?」
中島「合ってましたね(音階)、あそ~だ~ジャズに人だもんね(笑)」
タモリのウソ発見器
「タモリのウソ発見器」というコーナーへ移る。
嘘を言うと笑い声が流れる。
逆を言うと、笑い声が流れると嘘である証だというこのコーナー。
タモリが中島へ質問を投げかけていく。
Q この世で一番美しい人は中島みゆきだと思っていませんか?
中島「思っていません」
「へへへ~へ」笑い声→嘘!
Q 私、タモリをバカにしてませんか?
中島「していません」
「へへへ~へ」笑い声→嘘!
Q このスタジオにいる男性の中でお好みのタイプは?
中島「ディレクターです(笑)」
「へへへ~へ」笑い声→嘘!
Q 自分はテレビに出るよりラジオ向けの顔だと思いますか?
中島「いいえ」
「へへへ~へ」笑い声→嘘!
Q この番組に出てメリットはあると思いますか?
中島「思いませ~ん」
「……」→本当!
Q お酒は飲めますか?
中島「少し呑めます」
「……」→本当!
Q 今までで一番恥ずかしいドジな話は?
中島「ここにゲストとして出たことでしょうか」
「……」→本当!
Q この世の中で一番ワイセツだと思われる言葉を言ってください。
中島「ワイセツ」
「……」→本当!
Q 芸能人の中で好きなタイプの男性は?
中島「鶴田浩二さん」
だいぶ遅れて「へへへ~へ」笑い声→嘘?
Q 松山千春をどう思いますか?
中島「なかなか尊敬できる友達」
「へへへ~へ」笑い声→嘘!
この頃、週刊誌で交際が疑われていた頃だったと思う。
根も葉もない噂ではあるが。
Q 自分の肉体をどう思いますか?
中島「素晴らしいもんだと思います」
「……」→本当!
Q 自分の体のどこに魅力を感じますか?
中島「爪かしら」
だいぶ遅れて「へへへ~へ」笑い声→嘘!
Q さだまさしをどう思いますか?
中島「デリケートな方。
なかなかいいと思います」
「……」→本当!
Q 人前で泣いたことはありますか?
中島「なんべんかはあります」
「……」→本当!
Q どういう口説き文句に弱いですか?
中島「口説かれたことないから」
「へへへ~へ」笑い声→嘘!
Q 今まで何人の男性と交際しましたか?
中島「交際だったら、いっぱい。
分かんないくらい」
「……」→本当!
Q 化粧品はどういうのを持ってますか?
中島「ウテナお子様クリームです」
ウテナお子様クリームとは、1965(昭和40年)にウテナが発売した日本で初めての子供用化粧品。
外遊びで肌や手荒れした子供につけるクリームとして使われた。
中島みゆきは化粧に弱い
タモリ「あなた化粧してるとこ見たことないけど」
中島「かぶれるの」
中島みゆきの肌は意外とデリケートにできていて、日光にも弱く、雪が積もってる時でも日が照ってればその反射にやられるそうな。
体調管理はあばら骨?
なぜかあばら骨の話になる。
中島は、ツアー中の体調をみるのにあばら骨を使っているという。
宿泊するホテルではたいてい洗面台の鏡の上にライトが付けられている。
中島はその鏡の前に立ち、ライトの角度によって出来るあばらの影を数えるのだ。
中島「あばらの骨の影を1本2本って数えてね、上から鎖骨も入れて3本だったら、そんなにスケジュールきつくないの。
4本だったら、『あ~明日休みだ』と、こうなるワケね」
中島みゆきの初恋
中島みゆきはどうやら惚れっぽい女らしい。
中島「街ン中ですれ違ってさ、『今のおいしそうだった』としょっちゅう思ったりね」
1日1回すれ違ったら1年で365回、誰かに惚れていることになる。
恋愛経験をなかなかはぐらかして語ろうとしない中島にしびれを切らしたタモリ。
タモリ「だから何回くらい恋愛したの?」
中島「2、30回じゃな~い?」
タモリ「最初に恋愛したのはいつ?」
中島「中学校じゃないかな」
タモリ「同級生かなにか?」
中島「よそのクラスの人」
だが中島は、その人には自分の想いは伝えていない。
なぜなら、その時、もうその人は彼女がいたからだ。
なかなか、中島の歌詞にありがちな感じだが、
タモリ「でも、あなた男運は悪いようには見えないよ」
タモリ曰く、中島が男に酷い目に遭ったとか騙されたとかいうようなコトはないと見ている。
中島もそれには頷く。
ふいにタモリが水を向ける。
タモリ「あなた恋をしてるでしょ?」
中島「うん」
タモリ「片想いだな?」
中島「うん、タモリさんに憧れたりしてね(笑)」
ものすごいカップル誕生の予感……。
女の人が指を絡ませてきた事件
タモリが中島みゆきのファン層について訊く。
半分くらいが女だという中島みゆきファンについて、
タモリ「好きって言ってくる人いない?」
タモリの好きというのは、レズビアンが抱く好きという意味。
タモリによれば、痩せてる女を狙うレズビアンは多いそう。
レズビアンか定かではないが中島、心当たりあることがあった。
それは、20歳ちょっとのこと。
コンサートの帰りに食事をしていた時、そこにいた女の人が腕を組んできたという。
段々にじりよってきたその女性は、今度は指を絡ませてきたという。
中島「ちょっとビックリしましてね、『急ぎますけどちょっと失礼します』って帰ったんですけど、ご飯食べないで」
次に男のファン層を探るタモリ。
中島「高校生くらいと、あとは23、4くらいからな」
リスナーと電話対談
ジュンコの場合
ここでリスナーからのおハガキ。
大阪府のペンネーム「ジュンコ」さんからのそのハガキには、
「私、中島みゆきさんが好きなんです。
マジで結婚できるものなら結婚したい」
と、書かれている。
そして、このリスナーへ電話を繋ぐ。
タモリ「もしもし、結婚したいの?」
ジュンコ「はい、そうです」
中島「もしもし、私のこと男だと思ってませんか?」
だがジュンコは、中島に精神的な繋がりを求めているピュアな女の子。
中島は指一本触れないで綺麗にしておきたい存在なのである。
ジュンコは先日の大阪であったコンサートにきていて、そこで初めて中島みゆきを目にした。
そして、人を勇気づける歌に感動したという。
タモリ「そんな中島さんが好きなら、口説きなさいよ」
ジュンコに無茶ぶりするタモリ。
ジュンコ「私の家で1日にゆっくり話がしたい」
まあ、限りなく難しいことではあるが、タモリと中島みゆきと会話できてる時点でものすごいラッキーガールなのだと思う、ジュンコは。
オオカワの場合
続いて男性リスナーと電話を繋ぐ。
オオカワというこの男の子はラジオと歌の中島みゆきのイメージが違いすぎて、ビックリしたという。
オオカワ「曲っていつもどんなとこでどうやって作ってる?」
めっちゃタメ口です。
中島「作るときは、あんま人といる時は作んないですけどね。
場所はどことは限んない」
オオカワ「そういう時はオルガン?(ピアノ?)」
中島「楽器は使わない。
弾くのが大変で忙しくなっちゃうから。
鼻歌で」
ここでタモリ、オオカワに中島にあててラブレターを読みなさいとここでも無茶ぶり。
オオカワ、照れつつ、
オオカワ「大好きです」
と言う。
枕がある理由
ブース内に枕があることが気になって仕方ない中島。
中島「こんな高い枕使ったらぎっくり腰になるんじゃないの?」
タモリ「え、なんで腰?
あなた、枕を腰にあてて使ってんじゃないですか?(笑)」
中島は、「首を痛める」と言おうとして「腰」と言ってしまったようだ。
さて、なぜブース内に枕があるかというと、このコーナーではゲストに顔を枕につけてもらって、それを抽選でリスナーへプレゼントすることになっているのだった。
中島「ヤダ~、この枕、タモリさんのとこと繋がってるじゃな~い」
どういうことかというと、この枕、長さがあり、枕の右端にタモリ、左端に中島という風に顔をつけてのプレゼントらしいのだ。
同じ枕を共有することに、
中島「みだらですわ」
と恥じらう。
それを見て、タモリは察する。
タモリ「(中島には)男がいる」
男がいると潔癖になって他の男とは寝ないというタモリの持論を展開。
中島は、「いませんよ」とキッパリ言う。
結局、中島1人だけで枕に顔をつけることに。
最後に中島みゆきを口説くタモリ
タモリ「またご縁がありましたら来ていただければ」
中島「楽しかったで~す」
一通りの挨拶を終え、タモリが言う、
タモリ「おじさんといっしょに帰らない?
おじさんは、娘と女の中間にいる女性を女として完成させるプロなんだよ」
中島「フフフ、いや」
タモリ「やっぱ男がいるな~!(笑)」
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