2020年1月8日に発売されたオリジナルアルバム
『CONTRALTO』
について、みんなの感想や雑誌『ダ・ヴィンチ』での対談記事を交えながら見ていくぞ。
アルバム『CONTRALTO』について
CONTRALTOとは?
「CONTRALTO」と書いて「コントラアルト」と読む。
女性の声域のひとつで、テノールよりも高く、ソプラノより低い声域。
この「コントラアルト」が中島みゆきの音域なのだそう。
初め、自分の音域を「テノールのちょっと上くらいと」説明していた中島だが、「コントラアルト」というバシッと自身の音域を表すコトバに出会ったのだ。
本人曰く、「このタイトルは自分のこと」だそう。
特徴
10曲中、4曲がドラマ『やすらぎの刻~道』の主題歌で。やすらぎ色の強いアルバムとなっている。
『CONTRALTO』のみんなの感想
『CONTRALTO@中島みゆき』を聴いているが。『ラストツアー』向けだからか?なんとなく物悲しくなってしまう曲が多い。
— あーさ (@asa_46) June 19, 2020
『CONTRALTO』は、中島みゆきがこれまでに、”自分自身を通じて”、すべての人間とすべての世界を見た、その集大成的な作品なんですよね。そして”最後の”「進化樹」で<人はなんて幼いのだろう 転ばなければわからない>と歌うこの深さ。成熟した精神を感じる。
— Moi (@coffee_moi) April 12, 2020
中島みゆきさんの「CONTRALTO」をヘッドホン聴きながら片付け。歌詞に集中して聴くとうるうるしてしまうよ。自分では気がついてなかったけど傷んでるんだなぁ。みゆきさんの声がが傷口に沁みるよ・・・
— コロン@おひさま忍者 (@biscollon) March 14, 2020
「CONTRALTO」がエンディングノートに聴こえた。
作品の解釈は時次第という「終り初物」、
時限を示した「齢寿天任せ」、
あなたが消えても離れず味方で居ると歌う「観音橋」。最後に置かれたTV-mixは、ending note(音、音符)であるものね。
— YUPY (@MYUPYZ) January 27, 2020
前略 中島みゆき様。「CONTRALTO」拝聴しました。CDに「針を落とした」瞬間から、膝を抱えて「時代」を聞いた15の夜と現在を往復してきたような気になっています。僕は、あの日の僕とたじろがずに向き合えるのか。明日からも頑張って生きていきます。ありがうございました。 草々
— あっつん父さん (@attsun103) January 25, 2020
収録曲
『終り初物』
「おわりはつもの」と読む。
野菜や果物を多く出回る時期を過ぎてから成熟したものを初物と同じように珍重して言ったコトバ。
ドラマ『やすらぎの刻~道』の主題歌。
ドラマの台本をだいぶ前にもらっていた中島は、頭の隅におきながらアルバム制作を行っていた。
アレンジャーの瀬尾一三は、おそらく『終り初物』はドラマの世界観を広げて書いたものだろう、とラジオ番組『J-POP LEGEND FORUM』の中で語っている。
最初に主題歌として決まった曲は『離郷の歌』『進化樹』だが、その後、『観音橋』『終り初物』が加えられている。
歌詞の内容
遠い国へゆくひとり娘のあの子。
見送りには行かず、代わりに終り初物を詩集を添えて送る。
別れを嘆かず祝う気持ちを「終り初物」に託している。
「過ぎ行く季節嘆くより祝って送るために」
卒業発表や卒業を目の当たりにすると、
中島みゆきさんの #終り初物 のこの歌詞が脳裏をよぎる。— ゆうき@まどかちゃんからもらい泣き/芽瑠しか/まどらー/いもだち/窈迷 (@MeruMado_Y_313) February 12, 2020
中島みゆきさん 「終り初物」
瀬尾一三さんのアレンジ、良いなぁ✨
御声、歌い方がいつもと違う気がするのは私だけでしょうか?
「金魚」の曲みたいな感じ。
#ファムラジオ— (@capejasmine819) February 9, 2020
『おはよう』
このアルバムの楽曲にはそれぞれ英訳が施されている。
この曲には最初「good morning」と英訳があてられたが、それは中島みゆきの意図するものではなかった。
起きた人が自分で「おはよう」と言うのではなく、寝ている人を起こしたときに声をかける「おはよう」という意味で、その後、「wake up」に改められた。
英訳しなければ色んな解釈ができてしまう「おはよう」。
中島は、自分の曲は写実的でないものが多く、いかように取れてしまうと語る。
だが、そこは嫁に出した子みたいなもの。
聴き手に委ねているという。
川谷絵音による考察
ゲスの極み乙女。のボーカル川谷絵音が、『日経エンタテインメント』の中で『おはよう』について感想を述べている。
「おはよう」と繰り返しながらも徐々に何かが終わっていく切なさと怖さが同居したメロディ。
こんな悲しい「おはよう」を今まで聞いたことがない。
まるで泣きながら全力で走っているような曲。
と、のこと。
おはよう怖いな… #中島みゆき #CONTRALTO
— OSaM (@osam) January 7, 2020
『CONTRALTO 』一巡目。夜会慣れしているにもかかわらず、濃密に起伏の激しいアルバムにしばし呆然。創作者としての体力年齢はいくつなんだ。エネルギーは底無しか。「おはよう」のシニカルで真っ直ぐなまなざしから目が逸らせない。#CONTRALTO #中島みゆき
— YUPY (@MYUPYZ) January 8, 2020
『ルチル(Rutile Quartz)』
風水に使われるパワーストーン。
中に鉱物が入っている水晶で富と愛を表すそう。
アレンジャーの瀬尾一三は宝石のことにはてんで疎く、中島みゆきに「コレ何?」と訊いたところ、「コレよ」と手首につけたルチルを見せつけられたという。
中島みゆきご愛用だった。
彼女、幼少の時から鉱物系は好きで、標本やらウットリ見ていられる人らしい。
対談相手の糸井重里がすこぶるお気に入りの
「水の石の中のささやかな真実」
という歌詞。
翻訳家はこれを英語に直すのにたいそう頭を痛めたそう。
「水晶って書けばいいじゃん」
というのが中島の一応の答えであるが。
中島みゆきの新CD『CONTRALTO』を聴く。鉱石にもパワーストーンにもそれほど関心のない私はルチルクオーツを初めて知る。「ルチルクオーツを身につけてラストツアーに行こう!」といったツイートを読むと、ルチル関係者にとっては売上貢献につながる一曲として歓迎されていることだろう。(続)
— kawaitomoko (@kawaitomoko54) January 20, 2020
「ルチル(Rutile Quartz)」 柔らかな曲調に笑みを含んだ歌声。声なき声に耳を傾ける優しさが沁みる。小さきものに心を見出す擬人法が冴えるほど、心ない偽人であることを見透かされるようだ。こうしてあぶり出されるのは醍醐味だけれども。 #CONTRALTO #中島みゆき
— YUPY (@MYUPYZ) January 14, 2020
『歌うことが許されなければ』
国を追われた難民の人たちの歌。
難民問題が世の中に浮上し始めた頃から作り始めていたというこの曲。
国を追われて難民キャンプに入って、自国のコトバで歌が歌えない状況を歌っている。
難民を意識しつつも、歌い手としての自分に重なる部分をも歌に落とし込んでいる。
本人曰はく、「他人事だけでは歌にはならない」とのこと。
アレンジャーの瀬尾一三曰く、楽器は中近東のものを使用していて、世界観が限定せずに歌が漂い行き場所を探す感じを出したという。
難民の言語問題
「難民」とは、戦争や内戦で暮らしを追われ他の国に逃れた人たちのことを指す。
難民キャンプで働くボランティアは、必ずしも難民の話す言語に通じているというワケではない。
公用語である英語や身振り手振りでなんとか意思疎通を図っているのだそう。
コロナ禍で普段通りのライヴが催されなくなったり、香港で抗議歌を歌うことが禁じられたり、そんなことは誰も予想もしていなかった筈の2020年初頭に「歌うことが許されなければ」という歌を発表した中島みゆきのシンクロニシティに身震いすることがありますよ。
— sola (@solascape) July 9, 2020
「歌うことが許されなければ」 聴くほどに怖い曲。魚や枝が「もの言わぬ」のは言葉が閉じ込められたから。人も諦め口をつぐめば物を語れぬ者、心も願いもない者と見做される。此処はもうそんな世界かもしれない。風穴を開けるように伸びる声が一条の光 #CONTRALTO #中島みゆき
— YUPY (@MYUPYZ) January 13, 2020
『齢寿天任せ』
「よわいことぶきそらまかせ」と読む。
本人曰く、「ファン層が高齢化していることもあって共感いただける内容」というこの曲。
「めでたさもかなさしさも手に負えぬ天任せ」
と、寿命に対する人間の不可抗力を歌っている。
結局は天が決めることだよね、と。
アウトロの音は雅楽で使わている管楽器「笙(しょう)」。
中島みゆきの「和テイストにしたい」というリクエストにアレンジャーの瀬尾一三が応えたもの。
編曲を担当した瀬尾一三によると、『糸』にもこの「笙」が使われているそうな。
他にも大太鼓を使うなどして、「和」を前面に押し出している。

1足す1が2と限らない世界
1引く1が0にならない世界「齢寿天任せ」のこの歌詞は、ウィトゲンシュタインの言語ゲームの無根拠性についての議論を思い出させる。「浮世の屋根裏」とは、人間にとって語りえぬ、知りえぬ世界のことなのか……
— JUN (@jun__1959) June 10, 2020
齢寿天任せ(よわいことぶきそらまかせ)がイイなあ壮大だなぁ達観されてるなぁみゆきねーさま。映画や重厚な内容の2時間すぺさるどらまなんかのエンディングにしたら合いそうよね。黒い画面にキャスト&スタッフクレジットが縦に流れていく中でコレ流れたらきっとゾクゾクする。
— sayaka (@saya_zuka_dufy) February 23, 2020
『観音橋』
ドラマ『やすらぎの刻~道』の主題歌。
レコーディング中に脚本家の倉本聰がドラマに使える曲はないだろうかとやってきて、耳にとまった曲だという。
中島は、この曲の完成には「熟成期間が長かった」と語っている。
「何十年」という言葉を使っている。
その間、歌詞を変えるところもあったようだが、一方で全く手を加えなかったとこもある。
その1つが「グスベリ」という歌詞。
中島みゆきの故郷北海道では、馴染みのある植物なんだとか。
「グースーベリー」とも呼び、直径8mm~10mmの実をつける果樹で、ブドウのような甘酸っぱい味わいがあるらしい。
歌詞の内容
「観音橋」を土地と土地を繋ぐ象徴としてではなく、橋のむこうとこちらを隔てる障壁のように描いている。
あちらとこちらに住む人々が分かり合えない図式があって、「おつかい坊主」や「娘」、「手伝いばぁや」など具体的な個人のストーリーに落とし込んでいる。
まるで一篇の日本童話を紡いでいるような曲。
「観音橋」、正直ドラマで聴いてもよくわからなかったんですけど、フルで聴き終えた時、一冊の重厚な小説を読んだような充足感と感動が広がり、良い意味で裏切られた気持ちになりました。みゆきさんだからこそ描ける、曲の表情が変わっていく、曲が生きているような感覚に陥る名曲でした。#中島みゆき
— 泥声シンガー みなと (@minato_kotodam) January 15, 2020
中島みゆきのニューアルバム『CONTRALTO』収録の「観音橋」、先に昼のドラマに使われていたけど、そこでは流れていなかった3番がもうヤバイ。泣いてしまう。
— イビ (@ibing1122) January 13, 2020
『自画像』
「中島みゆき=コントラアルト」
このアルバムのコンセプトにより加えられた曲が『自画像』。
中島みゆきが自分を見つめて描写したまさに歌の自画像。
「逃げ足いちばん ど忘れ にばん」
この歌詞の「ど忘れ」はよくコンサートで歌詞が飛んでしまう彼女のこと。
「エゴイストなだけの女」
「デリカシーに欠ける女」
散々な言いように、アレンジャーの瀬尾一三は「それほどでもないだろ」と歌の自画像と中島本人の間にズレを感じていたという。
最後のガラスが割れる効果音はアレンジャー瀬尾一三のアイディア。
すごい歌詞です。
ラジオから流れてきて思わず聴き入ってしまいました。いろんな意味で心当たりを感じる朝です⤵︎
中島みゆき 自画像 歌詞 https://t.co/nLdR553orm
— 天野こうゆう (@koyu_a) January 27, 2020
デリカシーに欠ける、も、エゴイスト、も 他者から見た自分。自画像を描くってどういう事なんだろう。自分のことを自分目線で描けるものなのか
楽曲の最後はガラスの割れる音。たぶん鏡
中島みゆき/自画像https://t.co/SCtazfXBvx
— うしょかさ (@sakasyou0875) February 15, 2020
『タグ・ボート(Tug・Boat)』
アレンジャーの瀬尾一三曰く、「日の当たらない人に日を当てる」という中島みゆきの曲に多く見られる視点。
『地上の星』もこの手である。
歌詞の内容
タイトルにもなっている「タグ・ボート」とは大型の船舶を押したり引いたりして着岸・離岸の補助をする小型船のことだ。
大きな船の甲板の上の客たちは、甲板の上に見える美しい水平線に目を奪われるだけで、甲板の下で汚れながら働くタグ・ボートには誰も目を向けない。
だがタグ・ボートは卑屈になることなく今日も上機嫌に持ち場へと帰っていくのだった。
前にもつぶやいた気がするけど、中島みゆきの『タグ・ボート』って歌が最近のお気に入り⛴️
いわゆる裏方の仕事をしている人には沁みると思う。https://t.co/FBU6cuYdUh— 碧星宮アイオ (@hekisei9io) July 9, 2020
中島みゆきの新作アルバムに、タグボートの唄入ってるんだなっ…。豪華客船とタグボートの対比がテーマになってて、それを人の人生に比喩しているみたいなんだけど、中島みゆきって、改めてスゲーなっ!
— 花井健朗 (@hanaitakeo) January 13, 2020
『離郷の歌』
ドラマ『やすらぎの刻~道』の第14話からの主題歌。
46作目のシングル曲。
『進化樹』と両A面で2019年9月25日に発売された。
主題歌を書く時は必ず脚本に目を通す中島。
今回、この『やすらぎの刻~道』は1年に渡るボリュームなので読みこなすのに大変だったという。
だが、そのかいあって脚本家・倉本聰を満足させる曲が仕上がった。
「また一歩僕より先に行ってくれた感じがしました。
やっぱり、やっぱり中島みゆきは天才です」
と天才に天才と称された中島であった。
離郷の歌 / 中島みゆき
人との別れを考えさせられる曲。
Aメロがものすごく悲しいのに、サビで一気に明るいメロディーになるのがすごい。
中島みゆきさんの曲によくある、ドラマチックに拍車をかけるギターソロもたまらなく好き。
一曲の中の喜怒哀楽バランスが天才的。#毎日新しい一曲— りん (@kirin856) May 19, 2020
中島みゆきさんの新曲「離郷の歌」は泣けます( ノД`)
離れざるをえず離れたものたちという別れの嘆きだけでなく、埋もれざるをえず埋もれたものたちという不遇を嘆く内容もあって、ずっしり響きました…
辛辣な表現の中に心は離れない、星は消えないというような救いがあって良かったです✨
— ゆい―心身を癒やして健康に― (@yuitaan1) January 18, 2020
『進化樹』
ドラマ『やすらぎの刻~道』の第9話からの主題歌。
2019年9月25日に発売された46作目のシングル曲。
『離郷の歌』と両A面で2019年9月25日に発売された。
前作のドラマ『やすらぎの郷』の台本の裏表紙には脚本家・倉本聰の描いた土に根ざす樹木の絵と、「樹は根に拠って立つ されど 根は人の目に触れず」という言葉が書かれている。
これが中島みゆきにインスピレーションを与え『進化樹』は生まれた。
イントロにも注目
「イントロは曲の方向性を決定づける大事な要素」
こう語るのはアレンジャー瀬尾一三。
特に主題歌のイントロとなると、そのドラマや映画の世界観を印象づけるものになるので神経を使うらしい。
普段イントロ部分を手掛けるのは瀬尾だが、この『進化樹』については中島みゆきが譜面に書いて持ってきたメロディを採用している。
瀬尾はそれを少し膨らませた形。
『進化樹』はイントロから中島みゆきを感じて欲しい。
中島みゆきの進化樹って曲 本当心にしみるわ
こんな力強く、美しく、そしてかっこよくて歌詞の意味の理解が心でも言葉でもどの世代にも通じて理解できる曲作れるのって個人的には中島みゆきしかいないと思うわ
本当この人には敵わない。本気ですげえと思うわ— Donburako乳首丸OFTHEヒダリノチクビンミギチクビッチ (@kusogakiJP) June 8, 2020
中島みゆきさんのアルバム流してたら泣けてくるんだけどなにこれ別に悲しい気分でもないのに。「進化樹」が相当、くる。
「僕たちはほんとうに進化しただろうか。人はなんて幼いのだろう。」— もんまり (@MusicaliL) January 18, 2020
サブスク(定額制)で中島みゆきの名曲が聴き放題
『Amazon Music Unlimited』なら月額980円(Amazonプライム会員は月額780円)で、中島みゆきのシングル曲や他のアーティストの曲が聴き放題。
その数なんと6,500万曲以上。
色んな音楽を聴く人で中島みゆきも聴きたいという人には『Amazon Music Unlimited』一択。
『Amazon Music Unlimited』に登録すると最初の30日間は無料体験できる。
『Amazon Music Unlimited』の公式サイトはコチラ。
