中島みゆき『4.2.3.』は、在ペルー日本大使公邸占拠事件がモチーフ

カメラ

1998年3月18日に発売された25作目のアルバムに収録されている
『4.2.3.』
についてみていこう。

中島みゆき『4.2.3.』

『4.2.3.』(レコチョク)

作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三

収録アルバム

『わたしの子供になりなさい』

『わたしの子供になりなさい』(レコチョク)

1998年3月18日に発売された25作目のオリジナルアルバム。

TBS系ドラマ『聖者の行進』の主題歌『命の別名』はよりいっそう激しさを増したアレンジが加えられて収録された。

他にはフェイ・ウォンに提供された『清流』、テレビ朝日系ドラマ『はみだし刑事情熱系』シーズン2の主題歌『愛情物語』竹中直人に提供された『紅灯の海』など、話題の曲が揃った一枚。

『4.2.3.』は、このアルバムのラストを飾っている。

わたしの子供
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在ペルー日本大使公邸占拠事件がモチーフ

『4.2.3.』は1996年から1997年にかけてペルーの首都リマで起きたテロリストによる日本大使公邸襲撃および占拠事件がモチーフになっている。

革命運動の構成員が、1996年12月17日夜に乱入し、それから約4カ月の間、人質を盾に占拠し続けていた。

『4.2.3.』は、その占拠状態が特殊部隊の突入により幕引きとなった現地時間1997年4月22日の光景が描かれている。

タイトルの「4.2.3.」は当時の日本時間4月23日の日付を表わしている。

この突入の模様は、世界中に生中継で放送され、もちろん日本のテレビ局も通常の番組を打ち切ってこれを流した。

当時、コンサートツアー『パラダイス・カフェ』の真っ最中だった中島みゆきは、MCで、このニュースに触れ、自分の思うことを後に歌にしたいと語った。

そして、宣言通り歌は作られ、約1年後の1998年3月18日、『4.2.3.』がリリースされたのだ。

この曲は12分間もの尺があり、中島みゆきの楽曲の中では最長だ。

中島みゆきの一人称の視点から描かれている

『4.2.3』は「中島みゆき」という一人称の視点から描かれていることが冒頭の歌詞から見て取れる。

「食べていくための仕事にひと休みして 私はTVをつけた
 眠らぬ旅のあれこれを 生まれた街で癒そうと試みていた」

この後にテレビから日本大使館へ特殊部隊が突入していく衝撃的なニュース映像を目の当たりにする云々というくだりになるワケだが。

「食べていくための仕事」

というのはもちろん歌手活動のことを指している。

この時、中島みゆきはコンサートツアー『パラダイス・カフェ』の只中にあり、事件のあった日本時間4月23日は、北海道厚生年金会館でコンサートが行われた日だ。

「生まれた街で癒そうと試みていた」

中島みゆき本人も、故郷北海道で突入の映像をテレビで観ていたことになる。

さらにこの後の歌詞にはこうある。

「明日にはこの街にも雪がちらつくだろうと 季節はずれの天気予報が流れていた」

事件のあった1997年4月23日の天気を調べてみると、最高気温5.7度、最低気温3.2度、降水量2mmとなっている。

たいていこの頃の札幌の最高気温は2ケタ代が多いので、季節外れの雪が降るという予報を流すに足りうる気候条件だ。

このことからも、この曲は、虚構の中に作り出した人物の視点から描いたものではなく、中島みゆき本人の実体験や感じたことそのままを歌にしていることが分かる。

歌の解釈

テレビから流れる生々しい特殊部隊の突入シーンが、

「蟻のように真っ黒に煤けた彼にも」

というような中島みゆき独特の語り口で描かれている。

この曲は、事件そのものではなく、その事件を報じたメディア側にフォーカスしている。

特殊部隊の突入により、現地の3人の命が犠牲になっている。

だが日本メディアは、そのことには触れず、日本人が全員無事だということだけを嬉々として大きく報じた。

その点に中島みゆきは大きな違和感を感じているのだ。

「見知らぬ日本人の無事を喜ぶ心がある人たちが何故
 救け出してくれた見知らぬ人には心を払うことがないのだろう」

それはメディアに同調して喜んだ我々日本人への問いかけでもあるのだ。

引き合いに出されるザ・イエロー・モンキー

『4.2.3.』を話題に出すと必ずと言っていいほど引き合いに出される曲がある。

それがザ・イエロー・モンキーが1996年に発表した『JAM』という曲。

ザ・イエロー・モンキー『JAM』(レコチョク)

曲の後半部分の

「外国で飛行機が墜ちました ニュースキャスターは嬉しそうに
「乗客に日本人はいませんでした」「いませんでした」「いませんでした」 僕は何を思えばいんだろう 僕は何て言えばいいんだろう」

という部分を聴けば、全く中島みゆきと同じところに違和感を感じていることが分かる。

この作詞を手掛けた吉井和哉は、この歌詞について、「こんな夜は逢いたくて」に繋げるためのラインであると語っている一方で、オウム真理教の地下鉄サリン事件や阪神・淡路大震災などその頃の不安定な世の中も反映されているとも語っている。

社会的な歌を書くことについて中島みゆきのスタンス

中島みゆきの歌の中には時折、社会的な問題を取り上げたモノがある。

1998年4月1日付の北海道新聞夕刊でのインタビューでは、

「歌で人をさとす権利はたぶんない。
 わたしはわたしのために歌っている」

と答えている。

『4.2.3.』のみんなの感想

『4.2.3.』はこんな時に聴こう

当たり前に通り過ぎている世の中の出来事を『4.2.3.』を聴きながらもう一度問い直してみよう。

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中島みゆきが好きで、人よりちょっと詳しいだけが取り柄の人間やってます。