1998年3月18日に発売された25作目のアルバムに収録されている
『紅灯の海』
をみていこう。
中島みゆき『紅灯の海』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
収録アルバム
『わたしの子供になりなさい』
1998年3月18日に発売された25作目のオリジナルアルバム。
TBS系ドラマ『聖者の行進』のために書き下ろした『命の別名』やテレビ朝日系ドラマ『はみだし刑事情熱系』シーズン2の主題歌『愛情物語』、石嶺聡子に提供された曲『You don’t know』、在ペルー日本大使公邸占拠事件がモチーフになった『4.2.3.』を含む全10曲。
『紅灯の海』は9曲目に収録されている。

竹中直人に提供された曲
『紅灯の海』は中島みゆきが竹中直人に提供した曲。
1997年に竹中直人が出したアルバム『siesta?』の中に収録されている。
同じ1997年、映画『東京日和』で竹中直人と中島みゆきが共演(この時の中島みゆきはバーのママ役)しているので、ひょっとするとこの映画の撮影中に曲のオファがあったのかもしれない。
もともと竹中直人は高校時代から中島みゆきのファンで特に『アザミ嬢のララバイ』を好んでいたので、それも曲提供を促した1つと考えてもよいだろう。
1999年12月7日にNHK衛星第2で放送された「スーパースターライブ/中島みゆき・夜会の冒険」でのインタビューによると、中島みゆきの『夜会』のパンフレットに載せる原稿を寄稿したとも語っている。
また、2005年には、竹中直人が監督した映画『サヨナラCOLOR』に中島みゆきが医師役として出演して話題を呼んだ。
このように竹中直人と中島みゆきは音楽や映画を介してお互いに親交を深めていたのだ。

竹中直人『紅灯の海』
中島みゆきの『紅灯の海』が日本海の荒波だとすると竹中直人の『紅灯の海』は南国の穏やかな海をイメージさせる。
それほど印象の違う2つの「海」だ。
伴奏のギターの短調なリズムと竹中直人の優しい歌声は、ゆっくり押し寄せて引いていく波の様子が目に浮かぶ。
歌詞の解釈
「紅灯」とは「赤ちょうちん」の意味。
赤ちょうちんがひしめき合う夜の歓楽街を海と見立てている。
「足は千鳥と成り果てて 遠い月夜を物語る」
という歌詞から、この歓楽街を酒に酔いながらさまよい歩く悲しい人を描いている。
くたびれた感じの背広姿の酔っ払いを自ずと連想させるが、不思議と絵になってるところは、さすが中島みゆきの歌のマジック。
この曲の編曲を手掛けた瀬尾一三は、『ラジオ瀬尾さん』の中で、
「女性なのになんでこんなに男のロマンチシズムを分かるんだろう」
とコメントしている。
ちなみに瀬尾一三は、2019年5月26日に『夜会VOL.18 橋の下のアルカディア』に出演した石田匠のライブにゲスト出演し、この曲を歌っている。
この曲を選んだ理由は、「中年の男の哀愁」を描いた曲で、ジジイの自分には歌いやすいからとのこと。
中島みゆきの故郷の海のことか?
「忘れた素振りの 忘れえぬ面影が
灯台のようにひるがえる海だ」
という歌詞にもあるように、どこか全体的に追憶へ向かった曲になっている。
飽くまで推測の域だが、「紅灯」が中島みゆきの故郷の海際に建つ赤灯台を指していると取れなくもない。
1976年4月30日付の「東京スポーツ」のインタビューで中島みゆきは、こう言っている。
「ふるさとなんてどこにもない。
でも、5つの時から11まで住んだ岩内の”赤灯台”とそこから見た日本海の荒波は強烈に覚えているワ」
中島みゆきがその時期に過ごしていたところは、北海道の岩内という場所。
わずか6年ほどしか暮らしていないが、後にこの辺りが原発建設でもめていた時に、中島みゆきはその反対運動をモチーフにして『吹雪』という曲を書き上げている。
そんな愛着のある故郷の赤灯台を、もしかしたら歓楽街の赤ちょうちんから思い出していたのかもしれない。

カバーしたアーティスト
宮下文一
『夜会VOL.20 リトル・トーキョー』の中で中島みゆきの夫役を演じた宮下文一。
難しい立場に立たされ苦悩するシーンで歌われている。
歌詞には男と分かるワードが一切含まれていないが、やはり改めて男の哀愁漂う背中がピッタリの曲である。

島津亜矢
島津亜矢のカバーアルバム『Singer』に収録されている。
コブシを利かせて歌われていてオリジナルよりさらに「和」のテイストが強めに出ている。
やはり演歌と親和性の高い曲だ。
このアルバムには他に『地上の星』のカバーも収録されている。
『紅灯の海』のみんなの感想
中島みゆき「紅灯(こうとう)の海」歌詞が難しいけど、人生の応援歌みたいなとてもいい曲。「時代」や、さだまさし「生生流転」にちょっと雰囲気が似てる。そして何より「海と名の付くものは優しい」と締めくくっている歌詞が好き。そうだといいな。
— わかしお@帰宅後風呂直行 (@ff_ua_RA) October 18, 2020
みゆきさんのあまり馴染みのない曲を色々聴き直してるんだけど「紅灯の海」って曲が今の自分にすごく響いた。
これは海の男の歌ですね。なんて男らしい歌い方なんだ。
みゆきさんのファンにゲイが多いのは女の気持ちに共感ももちろんだけど、こういう惚れ惚れするような男らしさもあるからだと思うよ。— G◎N (@gontaku) May 28, 2020
例えば中島みゆき『紅灯の海』は竹中直人に提供された男目線の歌だけど、竹中直人版自体はすごくあっさり歌われてて、のちにみゆきさん自身がセルフカバーしたやつは逆にがなりを利かせた男っぽい歌唱に仕上がってる。ここら辺のギャップとか演出の違いは『怪物さん』と似たものを感じるかも?
— live(ライヴ) (@Oh_No_live) May 19, 2020
1998ツアーの紅灯の海のみゆきさんは一生忘れない。
あのツアー、本ラスが木曜の夜、大ラスが紅灯の海。
バンドは新しいメンバーの全男。
みゆきの白シャツ、紅灯のかっこよしさときたら。
本当に本当に本当にかっこよかったですよ— BAKAQ (@redwing2014) July 6, 2019
「紅灯の海」聴けたのほんとに嬉しかったな。1番好きなみゆきさんの歌は?って聞かれたら「紅灯の海」って答える。いろいろ好きな歌たくさんあるけど行くつくところやっぱりこの歌かなってぐらい本当に好き。
— Pon (@smyk2233) February 28, 2019
『紅灯の海』はこんな時に歌おう
夜の歓楽街で飲み過ぎてふと寂しくなったら『紅灯の海』を歌おう。
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