アルバム

中島みゆきのアルバム『短篇集』の全曲解説&みんなの感想

短篇集

2000年11月15日に発売された28作目のアルバム
『短篇集』
について全曲解説&みんなの感想をみていこう。

『短篇集』の特徴

 

『短篇集』(レコチョク)

『地上の星』『ヘッドライト・テールライト』を含む全11曲。

発売は2000年であるが、2002年の年末に出場した「NHK紅白歌合戦」の効果で2003年にセールスを伸ばしている。

文庫本の表紙を模したジャケットが「岩波文庫」のデザインと酷似していたため、デザインを変更し、そのため予定より遅れての発売となった。

ちなみにジャケット内で中島みゆきと一緒に写っている犬の犬種はボルゾイ

名前は「シャロン」ちゃんという。

2000年12月号の「日経エンタテイメント!」のインタビュー記事によると、このアルバムの中にはリリースより10年も前に作った曲が含まれているという。

ちなみにこのアルバムの中で一番新しく作られたのが『地上の星』なんだそうな。

前作が『日-WINGS』『月-WINGS』という夜会の曲を収めた2枚組のCDとあって大掛かりだったので、今回は、短編というコンパクトな形式をとったという。

1曲ずつ色の違う短編(曲)はそれぞれの曲の中で完結しているため、制作する過程で、統合性を意識していないという。

『短篇集』のみんなの感想

曲解説

『地上の星』

『地上の星』(レコチョク)

2000~2005年にNHKで放送されたドキュメンタリー番組「プロジェクトX~挑戦者たち~」の主題歌。

この番組のプロデューサーが中島みゆきの『命の別名』を聴き、「この人でしか主題歌は書けない」と思い、オファを決めたという。

初動の売上はオリコンのトップ10内にも入らず、その後、順位を下げていくが、100位圏内をずいぶん長い間彷徨っていた曲だが、2002年の「第53回NHK紅白歌合戦」への初出場が決定すると、その後、順位を押しあげ、出演後の年明けにはトップ10入り、そしてその翌週、リリースから130週目にしてついに1位を獲得した。

さらに、リリースから139週目にして100万枚のセールスを記録するなど、異例尽くしの曲となった。

歌詞解釈

空を飛ぶツバメの視点から地上にいる人々を歌った曲。

「風の中のすばる
 砂の中の銀河」

というこの歌詞は、無名の人々を星に例え、こちらから光をあてなくとも彼ら自身が光を放っているという中島みゆきの思いが込められている。

地上の星
中島みゆきが『地上の星』を歌った紅白の舞台裏|誕生秘話から独特の売れ方まで2000年7月19日に発売された37作目のシングル 『地上の星』 をみていこう。 この曲ができあがった経緯から、独独の売れ方、...

『帰省』

『帰省』(レコチョク)

由紀さおり安田祥子に提供された曲。

8月と12月に帰省する人々の優しさを描いた曲。

2020年に予定していた全国ツアー『結果オーライ』が、コロナにより中止となったために急遽企画されたベストアルバム『ここにいるよ』

コロナ自粛で帰省できなかった人を気遣ってか、この曲が収録されている。

歌詞解釈

「遠い国の客には笑われるけれど
 押し合わなけりゃ街は
 電車にも乗れない」

冒頭、窮屈で世知辛い世の中の側面が歌われるが、サビ部分になると、8月と12月の帰省シーズンにフォーカスされる。

「けれど年に2回 8月と1月
 人は はにかんで道を譲る 故郷からの帰り」

故郷に帰り、元気をもらい、次の帰省まで何とか頑張ろうとする日本人の心に触れた歌になっている。

『夢の通り道を僕は歩いている』

『夢の通り道を僕は歩いている』(レコチョク)

このアルバムが発売された3年後にフジテレビ系で情報番組「めざにゅ~」が始まり、そのオープニングにこの曲が採用された。

この番組宛てに中島みゆきが声のメッセージを送り、アルバムの片隅にあったこの曲をたくさんの人に聴いてもらえる機会を与えてくれたと感謝の意を述べている。

この曲は、他にも広島テレビで2008~2012年に放送されたドキュメンタリー番組「新・広島発!夢の通り道」のテーマ曲にも採用されている。

歌詞解釈

夢の道の半ばでふとよぎる戸惑いや葛藤を描いた歌。

夢に向かって歩いているけれど、

「どんな夢の形を僕は見ていたのだろう」
「夢に見切りをつけ引き返したならば」

といろんな思いが頭をめぐり、時に泣けてきたりもする。

歌詞からはそんな僕の気弱さが伝わってくるが、

「夢の通り道を僕は追ってゆく」

と、再び歩き出す姿にエールを送りたくなる。

『後悔』

『後悔』(レコチョク)

歌詞解釈

気持ちを伝えないまま、好きな男を見送ってしまった後悔が描かれている。

「真夜中のフライトに向けて 貴方はターミナル行く頃」

という歌詞から、男は飛行機で海外へ、しかも、

「日付変更線を超えて 貴方は戻って行ける」

というところから、アメリカ方面へ渡ったということが分かる。

この歌詞の続きはこうだ。

「私と出会う前の日々へ ためらいもなく戻って行ける」

これからの生活をすんなり始められる男について女はこう思う、

「私の姿も街の色も 過ぎてゆく眺めだった」

そして、女も女の方で、日常を始めようとするのだが、上手くいかない。

「なにごともないかのように淹れるコーヒーがこぼれている」

と、この辺のト書きによる心理描写は絶妙。

女はようやく誤魔化していた男への思いに気づき始めるのだ。

『MERRY-GO-ROUND』

『MERRY-GO-ROUND』(レコチョク)

曲の冒頭に遊園地のアトラクションのSEが流れる。

三角関係をメリーゴーランドの円環になぞらえた中島みゆきらしい発想。

歌詞解釈

この曲は主人公と、その主人公が思いを寄せる男、そしてその男が思いを寄せる別の女という、3人の三角関係を描いている。

その関係を、メリーゴーランドに乗った3人の構図として捉えている。

「MERRY-GO-ROUND,MERRY-GO-ROUND 後ろ姿と涙たち
 MERRY-GO-ROUND,MERRY-GO-ROUND いついつまでも」

という歌詞に登場する「後ろ姿」は、自分が乗った乗り物(馬車か馬か知らないが)の前の乗り物に乗っている男の背中を意味している。

その男もまた、主人公と同じように前にいる意中の女の背中を眺めている。

つまり、3人とも意中の相手の背中を追っている格好でありながら、決してそのベクトルは向き合うことはない、悲しい構図。

それを、

「きれいな矛盾だね はたから見れば」

と結んでいるのもまた悲しい。

『天使の階段』

『天使の階段』(レコチョク)

『夜会VOL.11 ウィンター・ガーデン』のために書かれた曲。

ちなみに「天使の階段」とは雲の切れ間から光線が地上へ差す現象を呼び、天使の梯子(はしご)ともいう。

神様が降臨してきそうな神々しい風景と言えば伝わるだろうか。

歌詞解釈

雲の切れ間から差し込む光を中島みゆき独特のセンスで描写している。

「重い雲の傷口から 金の糸がしたたり落ちる
 風も雪も話やめる」

など、中島みゆきのコトバが紡ぐ世界へどっぷり浸ることができる。

『過ぎゆく夏』

『過ぎゆく夏』(レコチョク)

歌詞解釈

「過ぎゆく夏のたわむれに
 君を愛してしまおうか」

過ぎてしまえばなかったことになるという論調の歌。

そんな儚い夏だから、逆に、この瞬間に思いを遂げようとする熱い思いが際立つ。

『結婚』

『結婚』(レコチョク)

このアルバムの中でも際立って異色な曲。

尺も2分33秒と中島みゆきの曲の中では珍しく短く、本人曰く、レコーディングの際、L.A.のミュージシャン達に大好評だったとか。

歌の中に男の子が登場するせいか、歌声が幼げ?

セリフとト書きという歌詞の構成といい、短い尺といい、他のどの曲よりも「短篇」色が強い。

歌詞解釈

男の子が格闘ごっこの最中に「おまえと結婚するぞ」と相手の男の子へ宣言したので、母親が慌てたしなめる。

「決闘」「結婚」と言い間違えたというオチ。

『粉雪は忘れ薬』

『粉雪は忘れ薬』(レコチョク)

『夜会VOL.11 ウィンター・ガーデン』のために書かれた曲。

舞台の最後で、犬役の中島みゆきが主を思いながらこの曲を歌っている。

歌い終え、遠吠えする様子は感動的であった。

歌詞解釈

失恋した心を癒すのは「時間薬」とよく言われるが、その「時間」を「粉雪」に置き換えてるような印象を受ける。

「粉雪は忘れ薬
 寂しい心の上に積もるよ」

「雪が降る」というところに時間の経過を読み、おまけにサラサラした粉雪が中島みゆきには粉末状の薬に見えたのだろう。

「粉雪は忘れ薬
 些細なことほど効き目が悪い」

と効能を歌ってるところも粋だ。

『Tell Me, Sister』

『Tell Me, Sister』(レコチョク)

2000~2006年までNHKで放送された討論番組「真剣10代しゃべり場」の中で毎回流されていた曲。

この番組は、10人程度の10代の若者があるテーマに沿って討論し合う番組だ。

10代によくありがちなコンプレックスを歌ったこの曲は、若者の悩みがよくテーマに取りあげられる番組とうまくマッチしている。

歌詞解釈

歌に登場する主人公は低い鼻やクセの髪で自分のことが好きになれないでいる。

そんな時に出会ったのが「全て備えた彼女」

主人公は、その彼女に憧れを抱き、マネてみたり、追いつこうとしたり、奮闘するが、

「そのままでいいのに」

と彼女は微笑むだけだった。

そして、時は流れ、

「ある日突然 この世にいない彼女を知った」

という衝撃的な結末。

自分の抱えてる大きな悩みは、ある側面からは実に取るに足らないことだと教えてくれる曲だ。

『ヘッドライト・テールライト』

『ヘッドライト・テールライト』(レコチョク)

2000~2005年にNHKで放送されたドキュメンタリー番組「プロジェクトX~挑戦者たち~」のエンディング曲。

『地上の星』と両A面でリリースされ、こちらも多くの人の耳に届いた曲である。

エンディング曲とあって、この曲を一仕事終えた後に聴いている人が多くいるようだ。

そして、このアルバムでもまたエンディングを飾っている。

歌詞解釈

無名の人の足跡を辿るドキュメンタリー番組であったが、偉業は、こらから先の未来をも照らしていると歌っている。

「ヘッドライト・テールライト
 旅はまだ終わらない」

テールライト
中島みゆき『ヘッドライト・テールライト』|「プロジェクトX」の最終回2000年7月19日に発売された37作目のシングル 『ヘッドライト・テールライト』 についてみていこう。 中島みゆき『ヘッドライト...

サブスク(定額制)で中島みゆきの名曲が聴き放題

『Amazon Music Unlimited』なら月額980円Amazonプライム会員は月額780円)で、中島みゆきのシングル曲や他のアーティストの曲が聴き放題。

その数なんと6,500万曲以上

色んな音楽を聴く人で中島みゆきも聴きたいという人には『Amazon Music Unlimited』一択。

『Amazon Music Unlimited』に登録すると最初の30日間は無料体験できる。

『Amazon Music Unlimited』の公式サイトはコチラ。

聴く
サブスク『Amazon Music Unlimited』で聴ける中島みゆきの曲は?2020年1月8日よりついにサブスク(定額制)で中島みゆきの曲を聴けるようになった。 音楽配信サービス『Amazon Music ...
レコード
中島みゆきアルバム一覧この記事を読むと、こんなことを知ることができます。 中島みゆきさんのアルバムを年代順に振り返ることができます。試聴もできます。...

 

ABOUT ME
yumeojiko
中島みゆきが好きで、人よりちょっと詳しいだけが取り柄の人間やってます。