1991年10月23日に発売された19作目のオリジナルアルバムに収録された
『永久欠番』
をみていこう。
この曲に込めた中島みゆきの思いや、教科書でこの歌詞を読んだみんなの感想を、まとめてみたぞ。
中島みゆき『永久欠番』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
収録アルバム
『歌でしか言えない』
『永久欠番』は、1991年10月23日に発売されたアルバム『歌でしか言えない』に収録されている。
報道番組『ニュースステーション』内のコーナーのテーマソングになった『おだやかな時代』や、『夜会』のために書き下ろされテレビCMソングにもなった『Maybe』なども含んだアルバム。

「永久欠番」の意味
「永久欠番」という意味は、功績を残したスポーツ選手を称えるために、背番号を永久にその英雄のために残し続けること。
例えば野球のイチロー選手の背番号は「51」。
この51番は、イチローが引退した後も誰もこの番号を使ってはならない。
歌詞の解釈
この「永久欠番」を中島みゆきは、死んだ後の人間の存在証明として意味を重ねている。
「人1人消えた日も」街は変わらず日常を営んでいる。
まるで「かけがえのないものなどいない」と言わんばかりに。
そんなはなかい命に見えるが、後半ではそれを全否定している。
「宇宙(そら)の掌の中
人は永久欠番」
死んでもなお、かけがえのない命である、と。
中島みゆきが込めたもの
1991年11月号『月刊カドカワ』の記事で中島みゆきは『永久欠番』について触れている。
死を余儀なくされる現実を見ることが多かった中島みゆき。
よく、「一生懸命やってきたのに、死んだらおしまい」という言い方を世の中はするが、それに疑問をいだいていたという。
「せめて欠番であってほしい」
それは彼女の願いでもあった。
「死」そのものには絶望は感じない。
絶望を感じるのは、死んだ後に自分の代わりがいるということ。
「生きてたことが別に自分じゃなくてもよかったんだ」
と思えば、
「はじめからいなくてもよかったんじゃ?」
そういう結論にいきついてしまう。
それじゃ悲しすぎる。
中島みゆきは、生きようとして生きられない人や、もうダメと宣告されてもギリギリまで生きるような人の姿に尊敬を抱くことが多く、そのことがこの曲を書くきっかけになったという。
教科書に載った『永久欠番』
『永久欠番』は、2001年から東京書籍『新編 新しい国語3』の最初のページに掲載されている。
中学校3年の国語の教科書だ。
国語の教材としてみる『永久欠番』
指導書には、解説が書かれていて、「社会」と「個人」という関係に目を向けた内容になっている。
社会は、個人の悲しみに割くことのできる「時間」を持っていないと、その特性についても踏まえられている。
東日本大震災直後の『永久欠番』への戸惑い
女川第一中学校の教師が、被災直後の授業で『永久欠番』を扱うことに戸惑ったことを『コラボ・スクール』のブログで語っている。
被災直後、新学期は例年通りの日程でスタートすることになり、各地から文房具や教科書が集められた。
だが、教師の佐藤敏郎さんは、国語の教科書は間に合わないで欲しいと内心願っていた。
というのも、その教科書の最初のページは『永久欠番』だったからだ。
「どんな立場の人であろうと いつかはこの世におさらばをする」
という詩。
10人に1人が津波の犠牲になった学校で、そんな授業はできない。
佐藤先生自身も、小学校6年生の娘さんを震災で失っている。
佐藤先生は、子どもたちにどう伝えればいいのか、何度も詩を読み込んだ。
そして授業当日、佐藤先生は、生徒にこの詩の解釈を委ねることにした。
活発に意見を交わす姿をみてホッと安堵し、同時に胸がいっぱいになったという。
山本彩も『永久欠番』に触発され
元NMB48及びAKB48の山本彩は、2019年9月16日に放送されたラジオ番組『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL RESALTAR presents EXPAND YOUR WORLD』の中で、中学時代に国語の教科書で『永久欠番』の詩を読み、中島みゆきに憧れたことを語っている。
歌唱、歌詞はもちろん、舞台の音楽に挑むなど可能性を決めずに活動する中島みゆきの姿は、人間としてシンガーソングライターとして自分のなりたい存在だという。
『永久欠番』を教科書で読んだみんなの感想
中学の国語の教科書に載っていた、中島みゆきの「永久欠番」という詞のことをなんとなく思い出した。授業で習ったときは、理解していた気がしてたけど、いま読み返すと重みが違った。
— Magu (@magupon) September 22, 2018
中島みゆきの永久欠番って詞がとても好き。
国語の教科書に載ってて、当時のあたしにはとてもしっくりした— うし@九州廃人 (@mikicotton) June 22, 2017
中島みゆきの永久欠番という歌詞が教科書に載っていた世代です。当時は全く意味が分からなかったのですが、時間差で分かるようになって、打ちひしがれました。
もっと大人になってから中島みゆきを聞きたいです— 青鯖 (@0_1_otya) September 11, 2014
中島みゆきさんの「永久欠番」は中学3年生の国語の教科書にのっていて、歌詞が取り上げられるってすごいなぁってしみじみしたものです。歌謡曲というか、そういうのの歌詞が教科書にのるって凄い気がする。うむうむ。
— マナミンゴ (@manamingoT) February 28, 2010
ちなみに自分が厨房だった頃も永久欠番を教科書でやったが、当然「???」だった。しかしその時の経験が、言葉にはできないが強く一人の中学生の心を貫通させた歌が、以後中島みゆきへと誘ったのは確かである。あの出会いは今でも忘れられない。
— (@orikasa4) June 11, 2011
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